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74.捨子花 2/16 - 11/07/12 00:02:04 - ID:McgbsuJHmA
エレノラがはっとしたような表情になった。ラウーロ・エルザ組は優秀なフラテッロだったという。仕事以外ではまともに義体に取り合わなかったらしいラウーロが、どうやって一からエルザ鍛え、優秀な戦闘員にまで育て上げたのか? フェルミに酒が回らない理由は、この辺のつかえが取れないからだ。
「なんだ、こりごりだとか言っといてやっぱりいいとこ突くんだな」
「俺は9杯目がいちばん冴えるんだ。素面の時の俺なんか仮初めさ」
「アル中の言い訳みたいに聞こえるぞ」
「俺の血管もローマに通じてるんだよ。なあジョゼ、俺は課長に内緒で来てるんだ。全部オフレコにするし、あんたの兄貴にだって黙っといてやる。だからもう少し教えてくれ――どうやってエルザは、ネグレクトが基本の担当官の元でそこまで優秀になれた?」
どうして自分が社会福祉公社にいるのかエルザは知らない。目覚めたらここにいて、組織に忠誠を誓っていて、銃の使い方を知っていて、ラウーロという男が担当官だった。それらが何故かは分からないが、その理由がちっとも重要でないことだけは理解していた。彼女の意識からは“どうして”を求める部分だけが欠落している。知らなければいけないのは“どうやって”だけだ。
目覚めてすぐは義肢を動かすことさえままならなかった。射撃は少しも上達せず、障害物コースのタイムも常人以下で、CQBでもヘマばかり、その都度ラウーロになじられた。叱責後に時折、彼がエルザの目の前で、わざと見せ付けるように上司に突っかかっていた。
「こんな不公平な話があるかよ? あんたのリコはそこまで機敏に動けるってのに、なんで俺にだけ鈍くさい義体を押し付けやがったんだ? こんな木偶の坊は燃えないゴミにでも出して、さっさと別の奴と組ませて欲しいね」
「焦ったって結果は出ないぞ、もっと根気よくやれ。射撃よりまず自分の身体に慣れさせろ。なんでもいいから体の動かし方を覚えさせるんだ」
「毎日ひたすら走らせてるよ、なのにちっともまともに動けるようになりやがらねえ。慣らしたくらいじゃどうにもならないくらい、こいつには元々素質も才能もなかったんだ」
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