アクセス規制を受けた方のための本スレ転載用スレッド

  • 75捨子花 3/16 - 11/07/12 00:04:00 - ID:McgbsuJHmA

    「素質も才能も既に補われている。それを生かす土壌が育っていないだけだ。ラウーロ、お前はエルザにかけた莫大な予算と労力を無駄にする気か? この先作戦二課でやっていきたいと思うなら、義体の能力を最大限に引き出せるようちゃんと訓練しろ」
     ちっ、とラウーロが舌打ちするのが聞こえたが、エルザはその時何とも思わなかった――ラウーロに申し訳ないとも、彼の言い草に傷ついたとも、何とも。義体が義体でいるのを嫌がることができないように、担当官も担当官でいることを拒否できるとは考えなかった。ラウーロがどれだけエルザを邪険に扱おうが意に介すべきではないことは分かっている。彼女はただ、次に下される命令に従えばいいだけだ。
    「ようヒルシャー、いいとこに来た。なあ、頼みがあるんだけどさ、座学で出す宿題、エルザの分だけ倍にしてくれねえか。ジャンさんは義肢慣らしに楽器演奏やら書き取りやらもやらせてみろって言うんだが、俺だって他に仕事があるんだし、そんなのいちいち付き合いきれねえよ。だから、いつもやらせてることを生かそうと思ってさ。脳みそにカビの生えた元軍人さんらと違って、整合性大好きドイツ人のおまえはその辺の要領くらい弁えてるよな?」
    「別に構わないがラウーロ、もちろん君が後でチェックを入れるんだろうな? エルザの世話を僕に丸投げするつもりじゃないなら請け負ってもいいが、そのつもりがある場合はお断りだ」
    「チェックなんか必要あるかよ、頭で思った通りに体を動かせるようになりゃいいだけだろ。とにかくあいつを課題責めにしといてくれ、俺からの命令だっつってな。おまえもいちいち採点しなくていいぜ、ただ何かやらせときゃいいんだからな」
     エルザはラウーロの同僚が気の毒そうな表情で彼女を見ていることに気が付いた。確かにその日から学科の宿題が倍になったが、ラウーロの命令ならそれをこなすだけだ。

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