アクセス規制を受けた方のための本スレ転載用スレッド

  • 81捨子花 9/16 - 11/07/12 00:20:07 - ID:McgbsuJHmA

     クラエスがトリエラの肩に手を置いた。「トリエラ、言わせておきなさいよ。きっとエルザは何か勘違いしてるんでしょ。全部吐いてすっきりしたら、我に返ってそこをどいてくれるはずだわ」
     存在自体が無意味なクラエス。彼女がまだ生きているのが信じられない――担当官なしの義体の人生に何の意味があるっていうの? 無意味な絵を描き、無意味な音を鳴らし、無意味な畑を耕す、ただそれだけの馬鹿げた毎日に。義体は担当官のためにいるのに、どうして担当官と一緒に死なないのかがさっぱり理解できない。私ならそうするのに。ラウーロさんのためだけに存在している私なら、そうしないはずがないのに。
    「とにかく、あなたには自分の担当官がいるんだから、今後一切ラウーロさんに近づかないで。今度ラウーロさんを煩わせたら、私があなたを殺すわよ」
     きょとんとこちらを見つめるアンジェリカを尻目に、エルザは踵を返して再び中庭を横切り始めた。もう既にラウーロの姿は見えなくなっていて、彼女は舌打ちした――あんなジャンクどもに関わっていなければ。
     彼女の強化された聴覚に、再び前進を始めたジャンクどもの会話が引っかかってきた。
    「アンジェ、気にしちゃだめだよ。エルザは本当に何か勘違いしてたみたい。きっと、担当官のことでむしゃくしゃしてたんだろうね。八つ当たりの的にされちゃって、とんだ貧乏くじだったね」
    「さっきの子、エルザっていうんだね。トリエラとクラエスはよく知ってるの?」
    「うん、まあ…… 知ってるけど、そんなによくは、ってかんじかな。実は、私もそこまでたくさん話したことないんだ。あんなに喋ってるあの子を見たの、今日が初めてだしね」

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