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84.捨子花 12/16 - 11/07/12 00:25:12 - ID:McgbsuJHmA
その辺からはもう学術的な小論文はなく、ラウーロのことについて詳細に記したストーカーの妄執ポエムみたいな怪文書ばかりになった。筆跡が正常に戻った日、特に美しい日、荒れ放題で読むことさえままならない日など、同じ人物が書いたと思えないほど起伏の振り幅が毎日大きい。涙ぐましいことに、赤インクの修正は毎回律儀に入れてあった。『もう少し実のある内容を書くように』と文末にコメントが載った次の日など、レポート用紙いっぱいに大きな文字でこう書き殴ってあった。『ラウーロさんのこと以上に実のある内容なんてないわ!!』
フェルミは労わるつもりで深々と嘆息した。「こんなのに毎日付き合ってやったのか?」
当時の様子を思い出したのだろう、ヒルシャーがうんざりした表情で頷いた。「エルザは絶対にそのうち何かやらかすだろうと思っていたので、様子見目的で続けました。かなり初期の変調の頃からラウーロに知らせてはいたんですが、当然の如く彼は耳を貸さなかった。彼の態度に諦めず、条件付けがあるからと油断もしないで上に進言していれば、或いはあんなことにならなかったのかもしれません」
「そうか」 フェルミは確信をもってヒルシャーの目を見た。「後悔してるから協力してくれるのか」
ヒルシャーは目を伏せた。「腹立たしいこともありましたが、ラウーロは決して悪い人間ではありませんでした。エルザには冷淡でしたが、それが彼のやり方だったんです」
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