【春の遠足】 //ヘンリエッタ、ジョゼ、リコ、ジャン、ヒルシャー、トリエラ
          // 【】 // Humor, //2011/05/05


   【春の遠足】


 今日はジョゼさんと課外授業で動物園に来ました。
リコとトリエラと、ジャンさんとヒルシャーさんも一緒です。
 動物園には色々な動物がいます。
ゾウもキリンも、本で見たときよりもずっと大きいと思いました。
それに、見たこともない動物もたくさんいます。
その中でも一番変だったのはラバと言う動物です。 
 ラバは馬とロバをかけあわせた動物だそうです。
動物はしっぽを振って虫を追い払ったりするのだとヒルシャーさんが説明していました。
でも良く見るとラバには虫を追っている尻尾と別に、後ろ脚の間にもう一本しっぽがありました。
不思議だなあと思ってジョゼさんにお聞きしようとしたら、先にリコが指をさしてジャンさんに聞きました。
「ジャンさん、あのぷらぷらしてるのは何ですか?」
 ごっ、と鈍い音がしました。
いつも訓練中に叱られている時よりは軽く頭を小突かれたみたいです。
……聞いてはいけない質問だったのでしょうか。
 それじゃあ何でも良く知っているトリエラに聞いてみようと思って振り返ったら、
トリエラとヒルシャーさんの間の空気が凍り付いていて、とても話しかけられそうにありません。
「――さあ次のコーナーを見に行こうか、ヘンリエッタ」
 ジョゼさんが優しい笑顔でそうおっしゃったので、きっとあれはそんなに気にするようなことではないのでしょう。
リコは頭をなでながら、トリエラは不機嫌そうな顔で私たちと一緒についてきて、
ジャンさんとヒルシャーさんが少し後から歩いてきました。
二人の担当官はぼそぼそと低い声で会話しています。
『ヒルシャー、きさま何故ラバの発情期を調べておかなかった』
『私のせいですか!?』
『園内の下調べはお前に任せておいたはずだ』
『ですから見取り図及び園内のセキュリティーは全て調べて――』
『繁殖期の動物の危険性を見落としていた。不完全なデータだ』
『そんな!』
 良く分からないけれどヒルシャーさんがジャンさんに怒られているようです。

 次はライオンのコーナーです。ライオンには立派なたてがみがありました。
雌ライオンにはたてがみがないと教わっていたのですが、なぜか姿が見えません。
檻には張り紙がしてあって、『本日雌が発情期に入ったので、繁殖のため展示を中止しております』
と書いてありました。
「ジョゼさん、『発情期』って何ですか?」
 私が質問すると、ジョゼさんは少し間があってからにっこりと微笑んでおっしゃいました。
「……帰ったら辞書で調べてごらん」
「はい!」
 ジョゼさんに宿題をいただいたので私は元気よく答えました。寮に帰ったら早速調べなくちゃ。
 それから、その後は皆でおいしいアイスクリームを買っていただいて休憩をしました。
担当官は皆さん少しお疲れのようでした。
やっぱり義体の方が丈夫なのだから、いざという時にはきちんと担当官をお守りしなくてはいけないと思います。
 天気も良かったし、今日はとても楽しくて良い一日でした。


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