最終更新: helpgirlbymoney 2008年12月05日(金) 12:52:58履歴
ある所に金持ちの男がいた
金の力で好き勝手やっていたその男は病に冒された
妻も息子も体を労わってくれた
しかしそれが表面上のものであることを男は知っていた
男は誰も信用しなかった
ある日男は路上で靴磨きをしている少女に出会った
みすぼらしい格好の少女にめぐんでやろうと思った
男は少女に靴磨きの代金としては多過ぎるほどの金を払った
少女は代金以上のお金を受け取らなかった
親切心を無下にされたと男は怒った
勢い余って男は少女の道具を壊してしまった
少女は悲しい目を無残に壊された道具ではなく男に向けた
男はなぜそんな目で見られるのか分からなかった
分からなかったがその日から男は毎日のように少女が気になった
多めの金を出しては断られたがそれでも足繁く毎日通った
夜遅くには少女を送りさえした
タクシーを呼ぼうとしてもったいないと怒られた事もあった
なぜか少女はいつも恥かしがって送るのは家の近くまでだった
二人が仲良くなるのに時間はかからなかった
少女には身寄りがいなかった
男は一生懸命生きる少女に自分の子供になって欲しくなった
何度か言ってみようと思ったがなぜか言えずじまいだった
ただ友情の印にと無理矢理髪留めを手渡した
その矢先男の病が悪化した
以前の覇気が無くなった男を妻と息子は屋敷から追放した
ついに金の力も無くなった
男は安いボロボロのアパートに移り住んだ
勝手の違う生活に男は困窮した
はした金にしかならなかったが身の回りのものは全部売った
顔を見せなくなった男を少女は心配した
男は自分の住んでいる所を見られたくは無かった
日課でもあった靴磨きを頼む金さえなくなった
心は荒れ男の体は日々蝕まれていった
男は弱気になり酔いで紛らわそうとした
残っていたわずかな金をかき集め安酒場へと歩いていると少女を見つけた
住所を知ることが出来なかったのを思い出し少女の後をつけた
そこは小さな橋の下だった
少女には帰る家さえなかった
古ぼけた毛布の中にまるで宝物でも隠すようには髪留めがしまってあった
男は泣いた
男は自分を恥じただ心から少女に何かしてやりたくなった
初めての感情だった
男はもう客ではなくなったが少女は男見ると嬉しそうに手を振った
男もボロボロのアパートの窓辺から手を振った
窓辺から手を振るのが日課になった
病でもうベッドから出られなくなっても男は手を振りつづけた
その日男に一通の手紙が届いた
男はそれを読むと満足げな顔をしてゆっくりと目を閉じた
少女が息を弾ませて窓を見上げても男はいなかった
知らせたい事がある少女は男を待つことにした
しばらくして少女の後ろにやさしそうな中年の女が歩み寄った
少女は幸せそうな笑顔を浮かべていた
窓辺を見るといつの間にか男が手を振っていた
少女は男に手を振り返した
養母に諭されて歩き始める少女の頭には髪留めが光っていた
小さくなるその背に向かって男はいつまでも手を振っていた
いつまでも手を振っていた
金の力で好き勝手やっていたその男は病に冒された
妻も息子も体を労わってくれた
しかしそれが表面上のものであることを男は知っていた
男は誰も信用しなかった
ある日男は路上で靴磨きをしている少女に出会った
みすぼらしい格好の少女にめぐんでやろうと思った
男は少女に靴磨きの代金としては多過ぎるほどの金を払った
少女は代金以上のお金を受け取らなかった
親切心を無下にされたと男は怒った
勢い余って男は少女の道具を壊してしまった
少女は悲しい目を無残に壊された道具ではなく男に向けた
男はなぜそんな目で見られるのか分からなかった
分からなかったがその日から男は毎日のように少女が気になった
多めの金を出しては断られたがそれでも足繁く毎日通った
夜遅くには少女を送りさえした
タクシーを呼ぼうとしてもったいないと怒られた事もあった
なぜか少女はいつも恥かしがって送るのは家の近くまでだった
二人が仲良くなるのに時間はかからなかった
少女には身寄りがいなかった
男は一生懸命生きる少女に自分の子供になって欲しくなった
何度か言ってみようと思ったがなぜか言えずじまいだった
ただ友情の印にと無理矢理髪留めを手渡した
その矢先男の病が悪化した
以前の覇気が無くなった男を妻と息子は屋敷から追放した
ついに金の力も無くなった
男は安いボロボロのアパートに移り住んだ
勝手の違う生活に男は困窮した
はした金にしかならなかったが身の回りのものは全部売った
顔を見せなくなった男を少女は心配した
男は自分の住んでいる所を見られたくは無かった
日課でもあった靴磨きを頼む金さえなくなった
心は荒れ男の体は日々蝕まれていった
男は弱気になり酔いで紛らわそうとした
残っていたわずかな金をかき集め安酒場へと歩いていると少女を見つけた
住所を知ることが出来なかったのを思い出し少女の後をつけた
そこは小さな橋の下だった
少女には帰る家さえなかった
古ぼけた毛布の中にまるで宝物でも隠すようには髪留めがしまってあった
男は泣いた
男は自分を恥じただ心から少女に何かしてやりたくなった
初めての感情だった
男はもう客ではなくなったが少女は男見ると嬉しそうに手を振った
男もボロボロのアパートの窓辺から手を振った
窓辺から手を振るのが日課になった
病でもうベッドから出られなくなっても男は手を振りつづけた
その日男に一通の手紙が届いた
男はそれを読むと満足げな顔をしてゆっくりと目を閉じた
少女が息を弾ませて窓を見上げても男はいなかった
知らせたい事がある少女は男を待つことにした
しばらくして少女の後ろにやさしそうな中年の女が歩み寄った
少女は幸せそうな笑顔を浮かべていた
窓辺を見るといつの間にか男が手を振っていた
少女は男に手を振り返した
養母に諭されて歩き始める少女の頭には髪留めが光っていた
小さくなるその背に向かって男はいつまでも手を振っていた
いつまでも手を振っていた