PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:◆ou.3Y1vhqc氏

――――1年前――――



「……勇、男の子だろ?もう泣くな」

「イヤだ!!お父さん、いかないで!!!」

「勇が…麻奈美(まなみ)を守らなきゃ駄目だぞ…」

「うぅ…お父さ…まってよ……」

「麻奈美……」

「……お父さん」

「今まで苦労かけてごめんな…これからも苦労をかけるだろうけど……勇を……頼んだからな……」

「……わかったわ」

「わかったってなんだよ!!!お父さんも頑張って!まだお父さんと、したいことがいっぱいあるんだ!」

「二人とも……俺の子供に産まれてきてくれてありがとう…幸せだったよ…」

「まってよ!!お父さん!!!」

「勇………」

「イヤだ!!お姉ちゃん、離してよ!!!」


(お父さん………。
勇は私が守るから…安心して)


――父の葬式には、たくさんの人がきた……。

職業、年齢、性別は幅広く、父が知人にどれだけ愛されていたかわかる。

そんな、老若男女が集まれど、思う気持ちは皆一緒だった。

棺桶にしがみついて離れない小さな女の子。

――おじさんを連れていかないで!!

泣き叫ぶ子供の頭を撫でながら、「ありがとう」と言う。
でないと自分が崩れ落ちてしまう。

この女の子と同じように、父にしがみつき、泣きたかった。
もっと甘えたかった…
遊びたかった…
怒られたかった…
一緒に居たかった………

怒りか悲しみか解らない感情が溢れ出そうになる。

「………姉ちゃんは守らなきゃ。」

最後に父から言われた、
――麻奈美を守れ……
もう家族は姉ちゃんしかいない、俺がしっかりしなきゃ駄目だ。
姉を見ると忙しなくテキパキと行動している。

その後ろ姿を見ると心から感心する。

外にでて空を見上げる。

雨が降りそうな曇り空。
昼間なのに日差しがまったくなく、冬独特の乾燥した風が肌寒い。

「……家に帰りたい」
ここから歩いて帰れば30分で帰れる。
でも姉をおいて帰るわけにはいかない。
帰ったら一人になる、それだけは避けたい。

「勇、外寒いよ?中入ろうよ」
自販機で買ったコーヒーを、ベンチで飲んでいると、姉が探しにきた。
「うん、わかった。」
飲み終わったカンをゴミ箱にむかって投げるがゴミ箱からハズれる。
チッと舌打ちしながらカンを拾いにいくと、女性に拾われゴミ箱に捨てられる。
「あっすいません、ありがとうございます。」
慌てて頭を下げ御礼を言う。


「勇……大きくなったわね、三年ぶりかしら?」
どこか懐かしく、優しい声。
「もう、中学3年生になったんだね…」

俺の頭に女性の手が近づいてくる…頭を触られた瞬間、昔の記憶がフラッシュバックする。

全身から脂汗と震えが止まらない。

「勇に触らないで!!」
姉が俺と女性の間に割り込んできた。
「あら…麻奈ちゃん、いたの?あなたも大きくなったわね」

女性がニコッと笑い姉に言う。

「今更なにしにきたの……お母さん」

「お父さんに会いに来たのよ」

「ふざけないで!!!お父さんと会ってどうするのよ!?もう関係ないでしょ!!」

「最後のお別れを言いに来ただけよ…」

「ふざけっ「いいですよ…父は中にいますから、どうぞ」
姉の言葉を制して母に言う。
「勇!!!」
「ありがとう、案内してくれる?」
最終的にはどうせ親戚が母を中に入れるので、ここで言い合ってても仕方がない
姉は母を父に近づけたくないのかイラついた雰囲気を醸し出している。

母を父が眠る場所まで連れていくと親戚の目が母に向く。まったく気にならないと言った感じで父に近づき、父の顔をのぞき込む。
「あなた……死んでも優しい顔をしてるのね」
母が父の頬を優しく撫でながら呟く。

「本当に、ごめんなさい…」

母の涙をはじめてみた……それは後悔の涙なのか、悲しみの涙なのかわからないが、それを見た瞬間、今まで母にされたことが嘘みたいに「昔の思い出」となった


お母さん元気かな……
一年前の葬式以来まったく会っていない。

葬式の後の半年間は姉に辛い思いさせた。
自分が姉に依存してることに半年間も気づかないなんて……。


――「てゆうか、凪ちゃん……早く寝ようよ…」

さっきまでは半分眠てるような顔をしていたのに、ベッドに入るが寝る気配がない。

「お父さん以外の人と寝たことないから……恥ずかしい…」
「今更はずかしいの?さっきまでは普通だったじゃん。」

顔を真っ赤にして布団を頭まで被ってしまった。
そのくせ掴んでる俺の手は離さない。

まぁ年頃なんだろうな……

姉が布団を取りに行ったが部屋を出ていく時に「忘れてる…」と呟きながら部屋を出ていった。

なにかを忘れたみたいだ
よくわからない。

まぁいろいろあったがやっと寝れる!!
明日は凪を帰さなきゃならない。
たぶん今日よりもっと疲れるだろう。


――勇は完璧に忘れていた。

私と一緒に寝る約束。
私が人生の中で一番楽しみにしている至福の時。

今日会ったばかりの子にもっていかれた…
一年前、葬式の帰り際、母に言われた言葉。
「私と同じ苦しみだけは味わわないように」の意味が今ではなんとなくわかる気がする。

母も勇を愛していたのだろう…しかし勇は父に愛情を求めた。
結果、母の嫉妬心から愛が歪み、勇を縛った。

母はよく勇にキスをしていたみたいだが、キスでは飽きたらず、その先に踏み込もうとして父にバレたのだ。
自業自得。

私は母のようにはならない、勇を傷つけない。
私が勇を守る。
勇が言ってくれた
「お姉ちゃんは俺が守るから。」
この言葉を聞いて私は決心した。

勇と生きていこうと。


……早く布団もっていかなきゃ。

こうしてる間にも私の居場所が無くなっていく。

父の部屋から強引に布団を掴むと階段を走り、布団を引きずったまま勇の部屋にむかった。

勢い良く扉を開けると二人はまだおきていた。
(小学生…おめめパッチリじゃない…)
さっきまでウトウトしてたのに…早く寝てほしい…。
そしたら勇を嘘泣きで私の布団に連れ込もう。
私自身我慢ができなくなっている、早く勇と寝たい!!

頭の中はそのことでいっぱいだ
「それじゃ、電気消すわよ?」

パチッと壁のボタンを押すと部屋が真っ暗になる。
「姉ちゃん豆電球にして。」
凪のことを考えてだろう。嫉妬心が沸き上がってくる
(ダメ、私はお母さんとは違う)
自分に言い聞かせ豆電球にしてから布団に入る。

布団をベッドに極限まで近づけている為、なにをしても止めに入れる。
勇は信用できるけど……凪は危ない。
私がいる限り勇には手を出させない。



てゆうか、豆電球ってなんであんなに心地いい光なんだろう……布団暖か…い…




「………zzZ」




「姉ちゃん……よっぽど疲れてたんだな。」



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