当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

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「進化」

 この日本では「進歩」という意味で「進化」という言葉が広く使われるようになっています。
 この用法を人口に膾炙せしめたのは確実にポケモンであると筆者は考えていますが、この用法が、進化生物学でいうところの「進化」の意味からすると全く不正確な用法だというのも、よく聞くところです。進化生物学者は、このせいで、まず「進化」の正確な意味を理解してもらうところから入らないといかん(=「進化」は「進歩」ではないことを説明しないといかん)とよく嘆いています。
 ただまあ、言語は移ろいゆくものだし、専門分野で使われている専門用語は一般における理解とは必ずしも意味内容が異なるというのもよくあることなので、このへんは嘆くのは単なる職務放棄だと思います。ほら、これで進化生物学者より更に一段上に立ちました。
 でもまあ、この件に関しては進化生物学者が愚痴を言いたくなるのも分かります。なんでかって、筆者は「進化」は「変化」でしかなくけして「進歩」ではないという言説を多分小学生の時に読んだから。中学受験のために通っていた塾の国語の授業で読んで感銘を受け、強く刷り込まれたから。
 でもよく考えると、進化における変化はより生存及び生殖に有利な性質を獲得するような変化ではあるわけで、それを進歩と捉えるなら進歩ということもできるのです。だから、「進化は進歩ではない」という言説も不正確と言えば不正確なわけです。結局、進化生物学者たちによる批判の言説も、大衆に対する耳ざわりを良くするために分かりやすくし過ぎている面はあるわけです。出ました。分かりやすさ・過激さ・インパクトと正確さのトレードオフですね。まあ、大衆は、長い話を聞いてくれないですからね。
 でもまあ、こうやって一段メタの立場から者を述べつつも、筆者は少年時代の刷り込みから、進化生物学者の批判には味方をしたいわけです。どうやって、大衆に聞いてもらえて、かつできるだけ不正確さを排除した言説を作るか。考えました。
 「進化進化ってドヤ顔で言うても、もう陳腐でありふれたたとえだからやめにしませんか」


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