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BALLS BOMBS

 Xitilonというクリエイターの作品です。同クリエイターは、本作と同じようにワンボタンでプレイ可能なトロフィーブーストゲーを多数リリースしており、トロファーである私もほぼ全てをやり尽くしています。
 ブーストゲーについてはいちいち感想記事を書かずにいたのですが、本作に限っては色々あったので語りたくなりました。ゆえにここに記録を残しておきます。

 本作は、Xitilonがリリースしたワンボタンブーストゲーの中でも異彩を放っていました。トロコンの難易度が異様に高かったからです。他のブーストゲーはプラチナの獲得率が軒並み9割以上あったのに対して、本作だけは1桁でした。PSNProfilesという自身のトロフィー獲得状況を登録できるサイトを覗いてみても、プラチナを獲得しているのはなんと1人だけでした。このあたりをよく調べずにセールだからといって本作を購入してしまった私も、その難易度に絶望しました。

 本作は、サイドビューの横スクロールアクションです。×ボタン(実際は、〇でも□でも△でも可)を押しっぱなしにすると、自キャラが右に進んでいきます。フィールドには当たると即死のボールが画面外からどんどん投入されます。ぴょんぴょん飛び跳ねるボールの挙動はかなりランダム性が強く、目で見ながら避けて進んでいくのは至難の業です。ゲームの目的は、ゴールへの到達ではなく、ハイスコアの獲得です(そもそもゴールという概念はなく、エンドレスです)。自キャラを右に進めていくと、床に落ちている爆弾に行き逢います。これを入手すると、自キャラの見た目が変わり、攻勢に出られるモードになります。とはいっても入手した爆弾を任意に爆発させる手段はなく、爆弾を持っている状態で前述のボールに当たると勝手に爆発するという仕様です。この爆風でボールを消し飛ばせるのですが、これでスコアが入ります。1回の爆発で消したボールが多いほど、消したボール1個あたりから獲得できるスコアも高くなります。

 さてこんな単純なゲームですが、前述の通りボールはひっきりなしに投入されるうえに動きのランダム性が強く(流石に反射時の挙動には何らかの物理演算がされていると思われますが、どこからどういう角度で投入されるかは完全なランダムになっていたと思われます)、これを避けながら進んでいくのは苦行といっていいほどの難易度を誇っていました。本作で最も難しいトロフィーが「スコア500点を獲得する」というものでしたが、私は10時間ほどやっても226点という自分のハイスコアを更新できませんでした。

 そこで思いついたのが、「連射コンやマクロ等を利用して×ボタンを押しっぱなし(あるいはペース遅めの連打)の状態にして放置し、運良く500点が獲得できるのを待つ」という手法でした。前述のように本作の難易度の高さはランダム性の強さに起因しており、ハイスコア獲得には運も大事だったので、運さえ良ければ人間の手を介入させずとも500点がとれる試行が生じるのではないか(=結局は試行回数の勝負ではないか)、という仮説に端を発した手法です。本作は一度死ぬとメニュー画面に戻り、再度スタートする場合にもまた×ボタンを押す必要があります。ということは、×ボタンが入力される状態さえ保っていれば何度も試行を重ねられるはずなのです。
 ところが、PS5にはまだ公式に使える連射コンがありません。コンバーター等を利用して他デバイス(PS4やSwitch等)用の連射コンをPS5で使うという技はあったようですが、コンバーターというのはFPS等でキーボードをパッドと誤認させるために悪用もされているデバイスであり、対策を講じるSONYとそれを掻い潜ろうとする悪用者との間でリアルタイムでいたちごっこが続いていたため、昨日まで使えていたコンバーターが今日には使えなくなっているような状況でした。そんなものを大金をかけて入手するのは気が引けました。何より、なんかズルをしているようで許せませんでした。連射コンを使おうとしている時点でズルではないかという声が聞こえてきますが、都合のいいところに境界線を引けるのがトロファーという生き物です。
 幸い本作はPS4用のゲームであり、PS4用の公式の連射コンは持っていたので、PS4でこの手法を試そうとしたところ、我が家のPS4がなんとこのタイミングで天に召されてしまいました。いわゆる、BLODという症状です。私のPS4はもう公式修理には対応していない古い型番のものであり(というかこの時点でほぼ最新の型番のものしか修理対応していませんでした)、修理するには野良の修理屋に頼むしかないという状況でした。野良の修理屋の価格を調べたところ、大体1万5000円くらいからのようでした。それなら中古を買っても大して変わらないのではないかと思って近くのGEOに行ってみたところ、PS4 Proの中古が2万1000円ほど、PS4の中古は1万7000円〜1万8000円くらいでした。ギリギリ経済的全損ではないという状況ですね。
 私はGEOの店内を1時間ほどウロウロしながら悩みました。プラチナ1つのために2万もの出費を許容できるのか考えました。悩み抜いた私が出した結論は、「そもそも連射コンアプローチでトロフィーが確実に獲得できるかは分からないではないか」というものでした。結局何も買わずにGEOを後にしました。連射コンアプローチで確実にトロフィーが獲得できるなら買ってしまっていた可能性は大いにあります。でも、私の度量と財力では、仮説段階の不確定な手法にそんなお金を出せませんでした。
 その後、スマホでリモートプレイを行い、スマホ上の×ボタンを押しっぱなしにするという手法や、PCでリモートプレイを行い、PC側の×ボタンに対応するキーについてのマクロを組むといった手法も試してみましたが。いずれも失敗しました。前者は、指でスマホ上に表示された×ボタンをずっと押さえつけていても、死亡後の再開ができませんでした(死亡後再開するにはいったん指を離してから再び×ボタンを押す必要があり、完全放置は不可)。後者については、本作を起動すると×ボタンに対応するキーの入力をなぜか受け付けなくなりました(PS5のメニュー画面等では入力を受け付けていたにもかかわらず、です)。あらゆる手段で連射コンアプローチを拒絶してくる本作の姿勢を加味すると、PS4で公式の連射コンを使っていてもうまくいかなかった可能性は大いにあると思います。

 そんな状態で2024年8月に入り、本作になんとアップデートが入りました。アップデート前は妙に左端の方に寄っていた自キャラが、真ん中に来たのです。このためプラチナトロフィーの獲得が容易になり(ただ、なぜこれで容易になるのかは私にもちゃんとした説明ができません)、私もアップデート後すぐにプラチナを獲得できました。今ではプラチナの獲得率も40%を超えています(2024年8月6日時点)。ちなみに本作はPSでリリースされる前に別媒体でリリースされており、そちらでは自キャラがちゃんと真ん中あたりに配置されていたようです。

 特に教訓はない話ですが、無理やり見出すとすれば、「諦めずに頑張っていればなんかご褒美があるかもしれないよ」というものになるでしょうか。トロファーの皆さんは、親が死んでもトロコンを目指すゲームの下調べを怠らないようにしましょう。

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