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LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶

 2022年のゴールデンウィークに全DLC含めてトロコンしました。ほぼゲーム合宿のような生活でした。

 「キムタクが如く」の続編です。私がやったのはPS4版です。

 前作については、「主人公がキムタクになった『龍が如く』以上のものではない」と私は評していました。今作も総評的にはそうだと思います。複雑で長大ながら最後は殴り合いで勝敗を決めるメインストーリー、その中で一貫して描かれる裏社会の住人たち、山のようにある寄り道要素、随所にちりばめられたバカゲー的演出、どこをとっても「龍が如く」です。

 なのでシリーズのファンはやって損はないというのは前作と一緒です。前作で私が覚えた不満点がどうなっていたかだけ以下に記していこうと思います。

ロード時間

 PS4版をPS4でやりましたが、はっきりと長かったです。特に神室町もしくは異人町を読み込むときのロード時間が長いです。

探偵アクション

 ピッキングと尾行は相変わらずやらされます。そしてあんまり楽しくないのも前作と一緒です。今作は探偵アクションとして新たに建物をよじ登る潜入アクションと、ステルス侵入アクションが追加されましたが、どちらも既存のゲームの(かなりの)劣化版に過ぎません。双方とも自由度は皆無に等しく、正解のルートはほぼ一本道です。メタギアやヒットマンシリーズのような「手順を考える楽しみ」はなく、敷かれたレールの上を走らなければ先に進めません。

演技

 私の印象でしかありませんが、キムタクは前作の方が良かった気がします。今作で新起用された役者さんには文句はありません。

ストーリー

 物語の舞台である誠稜高校は、私立の進学校(ゆえに学費も高そう)という触れ込みにもかかわらずヤンキー漫画にしか出てこないような不良がウジャウジャ在籍しています。そこが変なのは別として、
序盤のストーリーの原動力(求心力)
 前作のストーリーには主人公である八神本人の人生が大きく関わっていましたが、今作の八神は一歩引いた立場であり、あくまで依頼された事件の真実を追い求めるというスタンスです。
 ストーリーの大きなテーマになっているのは、プロモーション等でも散々明らかにされていることですが、「イジメ」です。
 八神が今回の一件に関わるきっかけになったのは、江原という警察官の痴漢事件です。この事件で江原の弁護人になったのが、八神の弁護士時代の同僚の城崎弁護士でした。江原は犯行を否認するものの、第一審では有罪判決を受けます。ところがその判決言渡期日の法廷で、江原が御子柴という男の殺害事件に関与したことを仄めかし始め、事態が大きく動き出すわけです。なんせ御子柴が殺害されたと思しき時刻は、江原がまさに痴漢の犯行を行っていたと認定された時刻だったからです。御子柴は、高校生時代に同級生だった江原の息子をいじめて、自殺に追い込んだ張本人でした。すなわち江原本人には動機にも十分なものがあるわけです。
 ここからが私の言いたいことですが、このゲームのプロモーションだけ見ていると、本作は王道のアリバイ崩し的なミステリーになっていると思えてしまいます。江原は痴漢と御子柴殺害という2つの犯罪を違う場所で同時にやってのけており、それがまさに(少なくとも序盤における)本作最大の謎(=すなわちストーリーを動かす原動力)になっているように思えます。
 ところが実際にゲームをプレイしてみると、実は序盤の段階では、御子柴殺害の実行犯が誰かという情報はプレイヤーには与えられないのです。御子柴は単に「殺害された」という情報が出てくるだけであり、「誰が殺害したのか」という情報は一切ないのです。そうなると、普通に考える限り「江原が誰か人を雇って御子柴を殺させたんだろうなあ」というあんまりおもしろくない結論に落ち着いてしまいます。特に本シリーズには、その手の汚れ仕事を喜んでやる連中がたくさん出てくるわけですからね。ゆえに、アリバイ崩しミステリーとしての成立が危うくなっていると思うのです。
 実は江原本人が御子柴を殺害している模様を撮影した動画も後からちゃんと出てくるのですが、それはゲームが中盤の入口あたりにまで進んでからです。王道のアリバイ崩しミステリーにするのであれば、「江原本人が同時に殺人と痴漢を実行している」という謎は冒頭からもっとバーンと提示すべきではないかと私は思います。片方の「痴漢は江原にしか見えない」という情報はプレイヤーに早くから与えられるのですが、もう片方の「御子柴殺害の実行犯も江原にしか見えない」という情報はだいぶお話が進んでから残尿漏れみたいな感じでにゅるっと出てくるので、序盤におけるお話の求心力というか訴求力のようなものがだいぶ損なわれている気がするのです。
クライマックス
 クライマックスではいじめ問題への対処を巡ってラスボスの正義と八神の正義がぶつかり合うのですが、前述の通り2人の殴り合いで決着をつけます。殴り合い後の議論は何かフワッとしたものしかなく、結局八神の正義が勝ったことへの説明は「殴り合いに勝った」以上の根拠はないような気がします(特に八神は「澤先生が殺された」以外の理屈をあんまり持ち出さないので、この印象は一層強くなります)。まあ最後は殴り合いに落ち着くのは本シリーズの平常運転だといえばそれまでなのですが(海藤DLCも最後は女を取り合って殴り合いをします)。
法律分野の粗
 何度も言っていますが、専門家にしか気付けない粗なんて無視すればいいのです。本作の法廷(特に控訴審)における法曹三者の言動のおかしさなんぞはほとんど噴飯物レベルであり、言い出したらキリはないですが、一般の方にはピンと来ないでしょう。だから専門家は置いてけぼりにしてもいいのです。
 なので今回も一点だけ詳しく指摘したいと思いますが、粗として指摘したいわけではありません。単なる読み物として興味本位で読んでください。

 前述の通り江原は痴漢裁判の第一審で有罪判決を受けます。江原が御子柴殺害の実行犯だと確信した八神と城崎弁護士は控訴審でその点を明らかにして、一審判決を覆そうとするのですが、控訴期間が2週間しかないので、御子柴殺しの証拠をその短期間でできるだけ集めるべく奔走するわけです。
 ところが現実の刑事訴訟法には控訴権放棄という手続があり、検察側と被告人側が双方とも控訴権を放棄すると、たとえ控訴期間の14日が経過する前であっても第一審判決が確定し、控訴ができなくなります。江原は司法をコケにするという自分の目的を達成するために、検察は背後の御子柴殺害事件を見過ごして被告人に一杯食わされた自らの面子を守るために、第一審判決を早く確定させたがるでしょうから(この点は作中でも説明されます)、双方に控訴権放棄のメリットがあります。それをされたら、今回のストーリーは成立しなかったわけです。
 もう一度言いますが、私は決して苦言を呈したいわけではありません。多数派である一般の方がお話に没入するのを妨げないレベルの粗は、放置していいと思います。本作の司法制度が現代日本の司法制度と寸分違わず同じである必要はないので、控訴権放棄という手続は本作の刑事訴訟法にはないのだと説明すれば筋は通ります(現に現代日本の制度においても、一審判決が死刑・無期懲役・無期禁錮のいずれかだった場合は控訴権の放棄はできません。重い刑を受ける被告人に軽々に放棄をさせないためです。それが拡大された制度があると考えれば納得はしやすいでしょう)。それでいいのです。

その他

 「ザ・ガントレット」という「龍が如く」シリーズの究極闘技に相当するコンテンツがあります。良いと思います。
 有料DLCは追加トロフィーに関係のある「探偵ライフ充実パック」(1650円)と「海藤正治の事件簿」(3300円))だけ買いましたが、どっちもボリュームのわりに高価だと思います。「海藤正治の事件簿」は、追加トロフィーをコンプしても5時間程度で終わりますよ。

トロコンに関係のあるバグ

 「探偵ライフ充実パック」の追加トロフィーのバグです。
 追加彼女の藤堂湊ですが、彼女と出会うきっかけになるサイドケース「私が着ぐるみに入る理由」は、バズリサーチャーで「ゆるキャラ」という単語をリサーチしないと発生しません(ちなみに月乃という追加彼女のイベントも「私が着ぐるみに入る理由」をクリアしないと始まりません)。「ゆるキャラ」は神室町をブラブラしているとミニマップに出るという情報が複数の攻略サイトに記載されていますが、私の場合いくらブラブラしても出てきませんでした。そして、同じ声が攻略サイトのコメント欄にも複数見受けられました。焦った私が色々と調べたところ、とある攻略サイトのコメント欄(392番)にセガのサポートとやりとりしたという方の対処法が載せられていましたので、私もこの通り実践してみたところ、「ゆるキャラ」がミニマップにBuzz Wordとして出ました。ただこの方のコメントには1点だけ誤りがありました。手順9.に「一旦横浜へ移動して夜にする」とありますが、夜のまま異人町から神室町に移動しても「ゆるキャラ」は出ませんでした。そのためいったん異人町に戻って昼にしてから神室町に再度戻ったところ、「ゆるキャラ」が出ました。
 おそらく、「探偵ライフ充実パック」のDLCを導入後、初めて他の場所から神室町に移動した段階で「ゆるキャラ」は出るのですが、私がそれを見落としていたということだと思います。一度見落とすと、この対処法のとおり再インストールしなければ二度と出てきません。再インストールも時間がかかって面倒くさいので、早く直して欲しいです。
 私はこのバグに遭遇した時点でエミリと響子を彼女にしており、またEX HARDのクリアトロフィーも残していたので、EX HARDの周回で残る彼女2人のイベントをクリアする(PREMIUM NEW GAMEでも彼女関連の進行具合は引き継がれません)という手も考えられましたが、DLCで追加されたトロフィーの獲得条件は「3人のガールフレンドから告白された」「4人のガールフレンドから告白された」という文章になっているため、同じ周回で4人全員を彼女にしないと条件を満たさないような気がします(未検証)。その場合、エミリはユースドラマをかなり深いレベルまで進行しないと彼女にできないため、新周回でやり直すのは面倒くさいです(ちなみに月乃もダンス部をクリアしないと最終的に彼女にできないので、ユースドラマを結構進める必要があるのは同様です)。

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