当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年8月11日のアメトーークは、スピンオフ企画「ブラマヨ吉田の変愛トーーク」であった。

 前半は草食系男子4人に吉田が説教するという内容であり、後半は浮気をされた経験のある女子3人に「男の浮気は許してくれ」と吉田が力説する内容だった。

 前半は、何やかや理由をつけて恋愛を忌避している草食系男子たちに「お前らは怖がって逃げているだけだ」と怒鳴る吉田の方に説得力があり、全体のテーマとしてはおもしろさよりは(青春ドラマのような)熱さが前に出ていた。ただ、吉田の正論に完全に論破された後も、不満タラタラの顔で負けていない風を装っている草食系男子たちに少しイラッと来てしまったので、そこをもう少し何とかした方がいいと思った。
 他方で後半では、吉田の言っていることは完全におかしかった。「男の浮気はいいけど、女の浮気はダメ」というどう考えても理屈付けできない命題を声高に主張し続ける吉田には確かなズレがあり、これが笑いを生む構造になっていた。吉田と相対する女性3名は、基本的には素人なのでこの吉田のズレにツッコミを入れることは期待できない。ツッコミは、モニタリングをしていた徳井・YOU・塚地・小杉の役目である。ただ、全体を通して見ても吉田のおかしさが余り伝わってこなかったので、もう少し彼らのツッコミに時間を割いても良かっただろう。ただでさえ吉田は自分の主張を自信満々に大声で叫んでいるため、ツッコミも厚めに入れてやらないとその主張が正しいことのように聞こえてしまうのである。
 話題を前半に戻すが、吉田に食い下がる草食系男子たちには、後半の吉田のような「どう考えても間違いの言説に固執し続ける」というズレがあったのである。これがイラつきの原因であるが、ズレである以上笑いの素にもなる。これを笑いに変える方向での演出をすれば、筆者が感じたようなイラつきはもう少し抑制できたかもしれない。でもまあ、笑いに変えるとなると、彼らにツッコミを入れないといけない。
 吉田に説教されている彼らに対して番組が更に「お前らはおかしい」とツッコミを入れると、彼らが孤立してしまい、救いようのない感じになってしまう。彼らが可哀想になってしまえば、それはそれで笑いを阻害する。ならば、孤立してもあまり悲愴感の出ない、吉田のように素知らぬ顔で開き直れる草食系男子を用意できれば良かったかもしれない。ただそのような草食系男子がいるとすれば、それはとりもなおさず吉田並みの実力を持った芸人ということになるため、「吉田にフィーチャーする」というテーマがぼける危険性をも帯びる。でも、吉田なら、自分が主役の企画で自分が喰われるというシチュエーションも十分笑いに変えられると思うので、やってみる価値はあると思う。

 前半・後半を通して、吉田の口からはレベルの高いたとえがポンポン出てきており、改めて彼の芸人としてのポテンシャルの高さを感じさせた。この手の恋愛トークは吉田の得意分野だろうから、普段からたくさんたとえを考えているのだろう。話題的にかなり深めの枠じゃないとオンエアが難しいのは確かなのだが、そもそも笑いというのはそういうもんであろう。

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