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※メディアゴンにも同趣旨の記事が載っています。

 2017年4月8日放映のめちゃイケを見た。今回はドッキリで固めた2時間半スペシャルである。「今テレビで流行しているドッキリをめちゃイケがやったらどうなるか」というのが番組内での煽り文句である。

 とはいえめちゃイケは昔からドッキリをたくさんやってきた番組である。主なターゲットになっていたのは濱口であるが、往年のめちゃイケのドッキリは、非常に大掛かりで、全体を通した壮大なストーリーがあるのが特徴であった。

 しかし今回のこの「ストーリー」が見られたのは、最後の矢部が岡村に仕掛けたドッキリだけだった。ドッキリの内容は、矢部が「(自分の)不倫の現場を週刊誌に撮られた」と岡村に嘘をつき、それを聞かされた岡村のリアクションを見るというものである。矢部の不倫相手ということでドッキリの冒頭に名前の出てくる「優」(扮するのは濱口)が最後に登場するというのが大オチになっており、序盤に張った伏線が時間をかけて回収されるという壮大なストーリーができている。
 ただ、岡村も本番で心配していた通り彼の「素」を隠し撮りしていたため、基本的にはそこまでテレビ的に映えるリアクションがなかったのが残念である。素の岡村を撮ってもあまりおもしろくないだろうという判断があったからこそ今まで岡村を隠し撮りするドッキリはやってこなかったのではないかとすら思える。
 岡村のリアクションがあまり笑えるものではなかったので、基本的に感動寄りの演出・編集にしてドキュメンタリーっぽく仕上げるしかなかったのだろうと推察する。やっぱり、素のリアクションがおもしろいのは濱口を始めとする天然の人たちなのである。

 で、他のドッキリはと言えば、完全に「最近のダメなロンハー」程度のクオリティしかなかった。ロンハーを見せられているのではないかと思ってしまったほどである。壮大なストーリーも何もあったもんではなく(濱口に対するドッキリや加藤に対するドッキリには若干伏線めいたものもあったが、薄めであった)、ターゲットに短めのイタズラを仕掛けるだけで、ドッキリというよりはリアクションである。同じイタズラをターゲットを変えながら何回も繰り返しており、ターゲットの間にも相互の関連性は希薄なので、ただ映像を足し算して尺を埋めただけなのである。「めちゃイケがドッキリをやったらどうなるか」という煽り文句なのに他の番組のやり方をそのままなぞっているので、この煽り文句が空しく響く。めちゃイケでわざわざやる意味がない。
 その大して面白くないドッキリを見てやいのやいのと楽しむメンバーも、見ていて辛い。彼らは演者である以上見せられた映像を(自分の本心からは離れて)おもしろがる(ことで視聴者の笑いを呼び起こす)のが仕事なので、彼らを責めることはできない。しかし、こういう凡庸な演出を茶化してこそめちゃイケなのに、いつの間にか同じフィールドに立ってしまっているのである。

 非常に、良くないと思うのは筆者だけだろうか。

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