当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2018年5月12日放映の「世界!極タウンに住んでみる」という番組を見た。
 めちゃイケの後継番組である。先週が第1回だったようであるが、めちゃイケ終了から時間が経ち過ぎていたので見逃してしまった。

 番組のコンセプトは、世界の「極タウン」(極端な街)に取材役の若手芸人を派遣してしばらくそこで生活をさせ、その極端さをカメラに収めて紹介するというものである。別に、古くからあるタイプの番組なので、特にこれといった目新しさはない。今回紹介されていたメキシコのララムリという少数民族も、ナショナルジオグラフィックで取り上げられていたようであるし、「世界ふしぎ発見」でも題材になったことがあるようである。同じようなコンセプトの番組は挙げ始めたら枚挙に暇がないが、今もやっている人気番組となると「イッテQ」や「クレイジージャーニー」だろうか。この番組は「住んでみる」とタイトルにも入っているとおり、住み込みで長期の取材をやることで他との違いを出そうとしているのかもしれないが、今回のオンエア分ではそれほど長く現地に泊まり込んでいる様子もなく、結果として他の番組との違いも打ち出せていなかった。「住む」というからには最低1クールぐらいはいて欲しいもんである。
 この番組のような「世界の珍しいものを紹介する」というコンセプトが多用されるのは、テレビが得意な「個別の極端な具体例に密着してその細部を具体的に伝える」という手法が存分に活きるからである。テレビは具体例を個別具体的に伝えるのは得意だが、そこから一歩引いた全体的な分析を伝えることにはあまり向いてない(当然可能か不可能かで言えば可能なのであるが、そのような分析を放映しても個別の具体例の「画」が持つインパクトに勝てないので、訴求力が弱くなるのである)。取材の対象にした貧困家庭がどのように貧乏かを煽情的に伝えるのは得意でも、日本で一般的に貧困がどの程度蔓延しているかを伝えるのは不得意なのである。これは時に、具体例として取り上げた貧困家庭が全ての貧困家庭に当てはまるのではないかという誤解や錯覚を視聴者に与えかねないので、見る方も作る方も注意しなければならない。

 さて、この番組唯一の光る点を挙げるとすれば、MCが東野なので、番組に協力してくれた取材対象であっても「トリビアの泉」や「チコちゃんに叱られる!」のように容赦なく辛辣にイジる気風があることだろうか。今回のオンエアでもララムリの(日本人的な価値観と視座からすると奇妙な)風習が槍玉にあげられていた。まあ、そこをもっと尖らしていく方向で番組をブラッシュアップすれば、有象無象の中から抜け出せるかもしれない。それでも、ネタ切れは避けられないだろうが。

管理人/副管理人のみ編集できます