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ギアノス・フェイク

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
ギアノス・フェイク 2-332擬人化(ギアノス)・否エロ329〜331

ギアノス・フェイク


「…この装備、雪山にはきついなあ」

キャンプに入り、一言悪態を吐いた。
面白がって作った全身ギアノス装備(ギアノスフェイクとギアノスーツセット)だが、寒さに強いわけではないらしい。
雪山の頂上付近で元気に飛び跳ねているギアノスを思い出して憂鬱になったが、とりあえず今はドスファンゴだ。
背負ったギアノスバルーンは強い武器とは言えないが、ギアノスで統一したいという無駄な神経質さが俺に握らせた。

「…まあドスファンゴくらい倒せるだろ」

俺はいつものように山を登り始めた。いつも、とは当然この装備のためのギアノス狩りの日々である。
一際大きなドスギアノスから頭を剥ぎ取ったあの日は忘れようにも忘れられない。
と、思い出に浸っているうちに三匹のギアノスを見つけた。よおっしゃー、と声を上げて笛を振りかぶるが――
狩りの対象が猪だと思い出し踏みとどまった。この寒さで道草を食うのは得策とは言えない。
また、不謹慎だが彼らを狩って得たこの装備を身に着けることで、彼らに親近感を得たことも理由の一つといえよう。
だから、強烈な笛の一撃の代わりに馬鹿馬鹿しく

「よっ!」

と声を掛けてみた。気付いたギアノスが飛びかかってきたところでかわして逃げようなどと考えていたのだが。
三匹のギアノスは

「ギャアッ!」

と一声鳴いて逃げてしまった。声を掛けた俺は結局その場で悩みスタミナを消耗する羽目に陥った。
まずいまずい、早く猪狩らないと。
洞窟を潜り抜け、吹雪の中に猪を見つけた俺はもう一度笛を吹き鳴らす。
見つかるだろうが、ドスファンゴのダッシュ力なら間に合うハズだ。

『ギャアアアッ!』

ゆっくりと、頭をこちらに向けるドスファンゴ。いつの狩りでもこの瞬間は緊張する。
見つかる前、でも獲物は明らかにこっちの存在に気付いている、この瞬間が。
もう一度肺に力を入れる。

『ギャアアアッ!』

体に力がみなぎった。猪が俺を見つける。俺は笛を担ぎなおす。猪が、走り出す。
その時だった。雪の影から、崖の上から、洞窟の穴から、ギアノスたちが集まりだしたのは。
軽く舌打ち。一対一の状況なら勝てるだろうが、ギアノスに邪魔されて勝てるか…?

「よっ…と!」

とりあえず猪のタックルを回避し、一撃を打ち込む。
猪が多少ぐらついた。――チャンスだ!
第二撃、渾身の力を込めたその一撃は狙い通りに猪を気絶させた。
ひっくり返った猪を夢中で叩く。つか殴り、右ぶん回し、左ぶん回し、叩きつけ。
ふと気付くと、ギアノスたちが俺と同じように猪を攻撃していた。
俺のことを仲間とでも思ったか、共闘態勢をとってくれているのだ。

ギアノスたちが上手くかく乱してくれたおかげで、予想よりずっと早く猪は血の海に沈んだ。
牙と頭を剥ぎ取って残りの肉をギアノスに渡す。今日の狩りはとても面白かったので、礼のつもりだ。
友人に話したら信じてくれるだろうか?「ギアノスと仲間になった」などという話は。
…まあ、俺の装備もあいまって、笑い話が関の山だな。
そんなことを考えながら帰ろうとする俺を、呼び止めるものがあった。

「あ…ちょっと待って!」

可愛らしい女の子の声だ。町に居た頃は女の子でハンターも居たが、村には居ないんだよなあ。
久しぶりに華のある声を聞いたので嬉しくなり振り返りかけて――止まった。
…女の子?

「猪の肉、いらないの?」

そう、女の子だった。
俺と同じように体をギアノスの素材で包み、俺と同じようにギアノスの頭部及び上顎をかたどった頭飾りをした、女の子だった。
俺の物との相違点は、偽物かどうか。俺は余りの衝撃に生臭い猪の頭を落とし、言葉とブルファンゴフェイクの妄想を失った。
…思えば俺を見て襲わなかったり、共闘態勢をとったりと、今日のギアノスたちは不審な点が多かった。
だがしかし、これは、人間になるなどというのは――しかも凄く可愛い――信じられない。
ぽかんと口を開けて突っ立つ俺。「ドッキリ」って書いてある看板を掲げるなら今ですよー。

「君は…」

と追求しようとしたが、その女の子(ギアノスなんだろうが)は大きな目を俺に向けると、

「まさか本当に大猪が狩れるなんて思わなかったよ!」

と憧れが混じった視線を向けてきた。ただ当惑するしかないが、ちょっと今の俺の状況って結構美味しいんじゃ?
第一、こんな可愛い娘に会えたことだけでも今までのハンター人生じゃ無かったし。
この娘も俺が人間だとは思ってないみたいだ。警戒することなく屈託の無い笑みを俺に向けて話しかけてくれる。

「物は相談なんだけどさ…私たちの群れに入ってくれないかな?こないだ一番強かった兄さんが死んじゃって…」

その代わりを務めろと。群れの皆も人型の姿で俺に期待のこもった視線を浴びせてきて、しかも群れの女性は総じて美しい。
これを断って何が男だ、と気軽に大きく頷きを見せた俺。
皆喜んでくれて、もうハンター稼業も終わりだな、と思っていると、ふと恐ろしい考えが浮かんできた。
『一番強かった兄さんが死んで?』
この地のドスギアノスを狩ったのは俺で、頭を剥ぎ取ったのも俺で。あまつさえ防具に仕立て上げたのも俺で。
そして気付いたのは、「若い男性の少なさ」だ。思い出されるのは、ギアノス狩りの日々。
もし――この娘の兄を殺したのが俺で、この地のギアノスを狩りまくったのも俺だとばれたら――
女の子は視点を俺のギアノスフェイクに移した。

「…あなた、私の兄さんに似てるね」

隠し通せるか、ばれて狩るか狩られるか。毎日スリリングな生活ニャ。
――そんなことを考えつつ、とりあえず俺はギアノスフェイクをより深く被るのだった。
2010年07月18日(日) 20:44:45 Modified by sayuri2219




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