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ギアノス・フェイク2

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
ギアノス・フェイク2 2-332擬人化(ギアノス)・否エロ438〜439

ギアノス・フェイク2


良心が痛い。ここで過ごすことは、俺には苦痛が大きかった。
知り合い、恋人、夫、兄、父その他の関係を持っていたオスを俺が狩っちまったせいで、群れは沈んでいた。
皆よくため息を吐き、悲しげに眼を伏せる。それでも俺には精一杯明るく振舞ってくれる。
全ての元凶たる俺がこの場に居るのは、余りにも辛く苦しかった。
本当は無責任だと罵られようが――といっても罵るような存在は居ないが――逃げ出してしまいたかった。
だが、俺がこの群れから居なくなれば間違いなくこのギアノスたちは全滅してしまうだろう。男手が足りず、狩りも出来そうに無い。
だから、逃げられない。それがわがままでも、力を持つ者の傲慢でも。救えるものなら救いたかった。
まあ、ちやほやされるということに歓びを見出していたというのもあったのだが。

「何してるの?…何か、思い出した?」

「いや、特に何も」

この状況下でばれずに生き、そしてこの群れを養うためにも記憶喪失という設定は実に便利だ。
ギアノスの姿になれないということやなぜ人間の武器を持っているのかという彼らの疑問を一気に霧消してくれる。
卑怯だし卑劣だし臆病だが、この群れを養うなら事実を知られないことが最重要だ。
多少危ない芝居だったが、ギアノスたちは疑うことなく村へ俺を招き入れてくれた。
――村と、彼ら自身は自分たちが作った集落を呼んでいたが、正にそこは村だった。
テント状の建物が規則的に建てられた姿は人間の作ったものにしか見えない。と、そうだそうだ訊きたいことがあったんだっけ。
丘の上から村を見下ろす俺の様子を見に来た同居者――現在俺は最初に会った女の子の家に間借りしているのだが――に訊いてみた。

「どうしてこの村の住人は人を襲うんだ?」

「…は?」

不思議そうな顔で尋ね返された。
この娘の家に入れてもらったときもそうだったが(男の俺をあっさり受け入れやがったのだが)、やはり人間ではないのを感じる。
顕著に現れるのがこういう文化というか道徳意識だ。彼らは動物らしく敵と味方の区別がきっちりしている。
味方で無い限り――或いは『同種』でない限り――まず他を助けるということをしない。人の捕食も、そこからなのだろうか。

「これだけ頭が良かったら人間と暮らすことも出来るんじゃないのか?」

「どういうこと?どうして私達が人と暮らさなきゃならないの?」

「うーん、その方が楽に生きられると思うんだけど」

「何それ?」

心底不思議そうだ。これ以上の質問は余計な疑問を招くか。
多少微妙な雰囲気を何とかしようと彼女のギアノスフェイク(では、無いか)の下に覗く頬までの栗色の髪を梳いてやった。

彼女は多少くすぐったそうにしながら、そのまま俺に身を任せてくる。って俺どれだけ信用されてんの!?
びっくりした反応を期待したのに、ますます微妙な空気になってしまった。

「ふふ…昔、兄さんもよくこうしてくれた…」

精神攻撃。負い目もあって、茶化すことは出来そうに無い。結局十分近くこうして撫で続けた――

「あ、そろそろ狩りの時間じゃないかな?」

――突然彼女が眼を開き、そんなことを言い出すまで。動物の体内時間は正確だ。それから数秒で向かいの綺麗なお姉さんが迎えに来た。

「ちょっと良いかしら?昨日の猪、皆がっついて食べたからもう無いのよ。だから今、もう一度狩りに行くんだけど」

「あ、はい。俺も行けってことですね?」

「まあ、そういうコト。ポポで良いって。他の皆はもう出発したから追いかけて。狩場にはその娘が案内してくれるから」

「えっ?私が行くの?」

彼女が素っ頓狂な声を上げた。まあ、女の子の殆どは狩りには出ないそうだし、当然といえば当然だが。

「あそこ竜が出るのにー。女の子送り込まないでよ」

「仕方ないでしょ?男連中は『新入りの手なんか借りるか』とか言って出て行っちゃうし…あ、ごめんね?」

男には歓迎されて無いらしい。まあ、ちょっと感じ取ってはいたが。

「それに、彼と一番仲良いのアンタなんだから。ほら、さっさと準備する!」

彼女はちら、と俺の方を覗き見ると、心無しか嬉しそうに「はーい」と返事した。
家のほうに走って行く彼女の後姿を見送っていると、お姉さんが話しかけてくる。

「男連中はあんなこといってるけど、私たちとしては大助かりだから、安心してね」

「それなら良いですけど」

「それにあの娘、お兄さんが亡くなってから随分落ち込んでたから、励ましてやってくれると嬉しい」

ここでも精神攻撃か、悪いのは俺だけれど。でも、殺した張本人である俺でも、それがばれなければ彼女の心の支えにもなれるだろう。
お姉さんが焼いたのを取っておいた肉と俺のギアノスバルーンを抱えて走ってくる彼女を眼で捉え、俺は大きく頷いて、お姉さんに返事した。
2010年07月18日(日) 20:47:40 Modified by sayuri2219




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