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ギアノス・フェイク6

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
ギアノス・フェイク6 2-332擬人化(ギアノス、轟竜)・否エロ162〜165

ギアノス・フェイク6


轟竜は俺の傍の少女をじっと見た。緑色の眼球からは何の表情も読み取れないが、どうやら威嚇ではない。
…チャンスか。
俺はそっと背中に手を伸ばす。背負ったポーチには回復薬が入っている。
まだ竜は少女を見ている。ポーチに手が、届く。

「…なるほど。アンタはあの時の娘かぁ」

突如竜はヒトの形に戻って少女に話しかけた。『あの時』…?何の話だ?
まあ良い、この機に乗じよう。後ろ手に瓶の蓋を開く。ぽすっ、と僅かな音を立てて瓶の蓋が雪に落ちた。
そっと中身を掌にこぼす。こぽこぽこぽ、と水音がした。
掌の薬を出来る限りこぼさないようにしながら、ポーチの上に瓶を置く。コン、と乾いた音がした。
まだばれていない、まだ気付かれていない。頭で唱え、眼で女を見据える。
傷は腹、それから肩だ。特に腹は未だ出血している。

「あの時…ッ」

少女が切迫した声を出した。共通した過去があるのか?
良く見ればティガレックスの方も「女」と認識するにはまだ幼い。
俺がそう思ったのは――そう、汚いからだ。
竜と退治する時、ハンターは常に畏怖を心に刻み付けられる。
人間から遠いような、格の違いとでもいうようなものを、竜からは常に感じるのだ。
神々しいまでの存在。それを“狩る”度に、俺たちは罪悪感に駆られる。
彼らの誇り高く強いプライドが“自分たちとは違うもの”だという意識を抱かせるのだろう。
しかし、このティガレックスにそれは感じない。
中途半端なプライド、ふざけたような物言い。すべて竜のそれには似合わない。
人の姿ではそれが顕著に感じられる。
幼い体には似合わないその汚さが、だれた大人に近しいのだ。

「そう♪私の母親が殺された時、私がお前の父親を食んだんだったね」

「…うぅ…あ…」

少女は話す言葉を捜すかのようにうなり声を上げた。
比べて、轟竜の方は不自然なほど明るい口調で語りだした。
俺はそっと手を腹に伸ばす。

「あの後大変だったのよぉ?何しろ餓鬼だからね。獲物も狩れやしない」

それでも女は嬉しそうに眼を細める。
腹の痛みが消えた。



「それに、あんたたちのせいで右腕はボロボロ。一年間は食うや食わずよ」

「それはっ…それはあなたたちが私たちを食べたから…」

「竜が獲物を食べて何が悪いってぇのよ☆」

女はますます嬉しそうにしている。饒舌になってきたようだ。
もう一度背中の瓶に手を伸ばした。次は肩。女の様子を見る限り、手当ては簡単だ。

「そもそもアンタたちみたいなトカゲが私たちに敵対心なんか抱いて良いものじゃないわ」

「……」

「それをたまたま通りがかったハンターに助けられたからといって偉そうに報復なんかしたから」

「…それは――」

「だから、こういう眼にあっているんじゃない?」

それは――そうかもしれない。竜は竜に生まれたと言うだけで絶大なる力を有する。
人間のように武装でもしない限り、倒したり殺したり出来るものではないのだ。
そのハンターは人助けのつもりなのだろうか。正義のつもりなのだろうか。
いや、師匠のような人もいる。悪ふざけの可能性まであるのだ。
だが、どんな思いであろうが竜を殺すという行為は大きな影響を残すことが多い。
竜は賢く、また生息地に及ぼす影響と言うものもまた大きいのである。
彼らほどの巨体を養うには膨大な量の動物を喰わねばならない。
そして彼らがその生命を絶たれたとき、喰われる筈だった生命が生き延び、種の大発生をおこすこともある。
閑話休題、現在のような異常な状況を作ったのは間違いなくそのハンターだ。

「まあ良いわ、どうだって。どっちみち殺すんだから☆」

「なっ…!?」


女は再び竜になって、大きな声で吼えた。
振動で瓶が落ちる。取り合えず掌に乗った分を肩に塗りつけ、太刀を構える。
ギアノスーツシリーズを作るようなアホもしていたが、元々はそれと知られたハンターだ。
人間としては駄目だったが、腕は確かな師匠に刻まれた腕は鈍らせちゃ居ない。
竜の人間の姿を振り払って、少女を引っつかんだ俺はまず横へ跳んだ。
読みどおり、寸前のところを竜の爪が切り裂く。
少女をその辺に放り投げ、尻尾に一太刀。流石に切れはしないが、鮮血の量からすれば結構深い傷がついたはず。

「グワァアァアア!!」

竜が嘶く。興奮状態の俺にはゾクゾクするような悦びが感じられた。
手を真っ赤に染めたティガレックスが二撃目の用意をする。怒っているようだが、恐くは無い。
いつもの畏怖が感じられない。俺の中で動物に等しい存在となった竜など。
何が恐いものか!

「ガワァァアア!!」

巨体に似合わぬ軽い動きで竜が跳ねる。俺は姿勢を低くしながら跳んでくる竜の真下に潜り込む。

「ギャワァアァァアア!!」

柔らかい腹を斬られたティガレックスは空中で態勢を崩し、地面に叩きつけられた。
揺れが収まった頃合を見て再度攻撃。倒れている竜の尾を切り落とす。
流石に太く、中々切れなかったが、幾度目かの斬撃でザシュッ、と血を吹き散らしながらもげた。

「うああああ!!」

そして狙いを眉間に定め、竜の頭部に飛び乗り突き刺そうとした瞬間。
彼女はヒトに戻った。
切っ先の下の美しい顔は痛みに歪み、絹のような腹にはぱっくりと口を開けた太刀傷。
ごぽごぽ、と血が滴っていた。

「何で、お前は…げほっ!」

口から血が飛び散って、顔を汚した。

「あのハンターと…同じ動きをするんだ…」

腹の傷から内臓が見える。ここにも深く傷が入っていた。


「あたしは竜なのに…なんで…」

そこで動きを止めてしまったのは、俺の方だった。
彼女はそれだけの傷を負いながら、跨っている俺の腹を思い切り突いた!

「ぐぁあっ!」

2、3メートルは吹き飛ばされただろうか。太刀も取り落としてしまった。
完全に勝っていたところを、甘い心構えが負けを導いたのか。
起き上がる前に、女に圧し掛かられた。口から腹から血を漏らしながら、それでも俺を殺そうとしている。
右腕を引いて、渾身の力を込めて顔に掌底を振り落とさんとする。
あの勢いなら首の骨も折れる。俺は思わず眼を瞑った。
次の瞬間、びしゃ、と暖かい液体が俺の顔を覆った。首にも、腹にも降りかかる。
独特の鉄臭さが混じったにおい。嗅ぎ慣れた血の匂いだ。
目を上げると。

「な…」

女の顔から、刃が突き出ていた。脳を突き破り、最早竜は絶命している。
刃先から零れ落ちた女の血がどぼどぼと顔に落ちる。
腹の傷から女の血がどぼどぼと腹に降りかかる。
太刀を突きたてたのは、あの少女だった。

「あ…ああ…ああああぁぁ」

目を見開き、手を震わせながらも未だ太刀から手を離さない。
それでも、俺と目が合った次の瞬間には気を失っていた。
俺の上の女の目は、閉じることは無かったけれど。
2010年07月19日(月) 10:56:14 Modified by sayuri2219




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