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cloud 9 〜旅人〜 3

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
cloud 9 〜旅人〜 3  否エロ54〜55

cloud 9 〜旅人〜 3


夜の雪山は寒い。
耐寒性に優れるよう加工されたはずのキリンコートが水分を含み、凍り、体温を奪っていく。
目出し帽をつけていなければ眉毛や髪の毛が凍り、狙撃に支障をきたしていたであろう。
その寒さの中で、ジョージは目を瞑る。
自分の身体を頭の中でイメージする、凛とした雪山独特の空気が自らの体温と混ざり合い、層を形成していく。
コートを雪が撫でる。ファーが空気を切り刻む。空気の流れが見える。感じる。聞こえる。
狙うはギアノス。対象との距離約5km 風向きはX=7 Y=-4 かなり強い。
照準は電光エキスの塗られた簡易照準のみ。
間に障害物はないが、この距離から固定倍率スコープの破損したボウガンで狙うには無茶が過ぎる。
それでも静かに、手ブレやリコイルを計算し、狙いを定めていく。
簡易照準の先には最早何も捕らえてはいない。
トリガーガードにかかっていた人差し指が、素早く引かれる。
炸薬に押し出されたハリの実は、一刻も早く獲物を喰いちぎらんと空を翔る。
風切り音に気が付いて顔を上げれば目の前には風に吹かれて軌道が狙い済ましたように逸れた小粒な破壊者。
それが眼球を抉り、頭蓋の内部で破裂する。
ハリの実の由来であろう小さい棘が内側から筋肉を、脳髄を、引き摺り回す。
ナイス・ショット
発射と同時に咲いた、血のように赤い華を見て呟く。
ギアノスは倒れたまま動かない。
一撃で、なにが起きたのか解らぬまま死んでいるのだから当然と言えばそうかもしれない。
ジョージはストラップを持って右肩の後ろにボウガンを回す。
地面に置いていたランタンを掴み。
素早くギアノスの死体の近く、より正確にはその近くの洞窟へと足を運ぶ

「やっぱり」
ジョージは呟く。
風化した謎の骨、頭骨。
ポポのものと思われる巨大な角。
身体の大半を食われたままミイラ化したフルフルの幼体。
異臭を発する大きな布袋。
湿気た爆薬、炸薬、ニトロダケ、空薬莢。
ガウシカの角を削って作られた簡素な銛。
そして未だに現役で使えそうな肉焼きセットと鍋。
1目でわかる、人が住んでいた証の数々。
それが眼の前で散乱し、整理され、食料以外殆ど手付かずのまま残っていた。
「ははっ」
ジョージは笑う。懐かしそうに、失くしたお気に入りの玩具をみつけたかのように。
「まだ残ってらぁ」
嬉しそうに、悲しそうに、懐かしそうに、それでもやっぱり、哀しそうに、笑う。
ジョージは洞窟の入り口の壁面に向かってしゃがみこむ。
ランタンをかざして見てみれば、まるで幼稚園児のような下手な絵と共にこう書いてある
あばるにのかくしや。
「懐かしいな」
そういえばあの頃、ジョージという字がかけなくて、間違えながら書いたっけ?
「あぁ、懐かしい」
「あの頃はまだ、私の爪ほどもなかったなぁ」
ジョージは立ち上がる。
同年代にしては比較的高いその身長で、後ろを振り向きながら。
「今だってそんなに無いよ『姉さん』」
背後にいたその少女に、まるで長年会ってなかった姉弟の声をかけた。
2010年07月19日(月) 10:24:02 Modified by sayuri2219




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