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▼動画探访海南舰:我国首艘075型两栖攻击舰」一番艦「海南」を紹介するニュース報道。艦内通路、飛行甲板、エレベーター、ウェルドック、艦載ヘリコプターなどを確認できる


075型強襲揚陸艦(中国語では076型两栖攻击舰。NATOコード名:Yushen class)は、2021年にネームシップが就役した中国海軍初の全通甲板式強襲揚陸艦である[1][2]。全長240m、満載排水量42,000tと、そのサイズは米海軍のワスプ級強襲揚陸艦(同257m、満載排水量40,000t)に近い規模に達している[3]。

【建造までの経緯】
075型の建造に関する検討が開始されたのは2011年だと伝えられている[4]。2013年頃までに検討が完了し、中国船舶工業集団第708研究所において設計が開始された[4]。強襲揚陸艦としてどのような艦形を選択するかについても議論が重ねられ、2016年には全通甲板式案と非全通甲板式案の二案について論議が成されたが、最終的に海軍は全通甲板式案を堅持することとなった[4]。設計案は2018年に審査を経て、正式に承認され、同年中に建造に関する契約が調印された[4]。

075型の建造は、上海の滬東中華造船廠が担当し、一番艦は2019年9月25日に進水、2021年4月23日に南海艦隊に就役し、「南海」(#31)と命名された[4]。同級は急ピッチで建造が進められており、2023年12月14日までに合計4隻が進水済みで、三隻が就役している[1][4][11]。

【性能】
075型のサイズは諸説あるが、資料[3]によると、基準排水量38,000t、満載排水量42,000t、全長240m、艦幅36mとされる。同艦は4万トンを超える船体に高い舷側を備えているが、これは揚陸作戦に求められる艦載機や物資、兵員の搭載を可能とするための空間を確保するための措置[1]。

075型は近年の水上戦闘艦艇と同じくステルス性向上を目的とした設計が施されており、アイランドやマスト、そして広い面積を有する舷側にはステルス性に配慮したテーパーがつけられており、搭載艇についても舷側ドアの内側に積み込むことでレーダー反射断面積の低減が図られている[1]。舷側には各部にスポンソンが設けられており、各種兵装や電子装備などが搭載されている。

075型のアイランドは、船体の三分の一程度の長さで前後の艦橋の間に一本煙突が挟まれた形状を採用。アイランド直前には弾薬や貨物搭載用のクレーンが配置されている[1][4]。

075型の最大の特徴である全通式飛行甲板は、艦首部でのすぼまりをもたない正長方形となっており、合計七か所のヘリコプター発着区画を確保 [3]。この内、アイランド後方の第七発着区画にのみ荒天下での着艦を容易にする「ハープーン」着艦拘束装置が内蔵されている[3]。飛行甲板右舷は駐機区画で、6機分の駐機区画が甲板にペイントされている[3][4]。

艦載機の昇降用のエレベーターは艦橋直前と飛行甲板最後端の合計二箇所。後部エレベーターは前部の倍以上のサイズであり、ローターを折りたたんだ状態のZ-8ヘリコプター(直昇8/SA-321Jaシュペル・フルロン)二機を同時に飛行甲板に上げることが出来る[3][4]。

飛行甲板直下にはヘリコプター格納庫を設けており、そのサイズは全長150m×全幅20m程度と推測されており、少なくとも20機の10t級大型ヘリコプターを格納し得ると見られている[3]。075型の搭載機数は、格納庫と飛行甲板の合計で最大30機前後を確保。これは従来の中国海軍の揚陸艦艇とは次元の違う数字であり、同級のヘリコプター運用能力の高さを示している[1]。

飛行甲板の下部は車輛甲板とウェルドック[1]。前方の車両甲板は二段式で、装甲戦闘車両やトラックなどを数十両搭載すると見られている[1]。これらの車両は、両舷に各一箇所設けられたサイド・ランプを開いて自走して艦内に入る[1][9][11]。車両甲板後方はエアクッション揚陸艇やLCVP、水陸両用戦車などを搭載するウェルドックが配置されており、艦尾ゲートを展開して船舶の展開・回収を行う。ウェルドックの全長は60m程度と推測されており、合計2隻の726型エアクッション揚陸艇(ユーイー型/玉義型)を搭載できると見られている[1]。075型のウェルドックの長さは、071型ドック型揚陸艦(ユージャオ型/玉昭型)の半分程度に留められているが、これは車両甲板の割合を増やしたことによるもの[1]。さらに言えば、艦載ヘリコプターによる高いヘリボーン能力の存在が、エアクッション揚陸艇の搭載数を減らすことを可能にしたと言うこともできる。

075型の搭載能力については、推測値ではあるが900〜1,000人程度の海軍陸戦隊の将兵を乗り込ませて作戦を行い得ると考えられている[1]。豊富な艦載ヘリを用いることで、従来の中国海軍の揚陸艦では不可能である迅速なヘリボーン輸送が可能となるのが、075型の大きな特徴[1]。

【機関】
075型の主機は、陝西柴油重工製S.E.M.T. Pielstick 16PC2-.6Bディーゼルエンジン四基[4]。これはフランスのS.E.M.T. Pielstick社のPC2.6Bシリーズに属するエンジンで、陝西柴油重工でライセンス生産が行われており、中国海軍で広く用いられている[4]。

揚陸艦のなかでは071型ドック型揚陸艦が一世代前の16PC2-6(出力8,800kW/11,800馬力)を採用していた[4]。16PC2-6Bは最大出力が12,000kW/16,300馬力にまで強化されており、陝西柴油重工でのライセンス生産に関する準備作業は2018年中に完了した[4]。075型の最高速力は20Kts以上と見積もられている[1]。

【兵装】
075型の兵装は、その船体サイズに比べて少なく、近接防御に必要な装備を搭載するに留められている。これは他国の強襲揚陸艦と大差ないものであり、攻撃への対処は基本的には護衛艦艇や航空機の支援に依存することになる。

終末段階の対艦ミサイルの迎撃に用いられるのは、HQ-10艦対空ミサイル(紅旗10)24連装発射機とH/PJ-14(1130型)30mmCIWS|[1][4]。HQ-10は、アイランド最前部の第一甲板と艦尾左舷の端側に、1130型CIWSは、左舷前部スポンソンと艦尾右舷の端側にそれぞれ搭載される[3]。このほか、ソフトキル防御としてチャフ/フレア発射装置や電子戦システムなども用意されている[3]。

【電子装備】
075型は揚陸作戦において、各部隊が連携する統合作戦を実施し、多数の艦載ヘリや揚陸艇を用いて部隊を揚陸する迅速かつ複雑な作戦を遂行する必要から、優れた指揮管制能力が必要となる[4]。そのため、同級は中国最新の作戦指揮システムと揚陸作戦指揮、そして編隊作戦指揮システムが採用されている[4]。その設計においては「指揮の集中、管制の統合、管理のクラス分け」形式が取り入れられ、大規模な着上陸作戦と海上統合機動作戦の部隊を指揮する能力が備わっている[4]。その指揮能力と指揮可能な規模は、編隊作戦指揮システムを有していなかった071型ドック型揚陸艦と比べるとはるかに高度なものとなっている[4]。各軍種を束ねた統合作戦を行う必要から、075型は三軍共通データリンクシステムや衛星通信システムなどの通信機器を備えて、自己防衛用に最新の電子戦システムを搭載している[4]。

075型は、前部マスト頂部に382型三次元対空捜索レーダー(H/LJQ-382)「海鷹C/D」を搭載する[4][5]。これはロシアから輸入したMP-710-MAE2型の設計を基に、各種ハードとソフトの近代化を図った独自改良型で、対空、対水上警戒や誘導などに用いられる[6]。航空機の運用能力を重視する075型にとって、三次元レーダーで相応の対空探知能力と空中管制能力を有する382型レーダーは、艦載機に対する中距離での管制を行う上で必要となる。正確な距離と高度の測定と誘導に不可欠[9]。001型航空母艦(アドミラル・クズネツォフ級)002型航空母艦(山東級)も382型レーダーを搭載しており、同様の任務に活用している[9]。後部マスト頂部には、368型二面式フェイズド・アレイ・レーダーが配置されている[5][7]。368型レーダーは、第一線で運用される軍艦への搭載は075型が初となる装備である。368型は382型と共に対空警戒と自衛火器への目標情報提供に従事し、特に高い探知能力と同時処理能力を生かして低空域の経空脅威の捜索に重点が置かれるものと考えられる[4][7]。

【艦載機】
075型は、広い全通甲板により多数のヘリを同時発艦させることが可能であり、搭載する約30機に上るヘリやウェルドックのエアクッション揚陸艇を用いて、本格的な水平線外からの上陸作戦を実行し得る能力が与えられている[1]。その戦力発揮の要となるのが搭載ヘリコプターである。

就役後の075型での運用が確認されている艦載機は、海軍陸戦隊向けの輸送ヘリコプターであるZ-8Cになるが、停泊中の各種試験において、Z-18輸送ヘリコプター、Z-20汎用輸送ヘリコプターやAR-500CJ回転翼式UAV、Ka-28対潜ヘリコプターKa-31早期警戒ヘリコプターの可能性も?)などの原寸大模型を搭載しているのが確認されているので、これらの機体も今後はラインナップに入ってくるものと考えられる[4]。中でも、艦艇搭載を前提に開発が進んでいるZ-20J輸送ヘリコプターは、Z-8Cと共に着上陸作戦におけるヘリボーン輸送の主力を担うことになるだろう[11]。また、これまで実施された演習において陸軍航空隊所属のZ-10攻撃ヘリコプターが海軍の揚陸艦に展開して揚陸部隊への支援火力を提供する事例も見られるので、075型においても同様の運用が成される可能性は高い[1]。

2021年9月にはロシアからKa-52K「カトレン」攻撃ヘリコプター36機を輸入するとの報道がなされ、揚陸艦での運用を想定して設計されたこの機体が075型で運用されるのではないかと考えられていた[8]。しかし、2022年2月24日に勃発したロシア・ウクライナ戦争の影響によりKa-52Kの対中輸出実現は当面の間は困難になったものと思われる。

これまでの中国海軍の揚陸艦とは比較にならない水準の航空機運用能力を獲得した075型であるが、アメリカ海軍のワスプ級/アメリカ級強襲揚陸艦と比較すると、その能力には遜色がある[1]。075型の輸送ヘリで最も大型のZ-8でもそのサイズは10t台であり、米強襲揚陸艦が搭載する海兵隊のCH-53K重輸送ヘリコプターと比べるとその搭載能力は大きな差が存在する。さらにテイルトローター機であるMV-22「オスプレイ」の高速性能はヘリの枠を超えたものであり、その差は一層大きなものとなる[1]。

最も大きな相違点は、米海兵隊が保有するAV-8BやF-35BといったS/VTOL戦闘機を中国は保有していない事である[1]。米海軍の強襲揚陸艦がこれら海兵隊の戦闘機を用いて上陸部隊への強力な支援攻撃や防空任務を実施し、さらには限定的ながら原子力空母の補完的な運用も可能なのに対して、075型はあくまでヘリコプター(や同艦で運用可能なUAV)のみに依存した運用に終始せざるを得ず、米強襲揚陸艦のような水準の航空母艦の補完的役割を果たすことは困難である[1]。

【今後の展望】
中国海軍では21世紀に入ると、それまでのビーチング式の揚陸作戦を主任務とした戦車揚陸艦に替わって、エアクッション揚陸艇と艦載ヘリコプターを揚陸手段とする071型ドック型揚陸艦の整備を開始し、2020年までに8隻を整備することで、その揚陸作戦能力の近代化を行った[1]。071型の建造は、それまでの台湾有事を想定した近海での揚陸作戦実施に留まらず、中国から遠く離れた地域への戦力投射能力を画期的に向上させるものであり、海軍戦略の変化とも軌を一にした動きであった[1]。

075型は、その流れをさらに一段階上のレベルに進めるための艦艇であると位置付けることが可能であり、満載排水量4万トンを超える強襲揚陸艦を僅か数年で4隻も進水させたのは中国海軍が強襲揚陸艦のいち早い戦力化に力を入れていることの証左である[1]。075型は071型と同じく、揚陸作戦における中核戦力として機能するだけでなく、その搭載量と艦載機を生かして、域外派遣任務においても有効に活用されると思われる。

なお、【艦載機】の項で前述した通り、075型の艦載機がヘリコプターやUAVの運用に限定される点は中国海軍でも認識されており、075型に続く全通甲板式強襲揚陸艦である076型強襲揚陸艦では、船体を大型化するとともに、アングルド・デッキと電磁カタパルト、着艦拘束装置を導入することで、固定翼艦載機/UAVの運用を可能とすることで、この問題に対処するとされており、今後の展開が注目される[1][4]。

性能緒元
満載排水量38,00t
満載排水量42.000t
全長240m
全長36.0m
喫水
主機ディーゼル 2軸
 SEMT-PIELSTICK 16PC2-6Bdディーゼル 4基(48,000kW/65,200馬力)
速力20kts以上
航続距離
乗員

【搭載部隊】
搭載機ヘリコプター約30機
揚陸艇726型エアクッション揚陸艇(ユーイー型/玉義型)2隻
 小型揚陸艇LCVP
揚陸兵員 約1,000名

【兵装】
対空ミサイルHQ-10艦対空ミサイル(紅旗10)/24連装発射機2基
 H/PJ-14(1130型)30mmCIWS2基

【電子兵装】
3次元対空レーダー382型(H/LJQ-382)「海鷹S/C」1基
対空/水上レーダー368型二面式フェイズド・アレイ・レーダー1基
航海レーダー 2基
艦載機誘導用レーダー 1基
戦闘システム   
電子戦システム 
チャフ/フレア発射装置18連装デゴイ発射機4基
 衛星通信用レドーム
データリンク三軍共通データリンク

【同型艦】
1番艦南海Nánhǎi31上海滬東造船廠で建造。2017年起工、2019年9月25日進水、2021年4月23日就役。南海艦隊所属
2番艦広西Guǎngxī32上海滬東造船廠で建造。2019年9月起工、2020年4月22日進水、2021年12月30日就役。東海艦隊所属
3番艦安徽Ānhuī33上海滬東造船廠で建造。2020年4月起工、2021年1月29日進水、2022年9月30日就役。東海艦隊所属。
4番艦上海滬東造船廠で建造中。2023年12月14日進水[11]。

【参考資料】
[1]银河「剑走偏锋--中国海军075型两栖攻击舰(上部)」『舰载武器』2023.11/No.421(中国船舶重工集团有限公司)16〜29頁
[2]ONI「PLANS recognition guide 2019」★ttps://www.oni.navy.mil/Portals/12/Intel%20agencies/China_Media/2020_China_Recce_Poster_UNCLAS.jpg?ver=2020-02-19-081430-327(閲覧時には★の所に「h」を補ってください)
[3]天一(製図)「剑走偏锋--中国海军075型两栖攻击舰--中国海军075型两栖攻击舰图示」『舰载武器』2023.11/No.421(中国船舶重工集团有限公司)8頁
[4]MDC軍武狂人夢「075兩棲攻擊艦」http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/china/075.htm
[5]捜狐「海军海南号攻击舰,拥有4万吨排水量,提供作战新思路」(2022年11月12日)https://www.sohu.com/a/604071863_484352
[6]银河「专题 砺剑深蓝-解析中国海军新一代护卫舰054B型是技术跨越还是小步快跑(上部)」『舰载武器』2023.09/No.417(中国船舶重工集团有限公司)16〜30頁
[7]网易「大概率换装054B同款双面旋转盾,专家:075四号舰正在安装舰岛」(2023年11月10日/来源: 啸鹰评) https://www.163.com/dy/article/IJ7CDKDJ0535H9SJ.ht...
[8]捜狐「俄媒爆料,海军采购36架卡52单价2000万,俄式武直将登上075两攻」(2021年12月28日) https://www.sohu.com/a/512430041_121289162
[9]银河「由量变到质变--初现真身的中国海军075型两栖攻击舰」『舰载武器』2020.03/No.333(中国船舶重工集团有限公司)10〜32頁
[10]天一(製図)「由量变到质变--初现真身的中国海军075型两栖攻击舰--中国海军075型两栖攻击舰图示(一)〜(三)」『舰载武器』2020.03/No.333(中国船舶重工集团有限公司)6〜8頁
[11]银河「鹏翼万里-进入20时代的中国海军舰载直升机」『舰载武器』2020.04/No.335(中国船舶重工集团有限公司)16〜33頁
[11]捜狐「牛夫人驾到,075型4号舰下水,速度惊人不知道将花落谁家」(北雁自南归/2023年12月14日)https://www.sohu.com/a/744152666_121083281

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