日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼動画「直-20展示新涂装 颜值超高!直击解放军驻香港部队陆海空三军演练 多型武器装备集中亮相!20230329 | 军迷天下」香港駐留中国陸海空軍の合同演習に参加するZ-20KSの様子が納められいる。動画では1:10〜1:26でZ-20KSが特殊部隊隊員を直接降下させている。


Z-20K/KA/KS輸送ヘリコプター(直昇20K/KA/KS)は、アメリカ軍のUH-60「ブラックホーク」の民間型であるS-70-2汎用ヘリコプターに強い影響を受けて開発された中国陸軍航空隊向けのZ-20輸送ヘリコプターの空軍向けバージョンである[1]。

【Z-20K/KA/KSについて】
Z-20KA/KSの型式名の「K」は空軍を意味する。任務別にその後ろのサブタイトルが付加され、これまでに明らかになったのはZ-20KAとZ-20KSの二種類[1]。Z-20KAはヘリボーン作戦における空中強襲任務を担当する汎用輸送型で、Z-20KSは捜索救難を主任務とする[2][3]。型式名としての「Z-20K」については、空軍のZ-20の基本型の名称であるという考えと、それぞれ任務ごとにサブタイトルが付加されるためZ-20K自体は存在しないという二通りの考えがあり得るので、今後の情報公開が待たれる所。

【空軍のZ-20Kシリーズの特徴】
海軍向けのZ-20F対潜哨戒ヘリコプターZ-20J輸送ヘリコプターが洋上運用を想定してかなりの設計変更を行ったのに対して、空軍向けのZ-20KA/KSは文字通り陸軍航空隊向けのZ-20の空軍版であり、外見上の相違点は塗装が黒色から灰白色に変わっているのを除くとほとんど見られない[2]。

陸軍航空隊のZ-20が国籍マークを鮮明に描いているのに対して、空軍のZ-20KA/KSは低視認性を意識した縁取りのみの描きかたが採用されている[2]。機体の灰白色の塗装の表面には艶消し処理が施されており、光の反射による発見を抑える効果が狙われている[2]。

【Z-20KA】
Z-20KAは2022年5月にその姿がテレビ報道で報じられ[1]、2023年7月に開催された長春航空展において「Z-20KA」という型式名と共にその存在が公にされた[2]。同機は、空軍の空挺部隊である「空降兵」のヘリボーン部隊に配属され、ヘリボーン作戦における空中強襲任務において活用される[2]。

Z-20KAについては、前述の塗装以外で陸軍向けのZ-20との相違はほとんど見受けられない[4]。固定武装は装備しておらず、必要に応じて胴体左部のスライド式ドア部分にQJH001型12.7mm重機関銃一丁をピントルマウント式に装着すると考えられる。将来的には陸軍航空隊のZ-20と同じく、スタブウイングに兵装を搭載してヘリボーン作戦時の火力支援を行うタイプも配備される可能性もある。

ヘリコプターの相違ではないが、Z-20KAを用いる空軍では兵員の降下に陸軍のZ-20が用いるウインチを活用したホイスト降下ではなく、ロープと腕の力を使って降下速度を調整するファストロープ降下を採用していることが2023年に開催された長春航空ショーの実演で明らかにされた[3]。これは兵員の降下速度の迅速化が目的と見られ、陸軍のホイスト降下だと二基のウインチを用いて一度に二名の降下となるが、ファストロープ降下であれば、左右のドアに各二本のロープをぶら下げて降下するので一度に四名を降下させることが出来る。ただし、自分の腕力が頼りになるので危険も大きく訓練による習熟が欠かせない[3]。近年、中国ではロシアや西側のヘリコプター降下の手法を研究して、その利点を反映した中国式降下方式の開発が進められており、安全性・迅速な展開と撤収・降下速度の迅速化のバランスを取った方法の模索が続いているとの事[3]。

【Z-20KS】
Z-20KSは、2023年7月、香港駐留中国軍に配備されたことが確認された捜索救難型[1][4]。基本的にはZ-20KAや陸軍のZ-20に準じた機体であり、自己防衛装置なども踏襲されているので必要に応じて特殊部隊の輸送・降下作戦にも用いられる[4][5]。

Z-20KAとの相違点は、捜索救難活動に用いられる装備が新たに追加された点にある。まず、胴体右側の降着装置直前に新たに光学電子センサーを内蔵した丸形ターレットが装備された[4]。Z-20は標準的に機首下部の暗視装置付き光学電子センサーとパイロットのHMD(Head Mounted Display)を活用して夜間飛行能力を有しているが、追加装備された丸形ターレットに内蔵された赤外線暗視装置は撮影した画像をソフトウェア上でAIによる処理を加えて、洋上で漂流している人間を識別する高い能力を有しており、パイロットが夜間操縦と遭難者の捜索を同時に行う負担を軽減する役割を果たしている[4][6]。

これとは反対側の胴体左側の降着装置直前にはサーチライトと拡声器が装備されている[1][4]。これらはいずれも救難捜索用の機材であり、悪天候や夜間においてサーチライトを用いて海面を照らして視認性を向上させるとともに、救難者に呼びかけを行うといった救難活動用装備として用いられる[4]。

Z-20KSは原型のZ-20と同じく、胴体のサイドドア上部にホイスト降下用ウインチが配置されており、これを用いて降下救助をおこなったり、担架に乗った遭難者を吊り上げたりと、救難活動において様々な役割を果たすことになっている[4]。

中国空軍ではこれまで救難用回転翼機としてロシアから購入したMi-171Sh救難ヘリコプターを用いていたが、新たに飛行性能に優れたZ-20KSが加わることで救難活動の迅速化が期待されている[4]。

【今後の展望】
空軍におけるZ-20Kシリーズは、現時点ではZ-20KAとZ-20KSの二種類が明らかになっているが、今後はその数と種類を増やしていくものと考えられる。

平時における物資や人員輸送、墜落事故における捜索救助、災害発生時の救難支援任務、通信・偵察・電子戦といった各種支援任務、戦時における補給、物資・人員輸送、ヘリボーン作戦での活用と、活用の幅をますます広げていく事になるだろう。

性能緒元
ローター直径
全長16m/19.5m(機体長/ローター径含む全長)
全高5.25m(テイルローター高含む)
全幅2.5m
空虚重量4,500kg
通常離陸重量7,500kg
最大離陸重量10,700kg
エンジンWZ-10ターボシャフトエンジン(最大1,600kW/2145馬力)×2
最大速度330km/h
巡航速度290km/h
最大上昇限度6,500m以上
航続距離900km(機内燃料のみ)
武装固定武装なし
乗員最大18名(操縦2名+人員16名)
搭載能力機内1,000kg[3]/機外吊り下げ4,000kg[3]〜4,500kg[5]
基本データは[6][7]のZ-20陸軍型のデータに依拠。

【参考資料】
[1]Chinese Military Aviation「Z-20/20K Dragon in the Clouds」http://chinese-military-aviation.blogspot.com/p/he...
[2]哈佛「纳百家之长而青出于蓝!浅析空军航空开放活动直-20KA机降反恐表演展现出的解放军机降作战新进步」『兵工科技』2023.16(兵工科技杂志社)69〜73頁
[3]知乎「细节特写!驻港部队军营开放日,直-20KS型直升机首次公开亮相!」(大伊万/2023年7月4日)https://zhuanlan.zhihu.com/p/641473588
[4]「桿卫共和国安全的铁翼-2023年空军航空开放活动航空兵现役飞机装备展示」『兵器』总293期/2023.10(《兵器》杂志社)28〜33頁
[5]Youtube「直-20展示新涂装 颜值超高!直击解放军驻香港部队陆海空三军演练 多型武器装备集中亮相!20230329 | 军迷天下」https://www.youtube.com/watch?v=g94FZ54kJcE
[6]银河「鹏翼万里-进入20时代的中国海军舰载直升机」『舰载武器』2020.04/No.335(中国船舶重工集团有限公司)16〜33頁
[7]天一 (製図)「鹏翼万里-进入20时代的中国海军舰载直升机图示」『舰载武器』2020.04/No.335(中国船舶重工集团有限公司)5〜8頁

【関連事項】
S-70C-2汎用ヘリコプター(中国)
Z-20輸送ヘリコプター(直昇20/神雕-20)(陸軍)
Z-20F対潜哨戒ヘリコプター(直昇20F)
Z-20輸送ヘリコプター(直昇20/神雕-20)(陸軍)
中国空軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます