194 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:16:33 ID:BFEzatbP
195 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:17:32 ID:BFEzatbP
196 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:18:43 ID:BFEzatbP
197 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:21:05 ID:BFEzatbP
198 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:22:01 ID:BFEzatbP
199 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:23:07 ID:BFEzatbP
200 名前: ある槍騎士の逃走失敗の話 [sage] 投稿日: 2007/09/17(月) 20:24:19 ID:BFEzatbP

「―――――行こうストラーダ!ここじゃないどこかに!!!」
『Dusen!』
窓ガラスを突き破って槍騎士は空へと旅立った。
少年は目の前の赤い夕日に向かって突き進む。



ストラーダに捕まって飛ぶエリオは今からの事に思いを馳せる。
とにかく情報が少なすぎる。個人的に知り合いであるクロノ・ハラオウン提督や
リンディ・ハラオウン提督の力を借りる事が
彼に出来る最善の策だろうかと、そんな事を考えながら空を駆け抜けた。
(……あれ?)
目の前の夕日の中心に、何故か黒があった。
目にゴミが入ったのかと思ったがそうではなさそうだ。背筋に悪寒が走る。
慌てて方向転換するがそこには黒の翼を羽ばたかせる夜天の主。
そして左右にはいつのまにか彼をはさむように鉄槌と剣が出現していた。
前門の堕天使、後門の死神。左右には海千山千の騎士。逃げ場が……無い。
(――――――いやっ!まだだっ!)
地上に降りれば、障害物が多く身を隠せられる。複雑な地形での高速機動は彼の領域だ。
ストラーダを地面に向け、一直線に落下する。

「アルケミック・チェーン」

彼をあざ笑うかの様に、鎖であまれた網が彼の視界に広がった。


「……もう逃げませんからいい加減離してくれませんか?」
会議室の机の上に、防護服の上から鎖で簀巻きにされたエリオが転がされていた。
その姿は凄惨の一言であり、まともな感情を持つものならば同情せずにはいられない。
実はひとのいい鉄槌の騎士もその範疇であり、主へ抗議する。
「あ、あぁ。はやて、流石にコレはひどいんじゃねーの?」
「う、うん。ちょっとやりすぎかもしれへんね……キャロ?解いてあげてくれる?」
鎖が消え、少年は凝り固まった筋肉を動かしてほぐした。
体中からいやな音が鳴り響くが、束の間の安息を楽しむ彼にとってはそれすら安らぎだ。
ひととおり伸びを楽しんでから、目の前の五人に問いかけた。
「あのですね……はっきり言って皆さん異常です。どうかされたんですか?」
「いや、それがな?話せば長くなるんやけど……」
半眼のエリオに睨まれて大人しくなった五人はそれぞれの状況を話し始めた。
曰く、訓練やデスクワークをしていたのに白い光を浴びて気がついたら会議室にいた事、
曰く、自分達がいたはずの機動六課とわずかな差異がある事。
エリオが持つ情報と照らしあわされて
『この事態は今日発見されたロストロギアのせいかもしれない』と、
そんな結論に達するまで時間はかからなかった。
「じゃ、ユーノさんに連絡しなきゃ……って繋がらないですね」
ストラーダを介して無限書庫への直通回線を繋ぐが、そこの主は一向に出ない。
実はなのはとフェイトの寝室にいけば会えるのだが、神ならぬ身のエリオにそれを知るすべは無い。
「まぁ、また後日連絡して調査してもらうとして……今日は解散しましょうか?」
そう提案し、その場を立ち去ろうとしたエリオ。

「――――待ってっ!!!」

だがその肩を掴む手があった。反射的に振り向いたエリオは目の前の光景に目を見開いた。
フェイトが、涙をボロボロこぼしているのである。
気付けば、肩を掴むフェイトの手はわずかに震えていた。
「エリオ……もう、私との事は忘れちゃったの?ホントに、覚えて……ないの?」
そんな事を言われてもエリオにはフェイトに泣かれるような事をした覚えは無い。
「あの……僕が、何かしましたか?」
彼が放ったのは当然の疑問ではあるが、彼女にとっては残酷極まりない一言でもある。
彼女が覚えている彼とのすれ違いの悲しみや、それを乗り越えた歓喜は彼の中には存在していないのだ。
だが、フェイトはそれを認められなかった。
「――っ!?……………………………………そう、なら思い出させてあげる」
そう言って、彼の腕を掴み部屋を出ようとする。
「ちょっと待った!フェイトちゃんどこ行くつもりなん?」
「そうですよ!フェイトさん!」
はやてとキャロから抗議の声があがる。
「どこって……ちょっとふたりきりになって、エリオに私の事思い出してもらうだけだから……」
「ナニをするつもりだテスタロッサ!私もまぜてくれないかっ!?」
一人錯乱している人物がいるが空気が空気なので五人は一致団結して無視した。
「そんなのあかんっ!私が認めへんっ!ふたりきりなんて絶対させへんっ!
 エリオ君の彼女は私やもんっ!」
「なっ……はやてさんが彼女ってどういう事なの!?エリオ君答えて!」
「いや!あの!さっきロストロギアのせいって事で皆さん納得しましたよねっ!?」
糾弾された彼が叫んだ正論は、しかし誰にも受け入れられなかった。
ヒートアップしたフェイト、はやて、キャロの三人は
それぞれの馴れ初めを言う事で自分こそがエリオの彼女だと主張する。
議論は白熱していく。シグナムとエリオはオロオロするだけだ。
それをつらそうに見つめる一対の瞳があった。
「お前ら!いい加減にしろよ!」
叫ぶのはヴィータだ。

「エリオが困ってるだろ!はやても!キャロも!フェイトも!
 一番大事なのはエリオの気持ちじゃねーのかよっ!」

その言葉に、雷を打たれたように三人の表情が激変した。
「そっか……そうだよね……エリオ君の気持ちが一番大事……」
「エリオ君に選んでもらわんと意味無かったんやなぁ……」
「ヴィータの言うとおりだよ……私達が間違ってた……」
「エリオ君が選んだ人で、恨みっこ無しって事でいいですか?」
「私はそれで構へんよ。絶対エリオ君に選んで貰えるって解っとるからな」
「エリオは私を選ぶよ。二人には悪いけど、でもそれは変わらないから」
「私だって!絶対に負けません!」
三人の会議が終了した。
「エリオ?今から30分間、エリオをひとりきりにするからその間に決めてね?」
そう言って、三人はヴィータとシグナムのふたりをつれて会議室を出て行った。
「…………あれ?あの、その……ロストロギアは……」
結局ヴィータにさえ意思を無視された事に気付いた彼は、泣くべきかどうかかなり真剣に悩んだ。


『主』
と、その時待機状態に戻って腕に巻きついたストラーダが声を発する。
アームドデバイスであるストラーダが自発的に言葉を発する事など珍しい。
「どうしたの?ストラーダ」
『簡易メンテナンスの許可を頂きたいのですが』
「う、うん。勿論いいけど……」
彼の腕を離れて宙に浮いたストラーダは自己修復機能を働かせて自身を新品同然の姿にした。
『……主』
「うん?まだ何かあるの?」
『いえ、……その、よければ…………私を飾り布か何かで飾って欲しいのですが……』
ストラーダの頼みをいぶかしみながら、エリオはしかしそれを無下に断る気にもならなかったので
会議室の机の中をあさってみた。
誰かが置き忘れたのだろう、黄色の髪留め用のリボンがあったので
チョウチョ結びにしてストラーダを飾ってやる。
「これで、いいかな?」
『ありがとうございます。…………その、どうでしょうか?』
「?あぁ、リボンの事?似合ってると思うよ?」
彼の腕に巻きつくストラーダ。
しかし、そのしめつけがいつもよりも少しキツいと思うのは気のせいなのだろうか?
そんな疑問よりも彼の前には直面すべき大きな問題があった事を思い出した。
そっと、窓を開けてみる。勿論結界が張ってあった。
恐らくはやての手によるものだろう。Bランク風情のエリオにこれが抜けるとは思えない。
窓でコレなのだ。ドアなど厳重ロックが施されている事だろう。
少年は重い重い溜息を吐いた。



自室に戻ったはやては悩んでいた。
先程はあんな啖呵を切ったとは言え、エリオには何故か記憶が無いのだ。
つまり30分後に自分が選ばれない事もおおいにあり得る。
かと言ってそれをむざむざ認めるわけにはいかない。
もう見た目くらいでしかポイントを稼げないだろう。ならばその一点にかけるしかない。
エリオが複雑な家庭状況だったという事はフェイトから聞いている。
ならば、家庭的なイメージを演出するというのはどうだろうか?
幸い、自分は料理が上手い。それをアピール出来れば……


ヴィータは悩んでいた。
どうも、状況を見ると彼女の主であるはやてもエリオの事が好きらしい。
はやての幸せを願うのならばここは退くべきかもしれない。
でも、せめて。一番、可愛い自分くらい。
そんな誘惑が、そっと彼女の胸を叩いていた。


フェイトは悩んでいた。
絶対に、絶対に負けるわけにはいかない。だってエリオは自分のものだ。
他の誰かがその腕に抱かれるなど、我慢出来ない。
あの時彼女を支えてくれていた、細い、でも力強い腕は誰にも渡せない。
フェイトはイメージする。彼にとっての自分は未だに憧れという面が強い。
ならば、負けない自分、強い自分を見せる事でその気持ちを強く出来ないだろうか?
彼女にとっての強さとは…………


キャロは悩んでいた。
ようやくフリードという泥棒竜をケリュケイオンで物理的に黙らせたというのに
状況はますます悪化している。
魅力という面では彼女は決して勝てはしないだろう。
だが、自分にはパートナーとして一番傍にいた実績がある。
彼と打ち解けたきっかけは何だったろうか?
そう言えばいつか彼が言っていた。すごく、ドキドキしたんだと。
あの恰好があった。はっきり言って賭けだ。だけど、でも。



シグナムは悩んでいた。
どうやらご主人様は自分にご立腹でまだまだ放置プレイを続けるつもりらしい。
だが、もう彼女は我慢の限界である。
自分からおねだりなど奴隷としてははしたないかもしれない。
だから、彼女に出来る精一杯の意思表示をしよう。
その為に練習してきた事があるのだから。



30分というエリオにとっては短すぎる時間が過ぎた。
もうすっかり日は暮れており、会議室も暗闇と静寂に包まれている。
と、そこにある音が響いた。ドアの開閉音だ。
「あれ?電気もつけとらんの?」
その声とともに部屋の電気が一斉につけられた。
目の前には、防護服に身を包んだはやて、ヴィータ、フェイト、キャロ、シグナムが立っている。

「エリオ君、あのな?ひとつお願いがあるんよ。
 決めるのは、私の恰好見てからにしてくれへんかな?」
そう言って、はやてが防護服を解除する。
そして現れたのは……くまさんのプリントがほどこされたエプロンである。
ネクタイをつけず、Yシャツと管理局のスカートの上にまかれたシンプルなエプロンは
はやてのやわらかい雰囲気とあいまって
『固有結界・無限の食卓』
その背景に綺麗なキッチンを出現させた。更には存在しない筈の料理の匂いまで感じさせる。
Yシャツは下品にならないように、しかし崩れた雰囲気を演出するために
第二ボタンまでが外されて、胸の谷間はのぞけないが首筋の白さが強調される。
そしてスカートは実は普段のよりも1サイズ下のものをはいて、
はやてのおしりのラインを強調している。
仕事終わりに着替える間も惜しんでエリオと自分の為に料理を作る。
美味しいと言って貰えるように、技術と愛情を精一杯注いで作られたそれを
エリオが不味いと思うわけが無い。
「ど……やろか?」
前髪を少し指でかきあげながら尋ねる彼女。
エリオは、汁物の味見をさせて貰っている感覚に襲われた。

「あ、あたしは別に関係ないんだけどさ……」
そう言い訳がましく呟きながらヴィータが防護服を解除する。
一瞬、エリオは防護服を解除してないんじゃないかという錯覚に襲われた。
そこに広がるのが赤いゴシックドレスだったからである。
普段活発で厳しいヴィータに似つかわしくないフリルが豪奢に使われたドレスは、
しかし特別という事を充分に意識させる。
『固有結界・無限の誕生日』
まるで誕生日パーティのような特別な日に、子供が精一杯に着飾るよそ行きの恰好。
着慣れていないというぎこちなさがういういしさとなって
勝気なヴィータの可愛い一面をこれでもかとアピールしていた。
それははやてがいつか「こんなんも似合うと思うけどなぁ」と買ってから
一度も袖を通していなかった彼女の勝負服。
彼女の一挙一動にドレスが揺れ、フリルがまるで薔薇の様に咲き誇る。
「……なんだよ!あんまりジロジロ見んじゃねーよっ!」
エリオにだって解る。今のは嘘だ。彼女は実は見てもらいたくてたまらないのだ。
危うく、エリオはリボンつきのストラーダをプレゼントしそうになった。

「エリオ、私も……見て欲しいな」
フェイトの言葉とともに彼女の姿が光に包まれる。
『Sonic Form』
表れるのは防御を捨てて速度を選んだ彼女の真骨頂とも言えるスタイル、ソニックフォームだ。
しかも何故か通常なら存在する筈の股間の前垂れが無く、
きわどいラインを存分に疲労している。身にまとう雰囲気は彼には滅多に見せない厳しいものだ。
『固有結界・無限の戦場』
ピッチリと彼女の体に密着する防護服は一見いやらしくも感じさせる。
だが、それ以上にその姿に秘められた意味をエリオは知っている。
これは勝つための姿だ。例え敵とどれだけ離れていても、関係無い。
敵がどれだけ強大な力を持っていても全てかわしきってみせる。その覚悟の具現化。
くるりと回って背中を見せる。
フェイトとしてはおしりのラインを強調したかったのだろうが
エリオの視線はフェイトの背中に注がれていた。
いつか、いつかきっとあの背中を守れるように、そう拳を握り締める。

「エリオ君……覚えてる?」
そう呟き、キャロの防護服が解除される。
白い肩が見え、白い胸元が見えた。慌ててエリオが視線を逸らす。
彼のいつかと全く同じのその様子にキャロが少し笑った。
「大丈夫だよ、ちゃんとタオル巻いているから」
そう、それはいつかのスーパー銭湯での姿。
ぎこちないと、そう感じていた二人が打ち解けたひとつのきっかけである。
『固有結界・無限の浴場』
キャロは今でもたまにエリオのいる浴場に突撃してくる事がある。
エリオは毎度毎度驚かされるが、ひとりで髪を洗えない事を知っているから断れない。
華奢で白い首筋にいつもドキドキしながら髪を洗ってあげている。
緊張するけど、でもそれが終わったら必ず笑い合える二人の時間。
「……えへへ、こう改めて見せると緊張するね」
そうはにかむキャロに、彼の心臓は間違いなく撃ち抜かれた。

「エリオ……私は、言葉ではあまり上手く説明出来ない……だからコレを見てくれ!」
そう叫んで防護服を解除したシグナム。
彼女の白い体を包むのは、

赤い縄のみだった。

あまりの事態にエリオは目もそらす事も忘れ、呆然とそれを眺めた。
そのエリオの変化を見てシグナム以外の四人の表情が青ざめる。
『固有結界・無限の隷属』
「ほ、ほんとは亀甲縛りが良かったんだろう?
 だ、だが私にはまだ菱縄縛りしか出来ないんだ……だから、その……
 わ、私をもっと教育してくれ!」
そんな縛りの種類などエリオは全く知らない。つか誰だ。これ教えたの。
赤い縄で縛る事によって色、形ともに強調された白い胸を揺らしながらシグナムが駆け寄ってくる。
縄が通された股から水滴がたれ落ちる。勿論エリオはドン引きである。
混乱し過ぎて逆に変に冷静になったエリオは、シグナムの突撃を回避しながら
(自縛で自爆とはこれいかに)
なんて妙な言葉さえ考える余裕さえ持っていた。
「ちょっ!シグナム!そんなん反則やっ!
 それが許されるんやったら私は裸エプロンにするっ!」
当然はやてが抗議するが何か趣旨が凄くおかしい。
はらりと、一枚の布が舞い落ちた。キャロのタオルだ。
「エリオ君!ほら!これでどうっ!?」
しろい華奢な体を晒しながらキャロが自己主張する。
「エリオっ!?やっぱり体目当てなのっ!?」
糾弾しながら防護服を解除したフェイトは何故か裸だ。
彼女はエリオに選んでもらったら即しようと考えていたに違いない。
「何だよ……結局皆裸で勝負なのかよっ!あっあたしだって負けねー!」
折角のドレスをくしゃくしゃにしながら脱ぎ捨てた彼女は青いストライプの縞パンのみの姿だ。
「さぁ!もう前も後ろも準備出来てるんだっ!あとは突っ込むだけだぞ!」
彼はツッコんだ。
「何をですかっ!?」
しかしシグナムはその表情をさらに喜悦に染めるだけだ。
「そう!ナニをだっ!!!」
(あぁもう何なんだこの状況はっ!?)
状況の悪化スパイラルにエリオが舌を噛んで自殺したくなったが
『主、ここはひとまず逃げましょう!』
彼にはまだ、心強い相棒がいたのだ。思い出し、駆け出す準備をする。
彼女達が入ってきたという事は結界はもう解かれているに違いない。
また、彼以外の5人全員のデバイスは待機状態だ。
(これならっ!)
「コード○○××○○▲■■○!」
フェイトの叫びとともにストラーダが全機能停止して休止状態に入った。
当然、防護服は消え去り全裸へと戻る。
「エリオ……私はエリオの保護者だよ?ストラーダの緊急停止コードくらい
 知ってても当然だよね?」
相棒が沈黙すれば彼はただの10歳の少年でしかない。
大人3人を含む5人を相手にすれば押さえ込まれるのも当然である。
「ちょっと待ってください!皆さん落ち着きましょう!
 ちょっ!八神部隊長!何で急いで服脱いでるんですかっ!?
 ヴィータ副隊――――んむっ!?……ん、んぅ…………んっ!ぷはぁっ!」
「……んぁ……ヴィータ、だ。こんな時まで……上官扱いすんじゃねー」
「いやぁっ!やめてぇっ!僕まだ10歳ですよっ!?」
「でもな?その10歳のエリオ君が私を無理矢理犯したんやで?」
「それにエリオのここは10歳には思えないし……ね?」
彼の男性自身は目の前に広がる女性の裸体に反応してその真の姿を開放していた。
「あぁ……二週間ぶりのご主人様の……」
よだれをたらしているシグナムが一番危険だとエリオは一瞬考えたが
見回してみれば全員似たような表情である事に絶望した。
「じゃ、エリオ君を一番満足させた人が優勝って事でいいですか?
 勿論賞品はエリオくんです」
キャロの提案に四人が頷いた。ひとりが轟然と首を横に振った。
しかし悲しいかな、ミッドチルダは民主主義であり多数決が正義だった。




エリオにとっては不幸なこの事態であるが、当然の帰結であるとも言える。
役割は単純だ。彼女達が狩人であり、彼は獲物だ。
そして古来より捕獲された獲物のたどる道はこれ以外に無い。
――――――――食べられる事である。

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目次:ある槍騎士の逃走の話・目次
著者:一階の名無し

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