スティッフパーソン症候群(stiff-person syndrome:SPS)[別名:スティッフマン症候群(stiff-man syndrome:SMS)、全身硬直症候群、全身強直症候群]という病気のまとめwikiです。

SPS患者のQOLについてや、車いすの選定について。

転倒のリスク

  • SPS患者は、体幹(胴)と近位四肢(肩から肘までの腕、ひざ上から腰までの足)の筋肉が硬直しやすいため、歩行動作に難がある。
    そのため、一度バランスを崩すと修正できず、転倒しやすい。
  • さらに、体を捻ったり手を出すなどの受け身動作をとりづらいため、転倒すると大きな怪我につながることが多い。
    (『板状(stiff as a board)』や『鉛の兵隊のよう(looks like a tin soldier)』と記述された医学論文もある)
  • 大きな怪我を伴う転倒により、SPS患者は歩行のとき、支えやつかまる物のないような状況を避けるようになる。
    結果として外出しなくなり、自立した生活がより制限されるようになる。

車いすの選定

  • 車いすによる移動により、歩行時の転倒を回避することが出来る。しかし、病院でよく見るような形状の車いすは、SPS患者にとって悪化の要因にもなり、より高機能な車いすが望ましい。
  • 電動車いす。
SPS患者の多くは、車いすに座ったときの姿勢、腕や肩の硬直、連続した動作による症状の誘発など複数の要因により、手動式の車いすを使用するのが困難である。病状によっては、車いすに座った姿勢で足で地面をかいで進むことも可能だが、それは症状の悪化につながる。刺激を与えない事が、症状の鎮静に効果的なので、ある程度症状が進んだ歩行困難なSPS患者は電動車いすを選定することが適切である。
  • 電動車いすの分類。
電動車いすには大きく分けて、簡易型電動車いすと、普通型電動車いすがある。
簡易型はいわゆる手こぎや介助型の車いすをベースに電動化したもので、普通型に比べ軽い、比較的安価などの特徴がある。室内での利用が主になる人や、折りたたみ機能が必須な人、重い大型の車いすが利用できない人などに適している。
普通型電動車いすは、最初から電動として開発されたもので、簡易型に比べ一般に多機能であり、悪路での走行性能や安定性にも優れているものが多い。反面高価であったり折りたたみ不可であったりのデメリットもある。
  • 電動リクライニング機能。
一般的な車いすでは、腰と太ももを直角に近いかたちで、普通のいすに腰掛けるような姿勢で使うが、SPS患者は筋肉が硬直するために、そうした姿勢で車いすに座る事が困難である。そのため、車いすの背もたれ部分が後部に倒れるような、リクライニング機能が必須となる。
  • 電動リフト機能。
リクライニングを使用すると、通常の車いすに比べさらに肩や頭の位置が低くなる。そのために、視点や手の届く範囲が低くなり、人との会話、周囲の状況の把握、物の上げ下ろしに不自由する。これを解消するために、車いすのシートを持ち上げるリフト機能が必要となる。自立した社会復帰を目指すのであれば必須機能と言える。
  • 電動チルト機能。
SPS患者が使用することが多い薬セルシン(ジアゼパム)は血圧の低下をもたらす。血圧降下対策といった役割でもチルト機能は必要な機能である。重度の硬直が発生すると体が真っ直ぐに硬直した状態となるため、すぐさまベッドなどへ移乗できない状況では、体をより水平に出来るチルト機能の搭載が必須である。また軽度の症状であっても坂の上り下りなどにおいて使用者に安心感を与えるため、硬直の悪化を防ぐ効果を発揮する。
  • 電動フットレスト上下機能。
重度の硬直が発生すると、激しい痛みとともに体が真っ直ぐに硬直した状態となる。他人に触れられても痛みが誘発されるため、ベッドなどへ移乗できない状況では、器具にて体を水平にした状態で保持、サポートするのが最善でありフットレスト上下機能があることが望ましい。
車いすの購入について

公費による車いすの耐用年数

  • 電動車いすの耐用年数は6年です。一度制度で作った場合原則6年間は制度を利用して作れません。
  • 6年を待たずして作り直してもらえることもあります。1回の修理代が新品購入費を上回ったりする場合です。
  • また複数の電動車いすは公費で作れません。ただし通学用と居宅用など屋外と室内で認められた例もあります。

特例補装具

  • 認定されることは難しいですが、本当に必要な機能であると判断された場合「特例舗装具」という枠があり、基準に無いものであっても「特例舗装具」として公費負担が通常の上限を超えて認められることがある。
  • 日本ではまだこの特例舗装具の扱いが曖昧なため問題となっており検討事案としてあがっている。

公費による車いすの購入までの流れ

  • 1種1級2級の障害者手帳があることが前提です。
  • まず区の障害担当窓口に公費で車いすを作りたい旨相談します。
  • 業者の選定を聞かれることがありますが、初めてでわからない方は希望の車いすメーカー、車種があればそれを言います。
  • 区からの連絡で指定された更正相談所などで医師に問診、診察してもらい、希望も言います。稀少難病の場合は医師が病気を知らないので病気を説明する資料を持っていった方がいいかもしれません。
  • 医師の診断結果を元に業者が持ってきたいくつかの車いすに試乗します。体に合わなかったらはっきりと言葉で伝えましょう。長く乗る体の一部ですから遠慮してはいけません。その際業者ではなく更正相談所に試乗車があることもあります、聞いてみましょう。
  • 車に載せることや室内でのとりまわしに不安がある場合は、業者またはメーカーからレンタルできないか交渉して注文前に車や家で試してみましょう。
  • 医師の診断を元に、車いすが決まります。注文書が書かれ発注されます。
  • ライトやヘッドレストなどは車種により自己負担が求められることもありますが、安全のためなるべくつけましょう。公費が認められることもあります。(特
  • 出来上がったと連絡をもらったら更正相談所に行き、車いすに乗り調整を行います。
  • 完成です。
 

公費による車いすの購入の注意点

  • 車種により元々ついていない場合など、ライト、ヘッドレスト、クッションなど公費負担が出ないことがあるものについては、注文時に必要であると交渉するか、自己負担で買うことを明言し純正品を発注した方が良い。(参考:ペルモビール社の場合ライトは発注時ならば3万ですが後からつけるとなると10万かかる)。
  • もし一部オプションが公費ではなく自己負担になった場合でもためらわないこと
普通型電動車いすの場合、電装系が一系統にまとまっていることがあります。その場合メーカー保証の問題で業者が手をつけられないことがある。(車でいうメーカーオプションとディーラーオプションのような違いです)
  • 後述する「外見と症状の重症度の隔たり」から要望はしっかりと伝えた方が良い。病状を伝えるのは紙面が良い。
  • 何をするために必要か伝えることも大事だが、公費にはそれぞれに診断基準があるので(チルトなら低血圧など)それを踏まえしっかり伝えること。
  • 公費負担の場合には消耗品を買いなおす時に一部助成が出るが、自己負担のものは全額負担となる可能性が高い。
歩行と車いすによる移動
  • SPS患者のなかには、薬の服用により一時的に、つかまり歩行や器具や他人の介助なく歩行ができる人もいる。ただそのような状態の患者であっても、さまざまな要因(音、接触、広い場所や道路の横断時などに感じる不安など)より突然、SPSの症状は重症化する。そのため、歩行が可能であっても、車いすによる移動がより安全であり、安心感を与える。

外見と症状の重症度の隔たり

  • SPS患者の状態が安定しているとき、外見上不便さ、不自由さをほとんど感じさせずに行動できることも多い。さらに重症化しても、硬直やけいれんによる痛みは、ほとんどの場合他人に伝わりづらい。
    こうしたことから、他人に病気や障害の重さを理解してもらうのが困難となる。理解してもらえないことで、人と疎遠になってしまうこともある。




(他検討中)

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