スティッフパーソン症候群(stiff-person syndrome:SPS)[別名:スティッフマン症候群(stiff-man syndrome:SMS)、全身硬直症候群、全身強直症候群]という病気のまとめwikiです。

メモ > GAD関連

IDDMと抗GAD抗体との関連
  • 抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体のエピトープ解析とその臨床的意義[ J-GLOBAL ]
    他の疾患や病態に起因する糖尿病 免疫異常による糖尿病[ J-GLOBAL ]
    IDDM患者とSPS患者の抗GAD抗体は、GAD65の認識エピトープに違いがあり、SPSの抗GAD抗体はGAD65の酵素としての働きを阻害するとのこと。
    抗GAD抗体が膵島細胞を標的として攻撃することはなく、ウイルスと同様のエピトープを持つため、IDDM発症のきっかけになっているかもとのこと。
  • 糖尿病を合併し,免疫グロブリン療法により改善をみた抗GAD抗体陽性を示した小脳失調症の1例[ 糖尿病 ]
    小脳失調症のなかには、抗GAD抗体陽性のものがある。
    SPSについては触れられてなく、『髄液抗GAD抗体644 U/mL』と低い値だったため、SPSの症状は現れなかったのだろうと考えられる。
  • ICA(膵島細胞抗体)IDDM-Networkの「DM 用語辞典」より)
    IDDMの原因となる自己抗体。膵島細胞を抗原として攻撃する。この抗体の発生に、抗GAD抗体が関与している?

SPSのほかに、抗GAD抗体が高値(2000U/ml以上)を示した病気
参考:Spectrum of neurological syndromes associated with glutamic acid decarboxylase antibodies: diagnostic clues for this association
(グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体と関連する神経性症候群の範囲:関連を診断する手掛かり)[ Brain ]
    • 小脳失調症(cerebellar ataxia)
    • 傍腫瘍神経症候群(paraneoplastic neurological syndrome, PNS、種別:傍腫瘍辺縁系脳炎、傍腫瘍小脳変性症)
    • てんかん(epilepsy)
    • 特発性辺縁系脳炎(idiopathic limbic encephalitis)
  • 上記の文献では、抗GAD抗体が高値である神経性症候群患者を評価するときのポイントが記載されている。
    • 1. 高値のGAD抗体は、SPSの他に、異なる神経性症候群と関わっている。
    • 2. GAD抗体は、1型糖尿病、または他の内分泌自己免疫不全の合併を表しているだけかもしれない。
      この状況では、GAD自己免疫が神経性症候群に関係しており、患者に免疫治療を行うべきか確認するため、
      GAD抗体の髄腔内合成が陽性であるという証明が重要である。
    • 3. 小脳性運動失調(GAD抗体が高値の病気ではSPSの次に多い)は、統計上、臨床上、免疫学上で同じ特徴をSPSと共有する。
    • 4. 1型糖尿病の既往歴のない患者が(GAD抗体高値の)神経性症候群を発病するとき、腫瘍が原因であることを示唆する。
      GAD抗体の調査結果はこの可能性を除外せず、潜在的ガンを確認するため、適切な研究がされるべきである。

GADのアイソフォーム、GAD65とGAD67について
参考:A critical update on the immunopathogenesis of Stiff Person Syndrome.
(スティッフパーソン症候群の免疫病因に関する重大な更新)[ European Journal of Clinical Investigation ])
  • ヒトには2種類のGAD、GAD65とGAD67がある。
  • GAD65
    • GAD65は中枢神経系のシナプス前、そして膵島のベータ細胞に存在する。
    • 抗GAD65抗体は、SPS患者の最大80%に存在し、濃度が高い(=抗体数が多い)。
  • GAD67
    • GAD67は中枢神経系にのみ存在する。
    • GAD67抗体は、SPS患者の50%未満に存在し、濃度は低い。

クローン化グルタミン酸デカルボキシラーゼ(CLONED GLUTAMIC ACID DECARBOXYLASE)
  • GADのどのエピトープが抗GAD抗体と結合するのか調査するため、
    GADの断片(ペプチド)を切り取ってその部分を含んだGADを複製する技術?実際の研究で使われたかどうかは不明。
  • 「Cerebrospinal fluid T cell responses 〜(SPS患者中のGAD65に対する脳脊髄液T細胞反応)[ PubMed ]」では、
    rhGAD65(組み換え型ヒト(recombinant human)GAD65)が使われたようだが、これと上記クローン化GADとが同じなのかは不明。

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