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【定義】

見成公案とも。『景徳伝燈録』巻12、陳睦州章では「師、僧来たるを見て云うには『見成公案、汝三十棒を放す』」とある。意味としては、「現にそのままが(判決を前にした)案件だ」ということである。或いは「目の前の問題」を意味する。
道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では3巻、75巻本では1巻。天福元年(1233)8月頃に、鎮西の俗弟子楊光秀に与えた法語仮名法語)である。それを、建長壬子(1252)に『正法眼蔵』として拾勒した。

【内容】

〜蠎蠅僚佇を、犯人の出頭と見立てて、その過誤を自覚させようとする方便という意義である。

また、古来は公案を政府の法例と見ることで、動かすことのできない法則や真理であると見られていた。そして、△留洞舛ら「目の前に現れているものが、そのままの相に於いて絶対の真理である」ことが現成公案とされた。

道元禅師は「現成公案」自体の意味は書かれていないが、しかし同巻中の内容からすれば、,琉嫐としては理解されてこなかった。然るにこの解釈に影響を与えたのは、道元禅師の直弟子とされる詮慧禅師と、その弟子である経豪禅師によって示された『正法眼蔵御抄』である。
現ハ隠顕ニアラス、成ハ作学ニアラス、公ト云ハ平等義也、按ト云ハ守分ノ義也、平不平名曰公、守分名曰按。

この意義からすれば、「現」とは、何かが隠れることでもなく顕わになることでもない。そして、「成」とは、何かを作すことでもなく学ぶことでもない。一切の相対を否定する意義として「公案」を意味付けているのである。

また、やや時代が下った解釈として、永平寺5世の義雲禅師は著語として「是什麼」とされている。また、頌としては以下のものがある。
面前一著蹉過すること莫れ、空劫の春容此の早梅、一字公門の内に入り了んぬ、九牛力を尽くして挽けども廻ること無し。 (原漢文)

また、江戸時代の宗乗家である面山瑞方師が付けた「述」では以下のようになっている。
第一現成公案、述して云う。現成とは遍界不曾蔵の謂い、公案とは歴劫、毫も移り難きの義。仏は諸法実相と説き、祖は万法一如と示す。ただこの脱落身心世界、ここに廓達する時は、則ち自利利他終に尽くすべからず。永祖の大恩、よろしく感戴すべし。 (原漢文)

さて、以下本文についての解説を進めていくが、道元禅師は同巻の冒頭で、存在のありようについて3種類の状況があることを示される。
諸法の仏法なる時節、すなはち迷悟あり、修行あり、生あり、死あり、諸仏あり、衆生あり。万法ともにわれにあらざる時節、まどひなく、さとりなく、諸仏なく、衆生なく、生なく、滅なし。仏道もとより豊倹より跳出せるゆえに、生滅あり、迷悟あり、生仏あり。しかもかくのごとくなりといへども、花は愛惜にちり、草は棄嫌におふるのみなり。

そこで、以下はこの仏法に証入していくための方法が説かれ、また証入した状況についての説示が繰り返されている。万法と自己の関係や、仏道の学び方、そして生死の問題などである。
仏道をならふといふは、自己をならふなり。自己をならふといふは、自己をわするるなり。自己をわするるといふは、万法に証せらるるなり。万法に証せらるるといふは、自己の身心および他己の身心をして脱落せしむるなり。悟迹の休歇なるあり、休歇なる悟迹を長長出ならしむ。

他には、水と月の喩えでもって悟りと自己の問題を示し、自己の知見が極めて限定された事態であることを舟から見た水平線の例えで示し、魚と鳥の喩えでもって修行する学人が、その存在領域を自ら自身で制作するという、行為制作論を示している。そして、現成が生成を含むとすれば、公案は存在の維持を示すことになり、同巻にも「住法位」が説かれる。
たき木、はいとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきあり、のちあり。前後ありといへども、前後際断せり。灰は灰の法位にありて、のちあり、先あり。

末尾には麻谷宝徹禅師が扇子を使った公案を採り上げて、修行の継続性を主張している。
仏法の証験正伝の活路、それかくのごとし。常住なればあふぎをつかふべからず、つかはぬおりも風をきくべきといふは、常住をもしらず、風性をもしらぬなり。風性は常住なるがゆえに、仏家の風は、大地の黄金なるを現成せしめ、長河の蘇酪を参熟せり。

これらからすれば、一概に絶対の真理の現れなどとは理解されず、むしろ、それをそうあらしめていこうとする不断の営みを含んだ、過程的状況であったと思われる。そこで、この巻の主眼は「目の前の公案(問題)」であったと思われ、眼前の現象そのものを師とし、更に問いとして参究すべきであると説かれたのであろう。

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