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【定義】

^貔攴粟犬持っているとされる仏の本性であり、仏になる可能性を意味する言葉である。インド的な文脈では「如来蔵」とも言われる。
道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本であれば22巻、75巻本であれば3巻。仁治2年(1241)10月14日に興聖寺にて弟子達に示された。

【内容】

.ぅ鵐匹任蓮何故釈尊(=如来)が成仏できたかを考える過程で、色々な問題が発生し、例えば部派仏教と呼ばれる時代には、衆生は成仏せず、どれだけ修行が進んでも阿羅漢になるとされた。されど、部派仏教的な修行階梯を批判した大乗仏教では、全ての衆生は菩薩になり、修行満じて仏陀になると考えられた。その時の根拠として考えられたのが、衆生は如来の性質を宿しており、如来の性質があるために仏陀になる可能性を持っているとされた。この「如来の性質」「如来になる可能性」が「如来蔵」と言われるものである。

では、何故これらの性質を持っていても衆生が迷っているかと言えば、せっかく持っている仏性が、自身の煩悩(=誤ったものの見方、考え方)によって覆われているためであるとされ、したがって、修行によって煩悩を取り除けば、如来蔵が輝いて悟りを開くとされた。

さらに、実はこの悟りに到らせる原動力が、如来蔵に宿っているのではないかと考えられた。そして、この考えが長じて仏性となっていく。仏陀への可能性を持つ衆生が悟りを開く「原動力」こそ仏性なのである。

ところで、われわれが普段生きている世界では、本当に全ての人間が悟りを開くことなんて出来るのかという疑問は当時の仏教者も考えたようで、全ての衆生が「仏性」を持っているかどうかは慎重に議論された。しかし、大乗仏教では最終的に『大般涅槃経』「獅子吼菩薩品」にて「一切衆生悉有仏性、如来常住無有変易」と主張し、全ての衆生が仏性を持っている、したがって、悟ることが出来ると高らかに宣言することになる。

道元禅師は、『正法眼蔵』「仏性」巻で、,乃鵑欧拭愨臠勿載儼弌戮痢岼貔攴粟玄粛仏性、如来常住無有変易」を受けて、自説を展開される。ところで、通常であれば「一切衆生、悉く仏性有り。如来は常住にして、変易有ること無し」と読む。つまり、「一切の衆生には悉く仏性があって、如来は常住だから、この事実に変易はない」となって、全ての衆生が仏陀になる可能性を持つことになっていたことが、道元禅師においては「一切衆生、悉有は仏性なり。如来常住にして、無有変易」とされる。ここには、「一切衆生の悉有は仏性であって、如来も常住だから、無や有に変易する」とされることで、「仏性有り」は「悉有」なのであるから、「無に変異する」というのはおかしいのではないかと思うが、道元禅師にとって無仏性とは、衆生が完全に仏性になりきっているために、衆生をもはや仏性と呼ぶだけの違いもない、衆生は仏性であるが故に衆生であるというロジックになる。「無」とは有を超えた衆生と仏性との絶待一体なのである。
ある一類おもはく、仏性は草木の種子のごとし。法雨のうるほひしきりにうるほすとき、芽茎生長し、枝葉華果もすことあり。果実さらに種子をはらめり、かくのごとく見解する、凡夫の情量なり。

さらには、仏性と完全に一体であるから、仏陀になる可能性とも考えられずに、全てが仏陀そのものもであると考えられた。修行していくという原動力だけが,慮彊佞ら活きたことになる。そして修行していること、そのものが仏陀であるというのは本証妙修で明らかにされたことであるので、道元禅師の仏性とは、われわれの修行している事実そのものになる。この事実に於いて、瓦礫だろうと草木国土であろうと、みな仏性である。否、実際には既に仏性であったわけである。
いはゆる欲知仏性義は、たとへば当知仏性義といふなり。当観時節因縁といふは、当知時節因縁といふなり。いはゆる仏性をしらんとおもはば、しるべし時節因縁これなり。時節若至といふは、すでに時節いたれり。

そこで、他にも以下のような公案が収められ、道元禅師の提唱がされている。

・四祖道信 汝何姓
・五祖弘忍 嶺南人無仏性
・龍樹尊者 身現円月相
・阿育王山広利寺 三十三変相画
・潙山霊祐 一切衆生無仏性
・百丈懐海 仏性示衆
・黄檗希運 定慧等学明見仏性
・趙州従諗 狗子仏性
・長沙景岑 蚯蚓両断話

【解説書等】

・酒井得元『正法眼蔵 仏性の巻』大法輪閣・2003年
・安谷白雲『正法眼蔵参究 仏性(新装版)』春秋社・1999年
・西谷啓治『正法眼蔵講話(仏性下)4』筑摩書房・1989年
・内山興正『正法眼蔵仏性を味わう』柏樹社・1987年
・余語翠巌『これ仏性なり『正法眼蔵』仏性講話』地湧社・1986年
・成河智明『正法眼藏(道元を求めて)第3(佛性について)』丸善日本橋店出版サ−ビスセンタ−・2005年

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