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【定義】

眼は横に、鼻は縦に真っ直ぐにあるということ。法が法位に住し、法爾自然の姿にあることをいう。この世界が全て、諸法実相を示している言葉である。なお、道元禅師の言葉として喧伝されることが多いが、中国禅語録に一般的に見られる表現である。

【内容】

この言葉は、「空手還郷」と並んで、道元禅師が帰国時に述べた言葉だとされているが、そのような歴史的事実はない。また、この言葉の典拠は卍山本『永平広録』及び『永平略録』巻1-1上堂である。
上堂山僧叢林を歴ること多からず、只是れ、等閑に天童先師に見えて、当下に眼横鼻直なることを認得して、人に瞞ぜられず、便乃ち空手にして郷に還る。所以に一毫も仏法無く、任運に且く時を延ぶ。朝朝日は東より出で、夜夜月は西に沈む。雲収まって山骨露れ、雨過ぎて四山低し。〈以下略〉

ところが、祖山本では、やや表現が異なり、「眼横鼻直」は無く「空手還郷」だけが確認される。したがって、おそらく本来の上堂語には「空手還郷」のみがあり、「眼横鼻直」は後に校正された段階で付け加えられた可能性が高い。なお、祖山本ではまるで道元禅師が本師である如浄禅師をやりこめて伝法してきたかのような内容だが、ここでは道元禅師の自受用三昧に話が転化されている。おそらく、この上堂の場合は、師を貴ぶ内容への転化こそ改稿の意図であろう。

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