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【定義】

曹洞宗太祖瑩山禅師が「示妙浄禅師」という目的で書かれた仮名法語。全1巻であり、岩手県正法寺に収蔵される『正法眼蔵雑文』に収録されている。瑩山禅師が只管打坐の妙義について説かれた法語として貴重なものである。弟子の妙浄禅師に授けた法語であることから、妙浄が出家した1321年以降の執筆である。

【内容】

本書は、従来全く知られていなかったものの、昭和34年(1959)に刊行された衛藤即応?博士『正法眼蔵序説』の付録として、『正法眼蔵雑文』に収録されている草案本系統『弁道話』と、本書を載せたことにより、公になった。その後は、『続曹洞宗全書』「宗源補遺?」の「常済大師法語集」や『瑩山禅』にも収録された。

本書は、本文末尾の識語に「彼の法語、本校割に見ゆ。文明年中(1469〜1487)の回禄以来これ無く、愚、先哲の古風を恋い奉るの余、これを尋覓し、当庵の常住となすものなり」とするように、文明10年(1478)に正法寺で起きた火災以前から同寺にあったものと理解できる。なお、この識語を書いた者は、正法寺8世の寿雲良椿であり、書写年代は「時に永正十二年(1515)乙亥〈入寂以来百九十四年なり〉八月十五日書写し奉る。もって洞谷開山瑩山大和尚大禅師?の二百年忌辰に報謝するものなり」とあることから、瑩山禅師200年の遠忌に合わせて書写されたものであろう。

なお、内容は大きく五段に分かれており、第一段は自己の本性について、第二段は真実の知について説かれ、清心の行、不措相応を説き、第三段は拈華微笑祖師西来意から無為三昧に親しむべきと説き、第四段は六祖慧能や道元禅師の言葉を引用して待悟為足を否定し、第五段は仏祖不伝の一著、向上宗旨としての坐禅を挙揚し、末尾には『寒山詩』の一句である「泣露千般草、吟風一様松」をもって全文を締めくくる。

道元禅師の『弁道話』からの影響、或いは道元禅師の和歌(『道元禅師和歌集』にも同和歌を収録)を引用しての提唱など、随処にその思想的連続性が確認できる文献であり、また、瑩山禅師が弟子(妙浄禅師)に直接に説かれた教えの内容も理解できる。

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