「んッ……はぁッ、いい……」
ナツミが悶えている。初めて見る、切なげな、女の顔で。
「あッ……いい……そこ、もっと……」
"ちゅッ……かぷッ"
「あ……ダメ……噛まないで……シンジ君、跡が残っちゃう」
城島君が、ナツミの首筋にキスをして……甘噛みした。
言葉では嫌がりながら、ナツミはひどく甘い表情をしている。
城島君はそのままナツミの胸を揉みしだきながら、スカートの中を掻き回している。
「うん……あッ……シンジ君……」
"ごくッ"
思わず唾を飲み込んで、それが実際よりずっと大きな音がしたような気がして私は慌てた。
(城島君…………ナツミ……)
私は、生まれて初めて、覗きなんて行為をしていた。
―――――それも、親友のナツミと友達の城島君が、しているところを。

その日は部活が結構遅くて……稽古を通しでやって、終わる頃には人も少なかったから、
私は一人で舞台関係の装置を旧体育倉庫に運ぶ最中だった。
そこは最近演劇部の倉庫に決定した所で、それまでどこの部活にも使われずに放置されていた。
なにせグランドからも体育館からも結構遠い上にボロボロなので、
誰からも半ば忘れ去られていたのを顧問の緒方先生が強引に演劇部の物にしたのだが、
古くて遠くて不便だというので部員からは大不評の施設で―――
いつの間にか副部長である私が主にここの管理をすることになってしまっていた。
まあ、貧乏くじを引かされたというわけだ。
もう日もすっかり暮れてしまい、元々真昼でも人通りの少ないこのあたりだから、
元々怖がりの私は少し気味の悪い思いを抱きながら倉庫に向かっていた。
そしたら………声が聞こえた。驚いて、最初は飛び上がった私だったけど……

「はあ……あっ………」
そう、そこで私が見たのは城島君とナツミが……倉庫の中で、エッチしているところだった。
「ナツミ……ブラ、脱がすよ?」
「うん……」
"する"
城島君がナツミのブラをとる。形が良くて大きなナツミの胸が露わになる。
体育の時間の前の着替えのときとかにふざけて下着の上から触りあいっことかしたことがあるけど、
生のナツミの胸は本当に、すごく……キレイだった。
城島君が両手でそのナツミの胸を、激しくこねるように揉む。
ぷるり、としたナツミの胸が城島君の手の動きに従って形を変える。
「あッ……くあ……触って……もっと、シンジ君……」
「ナツミ、声おっきいよ……聞かれちゃうって………」
「だって……シンジくぅん……」
潤んだ目で、ナツミが城島君を見つめる。普段なら、絶対誰にも見せない顔で。
ふたりが付き合っている、ってのは私もなんとなくだけど気付いていた。
それまでの、ただの仲の良い友達どうしっていう感じからやっぱり空気が違うっていうか……
ふとしたときに幸せそうに微笑みあうナツミと城島君の間には、
穏やかな愛情みたいなものが感じられたから。
(新井君はそんなことも気付かずに相変わらずナツミにボコボコにされていたけど)
でも、今私が見つめているのはそんないつもの教室で見ていたほんわかとしたふたりじゃなくて、
まるで見知らぬ人のような表情で激しく求め合うふたりだった。
「あッ……ねえ……お願い……シンジ君……」
「……欲しいの?ナツミ……」
「うん……お願い……シンジくうん……」
「なにが欲しいのか、言って……」
「欲しいよお……シンジ君のおちんちん……」
「……じゃあ………」
城島君が学生服を脱ぐ。トランクスをずらすと、中からすっかり大きくなったアレが出てきた。
§


(!!うわぁ…………城島君って………あんなボ――ッとしている風に見えて……)
前カレのより、全然大きかった。初めてアレをみたとき、
グロテスクっていうよりなんだかマヌケなモノに見えたけど……城島君のは、すごく……
"じゅ……"
(え?わ、私……)
股間から、なにか湿った感じがして慌てた。
(嘘……そんな……濡れちゃったの?……)
そう、城島君とナツミのエッチを見ながら……私は、濡れ始めていた。
震える指でそこに添えると、明らかに熱を帯びていた。
(あ……違う……私は、そんないけない子じゃない……)
だけど私のそんな思いとは裏腹に、
私の指はショーツの中に入ると自分の意志を持った別の生き物のようにそこを撫で始めていた。
くちゅくちゅ、といやらしい水音が私のあそこから漏れる。
友達から聞いてオナニーってのを試したことはあるけど、そのときは全然良くなかったのに……
今私はごく当たり前のようにあそこをいじりながら体の芯まで痺れるような感覚で満たされていた。
(あ………はぁ……ダメ……城島君とナツミのえっちを見ながら、こんなことしちゃ、ダメ……私)
ナツミが床の上でよつんばいになると、後ろから城島君が貫いた。
"ず……"
「あ!あああああッ!いい……いい……」
「ちょ、ちょっとナツミ……挿れただけなのに、そんなに締め付けたら俺……」
「は……はぁああ ・ ・ ・ ・ だ、だって……シンジ君の、すっごく大きくて……」
「う……うわ……ダメだって、そんな腰動かすなよ」
「あんッ……うふ……ねえ、シンジ君?気持良い?私の中……」
「あ、ああ……すごく……良いよ、ナツミ……」
「じゃあ……お願い……」
「うん……」
"ぐッ、ずぷッ、ズッ"
「あ……中で……お……きくなって……あ!そこ……当たってる……ア!イイ… のぉ」
「すごいよ、ナツミ……お前の奥、びくびく動いて……あ、い、生きてるみたいに動いて……」
「気持ち……あッ、い……シンジ君……シンジ君」
「ナツミ……俺……もう、このままいっちゃうよ……」
「あッ……私も……イク……のぉッ!あああッ!」
(あ……ああッ!ダメ……私も……いく……イクぅ!!!!)
体中が震える。頭の裏が痺れる。瞼の裏で鋭い光が走る。
生まれて初めて……前カレとのエッチなんて痛いだけだったし、
オナニーでも一回もイッたこともなかったのに……私は、初めて「イク」っていうのを体験した。

「おっはよ〜〜〜ケイ!」
「あ……、おは……よう、ナツミ」
次の日、いつものとおり元気良く挨拶してくるナツミ。私は少しぎこちなくそれに答える。
「どうしたの?私の顔になんかついてる、ケイ?」
「う……ううん、ゴメン……なんでも……ないの」
「?元気ないね……風邪とか?」
ナツミが少し心配そうな表情になって、私のおでこに手をつける。
……優しい。そう、ナツミは優しくて美人で性格もさっぱりしててしっかりものでおまけに強くて……
下級生の女子の間で、ファンクラブがあるって噂があるくらい男女問わずに人気があった。
私も一年の頃から友達だけど、ずっと、ずっと……大好きだった。
でも………昨日の、あれを思い出すと、体の芯から火照ってしまいそうになっていた。
「う〜〜ん、顔も赤いしなんだか熱っぽいよ、ケイ?今日休んだ方が……」
「あ……だ、大丈夫……ゴメン、ナツミ……ちょっと昨日寝不足で……」
そんなことを考えながらちょっとボ―ッとしてたら、ナツミが本気で心配してきたんで慌ててしまった。
「そうなの?でも無理しちゃダメだよ?ケイは真面目すぎるんだから……」
とてもじゃないけど、昨日あなた達を見てオナニーしてましたなんて言えなかった。
……それに、寝不足の原因は……その、夜も……したからなんだけど。
それも、何回も、何回も………
§

「お〜〜〜い、今岡ぁ、わりい、ココなんだけど……」
「もう……宿題くらいキチンとやってこないとダメじゃない、城島君……」
教室では、普段通りのふたりだった。確かに、以前より仲の良い感じだけど……
それでも、ふたりが付き合っているってのに気付いているのはクラスで私くらいだろう。
(………でも)
ナツミは城島君のドコが良かったんだろう、と私は思っていた。
確かに優しそうだけど……だってナツミは本当にもてるのだ。
去年の卒業式のときも何人かの先輩に告白されてるのを見てるし、
同級生に告白されたことだって一回や二回じゃないはずだ。
(?………どこが、良かったんだろう……)
そんなことを考えながら、城島君をじ――――っと見ていたら、
「?木佐貫、どったの?」
「わ!う、ううん……なんでもないの……」
突然彼に声をかけられて、また慌ててしまう私。
……ダメだ、あんなことがあったせいか今日は思いっきりキョドリまくってしまっている。
「あ〜〜今日ね、ちょっと調子悪いみたいなんだ、ケイ」
「あ……そうなのか、大丈夫?木佐貫」
「う……うん、城島君……」
ちょっと心配そうな顔をする城島君。……やっぱり優しい。それに………
(ふうん……でも、こうして見ると……)
普段そんな風に意識してなかった、っていうか私が全然男として見てなかったんだけど……
城島君って顔立ちは結構整ってるし、声も低めで男っぽい。
昨日見た感じだと、裸も案外筋肉質で……その、ソフトマッチョな感じっていうか……
それに……エッチも上手そうだし……もしかして、ナツミもそういうところが良くて……
(※!@?な、なによ、「ナツミも」って……「も」って……)
「……?なあ、本当に大丈夫か、木佐貫?お前赤くなったりブツブツ独り言言ったり……」
「察してやれよ、シンジ。きっと木佐貫、あの日だから……」
「カズヤあああああ!!!!!!!!!!」
"ドシャッ、ベッキ、ブシャアアアアァァァァァ!!!!"
私たちの目の前でいつもどおり新井君の公開処刑が始まる。
すっ、と城島君が私の前に立って目隠ししてくれた。
「こういう怖いのダメだったよな、木佐貫?」
「……ゴメンね、城島君……」
「いいんだけど……はは、しかしカズヤも懲りねえっつーか……」
そう言いながら、苦笑いする城島君。……やだ、本当に優しくて可愛い。
ちょっと気になりかけてきたじゃない……。
「お〜い、今岡、木佐貫の目もあるからそんぐらいで……
って、カズヤもう原型とどめてねーじゃん……しょうがねえな……」
「あ、ごめ〜〜〜ん、ケイ」
爽やかな笑顔のナツミだけど、その足下では新井君が血だるまになっているわけで。
「お〜〜〜い、授業始まるぞ〜〜〜」
小宮山先生が教室に入ってきて、科学の授業が始まった。席に着く私たち。
……でもいつも不思議なんだけど、
さっきまでほとんど再起不能なくらいボコボコにされていた新井君は、
なぜ当たり前のようにケロッとした顔で席に着けるんだろう?
小宮山先生も科学教師なら、彼の回復能力を解析すべきだと思うんだけど。
相変わらず先生の授業は下ネタ満載で始まって下ネタで終わるのだった。
「じゃあ金曜日は井川君からかけるから、しっかり予習しておくように。
あと顔にかけるのは精液だけにしておくように」
………しかしなんでこの人、教師になったんだろう。
それはともかく、放課後はいつも通り部活に行った。
中間試験が近いせいもあってか、今日も集まりが悪い。
そして………やっぱり、舞台装置を片付けるのは私の役割になってしまうのだった。
(……まさか、今日もってことは……だ、大丈夫だよ……ね?)
誰に言うでもなく、呟いていた。
§


「はぁ………あ……はぁん……シンジく………ん」
「もう?………すげえよ、ナツミ……下、ぐっちょぐっちょ……」
「ヤダ……そんなこと言っちゃ、やだぁ………」
「へへ………ナツミってさ、乳首触ると一番反応するよな?感じるんだ?」
「や……そんなこと、ない……もん……」
「そう?じゃあ……」
"きゅッ……"
「あ…………あああッ!」
「へへへ……ほら、そんなすげえ反応してる……やっぱココ、弱いんだろ?」
「あん……やだ。シンジ君、なんでそんなイジワルするのぉ……」
「お前がそんなエッチな顔で可愛い声出すからだよ……なあ、ナツミ?そろそろ俺のも……」
「うん……」
ナツミが城島君の学生服のファスナーを下ろす。中から城島君のアレがまた顔を出す。
なんだか……昨日より、ずっとおっきく感じられるのは気のせいなのかな?
"ぷちゅ……"
ナツミが、一気に城島君のを口に含んだ。
普段のしっかりもので強気なナツミが嘘みたいに……うっとりと、目もうるうるさせちゃって。
「んッ……ふッ、ンぐ……ふ…あ……」
"ずッ……じゅぶ。じゅ……ずっ"
かげになって良く見えないけど、ナツミが私の想像以上にフェラチオ上手なのは分った。
口いっぱいに頬張りながら、涙目になって城島君を見上げている。
……可愛かった。すごく。女の私が見ても、キレイだった。
"ジュう……"
(あ……やだ、私、また………)
………もう認めてしまおう。私は、今日ここに来るとき、少し期待していた。
ナツミと城島君がエッチしているんじゃないか、って。
指をショーツの中に入れる。そこはやっぱりしっとりと熱く、濡れ始めていた。
(あ……あ……)
"くちゅ……ちゅく"
私の中を指が泳ぐ。体が熱くなる。震える。ぐるぐる頭の中が回る。
(ダメ……のぞきながらこんなことしちゃ……見つかったら、ヘンな子だと思われちゃう……)
そんな理性の声が全く聞こえないかのように、私の指はひたすら私の中を踊っていた。
"つぷ………"
ようやく、ナツミが城島君のを口から離す。
「ねえ……シンジ君、もう……我慢できない、私。お願い、ちょうだい……」
「ああ……」
城島君がコンドームの包みを取り出して破ると、それを自分のにつけた。
(あ……あ……おっきい……城島君の……)
城島君が私を貫くのを想像する。私が優しく城島君のものを口に含むのを思い描く。
「いくよ……ナツミ……」
"ず………"
「んッ……あ……はあああぁぁ」
「入ったよ……ナツミ」
「あッ……熱い……シンジ君の……おっきくて……熱いぃ……」
「う……熱いのは……ナツミの、体と……なかだよ……あ……」
ナツミがいやらしい顔で乱れる。城島君が切なげな声で喘ぐ。
(あ……いい……私も……いい)
二人が体を離すのを惜しむようにお互いの体を絡め合う。舌先をもつれさせるようにキスをする。
ナツミが彼の上に乗って縦横斜めに腰を振る。二人のつながったところからエッチな音が漏れる。
「ゴメン、俺…………そろそろ……いくよ、ナツミ……」
「………んっ、アッ、はああァ……私ももう……いい……来て、シンジ君…」
「あッ……ああッ!!!」
(ああッ!はあああッ!ナツミ……城島君ッ!!私も……私も、ああッ!!!)
ふたりが達したのとほとんど同時に、私も達していた。
指の股にべっとりとエッチな液がついていた。腰が抜けちゃうかと思うくらい、気持ちよかった。
§

それからも………私は覗きを繰り返すようになった。
城島君とナツミがここでするのは風紀委員のある日って決めているらしく、
水曜日と木曜日の七時くらいになると、旧体育倉庫に来て………
(ダメ………ダメだよ、こんなの……今日で、終わりにしないと……)
ここに来る前は、いつもそう思っているのに。止めようと思っているのに。
私は、その日になるといつの間にかそこに足を運んでいるのだった。

「あッ……はああッ……、シンジ君……そこ、いい……」
「ナツミ……こう?」
「あぐッ、そう。そこ………ああ……」
(あ……あッ、ナツミ……城島君……いい…私も……)
そして、二人の激しいセックスを覗き見しながら、オナニーして果てるのが日課になっていた。
―――ふたりのセックスを見ていると―――
普段は頼れるお姉さんタイプのナツミが、実は結構甘えんぼなMっぽいセックスをするのだとか、
ちょっと頼りなさそうな城島君がセックスの時はムチャクチャ激しくてリードするタイプなのだとか……
普段教室では見せない、意外なふたりの顔が見れてそれでまた私は興奮してしまうのだった。

みんなの知らないふたりを、私だけが知っている。
みんなの知らないエッチなふたりを、私だけが………

そう思いながらするオナニーは、今までに感じたことが無いくらいのものすごい快感で―――
私はそれを繰り返しながら、いつしか自分が病みつきになり始めていることに気付いていた。

「はぁ………シンジ君……いい……そこ、擦れて……」
「こう?ナツミ……」
その日も、私はふたりのセックスを覗いていた。
(……ええと……あれって確か、松ぼっくりじゃなくて……そうだ、松葉崩しって……)
ふたりが、折り重なるような体位のまま交わっている。
「あ……はぁッ……そう……お願い……あッ、シンジ君、動かないで……」
「そう言ってもさ、ナツミ……お前の中、熱くって……溶けちゃいそうだから……」
「んっ……だってえ、シンジ君……」
甘えるような表情で、ナツミが城島君を見つめる。女の私から見ても、すごく色っぽい。
(ナツミ………こんな表情を、するんだ……)
あの日以来、何度もふたりのセックスを見てきたけど、
こんなにとろけるような顔をしたナツミは初めてだった。
………違う。私の前だけじゃない。友達の前でも、誰の前でも……
こんな表情を、ナツミは見せたことがないはずだ。ナツミのことを、私は……私は……
(…………………え?)
どきり、とした。城島君に、嫉妬していた。
(…………?違う、どっちに………)
親友のナツミをとったから?それとも、城島君のことが気になりかけているから?
でも、それでナツミに嫉妬するのは分るけど、私は、なんで城島君に………

「ねえ……ケイ?そこ、人が来たりしたら危ないよ?」
「!!!!!えッ?????」

そんなことを考えながら、混乱してしまっていた私だったけど………
気が付くと、ドアの手前……私のすぐ目の前に、ナツミが来ていた。
「??!?あ、あの……な、ナツミ………」
「ホラ……いいから、入って……」
いつの間にか下着をつけて軽く制服を羽織ったナツミは、
私の手を取ると倉庫の中に強引に引き入れた。
「あの……ナツミ、あの……私……ゴメン……」
「いいからいいから。いつも私たちのしてるの見てたでしょ、ケイ?」
!!!!!!!!!!バレてたんだ!
§


「あ、あれは……えっと、演劇部の片づけにきたらね、あの……あなたたちが……」
「ふふ……でも、何回も……何回も見てたよね、ケイ?そうでしょ?」
「あ…………」
責めるような感じじゃなく、子供がイタズラしたのをからかうような口調だった。
それが全部事実なものだから、私は真っ赤になって言葉を失うしかなかった。
「それくらいにしとけって、ナツミ。木佐貫が可哀想だろ」
「いいから……うふ……ねえ、ケイ?怒ってなんてないから聞いてもいい?」
無言で私は頷く。
「ケイ………シンジ君のこと、好きなの?」
「!………私は…………私は……」
好きだった。あのことがあってから、ここでのふたりのセックスを覗き見るようになってから……
いつの間にか、私は教室で城島君のことを目で追うようになっていた。
自分の気持ちに気付いた私は、ナツミの言葉にこくり、とまた無言で頷き返す。
(でも………違う、それだけじゃ……)
「ホラ〜〜〜、やっぱそうだったじゃない、シンジ君?」
「え?」
「………そうだったの、木佐貫?」
「ははは、ゴメンね、ケイ。だってシンジ君たら、
ケイは自分じゃなくて私の方を見てるなんて言うから……」
「いや、だって木佐貫さ、なんだか俺じゃなくてナツミの方ばっか見てる感じだったから……」
胸が、痛かった。城島君には………分っていたんだ。この人は……鈍そうに見えて……
「違うの…………ナツミ」
「?どうしたの、ケイ?」
「私……私、城島君のことも好きだけど……ナツミのことも、好きなの」
「………え?」
ついに、言ってしまった。今まで喉につかえていたなにかを吐き出すように……私は、話した。
「どうしよう、って思ってたの。私……城島君のことが気になっていたのもほんとうだけど、
ナツミのこともずっと……ずっと、好きになってた。ふたりがするのを見て……
すごく……すごく、ドキドキして……ふたりとも好きで……城島君が好きで、ナツミも好きで……
どうしよう、私、ヘンなのかな……私、おかしいのかな……」
止まらなかった。涙を流しながら、話し続けるしかなかった。
"ちゅ"
「え?」
ナツミが、優しく私にキスしてきた。
「私も、好きだよ?ケイ」
「ナツミ……」
にっこりと微笑むナツミ。女の子にキスされたのは勿論初めてだったけど、全然嫌じゃなかった。
「俺も……俺たちも、木佐貫が好きだ」
そう言うと、城島君がふわり、と私の頭を撫でる。
「俺らさ、木佐貫が覗いてるのに気付いてたんだけど、でもなんか……嫌じゃなくて。
それどころか、見られてる、ってのでスゲー興奮したりして、その……良かったりしたんだ。
なんていうか……もしかして、俺らって変態なのかなって思ったりして……」
「ふふ……最初はさ、すごく驚いたんだけどね。あの清純派でお姫様のケイが、
私たちのセックスを覗きながらひとりエッチしてるなんて、って思って」
「あ……それも、バレてたの?」
かあああっ、と恥ずかしさで身が縮まる。体が熱くなる。
「俺はでもさ、やっぱり木佐貫はナツミのコトを見てるんじゃないかって……」
「私はシンジ君のことを好きなんじゃないかって思ってて……でも、そっか。
ケイは私のこともシンジ君のことも好きなんだ?ふふ、私たちのセックス、気持ち良さそうだった?」
「……う、うん」
「うふ、可愛い、ケイ……」
ナツミが私をぎゅっと抱きしめる。さっきまで城島君としていたせいか、
ほんのり汗ばんだ匂いと、レモンっぽいフレグランスの匂いが混じって、すごく良い香りがした。
「ねえ?ケイ……じゃあさ、三人で……してみよっか?」
「え?」
§


「お、おいナツミ!いくらなんでもソレは………」
「い・い・の。うふ……ケイ?」
"ちゅ……"
ナツミがもう一回キスをしてくる。うっとりとするくらい、柔らかい感触。
「ふふ、こんなこと言いながらさ〜〜、シンジ君ったら、
最近ケイのことが気になってしょうがないなんて私の前で言ったりしてるのよ?」
「!!!!!」
「※!&!!だ、だからナツミぃ!!!!」
「いいじゃん、ホントのことなんだし。失礼だよね〜〜?こんな可愛い恋人がいるってのに、
無神経に他のコが気になるなんて堂々と私の前で言うんだからさ〜〜〜」
「あ、あれは……その……」
楽しげに、ナツミが城島君を責める。でもそれは私に対する嫌味とかじゃなく……
純粋に、恋人同士がじゃれあってるみたいな、なんとなく微笑ましい光景だった。
「だからね、ケイ?私は前からケイのことが大好きだったし……
シンジ君も好きだって話なんだから、なにも問題無いと思わない?」
「……あのな、問題は大ありだと……」
「いいの!もう、うるさいこと言わないで……はい、シンジ君?」
くい、とナツミが私の顎の先をつまんでシンジ君に差し出す。
「ケイってさ、実は……一時期軽い男性恐怖症だったんだ」
「……え?そ、そうなの?」
「………うん」
少し迷ったけど……私は頷いた。
それは、親友のナツミにしか話したことがなかったけど……紛れもない事実だった.。
「前に付き合ってたヤローがね、キスもセックスも全部自分のしたいようにやるっていう、
すごい自己チュー野郎だったみたいなのよ。おまけに束縛もキツかったみたいでね。
ホラ、ケイって真面目で大人しいから、そいつの言いなりになって……
結局嫌になって別れたらしいんだけど、一時期男の子と話すのさえダメになってたんだから」
……二年の頃、付き合ってた演劇部の先輩のことだ。
部活で一緒にいる分には、そんな強引なところも男らしく思えたし、
少なくともふたりっきりでいる分には――特に、セックスをする前は優しくしてくれた。
けど、セックスが終わってしまうと面倒くさそうに冷たい目を向けるところや……
自分が合コンに行ったりするのは平気なのに、
私がナツミと遊びに行くのにさえいちいち報告を義務づけたりだとか。
そんな自分勝手なところに疲れて別れてしまったのだった。
それ以来、確かに私は恋愛に臆病になってしまったのかもしれない。
「………そうだったんだ、木佐貫」
「だからね、シンジ君と私がケイに教えてあげようよ?恋愛は楽しいってことや、
ホントはキスやセックスってすごく気持ち良いってことを」
「でも、それとこれは……」
「いいから!はい、ケイ……シンジ君、結構キス上手だから任せて………」
ためらったけど、ナツミの言葉に従って唇を突き出して城島君を待つ。
迷っている城島君だけど、私は目を閉じて彼が来るのを待つ。
"ちゅ"
いくらか時間が空いたけど、さっきのナツミの唇とは違う感触が私の唇に触れる。
少し冷たくて、固くて、でも心地よい。
"ちゅ……つ"
城島君のものだろう手が私の肩に回され、軽く抱かれる。
彼の唇が私の唇を弱く吸い出す。ちろり、と舌先が私の唇を舐める。
ちょっとくすぐったくて、気持いい。
"ちゅ……んむぅ……"
優しく舌先が私の口の中に入ってくる。舌と舌が絡まる。
彼の薄い舌がゆるやかに私を誘う。一転、貪るような勢いで舌を吸われたとたん、
私のなにかがくにゃり、と溶けたような気がした。
「あ………」
体中から力が抜けて、思わず城島君に体を預けてしまっていた。
§
「ふふ……どうだった?ケイ、シンジ君のキス……」
「あ、あの………えっと……」
「気持ち良かったでしょ?最初っからキスだけはすごく上手だったのよね〜〜〜。
私の前に誰かに仕込まれたんじゃないかって疑ったくらい」
「あのなあ、ナツミ……俺はお前が初めてだってなんべんも……」
「ま、そんなことはどーでもいいから。良かったでしょ?私のキスも、シンジ君のキスも」
「……うん……」
「ふふ、やっぱり可愛い、ケイ……じゃ、続きしよっか?」
そう言いいながら、ナツミは服を脱ぎ始めた。
「で、でも……」
「いいから……あのね、ケイ?なんでシンジ君のキスが気持ち良かったか分る?」
「?」
「シンジ君はね、自分も気持ち良くなりたいけど、
ケイにも気持ち良くなって欲しいって思いながらキスしてるからなのよ。
多分ケイの前カレはさ、自分が気持ち良くなりたいだけだったんだと思うの。
セックスも一緒。私はね、ケイにもセックスで気持ち良くなって欲しいの。
シンジ君のセックスは優しくて、すごく気持ち良いよ?」
自分の服を脱ぎ終えると、ナツミは私の制服のリボンをほどき、
服を脱がしてゆく。シャツを、スカートを、ブラを……
「あの……ナツミ、でも、ヘンだよ……普通じゃないよ、さ、三人でなんて……」
「ヘンでも、いいじゃない」
にっこりと笑って、ナツミが言う。
「それに普通だから良いってもんじゃないでしょ?現にあんたの前カレだって、
世間の男からしたら普通だったかもしれないけど、ケイにとってはダメだったわけでしょ?
普通じゃなくたって良いのよ。ケイがセックスの良さに気付いてくれれば……ホラ、シンジ君」
「あ、ああ……」
"ちゅ……るぅ〜〜〜〜"
おずおずとだけど、城島君が私の首筋にキスをする。そのまま舌を這わす。
「は………はぁん……で、でも……」
「木佐貫……可愛いよ……感じてる木佐貫の顔、すごく可愛い」
城島君がそう言いながら私の胸を揉む。
"つう……"
城島君に揉まれながら、ナツミが私の乳首に舌を這わす。
「あ……ダメ、ナツミ……」
(女の子に……女の子にそんなとこ舐められてるなんて……)
頭ではそう思う私だけど、体は痺れたように動かなかった。
「可愛いわ……ケイのおっぱい。ふふ、良くさ、更衣室で触りっことかしたよね?」
「あ、あれは……でも……」
「いいな〜〜〜、女同士ってそんなことしてんのか……」
「あら?だったらシンジ君もカズヤとすればいいじゃない。おちんちんの触りっことか……」
「それは、マジで勘弁だ」
「……くすくす……」
なぜだろう、こんなにヘンなことをしているのに。ナツミと城島君のふたりにかかると、
全然緊張感が無くなってしまう。私も裸にされてふたりに撫でまわされているっていうのに、
城島君の言葉に思わず笑いを漏らしてしまっていた。
「ふふ、じゃあシンジ君?ふたりで……」
「ああ……」
"ちゅ"
"つッ"
ナツミと城島君が、それぞれ私の左右の乳首にキスをしてきた。
「ふわあ……」
からだが震え、言葉にならない吐息を漏らしてしまう。
"ちゅぷ、ねろ〜〜〜"
"ぷきゅ、つっぷ"
ふたりの舌が私の乳房を這い回る。あんまりに気持ち良くて、思わず弓なりにのけ反ってしまった。
§

「あ…ああ……」
「……大丈夫、怖くないから……感じて?素直に、気持ち良くなってね、ケイ……」
"つる〜〜〜"
ナツミの舌が、私の胸の……おっぱいの、裏を這う。
「あ……ダメ、ナツミ……私、汗かいちゃってる……」
「うふ……そうね、少し……しょっぱいかな?でも、良い匂いだよ」
「木佐貫……恥ずかしい?」
「だ……だって、城島君……」
「へへ……恥ずかしがってる木佐貫も良いな」
"ちゅ〜〜〜〜ッ"
城島君は……乳首を舐めたあと、胸のうえをゆっくりとカーブを描くようにして舐めてきた。
恥ずかしくて、くすぐったくて、でもものすごく気持ち良い。
「コラ!シンジ君、ケイをいじめないの!真面目にヤりなさい!」
「へいへい、姉さん……」
ふたりがくすくすと笑い合う。こんなことをしているのに、
なんだか小さな子供がいたずらをしているみたいに無邪気な笑顔だった。
「じゃ……真面目にヤりますか、木佐貫?ちょっとゴメン……」
「え?あ………あッ、ン……ダメ、跡になっちゃう」
"ちゅ〜〜〜〜"
城島君が肩にキスをしてきた。今度は、少し強く吸い出すみたいに。
「へへ……見つかったらさ、蚊に刺された、ってことにしておいてよ。ここだけにしとくから」
「で、でもぉ……あ、ん……やん、城島君のイジワル」
「大丈夫……肩なんて、そんなに見えないから……それじゃ……」
"ちゅ……ちゅッ……かぷッ"
肩から……首を、顎を、頬を、丁寧にキスしていきながら……
城島君が、耳たぶを口に含んで甘噛みした。
「あ……」
彼の口の中の温かさと―――わずかに伝わる、甘い痛みに、ぞくぞくしてしまう。
「ふふ……上手になったねえ、シンジ君……それじゃ、私も遠慮無く……」
楽しそうに城島君と私を見ていたナツミが、舌先をまたゆっくりと下降させていった。
"つる〜〜〜〜〜〜ッ"
「あ………ふわああ……」
おなかの中心を沿うように舐められ、くすぐったさで震えた。
「ん〜〜〜、ケイらしいねえ……おヘソもキレイにしてるわ。毎日キチンと洗ってるのね?」
「う……ウン」
「感心感心。シンジ君なんてさ、おヘソのごまを取るとおなか壊すなんて子供みたいなこと言って、
汚いまんまにしてたのよ?おヘソのごまってただ垢が溜まってるだけなのにねえ〜〜〜」
「ちょ!な、ナツミ!木佐貫にそんなこと言わなくても……」
「あはは、慌てないの、シンジ君。いまさらカッコつけようとしても無駄だし」
「……ぷっ、くふふ、そうだったの?城島君」
「……かなわねえな、女ふたりがかりで俺を責めなくても……」
責められてるのは私だと思うんだけど。でもなんだか、
城島君をナツミとふたりでからかってるみたいで楽しい。それに照れてる彼の顔も可愛い。
「それじゃ、シンジ君のと違ってキレイなケイのおへそに……」
「え?……きゃあッ!くすぐったいよ、ナツミ」
ナツミが、ちろりと舌を出すと私のおヘソを舐めてきた。
「ふふ〜〜、匂いもしないし、本当にキレイにしてるのね、ケイ」
「あん……ダメよ、ナツミ」
「くすぐったいの?木佐貫」
「え……あの、くすぐったいだけじゃなくて……えっと……あん、城島君もそんな……」
城島君が後ろに回ると、肩を口に含んだまま、ゆっくりと私の胸を揉み始めた。
「気持いいでしょ?ケイ」
「だ、だから……」
「次は……ケイ、いいね?」
「え?あ……それだけは、ダメ……」
§


ナツミが私のショーツに手をかける。
慌ててそれを止めようとするけど、あっという間にずり下ろされてしまった。
「んふふ〜〜。毛、薄いのね、ケイ」
「そ、そんな……」
「でもその方が見やすくていいわね……うふ、可愛いわ、ケイのあそこ……」
"ちゅる"
「あ……!だ、ダメ。そんなの……や、ん、はずか……しい」
そこを舐められるなんて、生まれて初めてのことだった。それに女の子にされるなんて……
あんまりに恥ずかしすぎて、思わずナツミの頭を両脚ではさんでしまった。
「ダメよ、ケイ?する前にはね、こういう風にキチンと前戯をしておかないと、痛いだけだよ?
……あれ?まさか前カレって、こういうの全然してくれなかったの?」
「う……ウン。だって恥ずかしいし。それに、私ってあの……濡れにくい体質みたいで……
指を使われても、痛いだけだったし……だから、えっと……ローションとか使って、
なんとかしてたんだけど……でもやっぱり私が痛いって言っても、無理にしようとしてきて……」
「なにソレ、最低じゃん!」
「……木佐貫、それってさ、精神的にキツくなかった?」
「でも、濡れない私が悪いんだし……」
「可哀想だな、ケイ……」
ものすごく……悲しそうな顔をしたナツミが、私を見上げていた。
「ケイ、そんなことで自分のことを責めなくていいのよ?
セックスってのは基本男と女の共同作業なんだし、
濡れなかったのはあんたの前カレがドヘタだっただけよ。ホラ……」
"つ……"
「あ……」
ナツミの指が、私の裂け目を沿うように撫でた。ちょっと冷たくて、ふわふわした指の腹の感触。
「ねえ分る、ケイ?もうちょっと湿ってきてるよ?ケイが濡れにくいなんてことないと思うよ」
「………私、あの……ずっと、自分がそういう体質だと思ってたからセックスが苦痛で……
オナニーとかしてみても全然気持ち良くなかったし、それでセックスも彼も嫌になっちゃって……
けど、ふたりがしてるの見てすごく気持ち良さそうで、生まれて初めてオナニーであの、
イクって感じになって……それでくせになっちゃって……ふたりを、見てたの。あの、ゴメ」
"ちゅ"
私の言葉が終わらないうちに、城島君が唇を重ねてきた。
「城島君……」
「もう謝らなくていいよ、木佐貫。俺らはさっきも言ったけど全然嫌じゃなかったし。
それに……ナツミじゃないけど、そういうの聞くと、俺も木佐貫にもっと気持ち良くなって欲しいよ」
「ケイ?だから私たちにまかせて。恥ずかしがらないで、怖がらないで。
ケイはただ感じて、気持ち良くなってくれればいいから……」
"ちゅぷ"
ナツミの舌が、再び私のそこにつけられる。もう抵抗する気はほとんどなくなっていた。
"ぴちゃ、ぴちゃ……"
「あ……ひあ……」
敏感な場所を舐める、ナツミの舌のざらりとした感触に声が漏れて全身が硬直してしまう。
「本当にキレイよ、ケイのココ……これでセックスが嫌いなんてもったいないくらい」
「……なあナツミ、それって関係ないんじゃないか?」
「ふふ〜〜、そんなこと言ってるけどシンジ君?本当にすごいキレイなんだよ?」
「ほう……どれどれ……イテッ!」
「まだダメ!!ケイだってシンジ君に見られるより、同じ女の私に見られた方が抵抗ないでしょ?」
「あの……男でも女でも、こんなところを見られるのはやっぱり恥ずかしいんだけど……」
「はは、そりゃそうだ……というわけで……イテッ!だから殴んなって、ナツミ!」
「ダメだって言ってるでしょう!シンジ君はまだおあずけ!」
「……へ〜〜〜〜い」
しょんぼりとしたシンジ君が可笑しい。
ナツミは彼を見て満足そうな表情をすると、また私の股間に顔をうずめてきた。
"ちゅ……ぷちゅ"
「あ……ひゃ、ひッ……」
§


舌が私の中に入ってくる。そしてナツミの唇の柔らかな感触。軽く吸い出される。
ナツミがいったん口を離して舌先を出すと、それで敏感な場所をつんつん、とつついてきた。
「ひぅ……いッ……」
背中に電流が駆け上るみたいな感覚。それに城島君も、私の胸を揉みながら頬を舐めてきた。
「可愛いよ、木佐貫……すげえ……えっちな顔でカワイイ……」
「あ……い……ああ……」
ナツミが舌を丸めて私の隙間の奥を埋めるようにしてまさぐる。
「ホラ……溢れてくるよ、ケイのココから……自分でも分るでしょう?」
「や……そんなこと言わないで、ナツミ……」
「まったく、こんなに感度の良いケイを濡らさないなんて、男として失格ね。
シンジ君もそう思うでしょう?」
「……その前カレって人がさ、どんな人か知らないわけだし、簡単にその人のことを否定しちゃうと、
逆に木佐貫が可哀想だから言わないけど……でも、無理矢理するってのは酷いと思うぜ。
そのせいで男にもセックスにも嫌な感情を持つようになったんなら、なおさらさ」
「……ありがとう、城島君。私ね……このこと、ナツミにしか言ったことなかったんだ。
ずっとずっと……悩んでて。でも解決できなくて……」
「その……本当は俺も、気付いてたんだ。いや、なんとなくっつーか……」
「え?」
「ふふふ、シンジ君ね、こんな風にニブチンに見えて意外と鋭いところもあってね。
ホラ、5月くらいだったかな?ケイがさ、例のカレと別れて一時期落ち込んでたでしょう?」
「う、ウン………」
「もうあの頃私たち付き合ってたんだけど……シンジ君、ケイの様子に気付いて心配してて。
『なにかあったのか?』って何回も私に聞いたりしてね」
「……そうだったの」
「だってあの頃の木佐貫ってさ、俺やカズヤが話しかけても露骨にビクビクしてたろ?
そりゃ嫌でも気付くさ」
あの頃……前カレと別れた頃は精神的にもかなり参っていた。なにしろ最後に言われた言葉が
『お前といるとさ、白けるんだよな。特にセックスのとき。
痛がってばっかでこっちまで萎えてくるっつーか』
だったし。本当に……しばらく立ち直れなかったくらい、ショックだった。
いくら酷いことを言われても私は……まだやっぱり少しは好きだったから。
―――もし私が、もっとセックスのことを好きな女の子だったら、
もしかしたらあの人もずっと優しいままでいてくれたんだろうか?
もっとAVに出てる人みたいに乱れたり、気持ち良くなれたら―――
そんなことを毎日考えて、自分が嫌になってしまっていた。
「ゴメンね……城島君、私……私……」
あの頃のことを思い出して、私は……それ以上話すことができず、涙が出てきてしまっていた。
"ちゅ……"
城島君の唇が、頬を伝い落ちる前の私の涙を受けとめた。
「泣くなよ、木佐貫」
「城島君……」
「木佐貫はさ、本当にお世辞抜きで美人だから、もっと笑って欲しいってずっと俺も思ってたんだ。
昔のこととか思い出させて悪かったけど、でも俺は……そんなことを早く忘れて、笑って欲しい」
「うん……」
「ねえ、ケイ?もう大丈夫?」
「うん。ありがとう、ナツミ」
「本当にもう、ケイを泣かせちゃダメじゃん!シンジ君」
「悪い……ナツミ」
「ふふ、じゃ、そのお詫びとしてケイを思いっきり気持ち良くしてあげてね?はい!」
そう言ってナツミが城島君に差し出したのは、小さな四角形の包み。?あ、もしかして……
「で、でも……マジでいいの?今日いきなりだと木佐貫だって心のじゅ、準備が……」
「大丈夫だよね、ケイ?シンジ君なら……絶対怖くないし、痛くないからできるよね?」
迷うことはなかった。私は、出来る限りにっこりと笑って――でも多分泣き笑いの、
すごくマヌケな顔だったと思うけど――城島君に頷いた。
「よろしくお願いします、城島君……私の、セカンドバージン、もらって下さい」
§

「んふふ〜〜〜♪どう、シンジ君?小笠原高校全男子生徒憧れの的、
ケイ姫がここまで言ってくれてるのよ?これを断るなんてできないよね〜〜?」
「そ、そんな……変なこと言わないでよ、ナツミ」
「だってホントのことじゃん。文化祭以来あんたを紹介しろって何人の男子に言われたか……」
「あれは……一時的なものだもん。ナツミだって二年の頃とか、
同級生や先輩にモテまくってたくせに……」
「それは中身を知らないからだろ?外見は確かに可愛いけど、
ナツミがどんだけ怖い女の子か知らないから……ごふッ!!!!!」
表情だけ笑顔のまま……ナツミの肘鉄がきれいに城島君のおなかに決まった。
「本当にぜいたくよね〜〜〜?こんな美人ふたりとエッチできるってのに、
それでも文句たれるわけ?シンジ君?」
「ごめんなさい、もう言いません、ナツミさん……ところで、なあマジで……いいの?木佐貫」
「うん……私、このままじゃ、いけないって思ってたの。だから……えっと、自分を変えるために……
ううん、それだけじゃなくて……私も、城島君が好きだから……抱いて欲しい、です」
上手く言えなくて、敬語が混じっちゃった。それでも城島君は、真剣な表情をして聞いてくれた。
「なら、遠慮なくするけど……前カレの時みたいに、痛いだけなら言ってくれよ?すぐに止めるから」
「う、うん……お願い、城島君」
城島君がナツミから例の包みを受け取って封を破り、中身を取り出す。
そしてなぜか私たちに背を向けてそれを装着しはじめた。
「???ねえ、ナツミ?城島君っていつもは普通につけてるよね、アレ?」
「あはは……照れてるのよ、シンジ君。ま、確かにアレをつけてる格好って結構マヌケだしね〜〜」
「分ってるなら勘弁してくれよ。お前俺がコレつけるときいつも面白そうに見てるだろ?」
恥ずかしそうな城島君の声が聞こえる。
「あ〜〜確かにね。でもね、私はアレをつけてるときのシンジ君の顔、嫌いじゃないよ?
なんだかすごく真剣なんだけど、やってることがアレっていうギャップに萌えるっていうか」
「そりゃ真剣にもなるさ。だって失敗しちゃったら、お前を傷つけるかもしれないわけだし」
私とナツミは顔を見合わせて、笑うのを堪えた。
――どうしてこの人は、こんな、ちょっとズレた優しさを堂々と口にできるのだろう?
そんな思いをふたりとも抱きながら、必死で笑うのを堪えた。
「よし、っと。木佐貫?いい?」
「う、ウン……あの、ナツミ?」
「あ、やっぱりまだ怖い?ケイ?」
「ううん……そうじゃなくて……あの、ゴメンね?城島君を、ちょっとだけ、借ります」
「うふ〜〜もう、可愛い!ケイ!」
そう言いながら、ナツミが抱き付いてきた。ナツミのからだは、すごくやわらかくて気持ち良かった。
「あのな……女同士であんまり盛り上がられると、俺、入って行きづらいんだが……」
「そこは男のテクニック次第でしょう〜〜?ま、シンジ君じゃまだ無理か……
じゃ、バッチコ――イ!ってことで、いいね?ケイ」
ナツミがそう言うと、シンジ君にウィンクした。
そのまま私は……彼を待った。恥ずかしいけど……でも……
「それじゃ……」
城島君がこっちに振り向く……!!!!わあ、やっぱり間近で見ると……
「ケイ??」
「あ、ゴメン……ねえ、ナツミ?」
なるべく城島君に聞こえないように、ナツミの耳元で囁く。
「?」
「偉いよね、ナツミは……こんなおっきい城島君のを毎日挿れられてるんだから」
「あのね、毎日ってわけじゃ……え?シンジ君のってやっぱ大きいの?」
「う、うん。少なくとも前カレのより全然大きいし、太いと思う」
「あ〜〜〜やっぱり?私もホラ、彼が最初の男の人なもんだから……
最初の頃はね、裂けるんじゃないかと思ったくらいで……そっか、アレは私のせいじゃないんだ……
って?じゃあ、私、シンジ君のせいでガバガバになっちゃったのかな?」
「……あのなあ、聞こえてるぞ、お前ら」
呆れたような顔をする城島君。
「ゴメ〜〜〜ン、でも、君のがご立派なのは確かみたいよ、シンジ君?」
§


「喜んでいいのか悲しんでいいのか……」
「あ!ねえ、ケイ?前カレと最後にしたのいつ?」
「え?た、多分……半年前くらいだと思うけど」
「それは……危険かも?いい、シンジ君?なるべく……ううん、全力で優しくするのよ?
ただでさえ君のはデカイんだから、セックスに恐怖心を持っているケイには……」
「………俺はケダモノか?」
「ぷッ……くすくす」
情け無さそうな顔をする城島君が可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「う〜〜ん、でもケイはリラックスしてるみたいだから良いか?じゃ、シンジ君?」
「あ、ああ……いくよ?木佐貫」
「はい………」
城島君が、私の両脚をゆっくりと開いた。そしてナツミが私のあそこに指を添えて開く。
「おわ……ホントだ、マジですげえキレイだな、木佐貫のココ……」
「でしょう〜〜〜?シンジ君?ほら、もうキチンと濡れてるから準備オッケーだし」
「や……嫌、恥ずかしいよ……そんなこと言わないで……」
「いや、ナツミのも可愛いと思ったけど、コレは……マジでピンク色なんだな」
「コラ!感心してるだけじゃダメでしょう、シンジ君!」
「わかった……じゃあ……」
小さく震えながら、彼が来るのを待つ。はじめにちょこん、と硬いものが私の先端に触れて――
"ぐッ………ず"
「あ……あああ!!!!」
城島君が、私の中に入ってきた。やっぱり、彼のが大きいせい?
まだ全部入ったわけじゃないのに、すごい圧迫感……
「ゴメン……痛い?木佐貫」
「う、ううん……違うの、城島君……あの……久しぶりのセックスで、
体がビックリしちゃったみたいな感じっていうか……」
「大丈夫?ケイ?」
きゅ、っとナツミが手を握ってくれた。
「うん……大丈夫、大丈夫だと……思う」
「えっと……しばらくこのままでいる?」
「無理しないで良いのよ、ケイ?」
「う、ううん……もう、大丈夫……来て、城島君」
「……いいのかな?」
確認するように私を見た後、心細そうな表情で城島君がナツミを見る。
「心配しないで、城島君。私……もっと、あなたとつながりたい」
ちょっと不安そうだったナツミが、私の言葉を聞いて―――
"ちゅ"
微笑んで、私に軽くキスしてくれた。そのまま、城島君に頷き返す。
「良いみたいだよ、シンジ君。ケイ、確かに痛そうだけど……でも、きちんと潤ってたし。
大丈夫だよ……私たちは……三人で、お互いに求め合っているんだから」
「あ、ああ……じゃあ、いいね?」
「うん。お願い、城島君……あなたを、早く。私の、中に」
切ない思いをこめて、上に重なった彼を見つめる。
「……あの、マジでやべえんだけど、木佐貫」
「?」
「前から思ってたけど、木佐貫の、その上目遣いって激萌えなんだよな……」
「あ、あの?どういう意味?」
「いや、お前のその視線って……すごく男の保護意欲そそられるっつーか。
冗談抜きでお姫様なんだよな」
「そ、そんなこと………」
「コラ!してる最中になに言ってるの、シンジ君!」
「あ……わりい。じゃ……あの、木佐貫?改めて……」
「はい……」
私は、静かに目を閉じた。城島君が、入ってくるのを待った。
"ぐッ……ずるぅ"
§


「いッ……い……た………はああぁ!!!!」
彼が動いて、私の奥へと―――入ってくるのがわかった。
熱い塊が、私の体を裂く。唇を必死で噛みしめて、嗚咽を堪える。涙が、滲む。
初めてのときの痛みを思い出す。………痛い。
痛いけど、でもこれは―――痛さより、これは、なんなんだろう?
今までぽっかり空いていた、心とカラダの隙間をみっちり埋められてるみたいな、感覚?
「き、木佐貫……」
城島君が私の様子を心配して、腰を引こうとする。
「ダメ……止めないで、城島君……私、私……もう、逃げない。逃げたく……ない」
必死で痛みを堪えながら、彼の腰に両腕を回して力任せに引き寄せた。
"ぐ……ずぅッ!"
次の瞬間、城島君のが思いっきり私の中にめりこむのを感じた。
そして……私は、私の肉体全てが彼で埋め尽くされてしまうような錯覚を見た。
「城島君……あ……城島君……今……私と、あなた……」
痛みに耐えながら、聞いた。
「木佐貫……つながってるよ、俺とお前……溶けそうなくらい熱くて、ムチャクチャ気持良い」
「嬉しい……」
「ケイ、すごく……可愛い顔になってるよ?幸せそうな顔」
「ありがとう、ナツミ……ねえ、もう一回キスして」
"ちゅ……つぷっ"
にっこり笑うと、私と手をつないだままナツミはキスしてきてくれた。
優しくて、柔らかくて、嬉しくて………キスをしたまま、舌を出してナツミの口の中に入れた。
"ちゅ……る、るぅ"
ふたりで舌を絡め合う。
「木佐貫……動くよ?」
"るぅ〜〜〜、ぬぅ〜〜"
体中が悦びで弾ける。最初にあった股間の痛みがとろとろに溶けていく。
城島君が動くたび、ナツミと舌を絡めるたび、痛みが甘美な刺激に変わっていく。
私の体が、心が、その感覚でいっぱいに満たされていくのを感じる。
(あ、ああ………私……城島君、ナツミ……ああ………コレ?こうなるの?
いつも、ふたりを見てた……気持ち良さそうな、幸せそうなふたりを……見てたの。
あなたたちが、気持ち良くなっていくのを、見てた……今、私が……そうなってる……
お願い、城島君……もっと、来て……)
生まれて初めての経験に私は……わたしたちは、浸りきった。
ナツミが私の首に、おっぱいに、舌を這わせて吸いながら、
自分の股間に指を出し入れしている。くちゅくちゅと、えっちな水音が響く。
その音に和するように、城島君が私の中を貫く。
ぐちゅぐちゅと、ふたりの肉が擦れてざわめくリズミカルな音が聞こえる。
熱い。体の芯まで、痺れている。求め合う肉の悦びに酔いしれている。
三人が、解け合ってひとつになってしまうような一体感で満たされる。
やがて――私たちはつながり合いながら、頬を染めて体を寄せ合い、
最後のときを迎えようとしていた。
「うッ……木佐貫、俺……いくよ?」
「は……うぁッ……城島君、私も……あ……」
「ケイ……わ、私も……もう……」
「好き……ナツミ、城島君……私、好き……」
「俺も……あ、あッ………」
「はぁ―――っ、ああ―――ッ」
城島君の動きが止まる。
"びくっ……どく、どくッ"
薄い皮越しに、彼の体温が吐き出されるのを感じる。
ほんの数ミリの化学物質に防がれながら、城島君の分身が……
私の中へと何度も何度も解き放たれているのを感じる。ナツミの手のひらの熱さを感じる。
腰をガクガクと震わせながら、城島君を全力で受け止めようと必死で彼にしがみつく。
考えられない。何も。私には、なにもない。ただ、ナツミと彼が欲しかった。愛しかった。

END

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