『海についたぞ!!』

夏の日差しのもと、吹き抜ける心地よい潮風に髪を任せるまま、なびかせながら、一番前でシノちゃんが声だかに宣言しています。

来る前に『遊びではない』と宣言しておきながら、楽しみで仕方なかったのでしょう。

私もその気持ちは良く分かります。
楽しみでないといえば嘘になるから。

ただ、素直に楽しめる訳ではなかったりもします。
その事を考えると少し憂鬱です。

私とシノちゃんの間に取り交わされた、『約束』という懸案事項を抱えながらも合宿はスタートしました。

………………………………

『わ、私と津田の間を取り持ってくれないか?』

そう告げられたのは夏休みを控え、終業式の打ち合わせを終えた夕方の生徒会室でした。

『そ、その、なんというか、ど、どうも、津田のことがだな…』

言い淀みながらシノちゃんが続けました。

いわく、彼と接しているうちに彼が気になりだしてしまったこと、校則との間で揺れ動いた期間もあったこと、それから、気持ちを伝えようにも手順が分からないこと。

『というわけで、自然と2人の心が通い会うような、その、なんというか…』

言葉を続けるシノちゃんの顔は夕日に照らされながらも露骨に真っ赤になっているのがわかりました。

『わかった。お安い御用だよ。』

悩んでいる親友を突き放そう等とと思うほど私は薄情ではありません。
ちょっと、お人よし過ぎかな等と思いつつも、私は引き受けることにしました。



シノちゃんに言われ、津田くんの事を今までより気にしだすと、軽はずみだったかなと思ってしまうような事もありました。
でも、それも別段気にするようなものではありませんでした。
かといってシノちゃんと津田くんの仲が進展することも無く。
結局普段通りなまま私達は今日を迎えてしまいました。

………………………………


『ねぇ、一緒に遊びに行かない?』

私が一人浜辺を歩いていると見知らぬ男の人が声をかけてきました。

本来ならば、2人の仲を取り持つという約束を交わしている以上、2人の側にいるのが適切であったとも思います。
しかし、津田くんはスズちゃんと飲み物を買いに出掛けてしまい、シノちゃんも休憩と言って、パラソルの下で休んでいます。
そんななので、私は私で浜辺を歩いていた矢先でした。

『友人と一緒に来ているので遠慮させていただきます。』

私は丁寧にお断りします。

『その友達とは後で合流すればいいじゃん。行こうぜ!!』

そういうと強引に私の手をとってきます。

『ちょっと!!離してくださいよ!!』

思いもよらない事に私は動揺してしまいます。

『大丈夫だって、ちょっとだけだから。ね?』

そういうと男性はさらに力を込めて私の手を引っ張ってきます。
純粋に力でものを言われてしまうと私にはなす術はありません。
これはかなりやばいかも…
貞操帯つけておけば良かった。私は軽く後悔してしまいます。



『ちょっと、人の彼女に何してるんですか?』

聞き慣れた声が聞こえて私は振り向きます。
男性の方も同様にそちらを振り向くとそこには津田くんがいました。
遠くから私と男性のやりとりに気付き、駆け付けて来てくれたのでしょう。

『は?なんだ、てめぇ?』
男性は津田くんを威嚇します。

『おまえこそ、何様だよ?人の彼女の手を掴みやがって。』

男性は再度繰り返された津田くんの彼女発言に、確認するように私の方を見ます。

『うん。私の彼氏です。』

『な!…さっきは友達とって…』

男性は動揺を表面にだしながら、うろたえています。

『待たせたな。アリア。ほら、行こう。』

そんな男性を前に津田くんはあいている方の私の手を引きます。

『…うん。行こう』

先程男性に引かれた時には何とも無かったのに、津田くんに手を引かれ、私は顔が火照るのを自覚しながら一言だけ返すとそのまま歩き出しました。
男性は呆然としてしまい、もはや引っ張る手に力はこめられておらず、簡単に引きはがすことが出来ました。

………………………………

それから暫く津田くんはなにも言わずに私の手を引きながら海岸を歩きます。
私も黙って着いて行きました。
途中何度か先程の津田くんの姿を思い出してはドキドキと高鳴る胸に動揺を覚えながら。

『ふはぁーっ、緊張したぁ。』

やっと発した津田くんの第一声は私もあまり見たことも無いもの。
まさに言葉通り、彼も緊張していたのでしょう。



『どうでした俺の演技?』

繋いだ手はそのままで津田くんはこちらに向き直ります。

『うーん、そうねぇ…』

突然向き直った津田くんに私はさらに頬が火照るのを自覚しながらなんとか平静に言葉を返します。

『なかなかの高得点かな。』

『でしょう?これでも、妹に付き合ってよくドラマ見てるんですよ。』

なんだか嬉しそうな津田くんです。

『それにしても、七条先輩になにも無くて良かったですよ。』

正直それは反則ではないだろうか?そんな風に思ってしまう発言をさらりと津田くんはしてきます。
先程から彼を意識してしまっている私に破壊力は抜群でした。
その後の津田くんの言葉は私の耳には入らず。
ただ、手を引く津田くんに付き従って歩きました。


………………………………

『お風呂は24時間利用可能だって、お姉ちゃん。』

その後、皆のもとへと戻ると横島先生はすっかり出来上がった状態。
仕方なく私達は近くの旅館へと泊まることになりました。
一応体裁もあるので、私達は姉弟ということになっています。
ただ、部屋が一つなので今晩は一晩中津田くんと一緒。自然と心が高揚するのがわかります。
きっと今、シノちゃんも同じように感じている。
私はそう思いました。
そう思うということは私も津田くんを好きになってしまった…
その事実はどうしても認めなくてはならないようです。

………………………………


『良いお湯だったね。スズちゃん。』

『ええ、そうですね。』

お風呂に入った帰りの事です。
そんな会話をしながら廊下を歩いていると、目の前で津田くんとシノちゃんが楽しそうに会話をしています。

なんだかんだ言って私の助け無しでもシノちゃんと津田くんは仲良くなっているようです。

そんな2人に心が痛みます。

『七条先輩どうしたんですか?』

突如、押し黙った私を不振に思ったのかスズちゃんが声をかけてきます。

『ええ、なんでもないの。』

私は平静を装って返します。

『それにしても、津田と会長は仲が良いですね。あれじゃ、姉弟というより、カップルです。』

その言葉に奈落に落とされた気分になります。
このままいけばそれは事実になる。
私は自然とそう思えました。
だって、前を歩く2人はそれほどまでにお似合いに写るのですから。

それはシノちゃんの気持ちを知っている私としては嬉しいこと。
でも、私個人としては悲しいことでもあります。

………………………………

『近親相姦は良くないぞ!!』

夜中に突如大きな声を出したシノちゃんの声に私達一同は目を醒ましてしまいました。

『その設定まだ生きてたんですか…』

津田くんはツッコミもそこそこにシノちゃんを自分の布団へと押し返します。

どうも状況から察するに寝ぼけたシノちゃんが津田くんの布団に潜り込んでしまったようです。
私の助けなんかいらないんじゃ…
思わずそう口から出かけて、その言葉を飲み込みます。
シノちゃんは強く意識してるよりも、普段の何気ないやりとりやボケっぷりが事態を良い方に持って行ってくれるような、
そんな星の下に生れついた子なのでしょう。
私も時々ボケてるなんて言われるけれど、それで事態が好転して行くなんて強運は持ち合わせていない。
そういう自覚があります。


それならば、行動をおこさなければ、この気持ちに報われる日が来ることはない。
私は思わず息をのみました。
津田くんに自らの恋心を伝えるということ、それは即ち、シノちゃんとの約束を反古にするということ。
シノちゃんとの関係は生徒会の役員として、会長と書記ではありますが、それ以前に親友です。
親友を裏切ってまで叶えるべき恋心なのか?

私は多いに悩みます。

『七条先輩どうかしたんですか?』

その時、不意に向かいの布団から声がかかりました。
みると津田くんが顔をこちらに向けています。寝返りをうった際にでも私が心地悪そうにしているのが見えたのでしょう。

『いや、ちょっとね…』

私は自分の考えを気取られまいと平静を装って答えます。

『津田くんは?』

『いや、なんか、一度目が醒めちゃったら、なかなか寝付け無くて…』

どうやら津田くんは目が醒めてしまったようです。

『ふふ、私もよ。』

私は短く答えました。

『それに、なんか、嫌な予感がするんですよね。寝ぼけたとか言って誰かが布団に忍び込んで来そうな…』

『…ゲフン、ゲフン』

…津田くんがそう言った瞬間むせるような咳が聞こえてきました。どうもその"誰か"は図星のようです。

『それなら、少し、外歩かない?』

私は津田くんを誘ってみることにします。
正直いうと、さっきの津田くんの発言がなんだか、起こりえそうな気がして、何とも言えない寒気がしたからです。

『そうですね。』

津田くんはその全てをという訳ではないでしょうが、私の意図するところは汲んでくれたようです。

津田くんが布団から出たのを確認すると、私も布団から出て、2人で廊下に向かいました。

………………………………


海の見えるロビーで向かい合うように私達は腰を下ろしました。

『いや、会長にも参っちゃいますよね。素でやってるにしても、いちいちビビりますよ。昔からあんななんですか?』

頭を掻きながら津田くんが問いかけてきます。

『うーん、あのまんまだよ。ものすごくしっかりしてて、同性から見てもひくくらい完壁なんだけど、あの通り。
でも、それが逆に堅すぎる印象を与えずに好感に繋がるんじゃないかな?』

私はシノちゃんについて思う事を付け加えながら答えます。

『なるほど、そう言われてみると…』

『その言い方だと津田くんはそう感じてはいないってこと?』

思ってもみない津田くんの答えに私は聞き返します。

『俺は立場上いちいちその言動やなんかに振り回されたり、ツッコんだりしてる分だけ、そんな風に思った事無かったですよ。』

『そうなの?』

『ええ。』

やや、苦笑気味に津田くんが答えます。

『でも、そんなところもシノちゃんの可愛いところだと私は思う訳です。』

別に今更その役目を全うしようという訳ではないけれど、津田くんがシノちゃんの魅力に気づいていない事が親友として悔しくて、私は付け加えました。

『確かにそうかも知れませんね。完璧なだけよりか全然親しみ持てますし。』

『そうそう。』

そこも純粋にシノちゃんの魅力として津田くんが捉えてくれれば良いな。
素直にそう思えます。
自然と私の頬が微笑んでいるのが分かります。

『そういえば、うちは校則であれですけど、会長って彼氏さんとかいたことあるんすかね?』

急に話しが飛んだ気がします。


『うーん、特には聞いたこと無いなぁ、あ、でも、共学化する前はしょっちゅう告白されてたけどね。女の子から。』

『百合っすか…さすがは女子校。』

そうは思っても私は素直にそう答えてあげました。

『でも、どうしてそんなこと聞いたの?』


『ん〜、なんとなくですかね。魅力的であっても大変そうだななんておもわず思ったんで。』

この口ぶりだと少しはシノちゃんの思いは期待が持てるのかな?
若干の切なさが込み上げます。

『そういえば、七条先輩はどうなんすか?』

『残念ながら、私は昔から私立の女子校で、いない歴=年齢です。津田くんは?』

『俺もいない歴=年齢ですよ。』

そういう年代だから仕方が無いのでしょうけど、やっぱり、恋愛の話は盛り上がります。

『じゃあ、どういう娘が好み?うちの高校ならより取り見取りじゃない?』

『いや、それ以前にうちは校内恋愛禁止じゃないですか。』

津田くんは苦笑します。

『まぁ、でも、実際悪いことする訳でも無いし、前例も無いし、どうだか分からないわよ?
そこまで深く考えずに、オナネタにこんな娘使ってますって告白するつもりで。』

『女子校育ちでオナネタって良いんすか!?』


津田くんにツッコまれちゃいました。
あ、もちろん、ナニじゃないですよ。
気軽にってつもりだったんですが…

『それはそうと、どうなの?』

『う〜ん、そんなに難しくは考えてませんね、好きになることに理由なんて特に無いかなと…
後はお互いの気持ちですかね。』

なるほど。
なんとなく、かわされた気もしますが、確かにそうなのかもしれません。
それに、昔読んだ本に書いてあった気がします。

『恋愛って難しいロジックじゃないもん。要はヤリたい時にヤル事よね。』

そう考えるとさっき布団の中で悩んだのも馬鹿らしくなって来てしまいました。
要はヤリたいか否か、そして互いの気持ちね…

『突然だけど、津田くんは私とシたい?』

『はい?』

『いや、互いの気持ちが大切って言ってたから…』

『あの、どこからツッコめば良いんですかね?』

『ツッコむところの選択肢は3つしかないよ?』

『えっと、それはつまり、どこからその発想が生まれた!?とスるって何をだ!?と…』

津田くんはいきなり挿れてくるつもりかと思ったらどうやら違ったみたいです。
私も初めてだし内心焦り気味でした。

『う〜ん、確かに、結婚を前提にしてる訳ではないし、それに、初めてがベッドの上じゃないのもちょっとね…じゃあ、胸でしてあげる。』

『いや、ちょ…』

『津田くんは嫌?』

津田くんの意志を確認するように私は津田くんの顔を覗き込みます。
津田くんが、拒絶するようなら、今日は止めておこう。
そう思いながら津田くんの答えを待ちます。
津田くんは目を泳がせて、ちらりと一瞬、私の胸元を見ました。

『…嫌じゃないです。』

顔を真っ赤にしながら津田くんが小さな声で答えました。

『じゃあ、混浴行こうか。』

そう言って私は腰をあげ、歩き出します。

何でですかと聞いてくる津田くんにその方が色々都合が良いじゃないと答えながら。

………………………………

『あれ?』

私達はそうして混浴の露天風呂にやって来ました。

『なんすか、七条先輩?』

『いや、なんかタオルの使い方間違ってない?』

『いや、先輩の考えてるような使い方はしないですよ普通。』

うーん、私の思っていたことがおかしいのでしょうか?

『あ、そうか。』

『どうしたんすか?』

『四六時中勃ちっぱなしなわけではないものね。』

そう、どうも、私は勘違いしていたらしい。
あの隠し方は勃った時ようであって、常にあのような隠し方はしないものなのだ。

『というわけで、ちゃんとした隠し方するために早めに勃ててね。』

『ちょっ、先p…』

津田くんが最後まで言い終わる前に私は津田くんとの距離を詰めて、津田くんのペニスに触れていきます。
完全に固いわけではないけれど半勃ちなのか、少し大きくなり始めている気がします。
なによりもすごく熱を持っているのが良くわかります。
ペニスの形を確かめるように私は根本から先までゆっくりと丁寧に撫で上げていきます。
時々ビクッと強く反応しているのが良く分かり、その反応を楽しみながら私は執拗にその行為を繰り返します。

いつの間にか私の手の中には完全な固さを伴ったそれが握られています。
その反応に気を良くしてしまい自分でも行為に熱中してしまっていたみたい。
これは反省しなくては。

そう思いながら顔を上げ津田くんの顔を覗き込むと、津田くんはなんだか切なそうな、しかししっかりと興奮の色を目に称えているような表情でこちらを見ています。



『……………………』

私は言葉を紡ぐ事が出来ませんでした。
その表情は私の心のどことも表現に困る場所を満たしていきます。
そのなかでもっとそんな表情がみたいという欲望が強く生まれていくのも自覚できます。
いわゆる嗜虐心というやつなのでしょうか?
今なら痴女の気持ちがわかる気がします。
私は身体を津田くんに預けるように押し付け、肩に顔を乗せ、丁寧にペニスを扱いていきます。

『く、あっ…』

喉から息が漏れるような津田くんの声が聞こえてきます。
その声が私の心をさらに満たして行くのがわかります。

『津田くん、気持ちいい?』

気付けば思わず呟いてしまっていました。

『…気持ち…いいです。くっ!』

!!
やばい、これはホントにやばいかもしれません。
私のなんとは無しのつぶやきに津田くんが言葉を返した瞬間私の背筋は強い電流が流れたみたいにぞくぞくしました。
今なら痴女の気持ちがほんとにわかってしまいそうです。

『…そう、津田くんはこうして女の子に好きなようにされるのが好きなんだ。』

もっと、もっとそんな津田くんの声が聞きたくなって、先程とは違い、意図を持って呟きます。

『…い、や、そんなこと。』

言いながらも津田くんのペニスが跳ねたのがわかりました。

『否定してるけど、こっちは強く反応してるよ?』

私は"こっち"が津田くんによくわかるように扱く手のペースを上げます。


『く…!!』

ペースを上げたことに津田くんはかなりの快感を受けているようで、もはや、言葉も繋げられないみたい。
津田くんの表情を覗き込むと、先程よりもさらに切なそうな顔をしています。

『津田くんはそろそろイキたいかな?』

そんな津田くんに私は質問を投げ掛けます。
もはや、限界も近いのでしょう、津田くんはやはり何も言わずに首だけを縦に動かします。

『そう、わかった。』

私は手と身体を津田くんから離しました。
顔を見ると、今までで一番の失望の表情を浮かべています。
ああ、この表情も堪らないものがあります。
思わず、溢れてしまいそうなほど私を満たし、強い電流に私は身動きが出来なくなりそうです。

『ふふ…そんな顔しないの。言ったでしょ?"胸"でシてあげるって。』

自分でも分かるほど頬の筋肉を緩ませながら私は津田くんにそう告げました。

………………………………

『うわ、熱い。』

ボディソープを垂らして津田くんのペニスを胸で挟み込むと、強い熱を私につたえてきます。
時々脈打つペニスを私は丁寧に根本から亀頭まで扱き上げていきます。

『くあっ、それ…!』

津田くんの方からは気持ちそうな声が聞こえて来て、そちらに顔を向けると期待通りの表情を浮かべる津田くん。
その表情に思わず見とれながら私は問いかけます。

『気持ちいいでしょ?』

『は、はい!』

思わず声が裏返っている津田くんに吹き出しそうになります。

『…なんで、そ、そんなにうまいんですか…く』

腰が砕けながらも津田くんが問いかけてきます。

『女の子は、勉強するものなのですよ。』

『そ、そうなんですか…っつか、俺、…もう』

そんな短いやり取りの後、津田くんは私の顔に思い切り射精しました。

………………………………


『七条先輩、その、俺…』

2人して身体を洗い、今はお湯に浸かっています。

『ふふ、津田くんの気持ちはわかってるわよ。なんだかんだ私で気持ち良くなってくれたものね。』

『…う。なんか、そういう言われ方をされると微妙に気まずいような…』

『そう?』

『そうですよ。その、で、こう言うことになってしまって、俺、正式に…』

私は津田くんの唇に人差し指を押し付けてその先の発言を封じ込めます。

怪訝な表情を浮かべる津田くんに私は顔を近づけ…

"ちゅっ"

唇と唇を合わせます。

『ふふふ、この先は私がちゃんとシノちゃんにライバル宣言をしてからね。』

そう、このまま最後までシテしまうのは簡単です。
しかしながら私には若干の後ろめたさがあります。
だから、今日はここまで。
そこまで言葉を告げるとお先にと声をかけ、私はお風呂を後にしました。

………………………………

『しょ、しょうがない奴だ。』

帰りの車の中で眠りこけてシノちゃんに寄り掛かった津田くんに満更でも無い表情を浮かべながらシノちゃんが呟きます。
津田くんが寝てしまうのもしょうがない気がします。
夜遅くまで私と一緒で朝も2度寝しようとしたのを起こしての帰り道ですから。

シノちゃんからされたお願いは達成できないまま合宿は終わりを迎えてしまいました。
しかも、私には新たな課題が上積みされた形。
その事を考えると若干憂鬱ですが、それもこれも津田くんといる楽しい未来の為です。

よし、頑張ろう。ああして次に寄り掛かられるのは私であるように。

私は心の中で呟き、津田くんの寝顔を見ながら、帰路の車に揺られて日常へと帰っていきました。


続く……のかな?

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