「ん………」
後ろから回した手に柔らかくその身を預けてくる。
付き合い始めた頃は髪の毛が顎を撫でるのがこそばゆくて苦手だった。
今では嗅ぎ慣れた彼女の臭いが抜けるからこの態勢は結構好きだ。
後ろから回した手に自らの手を重ねてくる。
俺に後ろから抱きしめられて、こいつも同じように安堵を感じてくれてるのかなと思う。
「もう、久しぶりだからって…」
そんなことを口にする。別に非難めいた響きはない。
むしろ、そこには甘えてきているような節さえある。
それに…
「いや、たかだかテスト期間で一週間程度顔を合わせなかっただけだろ。」
そうなのだ、久しぶりなんて言われても、たかだか一週間。
一週間前にはこうして、俺の部屋で顔を合わせたばかりなのだから、別段なんら感慨はない。
「むぅー。少しはムード作りに協力してよね。マサちゃん。」
「いや、そう言われてもな…」
俺は苦笑をする。
後ろから抱きしめているこの態勢で、表情までは悟られていないと思う。
「もう、台なしだよ。」
こちらを向いて頬を膨らませる。
「まぁ、そう言うなよ、ミサキ。」
それだけ告げると俺はミサキと唇を重ねた。

………………………………

「マサヒコ〜」
今日は休日日曜日。
なんだかんだ無難に纏めあげた先週のテスト期間を終え、昨日は友人と遊びに行った。
テストの疲れもあったんだろうが、それ以上に昨日遊び疲れてしまった反動から遅めの起床で、定まらない頭に一階から声が投げ掛けられた。
「母さん達出掛けてくるわよ〜」
返事も待たずに続いて投げ掛けられる言葉。
その声は何となく浮かれていたような気がしたのは絶対に気のせいでは無かったはずだ。
「ん〜、分かった。」
聞こえたかどうかまでは知らないが、俺は声を張り上げて返事を返す。
折角の休日なのだから、何の気兼ねもなく出掛ければ良いのにな。
声を張り上げた後で、思わず独りごちる。
俺ももう高校生。
親の手を煩わすような事は特にはない。
…というか、中学校の頃から、良くも悪くも放任主義な親の手を煩わせた記憶なんか無いのだが。
「帰りは遅くなるわよ〜」
俺の返事が聞こえたのか、階下からは再度、母さんの声が響く。
「はいよー。」
その言葉に、俺は再度声を張り上げた。
「ミサキちゃんとごゆっくりー」
「とっとと出掛けろ。」
なおも続いた余計な一言に、俺は短く言葉を吐き出す。
「ったく、余計なお世話だっつーの。」
更に言葉を重ねた後で、それでも、期待を隠せない自らに気付く。
普段からよく顔をあわせているとは言っても、そこは彼女。
それを否定してしまえば嘘になってしまう。
「さてと…」
そんなことを呟いて、俺はまず寝癖のついた髪を整えるべく身体を始動させていった。

………………………………

─ピンポーン
家に来客を知らせる音が鳴り響いたのはそれから暫くの事だった。
「はーい」
誰がいるのかは分かっている。
「少し早めに来ちゃった。迷惑だった?」
「いや、大丈夫だよ。」
ミサキの最初の一言に俺は大丈夫と応えた。
なぜなら、それは俺も同じだったから。
この時が楽しみじゃないと言えば嘘になる。
「おじゃましまーす。」
声をかけ、靴を脱ぐミサキ。
小さい頃から行き来していて、かつて知ったる他人の家とは言ってもそこは礼儀だろう。
うちの母さんは「いずれ、自分の家になるんだから良いのよ〜」なんて声をかけてたりしているが、それでもそこは譲る気はないらしい。
ミサキのそういったところも、俺は魅力のうちだと思っている。
それからリビングに移動して、ミサキが作って、タッパーに詰めて持ってきたご飯を一緒に食べる。
昔は料理の下手だったミサキだけれど、ここ1年くらいは、目を見張る上達を見せている。
「相変わらず、旨いな。」
素直にミサキに言葉をかける。
旨いものは旨いのだから仕方がない。
「ふふ。ありがとうマサちゃん。」
俺の言葉をうけて、飛び切りの笑顔と共にミサキが返してくる。
その表情は本当に嬉しそうで、思わず胸が高鳴ってしまう。
「頑張ったもんなぁ…」
そんな自らの心の内を悟られたらからかわれそうで、ごまかすようにそんな事を口走る。
「むぅ…褒めたと思ったらまたすぐそういうことを…どうせ、付き合いはじめた頃は酷かったですよ!!」
頬を膨らませながら、そんなことを言うミサキもやっぱり可愛くて、全面的に降参せざるを得なくなる。
昔はここまでミサキの事を意識して無かったんだけどなぁ…
なんて思いながら、いつの間にか俺の心をわしづかみにして離さない幼なじみと、談笑しながら箸を進めていく。

………………………………

「ん、ふっ、ちゅぷ……ふ…」
後ろから抱きしめた俺の方へ顔を向けたミサキと何度もキスを交わす。
初めてキスをしてからは何年くらいがたったのだろうか?
遠い昔に遊びでしたような気もするし、中学卒業間際に付き合いだして、それが初めてだったような気もする。
何にせよ、ミサキとのキスは自分の心に安堵をもたらして来る。
「ちゅっ、ちゅっ……ちゅぷ……ちゅっ、れろっ、ふ、ちゅぷ、……っ!!」
何度も何度もキスを交わすうちに、安堵は興奮へと徐々にシフトしていく。
それはミサキも同じなようで、徐々に頬を紅潮させながら舌を伸ばしてくる。
「れるっ…ちゅ、ん、ふぁ…ふ、ちゅ、れる…」
その舌を自らの舌で搦め捕って、味わう。
時に吸い、ただ絡ませて舌の味を楽しみ、自らの舌でミサキの唇や歯茎を撫でる。
「んん…ふっ、ちゅ、んん、ふっ、れる、ちゅっ……こく……っ」
態勢的に俺の顔の方が上に位置するこの態勢では、俺の唾液がミサキの口内に流れ込む。
目を閉じ、うっとりとした表情のまま、それを飲み込むミサキ。
他人の唾液なんて旨いものなのか?なんて、前に聞いた時、ミサキは美味しいなんて即答したのは印象的だ。
「ん…ちゅぷ…れるっ…マサちゃん……」
互いに欲望のまま、交わしたキス。
そうしていたキスは確実に欲望に火をつける。
純粋に相手を求める、相手と一緒になりたいという欲望に。
それはミサキも同じ事。
長いこと交わしていたキスはミサキの方から終わりを告げ、潤んだ瞳で先を促してくる。
蕩けきったようなその瞳に吸い込まれるように、俺はミサキの首筋に唇を落としていく。
「んっ、っあ、ふ…んんっ、マサちゃん……っ!」
元々ミサキにとって強い性感帯である首筋に唇を落としはじめると、すぐに敏感な反応を示す。
「ふぁっ、ん……っ、ふ、あ、」
切なそうに吐き出される吐息。
ミサキのそんな息遣いを感じながら、俺はただ抱きしめるようにしていた手に動きを加えていく。

「んっ、っあ、ふ…んんっ、マサちゃん……っ!」
元々ミサキにとって強い性感帯である首筋に唇を落としはじめると、すぐに敏感な反応を示す。
「ふぁっ、ん……っ、ふ、あ、」
切なそうに吐き出される吐息。
ミサキのそんな息遣いを感じながら、俺はただ抱きしめるようにしていた手に動きを加えていく。
「んっ、あっ、マサちゃぁん……ふぁっ、……っ!」
ミサキの腹を撫で、太股をなで、胸を揉む。
付き合いはじめた頃、微かにしか主張をしていなかった胸は今では程よい大きさに育った。
ただただ柔らかく、手で押せば沈み込むような胸。
けして大きくはないが、確実に俺の手にその感触を刻む胸。
その心地よい感触に、俺はミサキの胸を揉む手に力をこめていく。
「あっ…ふぁっ……っ!くぅ」
俺の手の動きに合わせるように短く声をあげるミサキ。
未だに責め立てられる首筋と胸からの刺激に確実に息を荒げ、身体を小刻みに震わせるように反応を示す。
ミサキの反応に興奮を煽られながら、俺は片方の手を南下させていく。
「んんっ、ふあっ、っくぅ…あっ…っ!」
太股をなで、スカートをくぐり、ショーツ越しに秘唇を撫でる。
そこからは僅かな湿り気と、熱を感じる。
「あっ、あっ、ふっ、あっ、ん……っ、マサちゃん……っ!」
オクターブ上がった声を上げ、自らのそこを弄る俺の手を掴みながらミサキがおずおずと足を開く。
愛撫しやすくなったその態勢から、俺はミサキのショーツの中に手を入れ、直で触れていく。
「んん、あ、あぅ、んん、あっ、ふあっ……っ!」
柔らかな淫毛をなで、指先に絡み付く粘り気のある液体を指先に絡ませ、それをミサキの秘唇に塗りたくるように動かす。
「あっ、あっ、あっ、ふぁっ、っ……くぅ…マサちゃん、マサちゃぁん……っ!」
やがて指をミサキの膣に埋めていくと、ミサキが示す強い反応。
何度も指を出し入れする度に伝わる熱、絡み付く愛液。
淫靡な声を上げ、揺れる頭から漂う髪の毛の良い臭い。
俺の五感全てにミサキが訴えかけて来る。
「あっ、ふあっ……っ!あぁ、ふああぁ……っ!マサちゃん、キス、キスしよっ…あっ、ふあっ……あぁ、ちゅぷ…ちゅう……っ、ふ」
夢中でミサキを貪る俺にミサキからはキスのおねだり。
答えるように唇を落とし、その唇も貪る。
「ちゅ、ちゅぷ……んん、あっ、あっ、ふあっ……っ、くぅぅ……っ!マサちゃぁん、私、あっ、んん、んっ、そろそろ……っ!!」
ビクビクと身体を震わせながら言う。
指先に伝わる感触から、俺は十分だと判断し、身体を離す。
「やっぱり、久しぶりだから、マサちゃんはげしすぎだよぉ。」
不満を口にするミサキ。
一切不満を称えた表情ではないのはご愛敬だ。
「でも…久しぶりだからなんて思ったら、私も感じすぎちゃった…」
その前の発言からは一転、恥ずかしそうにミサキが告げる。
「ねぇ、私、もう…」
その先は口にしない。
互いが何を考えているかなんて、もう分かっているから。
「あぁ、俺もだよ。」
短く言葉を返すと、キスを交わし、服を脱ぐために立ち上がっていく。

………………………………

「今日は大丈夫だから…このまま…」
一矢纏わぬ姿で、俺のぺニスに触れながらミサキが言う。
ミサキはきちんと基礎体温をつけている。
まだ学生だし、未成年のうちは責任が取れないから。と。
コンドームはもちろん使っている。
ミサキの考えにすこぶる賛成だし、きちんとしておく事はきちんとしておくべきだからだ。
ただ、前に、安全日だからと好奇心から生でしてみたことがある。
その時の気持ち良さは半端じゃなくて、なんだかんだ生でしてしまう。
いけないな、なんて思いつつも、今日も流されてしまう。
「ん……っ、……っ!ふああぁ、マサちゃんのが、っ、ふ、はいってくるよぉ……っ!」
座した態勢の俺のペニスに照準を合わせ、座位の態勢でミサキが腰をおろしてくる。
ヌメヌメとした感触を抜け、ミサキの腰が俺の腰と密着するようになると、ゆっくりと腰を動かしていく。
「んん、ふわぁ、あっ!ふ、んん……っ!ちゅっ、ちゅぷ、ふわぁっ……っ!」

ミサキが俺の肩に手をおいて唇を合わせてくる。
それに合わせ、キスをする。
「あっ、あっ……っ!あ、……マサちゃぁん、すご、ふわっ、んん……っ!」
唇を離すと、喘ぎながらそう呟く。
トロンとしたその表情は何とも形容しがたく俺を刺激してくる。
「あっ、ん、あぅ……ふわぁっ、ちゅ、ちゅぷ、ふ……っ!」
もう何度目かになるかわからないキス。
互いに目を閉じて深く交わしていく。
「んん、ちゅぷ、ちゅっ、れろ……っ!」
舌を絡める。
どちらのものか等、気にも止めず、唾液で口の周りを濡らしながら、一心に互いを求める。
「あっ、……っ!ちゅっ、ふわぁ、マサちゃん、私…あっ、あっ、ふぁっ、もう……っ!」
やがて肩に置いた手に力を込めながらミサキがそう告げる。
俺のペニスを舐めあげるように引き込むようにうごめくミサキの膣内。
ミサキが口にしたように、絶頂が近いようだ。
「あっ、あっ、……っ!んん……っ!ああああぁぁぁぁあっ……!!」
やがて悲鳴にも似たような声を吐き出すとミサキは身体をビクンビクンと震わせて、ぐったりとしてしまう。
「……ん、……っぁ……ふ……っ!」
虚ろな瞳で俺を見つめるミサキ。
未だにミサキの膣内に残してある俺のペニスから伝わる痙攣が弱まるのを待つようにミサキを抱きしめる。
「ん、……っ、ちゅぅ……ふぁっ……っ!」
その感触が弱まってくると、ミサキと唇を重ねる。
「ん、……ありがとう、マサちゃん。やっぱり、久しぶりだからかな…っ!感じすぎちゃう……」
紅潮した顔で、はにかむようにミサキはそう告げる。
「良いよ、動いて……っ!」
その表情のまま、俺の耳元でミサキが囁く。
さっき、ミサキが絶頂を迎えた時からお預け状態で、正直むず痒さを感じていた俺はミサキをベッドに押し倒す。
「ん……マサちゃんも気持ちいいんだね……私の中で脈打ってるの分かるよ」
その態勢でミサキが呟いた一言に頬が火照るのを自覚しながら、俺は腰を前後に揺すっていく。
「あっ、あっ、……っ!ふぁっ、あぁ、あぅ、ふ、っ、ん……!」
深く深く、ミサキの奥の奥まで、自らのペニスを送り込むように激しく挿入を繰り返す。
「あっ、ふあっ……マサちゃん、あっ、っ、ふ……激しい……っ、一回イって敏感なんだから……あっ、っ、ふわあああぁぁぁ……っ!」
そうして再び小刻みに痙攣するミサキの膣内。
その感触が気持ち良くて、腰の動きに熱がこもる。
「あっ、あっ、ふ……んん、あぅ、あっ、すご……ふっ!!」
熱に浮されたようにミサキが声をあげる。
まるで、快感に溺れ熱を込める俺の熱を共有するように。
ミサキの膣は先程から愛液を溢れさせ、時折小刻みに震えながら、俺のペニスに絡み付く。
俺は夢中で腰を動かし、その感触を刻み付けるように、敏感になったペニスでミサキの中を掻き回す。
「あっ、あっ、ふあっ……っ!んん、あっ……マサちゃぁん……っ!!」
俺を呼ぶミサキの声さえ識別出来なくなりそうな程の淫らな音が部屋を包む。
ミサキの愛液を撹拌する俺のペニスが立てる音。
本来であれば淫らなはずのそれも、夢中でミサキを求める俺自身の中では当たり前のものとなってしまう。
「マサ……ちゃぁん……っ!あぅ……あっ、ふあっ!キス…してぇ……っ!!ちゅっ、ちゅぷ、ちゅ……あふ……っ!」
ミサキに請われてキスを交わす。
合間合間に混ざる喘ぎ声と、結合する性器同士のたてる音が、耳から俺の脳内を侵食していくと、やがて腰の辺りに射精の衝動が高まっていくのが分かる。
「あっ、あっ!マサちゃんの……ふ、あふ、大きく……膨らんでるの分かるよ……っ!」
その状態は確実にミサキにも伝わっている。
「あっ、あっ、ああ、ふあっ……、マサちゃん、……っ!一緒に……イこ……っ!」
その事実を受け止め、そう口にするミサキ。
ミサキの言葉を受け止め、俺は更に強く腰を打ち付けていく。
「あっ、あっ、……っ、ちゅっ、あっ、あっ、ふあっ、っ、ふわあああぁぁぁ……!!」
強い注挿に耐えるようにベッドを掴むミサキに、唇を落とすと、俺は衝動に任せて、ミサキの中に自らの精を解き放った。

………………………………

「わりぃ。」
事後処理を終えて、お互い裸のまま抱き合いながら俺は口を開く。
「どうしたの?」
正面で俺を見据えながらミサキが問い返してくる。
「たかが一週間だからって馬鹿にしてた。」
照れるように言葉を紡ぐ。
冒頭ミサキに対して言った一言の謝罪をいれる。
その一週間分で貯めに貯めた衝動に流されて強く強くミサキを求めたのは事実だからだ。
「ふふ、良いよ。」
気にした風でもなくミサキが告げる。
柔らかい笑顔。
その表情に俺はまた胸を打たれる。
「あんな風に、マサちゃんが私を求めてくれたのは嬉しかったし、その…、やっぱり、私も凄く気持ち良かったし……」
最後の方は顔を真っ赤にしながらミサキがそんなことを宣う。
胸の鼓動が早くなる。
ミサキの表情はどれもとても可愛くて飽きることはない。
だからこそ、こいつと一緒にいられるんだろうなぁ。
そんな風に思わずにはいられない。
「ねぇ……」
そんなことを考えていると、不意にミサキから声がかけられる。
「一週間ぶりだから、その、もう一回……シない?」
赤く染まる頬を隠そうともせず、ミサキはそう言ってくる。
なんだかんだ言って、相手も自分を求めてくれている。
そう思うと、心に温かなものが流れ込んでくるのが分かる。
今ならさっきミサキの言っていたことが分かる気がする。
「ああ。」
どちらにせよそのつもりで、端からこの態勢で抱き合っていたのだから、肯定の意志を示す。
「ふふ。ありがとう。」
そう言って柔らかく微笑むミサキ。
その表情が一番好きだなぁ。なんて事を考えながら、ミサキとキスを交わす。
明日は唇が腫れてそうだなぁなんて、そんなことを考え、いつの間にやら、俺の方がベタ惚れ状態になっている幼なじみを抱きしめながら。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

どなたでも編集できます