「カナミ、今日出るから」
「え? お兄ちゃんから何が出るの?」
それはいつもの朝だった。眠りの中のシンジを叩き起こすのに一回、
朝食の際に一回、登校前にしてすでに二回、カナミの下ネタが炸裂していた。
「出すんじゃないんだよ出るんだよ。今日は友達の家で泊まるから」
「え……? それじゃあ私、一人になっちゃうじゃん」
「うん。すまないんだけど、お前も友達呼んだりしてくれないかな。
 さすがにお前を家にひとりにするのは気が引けるし……。かといって約束も破れないしな」
「そういうことは先に言ってよね」
「昨日の夜に決まったんだからしょうがないだろ。友達は呼べそうか?」
「う〜ん……わかんない。ていうかお兄ちゃんは、私がお兄ちゃんが留守の間に、
 おうちに誰か誘っていいのー? まあ、お兄ちゃんも朝帰りみたいだから?」
「何言ってんだ、彼氏もいないくせに……」
「まま、そのうちそのうち……」
「まあ、そうやって下ネタばっか言ってるうちはいつまでも無理だろうけどな」
カナミは相変わらずニコニコとしているが、頭の中では今晩誰を誘おうかとフル回転させている。
彼氏もなく、多少寂しくはあれど、友達がいれば女のカナミは大丈夫かもしれない。
そんなことを、男のシンジは思っていた。実際は逆なのだが。
「それにしてもお前は本当下ネタが好きだよな。お前の友達に申し訳ないよ」
「あ、結構ひどいことを」
「マナカちゃんや、えと、ショーコちゃんだっけ? あのあたりならまだいいとしても、
 あの金髪ショートの、アキちゃん? あのあたりは結構きっついんだろうなあ」
「えっ……や、やっぱり?」
笑みを浮かべ続けていたカナミの顔色が、急に曇る。
「まあ、あの娘はツッコミ役だから、お前のようなやつには一人ぐらい必要だろうけど。
 年頃の女の子が下ネタばっかり聞かされるのは、ハードなものがあるだろうさ」
「そ、そうかな……でもアキちゃん寛大だし……」
ハハハと笑うカナミだったが、その表情にはどこか翳りがあった。

「と、いうわけで。こうして皆が一堂に介したわけです」
シンジのいない城島家。カナミの部屋にはいつもの顔が揃っている。
もちろん、カナミ、アキ、マナカ、ショーコだった(カオルは親が煩かったため欠席)。
「まあ、あまり変わらない顔ぶれだけどね」
「せっかくシンジさんが友達の家で濃密な夜を過ごしてくるということなので、
 ここは女同士、腹を割って話そうじゃないですか」
「いまさら何を話すんだか」




とはいっても女四人。積もる話は山ほどあり、話は弾んでいった。
ファッションからテレビ、世間話に花を咲かせ、その中にちょくちょく下ネタを織り交ぜ、
アキの鋭いツッコミもいつも以上に冴えながら、当然のように話題は、色恋沙汰へとシフトしていった。
「カナミは彼氏つくんないの?」
尋ねたのはショーコだった。
「へっ? ……そんなの作ろうと思って作れるわけじゃないし」
「クラスとか、学校に誰か好きな人がいるとかいないし」
「う〜ん、あまり……」
「こいつは耳年増のくせにそういうところに疎いんだからな〜」
アキが笑ってカナミをからかう。
「なによ、アキはいないの?」
「私は……別に」
「まあ、仮に好きな人がいたとしても言えないでしょう」
「どうしてよ」
「それはつまり、自分のオナペットを告白するのと同じだからです」
ショーコがなるほどという目でアキをみる。
「してねぇよ!」
「あるいはアキさんが何者かのオカズに……!」
「ま、まあまあ……」
「なによカナミ。妙に慌ててるんじゃない?」
ニヤニヤとしてささやかなツッコミをいれるショーコ。
カナミの心臓が、音が聞こえるのではないかという程鳴った。
「さてはカナミちゃんも好きな男の人を……」
「だから違うって……」
「そうそう。こいつは耳年増なだけだよ。そんなことわかってもないって。
 それに、自分が好きな人が周りにいたって、最初はよくわからないもんじゃない?」
「あ、それならいい方法がありますよ。とある雑誌で読んだのですが、
 自分とその人がキスしているシーンを想像して、嫌悪感を抱かなかったら、
 自分は心のどこかでその人を恋愛対象としてみることが可能だと思っているそうです」
「へえ……でも私は考える相手もいないなあ」
アキは感心しながらもカラカラと笑う。
「へえ、アキちゃんいないんだ」
「まあ、中にはキスを通り越してアッチで想像する人もいるんですけど」
「それをオナニーっていうのよ」
そんな話で夜が更けてゆき、時計の針が11時を指した頃だった。




「あれ? マナカ、あんたのケータイ震えてるよ?」
「本当ですね……メールです。……えっ?」
「どうしたの?」
「……すいません。今日泊まれなくなりました。親からメールで、キンタマが急病で運ばれちゃったらしいんです」
「キン……って、あんたの家のネコだよね?」
「はい、キンタマが病気らしくて」
「性病だね!」
「はい!」
「はい!じゃねぇ〜」
「それじゃあ私は、いまからキンタマの様態が心配なのでこれで……」
「そっか。大事に至らなかったらいいね」
皆でマナカに別れを告げる。申し訳なさげに帰って行くマナカ。
すると、ショーコの携帯も鳴り出した。
「はいは……あれ、彼から電話だわ? ……もしもし? えっ? ……そうなの? ……しょうがないなあ」
ふぅ、とため息をつきながら電話をきるショーコ。
「どうしたの?」
「いや、彼がね? 栄養ドリンクと間違えてマムシドリンクを飲んだみたいで、ギンギンが止まらないんだって」
「ああ、そうですか」
果てしなくどうでもよかった。
「これじゃあ仕事の残りがはかどらないから、今すぐ来てくれって……彼からの頼みは断れないし、
 私も今日泊まれなくなっちゃった。二人には……特にカナミには悪いんだけどね……」
「気にしないで。彼氏が爆発しちゃったらショーコが困るしね」
「しないだろ……まあ、よく分からない理由だけど、しょうがないか。今日はカナミと二人きりになっちゃうね」
「えっ……あ、うん……」
ショーコに別れを告げ、二人は部屋に布団を敷いた。カナミのベッドの真横に、アキが寝るための布団を敷く。
「思えば私だけでカナミの部屋に泊まるのは初めてだね。それにいつもはお兄さんもいるわけだし」
「そうだね……アキちゃんもお兄ちゃんみたいに朝弱いしな〜。起こす方が辛いんだから」
「へえ? いつもどうやって起こしてんの?」
「電気アンマとか鞭で殴打とか」
「絶対止めてね」
「あのさ、アキちゃん。さっきの話の続きなんだけど……」
「ん?」
「好きな人……いるの?」
「なに……私はオナニーなんてしてないわよ」
「そうじゃなくてね、その、純粋に……」
「……正直にいうと、いないかな。カナミは?」
「私は……いるよ」
「……そっか」
アキは深く尋ねなかった。別にそうすることでカナミがそれをオカズにしていると考えないためではない。
ただ、カナミもその相手と自分がキスをしている場面を考えたのだろうか。それが少し気になった。
電灯を消し、二人は眠りについた。




アキの意識がゆっくりと覚醒する。
うっすらとしたぼやけた視界は、暗くなった部屋の天井を映している。
(何か音が……それと声もする……)
ぼんやりとはしているが、確かにアキの意識はその物音を聴いている。
「はぁ……くぅっ……ん……」
(この声は……カナミ?)
意識が少しづつクリアになっていく。それと同時にアキの耳に、隣のベッドからの物音が入ってくる。
「あっ……ん……」
それは確かにカナミの声だった。うめいている調子でくぐもった声をだしている。
(どうしたんだろ……苦しいのかな?)
そこでアキは、カナミの声と同時になにか水音のようなものが聴こえることに気付いた。
ぴちゃりぴちゃりとした音が、カナミの声を絡み合うように、部屋に響いている。
「くっ……ああん……ふっ……」
アキの視界が冴えてきた。何事だろうと首だけを静かに曲げて、隣のベットを覗き見る。
カナミは布団に入らず、ベッドの上に座ったまま、壁に背中をかけていた。
アキはカナミが裸になっていることに気付く。たしかに寝る前に双方寝巻きに着替えたはずだが
カナミだけなぜかそれらを下着と共に全て脱ぎ去り、全裸になっているのだ。
(カ、カナミ、どうして……)
同級生の全裸姿に、アキは頭は混乱した。暗がりでもカナミの身体のラインが、
以前から自分の胸に嫉妬したり、開き直ったりしていた小さな胸の形状もはっきりと確認できる。
暗闇に目が慣れてくると、アキが何をしているのかがわかってきた。
「はあっ……ううん……」
カナミは自らの左手でそのささやかな胸を揉みしだき、またもう片方の手は秘部へと当てられていた。
水音はカナミの秘部から発せられていた。愛液が指に絡み、卑猥な音を立てている。
(カナミの奴、もしかして……オ、オナニー?)
カナミにだって性欲ぐらいある。しかも年頃の女の子だ。
そのうえ下ネタ大好きな女の子であり、別にすることがあったっておかしくはない。
(ど、どうして? 私すぐ隣にいるのに……)
もしかしたらあの恋バナでカナミは、好きな人を思い出し興奮してしまったのでは――――。
それを考えるとアキは急に恥ずかしくなってしまった。まさかカナミが発情するなど思いもしなかったからだ。
いつも下ネタを連発する存在だとはいえ、同級生の自慰を目撃するのはショックも大きかった。
どこかで幼稚な部分があると思っていたカナミが、こんなに乱れることがなんて……。
カナミの荒い息が徐々に激しくなってきた。もう隣にアキが寝ていることも忘れているのかもしれない。




(や、やっぱりさっき言ってた『好きな人』のこと考えてるのかな……?)
アキが戸惑っている間にも、カナミは自分を慰める指の動きを早める。愛液の卑猥な音はさらに大きくなった。
(でも誰なんだろ……カナミの好きな人って……ああ、ダメ! そんな下世話なこと考えちゃ!)
「あふぅ……ああっ、ひああん……」
(いやー! これ以上喘がないで!)
同級生の喘ぎ声を隣で聞きつづけるのは、ちょっとした拷問のようなものだった。
これが見知らぬ顔だったら、アキの精神がどうかしてしまうだろう。
「ひあっ、アキ、ちゃあん……」
(いやあー! 私の名前を……ん? おい!)
驚きのあまり、思わず声が漏れそうになった。
「アキちゃん……おっぱい、おおきぃ……」
(こいつ、私の身体で変なこと考えてるー!)
アキは静かに枕を濡らした。胸の大きさから、ズリネタにされているのではないかとからかわれることは多かったが、
まさか、からかう当の本人であるカナミのオカズにされているとは、1ミリたりとも思いもしなかった。
「アキちゃんのすごぉい……こんなにおっきいの……んっ、奥まで入ってる……」
(私のどこに何を奥まで挿れたんだぁー!!)
身体をぶるぶる震わせるアキ。身体をガクガクと揺らすカナミ。
(ちくしょー! 私真横で思いっきり汚されてる! なんで私を想像するのよ!
 さっき言ってた好きな人を想像すりゃあいいでしょうよー! うえーん!)
カナミの想像の中で、散らされゆく己の純潔との別れを惜しむアキだった。
「ふあっ……アキちゃあん……好きっ……!」
(……えっ?)
カナミの口から漏れたその一言を、アキは聞き逃さなかった。
(今……『好き』って言ったよね?)
「アキ、ちゃんっ……好きっ……大好きっ……!」
(あ、愛の告白めっちゃ聞こえてる!)
アキの脳内は、計算が追いつかないほど混乱していた。
カナミの告白と喘ぎ声と、現状を把握するための脳内整理とが混ざり合い、なんだかわけのわからない状況になっている。
(えと……カナミは私が好きで、じゃあカナミがさっき言っていた好きな人がいるっていうのは嘘なわけで、
 ああ、でも好きな人が私なんだからそれは厳密には嘘じゃないわけで、でもカナミも私も女なわけで……!)
「ア、アキちゃんっ……! 私、もう……くぅっ……!」
(えっ、あっ、カナミってば……わ、私どうしたら……)




カナミの言葉をゆっくりと飲みこんだら、突然鈍器で殴られたような衝撃。
カナミは私のことを、友達以上の存在として好いてくれている――それを認識すると、アキには成す術を考えることが出来なかった。
(だって、だって、急にそんなこと言われたって……!)
「アキちゃあん、気持ちいいよぉ……もっと、舐めてっ……!」
(私はどこも舐めてない!)
「あっ、ひあっ、あうっ、好きっ、大好きっ、アキちゃあん……! いっ、あっ……」
(ひー! 私どうしたらいいのよー!)
「ああんっ……! あっ、あっ、やあああんっ……!!」
カナミは身体を大きく仰け反らせ、足先をピンと伸ばしながら絶頂へと達した。
(カ、カナミ……もしかして……)
「はあっ……はあっ、よかったよ……アキちゃん……」
(そうですか……)
荒い息を吐いているカナミ。アキは途惑いながらもことが終わったことにとりあえず安心しておいた。
「あっ……アキちゃんに聞こえちゃったかな?」
アキは答えない。
「ほっ……よかった、聞こえてないみたい」
(しっかり聞こえてます……でもよかった……これで寝られる……)
「じゃあ、アキちゃん……もう一回戦」
(イヤぁーっ!)

「あ、アキちゃんおはよー」
「ああ……おはよう」
朝からツヤツヤと活力にみなぎっているカナミと比べ、アキはやつれていた。
昨日は結局、カナミが3回もしたあげく、朝型からロウソクを垂らされて寝不足のままの起床となった。
「アキちゃん、あいかわらず朝弱いね」
(誰のせいだと思ってるんだろ……)
カナミはパタパタと朝食の準備をしている。制服に着替えたアキはテーブルに座り、悩んでいた。
(これは……言うべきなのかな? でも、友情はぶち壊したくないし……。
 かといって、カナミの気持ちを知りながら普通に接する自信が、私にはない……)
「待っててね。もうすぐでご飯だから」
「あ、うん……」
朝食が用意されたテーブル。カナミは威勢良く、いただきますを言った。




「……ねえ、カナミ。昨日のことなんだけど」
「なあに?」
「その……カナミだってそりゃあ、そういうときがあるからしょうがないとはわかってるんだけど」
「何が?」
「友達が寝てる横で、ひとりでしちゃうのはどうかと思うんだけど……」
カナミの箸が止まる。顔色を窺うように、恐る恐るアキを覗き見る。
「あ……アキちゃん、起きてたの?」
「そりゃ……あんな大声で喘がれたら、誰だって起きちゃうわよ」
その台詞を聞いたカナミの顔が、耳まで赤くなった。
「あ、あはは……ほら、今日お兄ちゃんいないし、ついついムラムラっと……。
 それにアキちゃん隣にいるから、バレそうでバレないスリルがまた快感っていうの?」
「バレてるんだってば……」
「いやあ〜起きているんだったら混ざってくれればよかったのに……」
笑ってはいるが、顔色が少しづつ思わしくなくなっていることが、アキにも気付けた。
「それとさ……している間、その、私の名前呼んでたよね?」
カナミの身体がびくっと震える。悪いことを咎められた子供のような顔になったが、やがてすぐに微笑んだ。
「それは……アキちゃんの身体エロいし、ついつい頭の中でアキちゃんを男の人とあんなことやこんなこと!
 あらぬ痴態を想像しちゃった。いや〜さすがアキちゃんの胸は揺れがすごいね! 騎乗位でぶるんぶるん……」
無理して下ネタに繋ごうとしているカナミ。だが、声が少しだけ震えていた。
アキはまるで、自分がカナミをいじめているような、そんな気分がしていた。
「いや〜、他意はなかったんだよ?」
「他意はないか……じゃあカナミは、他意がない相手に好きって言えちゃうの?」
言ってしまった……。アキは少しばかり後悔した。
「え……あっ……」
「……正直、ちょっと驚いたけどさ。気持ちはうれしいんだけど」
「あ、アキちゃん……」
「あ〜……なんて答えたらいいかわかんないな」
アキは頭をかきむしった。セットされたばかりのショートヘアの形が崩れる。
「その……カナミの想いにはきっと、返事をあげるから、だからこれからも友達で……」
「え、ああ、うん……あ、ありがとう……」
「ん、こっちこそゴメンね。……ご飯冷めちゃうし、さっさと食べちゃおうか?」
「アキちゃん! その……ごめんね。昨日アキちゃんで、変なことしちゃって……イヤだよね?」
「そりゃあ、いい気持ちじゃないよ。たとえ私のことを好きでいてくれても、そういうことはしてほしくないな……」
「や、やっぱり……そうだよね。あはは……ご、ごめんね」




「まあ、もういいんだけど……カナミ?」
俯いているカナミの肩が、ぷるぷると震えていた。嗚咽が聞こえ、アキはカナミが泣いているという事がわかった。
「か、カナミ。何も泣くこと……」
「ご、ごめんね……こういうときこそ、いつもの下ネタで、ひっく、お茶を濁せばいいのに……。
 あ、アキちゃんはいつも……私が下ネタを言っても、嫌いにならないでいてくれるから、ううっ、
 こんなときも許してくれると思ってて……でも、アキちゃんだって、イヤなものはイヤだもん、
 ぐすっ、なのに私、アキちゃんのこと好きなのに、アキちゃんが嫌がるようなことして……」
大粒の涙をこぼし、嗚咽を繰り返していたカナミは、やがて堰を切ったように大声で泣き出した。
「カナミ、私もう気にしてないから……」
「あう……ごめんねぇ……アキちゃん、ごめんねぇ……」
泣き続けるカナミをどうすれば止められるか、アキには思いつかなかった。
もしかしたら泣かせ続けることが良いのかも知れないと思い、アキは席につく。
「カナミ、私は今考えてるよ」
「ぐずっ……何を?」
「……あんたと私がキスするところ。正直な話、そんなにイヤじゃない」
「あ、アキちゃん……」
「あんたの下ネタにはもう慣れちゃったから、オカズにされていたことぐらいで、嫌いになんかならないわよ。
 こんなことが言える相手なんて、いまのところあんただけなんだから……ここまでのこともきちんと受け入れて、
 あんたのこと、真剣に考えるから……だからもう、泣いたり、自分を責めたりするのやめてよ。そのほうが辛い」
カナミの嗚咽が止まる。アキの言葉を真正面から受けとめ、ゆっくりと噛み締める。
ああ、そういう人だった。自分のこういった下品な部分を、今まで受け入れてくれていたのだ。
だから自分は好きになったのだ。それに遅れて気付いたカナミ。
「アキちゃん、ありがとぉ……」
「ほら、早く涙と鼻水拭きなって」
「うん……ご飯冷めちゃったね。暖めよっか」
「完全に遅刻になっちゃうけどね」
「あはは……アキちゃんって、心が大きいね」
「そう?」
「おっぱいと心って比例するんだね」
「黙れ!」
いつものようなボケとツッコミを繰り返す二人。
この日のカナミは涙を拭いながらも、それがいつもより少し心地よかった。

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