ドタンッ!!

カナミはリビングを後にし、自らの部屋のドアを慌ただしく閉めた。
ドアの開閉へのこだわりに構っているヒマなどカナミには無かった。
シンジとの行為によってもたらされた感覚。

その先を早く得たいという思いで頭はいっぱいだった。

………………………………

部屋に入ってすぐにカナミはスカートとショーツを脱ぎ捨てる。

あと一歩で堰を切って溢れ出る直前の快楽を引きずり出すのに小細工をして一から持ち上げていく必要は無く、

『あっ、あっ、……ふぁ、あっ!!』

直接的な刺激こそがカナミの望むものだった。

『あぁ、耳…ふぁ…、あぁ、ひぁ……』

カナミはベッドの上で背中を丸めるように横向きに寝転がり、左手を右耳に、右手を自らの性器にあて、快感に悶えていく。

カナミの右手が自らの淫唇からクリトリスを捜し当て、皮越しに撫であげると、淫唇はすぐに口を開く。

自らの中に溜め込んだ液体を吐き出し、カナミの手と内股を濡らしていく。

普段のカナミであれば、自身の所有する道具を横に準備してオナニーにふける。

隣のシンジの部屋から聴こえてくる音声に興奮して、息詰まった時のストレス解消に、不意にムラムラした。
なんてのがカナミがオナニーをする時の大半の理由である。
そういった場合は開始前の思考は案外冷静な状態なので道具を準備しておく事が出来る。
使う使わないはその日によっての差異は出てきてしまうが。

今回、中途半端に昂ぶらされた揚げ句。というシチュエーションは初めてで、道具を用意するという考え自体が浮かば無かった。


それでも、充分過ぎる快感がカナミを襲う。
手だけで絶頂に達した事も数知れない自らのテク、先程の行為で発見した自らの新しい弱点〜シチュエーションがもたらした一時的なものかもしれないが〜を責めることで淫唇はどんどんと愛液を吐き出していく。

『あっ、あっ!!あ……』

カナミは指を自らの膣に挿入していく。
中は熱く、カナミの指をズッポリとくわえ込む。

『ふぁっ、あっ、すごっ…わた、し、中っ、あ』

2本の指で想う様掻き混ぜていくカナミ。

グジュ、グジュ、ジュポ

部屋には水音が響く。

カナミの意識はどんどんと快楽の前に薄れていき、鮮明にシンジを描き出していく。

『あっ、うぁ、……、お、に…あ、わ、た…ひぁぁ』

シンジを兄としてではなく、男として好きになってしまった…
そんな事をいつカナミが自覚したのかはさだかではない。
しかし、オナニーのときは必ずシンジを想像しながら事に及ぶ。
最初は何か別のものから開始していく事もある。
それでも気付けば必ず相手役はシンジに変わる。
時には犯されながら、時には愛されて、たまに自分から奉仕しているときもある。

今日は直接シンジに自らの身体に快感をもたらされた直後である。
そのビジョンは鮮明で、今目の前にシンジがいて、オナニーを見せ付けているという錯覚にカナミは陥る。

『お兄、ちゃん、…あっ…見…あっ、あっ』


シンジに聞かせているが如く、声を荒げていくカナミ。

あいた親指でクリトリスを責めたてる。
親指のみで器用に皮を剥き、擦る。

『はぁっ、あぁ、あ!!』

カナミは声で限界に向かっている事を表現する。
気付けば左耳を枕に強く押し付け、強く上下させている。
ビクンッ!!と時折身体を跳ねさせるカナミ。

『あっ、あん、ひぁっ、感じすぎ…やばっ…』

今、目の前にいるシンジ(カナミの想像が見せた幻覚)は絶頂に達した時のカナミの艶声を聞いて、どんな行動を取るだろうか?
力付くでカナミを押さえ付け、犯してくるだろうか?

いや、犯されたい。
カナミは強く思う。

シンジに自分のイッた姿を見せ付けたい。
強く思う。

その思いは強い衝動としてカナミの背筋を駆け抜ける。

『ひぁっ、あっ、も………う、駄、イ、あっ、ク…ああぁぁぁ!!』

ピシャ、

白く濁った愛液を一度に大量に吐き出しながらカナミはイッた。

………………………………

絶頂の余韻から覚め、カナミはキッチンで水を飲んでいた。
シンジは既に部屋へと引き下がってしまったのか誰もいない。
ぼうっとした頭で電気さえつけずに蛇口に手を伸ばす。


シンジとの行為。その余韻を受けてのオナニーはカナミの中で燻っていた感情に火をつけていた。
時にはボケとしてごまかしながらも、今までけして消えることの無かった感情。
カナミは一人呟く。

『やっぱり、お兄ちゃんは誰にも渡さない。』

兄妹だから…しかし、それだけで割り切れるようなものでは無い。
それで割り切るには
全ての好意も、
シンジに行ってきたアプローチも、
シンジに身を任せ行われた耳への口撫も、

その全てが無駄になってしまう。

気付けばカナミは包丁を取り出し握っていた。

『誰かの手に渡るくらいなら、いっそ…』


光を放つもののないキッチン。
刃物に移ったカナミの表情に一切の迷いの色は見られなかった。

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