最終更新:ID:kVmmA7G3iQ 2008年06月03日(火) 20:50:56履歴
梅雨で。
雨で。
濡れる。
「ハラタツ!なんで雨降るかね!?」
足もとの水溜りをバシャンと踏みつけるリョーコ。
当然水が跳ねるが、たっぷり濡れた今となっては些細な事だ。
「せ、先輩落ちついて」
「そうですよせんせー。怒ってもしょうがないですよ」
御立腹の中村を宥めるのはアイとリンコ。
「でも中村先生のの言うことにも一理ありますよ。
今日は夕方まで大丈夫って天気予報で言ってたのに」
「しょせん天気予報なんてあてにならないって事ね」
どうやらミサキとアヤナも少々機嫌が悪い様だ。
まあせっかくみんなで楽しく外出だったのに、
濡れ鼠で雨宿りなんて悲しすぎる。
普通の感覚の持ち主なら機嫌が悪くなって当然だ。
その意味ではアイとリンコは普通ではない。
半天然と天然はこーいう時強い。
「あ〜誰か知り合いでも通りかからないかしら?
そしたら傘強奪してやるのに」
「先輩……それ強盗」
「はっ!カンケーないわね!」
どうやらリョーコさん、はなはだ御立腹のようだ。
こいつぁデンジャーだ。
「で、でも先輩!」
気を紛らわさせようとアイが笑顔で話しかける。
「いい買い物できたじゃないですか」
「まあ、ね」
今更だがこの五人、実は買い物帰り。
マサヒコはどうした?ヤツがいないとは珍しいと?
もちろん理由がある。
買う物が下着だったから誘われなかったのだ。
「たしかにリンやらアヤナやらミサキちゃんやらで遊べて楽しかったけどね」
「あ、遊びって先輩……」
「けど、楽しみもこれじゃあ半減よ」
そう言って号泣する空を見上げる。
「近くに喫茶店とかあるとよかったんですけどね」
「流石に本屋では…これだけ濡れた格好では入れませんよね」
そう言ってアヤナはため息。
「……時にアヤナ」
「なんですお姉様?」
「服透けてるわよ」
「っ!?」
慌てて両手で胸を掻き抱く。
「もっと早く教えてくださいよ!」
「悪い悪い。気付いてやってるのかと思って」
「しません!」
真っ赤になって激高するアヤナ。
ふと、リョーコはなにかを思いついた様子でニヤリと笑う。
「それよアヤナ」
「は?ど、どれですか?」
「その格好で男誘惑して傘を分捕るのよ」
「嫌です!」
「けちくさいこといわないの。減るもんじゃないし」
「絶対嫌です!それだったら――」
ふとミサキを見て、リンコを見て、アイをみて。
「濱中先生がやればいいじゃないですか」
「今二人ほどスルーしたような……」
「まあこの二人に男誘惑するのは無理でしょうね」
ショックのミサキとよくわかってないリンコ。
そしてリョーコ、再び何か思いつく。
「ねえ。もしもマサを誘惑したら誰になびくと思う?」
「「「「え!?」」」
「まあ誘惑ってのは言いすぎだけど、マサが傘持って歩いてたとするじゃない。
その時誰を傘に入れてくれるかって。興味ない?」
「「「「……」」」」
沈黙。
それぞれを牽制するかのような沈黙。
マサヒコに対する想い、対抗心、女としてのプライドなど。
さまざまな思惑が四人の間を飛び交う。
そんな四人を愉快そうに見つめるリョーコ。
「あ〜…マサのやつひょっこり通りかからないかな〜。
物凄く面白い事になりそうなんだけどな〜」
そのころマサヒコは意外な場所にいた。
なんと五人の背後。
そう、本屋の中にいたのだ。
本屋から出ようとしたところで聞こえてきたのは
リョーコの「もしもマサを誘惑したら誰になびくと思う?」発言。
その後の四人の沈黙に身の危険を感じたマサヒコ。
くるりと反転、レジへ。
そして、
「すいません、裏口ってありますか?」
脱出した。
END
雨で。
濡れる。
「ハラタツ!なんで雨降るかね!?」
足もとの水溜りをバシャンと踏みつけるリョーコ。
当然水が跳ねるが、たっぷり濡れた今となっては些細な事だ。
「せ、先輩落ちついて」
「そうですよせんせー。怒ってもしょうがないですよ」
御立腹の中村を宥めるのはアイとリンコ。
「でも中村先生のの言うことにも一理ありますよ。
今日は夕方まで大丈夫って天気予報で言ってたのに」
「しょせん天気予報なんてあてにならないって事ね」
どうやらミサキとアヤナも少々機嫌が悪い様だ。
まあせっかくみんなで楽しく外出だったのに、
濡れ鼠で雨宿りなんて悲しすぎる。
普通の感覚の持ち主なら機嫌が悪くなって当然だ。
その意味ではアイとリンコは普通ではない。
半天然と天然はこーいう時強い。
「あ〜誰か知り合いでも通りかからないかしら?
そしたら傘強奪してやるのに」
「先輩……それ強盗」
「はっ!カンケーないわね!」
どうやらリョーコさん、はなはだ御立腹のようだ。
こいつぁデンジャーだ。
「で、でも先輩!」
気を紛らわさせようとアイが笑顔で話しかける。
「いい買い物できたじゃないですか」
「まあ、ね」
今更だがこの五人、実は買い物帰り。
マサヒコはどうした?ヤツがいないとは珍しいと?
もちろん理由がある。
買う物が下着だったから誘われなかったのだ。
「たしかにリンやらアヤナやらミサキちゃんやらで遊べて楽しかったけどね」
「あ、遊びって先輩……」
「けど、楽しみもこれじゃあ半減よ」
そう言って号泣する空を見上げる。
「近くに喫茶店とかあるとよかったんですけどね」
「流石に本屋では…これだけ濡れた格好では入れませんよね」
そう言ってアヤナはため息。
「……時にアヤナ」
「なんですお姉様?」
「服透けてるわよ」
「っ!?」
慌てて両手で胸を掻き抱く。
「もっと早く教えてくださいよ!」
「悪い悪い。気付いてやってるのかと思って」
「しません!」
真っ赤になって激高するアヤナ。
ふと、リョーコはなにかを思いついた様子でニヤリと笑う。
「それよアヤナ」
「は?ど、どれですか?」
「その格好で男誘惑して傘を分捕るのよ」
「嫌です!」
「けちくさいこといわないの。減るもんじゃないし」
「絶対嫌です!それだったら――」
ふとミサキを見て、リンコを見て、アイをみて。
「濱中先生がやればいいじゃないですか」
「今二人ほどスルーしたような……」
「まあこの二人に男誘惑するのは無理でしょうね」
ショックのミサキとよくわかってないリンコ。
そしてリョーコ、再び何か思いつく。
「ねえ。もしもマサを誘惑したら誰になびくと思う?」
「「「「え!?」」」
「まあ誘惑ってのは言いすぎだけど、マサが傘持って歩いてたとするじゃない。
その時誰を傘に入れてくれるかって。興味ない?」
「「「「……」」」」
沈黙。
それぞれを牽制するかのような沈黙。
マサヒコに対する想い、対抗心、女としてのプライドなど。
さまざまな思惑が四人の間を飛び交う。
そんな四人を愉快そうに見つめるリョーコ。
「あ〜…マサのやつひょっこり通りかからないかな〜。
物凄く面白い事になりそうなんだけどな〜」
そのころマサヒコは意外な場所にいた。
なんと五人の背後。
そう、本屋の中にいたのだ。
本屋から出ようとしたところで聞こえてきたのは
リョーコの「もしもマサを誘惑したら誰になびくと思う?」発言。
その後の四人の沈黙に身の危険を感じたマサヒコ。
くるりと反転、レジへ。
そして、
「すいません、裏口ってありますか?」
脱出した。
END
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