『ポニテ喫茶なんてどうだろう?』

今日は文化祭での生徒会のだしものを決める会議でした。
喫茶店という案が最初に出て意義無しな流れだったんですが、そこは元女子校。かわいい制服への憧れか、喫茶店自体が異様に多かったりするんです。
だからアリア先輩より『ツンデレ、クーデレ、メイド喫茶なんて当たり前、被っちゃうわ。』の物言い。
そして最後、冒頭の会長の発言へと話は至るわけです。

『涼宮ハ○ヒ人気のおかげか最近はポニーテールが市民権を得て来ているからな。』

またそのネタですか。ほんとにいとうの○ぢ原画作品大好きなんですね。

『正直言ってユニゾンシフトブロッ○ムの新作には期待している。』

ちょっ!?会長、人の考えてることを読まないでください!!
若干の戸惑いを覚えつつ俺は涼宮ハ○ヒの主人公よろしく一つ呟く。

『…やれやれ』

………………………………

あー、ものすごくスースーする。
時は流れて文化祭当日。
俺は今日何度も抱いた感想を再び抱く。
こともあろうに俺も一緒にウェイトレスの恰好をさせられている。
ウェイターではなくウェイトレスだ。
もはや、ギャグ状態だとわかりきってはいるんだが…
だって、どうみてもウェイトレスの服を着た侍みたいなんだぜ?俺の頭にくっついてるのはポニーテールと言うよりもちょんまげ。
周りを見渡して、しっかりポニーテールになっている会長を筆頭とする他の生徒会の面々と比べて明らかにおかしいだろ。

『良いじゃない、津田くんそれはそれで可愛いわよ。』

はぁ、どうも七条先輩。

『津田が新しい趣味に目覚めないか心配だな。』

『目覚めません!!』

俺は脊髄反射でツッコミをいれる。
それにしても、この2人の姿には正直くるものがある。
フリフリのウェイトレス衣装にポニーテールの破壊力を正直舐めてた気がする。

『何鼻の下伸ばしてんのよ!!』

そこにオーダーを終えた萩村が帰ってくる。
言わずもがな、萩村もポニーテールだ。

『…キノセイダヨ。』

やましいことを考えてたため、発音おかしく俺は返事をしてしまう。
そんな俺をねめつけるような目線で見ている萩村。
なんだか非常に居心地が悪いな…
俺はかわすために一声かける事にする。

『萩村は普段の髪型も良いけど、ポニーテールも良いな。』

うん、なんとかかわせたみたいだ。
なにも言わずに頬を染めてそっぽを向く萩村。
うん。これもありだね!!(心の中でサムズアップ←死語)

『すいませ〜ん。』

おっとオーダーだ。
俺は当初会長から『今日は声だし禁止!!』の厳命と共に渡されたホワイトボードを片手に声をかけられた席へと向かう。

『(ご注文は?)』

俺は乱雑に書きなぐる。

『……………』

何も喋らずに固まる客。というか、偶然来ていた五十嵐先輩。

『…お姉様って呼んでも良い?』

『(はい?)』

突然の発言に対しても冷静にホワイトボードで対応する俺。
っつか、ツッコミたい所が多数ある。
まず、俺はこの人よりも年下である。
それから俺はウェイトレス、言ってしまえば女性の恰好はしているがそれでも元は男。よくよく見ればわかるはずだ。
それに他から人を借りて来ている(調理役として七条先輩ん家の執事さん、
もともとポニーテールな三葉や会長ファンクラブ等による有志のみなさん他。)
とは言っても生徒会役員の面々が一人欠けているのだからわかるだろう。

『あなたの学年は関係ないの、その身長、凛々しい顔立ち。私が理想とするお姉様だわ。』

男性恐怖症というよりは、もしかしなくても、この人は百合ん百合んな人なのか?
陶然としていたかと思うとがっしりと五十嵐先輩が俺の手を掴んでくる。
っつーか、ナンパなんかして風紀委員長のこの人自ら風紀乱しまくりなんだが…

『ちょっと、そこ何をしているか!!』

『そうだよー、お触りは禁止ですー!!』

困惑する俺を見つけた会長と三葉が寄って来てくれる。正直助かった。
そして駆け寄りながら声を上げた後、2人は俺の腕を掴んで五十嵐先輩より引きはがして言う。

『津田がいくら可愛いからってナンパは許さん。津田は私のものだ。』

………………………はい?
会長の発言に思わず耳を疑う。

『そうですよ!!タカトシくんは渡しません!!』

ちょっ、三葉!?

『………いやああぁぁぁ〜!!』

その刹那、突如として耳をつんざくような悲鳴が響き渡る。

『お、男に触れてしまった…嫌、いや、無理。』

半狂乱で五十嵐先輩が喚いている。

なんだかいたたまれない空気だな…

『ある晴れた日の〜』

ちょっ!!
突然の後ろからの歌声に俺はビビる。
見るとポニテのメイドさ…
というか、この流れ、前もあったよな?

『いや、そろそろ…』

『言わなくていいです。』

だから、その先の発言は封じ込めておいた。

『オチもつかなそうだし、ちょうど良かったんじゃない?』

『ええ、まぁ…』

っつか、この人も人の心が読めるんでしょうか…
まぁ、正直オチがつかなくて困っていたとこですが…

………………………………

見た目の変化など気にする暇などなくいつもどおりの喧騒。
こんな毎日が3年間も続くと思うと正直憂鬱な気がする……
俺は再びこれでオチをつけなくてはいけないようだ。

『やれや…『いやぁ〜』

五月蝿いな。まだ五十嵐先輩は喚いてるのか。

おしまい

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