最終更新:ID:QIGMy54DzQ 2008年05月30日(金) 23:21:23履歴
今日はカテキョの日。
小久保家にはマサヒコ、アイ、リンコ、リョーコの姿。そして、ミサキとアヤナの2人もいた。
流石に試験前、マサヒコの部屋に緊迫した雰囲気が漂う。
(今日は何事も無く終わりそうだ‥平穏バンザイ)
しかし、その予想はジェンガのように脆くも崩れ去った。
「マサヒコ君、今日は何の日?」
アイが唐突に尋ねる。
「?えっと…7月7日ですけど」
「だ・か・ら!!何の日?」
机をバシバシ叩いてマサヒコを威嚇。
だが、顔はふくれっ面。怖さ半減、可愛さ二倍増し状態。
「??浴衣の日ですけど‥」
※ちなみにマジです。
どこでそんなマニアックな記念日を…。ええい!最近の中学生は化け物かっ!
マサヒコのすっとんきょんな解答に、一同唖然。
「もう!そうじゃなくて」
一種のじらしプレイにも見える光景に、リョーコ失笑。口を必死で押さえている。
「???…ああ、七夕ですか」
やっとのことで、アイの望む答えを導き出したマサヒコ。
アイは安堵の表情を浮かべたが、再び厳しい(?)顔に戻る。
「そうよ!!なので、これから短冊を書こうと思います!」
「試験前なのに何で…」
アイの指先がマサヒコの目の前に突きつけられる。
「男は四の五の言わない!ロマンの無い人は嫌われるわよ!」
「そうだよ小久保くん。そんな事言ってたら、将来大学でヘンなサークルの代表になって
逮捕されちゃうよ?」
「ハイハイ。俺には遅稲田に入るほどの学力はねぇよ」
「いいんじゃない?丁度息抜きしたかったし…。若田部さんは?」
「わ、私は…お姉様がやるのなら」
「んじゃキマリね。アイ?」
リョーコがそう言うと、アイは鞄から短冊を取り出す。
(また、授業が脱線していく…)
大きなため息をつくマサヒコ。断りたいのに断れない。ああ、悲しきかな己の性。
「一人二枚ずつで、片方は今度の試験の目標を。
もう片方には、叶えたい事を書いてね。」
マサヒコの前に、色鮮やかな和紙が広がる。一枚取ろうとしたその時、
「そういえば先生、笹の木はどうするんですか?」
リンコらしからぬ鋭い質問。アイは口を開けて固まる。図星だったようだ。
「ふっふっふ…ぬかったようねアイ」
リョーコの不敵な笑いが部屋にこだまする。
と同時に、言い知れない不安が襲う。
マサヒコの背に滝のような汗。喉が水分を欲しがる。
マサヒコは、残っていたジュースを一気に飲み干した。
「なんと!マサのお母様に無理言って買って来て貰いましたぁ♪」
「あんた、人ん家の母親に何頼んでんだぁ〜〜〜!!」
「まあまあ、とりあえず書きましょう‥ね?」
マサヒコをなだめるアヤナ。意外と乗り気だ。
マサヒコは仕方なく筆を執ることにした。
数分後…
「みんな書けた?」
アイの質問に頷く一同。
外に出て各々短冊を笹の木にくくりつける。空はいつの間にか赤く染まっていた。
「マサヒコ君は何お願いした?」
「先生が先に言ったら、言いますよ」
そう言われて、少し顔を赤らめるアイ。
「どうしても?」
上目遣いでマサヒコの顔を伺う。マサヒコは無言で頷く。
「ワタシは…黄金鷲のチャレンジメニューを食べきること‥かな」
「叶いますよ‥先生なら絶対」
「マサヒコ君は?」
「やだなぁ先生、願いは簡単に口に出さない方が叶うんですよ」
そう言って微笑むマサヒコ。しかし、アイは納得がいかない。
「そんなの卑怯よ!」
「なら、言わなきゃよかったのに」
「ぐっ…そ、それは」
もっともな事を言われ、たじろぐアイ。
「みゅぅ…そうだ!ミサキちゃんは?」
「秘密です♪」
「うっ‥り、リンコちゃんは?」
「叶えたいから言わないもん!」
「あぅぅ…アヤナちゃんは?」
「言うと思いますか?」
「せ、せんぱ〜い」
「アイ、あんたバカ?」
自分だけ願いを打ち明けた恥ずかしさのあまりに泣き出すアイ。
「うっ‥うえ〜ん‥みんなヒドいよ…」
「まあまあ先生、部屋に戻ったらケーキあげますから」
アイの心の雨雲に光が差し込んでいく。
「ホント?」
「ええ、さあ行きましょう」
手を伸ばし、座り込んでいたアイの手を引く。
(えっ!!?)
思わず、ぼ〜っとするアイ。
「どうしたんですか?」
心配そうな目でアイを見つめるマサヒコ。
「な、何でもないヨ!!」
「…ならよかった。先生も急いで、みんなもう部屋に行っちゃいましたよ?」
「う‥うん♪」
元気よく立ち上がり、庭を後にする。
―いつだって優しい目や仕草。彼を好きになったのは、もういつのことだろう?
それにしても、マサヒコ君の言ってたことホントだ…
言わなきゃ叶うんだね…それとも偶然かな?
ううん、偶然じゃないよね。こうして出会えたのも運命だもの―
マサヒコに手を引かれ、家に入るアイ。その顔は何とも言えないほど幸せそうだった。
夏風が笹の木を揺らす。柔らかな風に揺れる、みんなの願い。
そこに一際大きく、丁寧な文字で書かれた短冊が一枚。
『マサヒコ君が私の気持ちに気付いてくれますように。』
…あなたの願いは何ですか?
おしまい。
小久保家にはマサヒコ、アイ、リンコ、リョーコの姿。そして、ミサキとアヤナの2人もいた。
流石に試験前、マサヒコの部屋に緊迫した雰囲気が漂う。
(今日は何事も無く終わりそうだ‥平穏バンザイ)
しかし、その予想はジェンガのように脆くも崩れ去った。
「マサヒコ君、今日は何の日?」
アイが唐突に尋ねる。
「?えっと…7月7日ですけど」
「だ・か・ら!!何の日?」
机をバシバシ叩いてマサヒコを威嚇。
だが、顔はふくれっ面。怖さ半減、可愛さ二倍増し状態。
「??浴衣の日ですけど‥」
※ちなみにマジです。
どこでそんなマニアックな記念日を…。ええい!最近の中学生は化け物かっ!
マサヒコのすっとんきょんな解答に、一同唖然。
「もう!そうじゃなくて」
一種のじらしプレイにも見える光景に、リョーコ失笑。口を必死で押さえている。
「???…ああ、七夕ですか」
やっとのことで、アイの望む答えを導き出したマサヒコ。
アイは安堵の表情を浮かべたが、再び厳しい(?)顔に戻る。
「そうよ!!なので、これから短冊を書こうと思います!」
「試験前なのに何で…」
アイの指先がマサヒコの目の前に突きつけられる。
「男は四の五の言わない!ロマンの無い人は嫌われるわよ!」
「そうだよ小久保くん。そんな事言ってたら、将来大学でヘンなサークルの代表になって
逮捕されちゃうよ?」
「ハイハイ。俺には遅稲田に入るほどの学力はねぇよ」
「いいんじゃない?丁度息抜きしたかったし…。若田部さんは?」
「わ、私は…お姉様がやるのなら」
「んじゃキマリね。アイ?」
リョーコがそう言うと、アイは鞄から短冊を取り出す。
(また、授業が脱線していく…)
大きなため息をつくマサヒコ。断りたいのに断れない。ああ、悲しきかな己の性。
「一人二枚ずつで、片方は今度の試験の目標を。
もう片方には、叶えたい事を書いてね。」
マサヒコの前に、色鮮やかな和紙が広がる。一枚取ろうとしたその時、
「そういえば先生、笹の木はどうするんですか?」
リンコらしからぬ鋭い質問。アイは口を開けて固まる。図星だったようだ。
「ふっふっふ…ぬかったようねアイ」
リョーコの不敵な笑いが部屋にこだまする。
と同時に、言い知れない不安が襲う。
マサヒコの背に滝のような汗。喉が水分を欲しがる。
マサヒコは、残っていたジュースを一気に飲み干した。
「なんと!マサのお母様に無理言って買って来て貰いましたぁ♪」
「あんた、人ん家の母親に何頼んでんだぁ〜〜〜!!」
「まあまあ、とりあえず書きましょう‥ね?」
マサヒコをなだめるアヤナ。意外と乗り気だ。
マサヒコは仕方なく筆を執ることにした。
数分後…
「みんな書けた?」
アイの質問に頷く一同。
外に出て各々短冊を笹の木にくくりつける。空はいつの間にか赤く染まっていた。
「マサヒコ君は何お願いした?」
「先生が先に言ったら、言いますよ」
そう言われて、少し顔を赤らめるアイ。
「どうしても?」
上目遣いでマサヒコの顔を伺う。マサヒコは無言で頷く。
「ワタシは…黄金鷲のチャレンジメニューを食べきること‥かな」
「叶いますよ‥先生なら絶対」
「マサヒコ君は?」
「やだなぁ先生、願いは簡単に口に出さない方が叶うんですよ」
そう言って微笑むマサヒコ。しかし、アイは納得がいかない。
「そんなの卑怯よ!」
「なら、言わなきゃよかったのに」
「ぐっ…そ、それは」
もっともな事を言われ、たじろぐアイ。
「みゅぅ…そうだ!ミサキちゃんは?」
「秘密です♪」
「うっ‥り、リンコちゃんは?」
「叶えたいから言わないもん!」
「あぅぅ…アヤナちゃんは?」
「言うと思いますか?」
「せ、せんぱ〜い」
「アイ、あんたバカ?」
自分だけ願いを打ち明けた恥ずかしさのあまりに泣き出すアイ。
「うっ‥うえ〜ん‥みんなヒドいよ…」
「まあまあ先生、部屋に戻ったらケーキあげますから」
アイの心の雨雲に光が差し込んでいく。
「ホント?」
「ええ、さあ行きましょう」
手を伸ばし、座り込んでいたアイの手を引く。
(えっ!!?)
思わず、ぼ〜っとするアイ。
「どうしたんですか?」
心配そうな目でアイを見つめるマサヒコ。
「な、何でもないヨ!!」
「…ならよかった。先生も急いで、みんなもう部屋に行っちゃいましたよ?」
「う‥うん♪」
元気よく立ち上がり、庭を後にする。
―いつだって優しい目や仕草。彼を好きになったのは、もういつのことだろう?
それにしても、マサヒコ君の言ってたことホントだ…
言わなきゃ叶うんだね…それとも偶然かな?
ううん、偶然じゃないよね。こうして出会えたのも運命だもの―
マサヒコに手を引かれ、家に入るアイ。その顔は何とも言えないほど幸せそうだった。
夏風が笹の木を揺らす。柔らかな風に揺れる、みんなの願い。
そこに一際大きく、丁寧な文字で書かれた短冊が一枚。
『マサヒコ君が私の気持ちに気付いてくれますように。』
…あなたの願いは何ですか?
おしまい。
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