ミサキの静脈が透けて見えるほどの白さとは違う、健康的なピンク色の肌。
恥じらいゆえか、裸の下半身はほんのりとさらに赤く色づいていた。
そして髪の毛の色と同じ、紅茶色の恥毛がふわりと中心に生い茂っていた。
“ごくッ”
マサヒコは、思わず唾を飲み込んだ。喉が、カラカラに渇いていた。
はっきりと分るくらい、アヤナの恥毛には透明な滴がまとわりついて光っていた。
「濡れてるでしょう?小久保君、私……」
「だ……ダメだよ、若田部」
「濡れてるのは……あなたのことを、考えていたから。あなたの腕に、抱かれることを。
あなたの唇で、キスされることを。あなたの指に、触れられることを……」
裾から手を離すと、そう言いながら胸元に手を乗せてアヤナは目を閉じる。
その表情は、しかし、決して淫猥なものではなかった。
むしろ―――神への、敬虔な祈り。そんな表情のようにマサヒコには見えていた。
「あなたに、触れられて……あなたに、愛されることを思って、
私は毎日のように、自分を慰めていた。それが終わった後、虚しくなるってことが分っていても。
こんな風に、あなたのことだけを思って………私は」
“くちゅ………”
アヤナが、右手の指先を自分の茂みの中へと這わせる。そこから、小さな、湿った音が漏れた。
「わ、わかた、べ」
“くちゅ……ちゅ”
マサヒコが凝視していることにも構わず――いや、むしろ彼の視線を意識して、
気持ちを高ぶらせながら、アヤナは茂みの中の泉を掻き混ぜ続けた。
「あ……毎日……毎日。あなたに、避けられていても、止められなかった。
時には、あなたと天野さんが、愛し合っている場面を想像して、うン……こんなことをしていた。
私は……住むところの違う、女なんかじゃない。憧れの存在でもないし、特別なんかじゃない。
あッ……ただの、女なの。ホラ、見てよ、小久保君」
アヤナが自分の中から指を抜き取ると、手のひらを広げてかざしてみせた。
「…………」
呆然と、マサヒコはそれを見た。アヤナの指先には、べったりと半透明の愛液が付着していた。
部屋の灯りに反射して、それは鈍い光を放っていた。
「見てよ………小久保君」
アヤナはひどく淫靡な笑みを浮かべて―――人差し指と親指をくっつけたり、離したりした。
そのたびに、指と指の間にねっとりとした糸がかかり、にちゃにちゃとしたいやらしい音が響く。
「これ……これがね、あなたのことを考えるといつも……私のあそこから出てくる、恥ずかしい液」
そしてそのまま――
“ぷちゅ………く、くちゅ”
指先を自分の口元へと運ぶと、うっりと、淫蕩な微笑みを浮かべたまま、それを口に含んだ。
「あ…………」
マサヒコは何も出来ず、ただ彼女を見つめることしかできなかった。
目の前の出来事が、信じられなかった。
あの、誰よりも潔癖性だったアヤナが、茂みの中から愛液を掬って口に含み、
くちゅくちゅと口の中で転がしている。―――どうしても、信じられなかった。
(夢……?これは、夢、なのか?)
「夢じゃ、ないよ」
マサヒコの思考を読んだかのように、アヤナが囁いた。
「これは、夢じゃない。あなたが、いる……小久保君……」
潤んだ目でアヤナがそう言うと、エプロンを脱ぎ去った。
「あ…………」
ふるり、と豊かに実った大きな乳房が目に飛び込んできた。
先端には、赤く色づいた、ぽっちりと小さな乳首。きゅっと絞られたウェストライン。
健康的に肉づいた両の太腿の間に咲く、薄い色素の茂み。
言葉を発することすら忘れ、マサヒコはアヤナの裸体を見つめていた。
「夢じゃないよ………ホラ」
アヤナがマサヒコの手を取って自分の乳房の上にのせた。少しだけ、汗の冷たさを感じた。
どくっ、どくっ、と心臓が脈打つ音が、手のひら越しに、聞こえた。
§
「私は………ここにいる。あなたが………ここにいる。これは、現実だよ。小久保君」
そう呟いた後、アヤナはマサヒコの手を自分の口元に、寄せた。
“ちゅ………ぴちゃ”
そして愛おしそうに口に含むと、舌先で絡めるように――マサヒコの指先を、舐め続けた。
(あ……あ………わかた、べ………)
舐められているのは、指先のはずだった。それは、分っていた。
しかし、指先を舐められるたび、マサヒコはびりびりと痺れるような快感に貫かれていた。
ペニスを舌先で嬲られているような、弄ばれるような、錯覚。
ミサキにフェラチオされたときよりも、遙かに強烈な快楽だった。
“くちゅ………きゅちゅ”
舐め続けながら、アヤナは左手を自分の茂みの中へと潜らせ、潤んだそこを掻き混ぜる。
「小久保君………舐めて……私の、恥ずかしくて、エッチな……」
そして、指先に付着したそれを、広げて見せた。
先ほどより、それはずっと、湿り気を帯びて――ずっと、濡れているように見えた。
「………………」
「いや?私のを、舐めるの」
“ちゅぷ”
マサヒコはアヤナの言うがまま、彼女の愛液でべっとりと濡れた指先を口に含んだ。
ほんの少し、塩の味が口の中に広がる。
「嫌なんかじゃない………若田部の、指………可愛い」
「舐めて………それは、私の、だから………私、だから」
“ちゅぷぅ……るぅ”
“くっちゅ、ぷちゅ……”
ふたりは、取り憑かれたように互いの指を舐め合う。
やがて指先は、唾液でまみれてふやけてしまうほどになったが、ふたりは、なおも舐め続けた。
““くっぷ………”“
どれくらいの時が過ぎただろう―――ようやく舐めるのを止め、ふたりは、見つめ合った。
「小久保君………私を……愛して、ください………」
「………いいのか?若田部」
「いいの。小久保君になら、全部……私の、全部……いいから」
マサヒコには、まだ恋人であるミサキへの背徳感が消えたわけではなかった。
(オレは………若田部が………)
だが、マサヒコは自覚していた。ここまで、迷ってきたのは。
アヤナを傷つけるのが、怖かったからでも――
アヤナとミサキの友情が、壊れてしまうのをためらったからでも――
本当は、どれでも無かった。マサヒコは、ただ、怖かったのだ。
――自分の感情に、正直になることが。
――アヤナのことを、友人以上だと思っていたことを、認めるのが。
(オレは………オレは、本当は、若田部のことを……)
「好き………私は、あなたが、好きだから。ここで……いま………」
アヤナが、抱きついてきた。マサヒコは、生まれたままの姿の彼女を受け止める。
柔らかな、重さ。アヤナの、体温。伝わる、鼓動。
至近距離に、赤く、熱っぽい表情のアヤナ。無言のまま彼女は、
“ちゅッ”
マサヒコに、キスをした。唇の熱さを、感じた。体温より、明らかに熱かった。
「好き……小久保君。私は……ずっと、あなたが好きだった。
あの、金魚をもらった日から。あなたの家の玄関で、押し倒されたときから。
足を挫いたときに、保健室に連れて行ってくれたときから。ずっと……」
「若田部……オレも、好きだった」
「………本当に?」
「すごく……キレイな子で、頭も良くて、みんなの憧れの存在だったけど、
オレはお前と一緒にいると、楽だったし、面白かったし。でもそれだけじゃなくて、
なんて言うか、ミサキや、的山や、濱中先生と違って、ちょっとドキドキする感じもして……」
「私も………小久保君と一緒にいると、楽しかった。それに、私も同じ。ドキドキしたり……
他の男子とは……そんな気持ちになったこと、なかった。あなた、だけだった」
§

ふたりは、再び見つめ合った後、
“ちゅッつッ”
唇を、重ねた。互いの体温を混ぜて、同じ温度にするかのような、長いキス。
“くぅッ……つちゅぅ”
音がたつほど、唇を吸う。口内に、舌を挿れる。舌と舌を、絡める。
ざらざらとした、舌の表面の感覚。柔らかくて、ねっとりとして、熱い。
「は……んッ。こくぼ、くぅん……」
キスを続けながら。舌先で、マサヒコの唇を舐めながら。
アヤナがもどかしそうにマサヒコのブレザーを脱がす。
無言で頷いたマサヒコは、ブレザーを、ワイシャツを、脱ぎ捨てた。
ベルトに手をかけてパンツのジッパーを下ろし、トランクスも脱いで全裸になった。
じっとマサヒコの仕草を見つめていたアヤナだが、ふっ、と可笑しそうな表情を浮かべる。
「………?」
「…………ふ、ふふ」
「?どうした、若田部」
「いまさらだけど。ふたりとも裸って、なんだか、恥ずかしいね」
「まぁ、な……」
「恥ずかしいのに、嬉しくて、可笑しくて……不思議だね」
(可愛いな、若田部……)
今更のように、マサヒコは思った。今のこのシチュエーションとは全くそぐわないが――
小さくて恥ずかしげな笑顔は、無邪気な少女のような微笑みだった。
“ぎゅッ”
マサヒコは、アヤナを強く抱きしめた。柔らかな乳房が、自分の胸元を押し返すのを感じた。
「若田部、オレは、後悔しない。もう、後悔、しない。
多分、オレがこれからすることは、最低で、格好悪くて、最悪なことなんだ。
でも、オレは……やっぱり、お前が好きだ。だから、オレは」
「いいよ……あなたは、最低でも、格好悪くても、最悪でも、小久保君だから。
私が……好きに、なった人だから。好きになってしまった、人だから」
それ以上、言葉は要らなかった。
“っちゅ……ちゅ”
軽くキスをした後、アヤナの頬にもキスをした。そのまま、舌先を、首筋に這わす。
「あ…………」
小さく、アヤナが震える。汗が、分泌されるのを間近で見る。
“つ、つ〜〜〜〜”
「ふ……きゃ………ぁあ、うぅん……」
首から鎖骨のラインを、跡を付けるように、舐める。
震えが、少しずつ嗚咽に――快楽を忍ぶ声へと、変わるのを確認した後。
“ちゅぅうううッ”
「?!W#?きゃ、きゃああああッ!」
耳の裏を、舐めた。弱点への不意打ちに、思わず悲鳴を上げるアヤナ。
「ココ、やっぱ弱いんだ、若田部?」
「やだ……お、覚えて……たの?」
「うん。あんときの若田部、びっくりするくらい可愛い声出したから」
「馬鹿………あのときも、言ったのに。力、抜けちゃうって」
「でも、マジで可愛い声だったよ?若田部。だから……」
「あ!や!ひゃんッ………」
耳の裏から、耳の周りを、舌先で、舐める。唾液を彼女の肌に、馴染ませるように、舐める。
「ひゃ………。馬鹿ッ!……あ……きゃッ!」
耳を責められて身悶えするアヤナがたまらなく愛おしくなったマサヒコは、
思わずアヤナの耳をかぷり、と口の中に含んでいた。
小さな耳は折り畳まれるように、マサヒコの口中に半分近くすっぽりと納まってしまった。
“くちゅ………ぷちゅ”
しつこいくらいに、舌先で口の中の耳を、舐める。嬲る。
少しだけ、固いところを。柔らかいところを。耳の溝を。べとべとになるまで、舐める。
「はぁ!はッ!やだ……ダメえ!小久保君、ば、馬鹿ぁ〜〜〜!」
§
弱々しい罵倒の言葉とともに、アヤナの体から力が抜けたのを、マサヒコは感じた。
(え………?まさか、こんだけで?)
真っ赤になって、上気しきった顔。くたっ、と脱力した、表情。潤んで焦点が合わない、瞳。
それは、完全に―――彼女が、達してしまったことを、マサヒコに伝えていた。
「あの……若田部?」
「………弱いって、言ったのに……」
「ご、ゴメン……でも、そんなに弱いって思わなかったから」
「謝ったって……ダメ!今度は、私の番!」
「え?お、おい!」
ふざけたようなふくれっ面をつくると、アヤナが覆い被さってきて、馬乗りに近い状態になった。
(お……おお、ちょっと、若田部……)
見事な美乳が至近距離でたぷたぷと揺れる絶景を堪能するマサヒコだが、
アヤナはちょっと冗談っぽく、微笑んだ。
「私も、今思い出した」
「??へ?何を?」
「小久保君の……弱点」
「へ?わぁッ!ちょい、ストップ!若田部!」
“つぷッ”
アヤナがマサヒコの腋の下に頭を潜らすと、強く、吸い出すようなキスをしてきた。
くすぐったさと共に襲ってくる、ぞくぞくとした快感に思わず身を捩るマサヒコ。
「えへへ〜〜〜ワキ、弱いんだよね、小久保君?」
「う………ゴメン若田部、さっきのは謝るから」
「ダメよ。私だけイジメて……これで、あいこなんだから」
“つくぅ〜〜〜”
「!〜=%&あ、あひっ……」
舌先をすぼめて突起のようにして、マサヒコの腋から脇腹を、舐める。
ほとんど贅肉のついていない、痩せて硬いそこを、丹念に舐める。
途中でとんとん、とリズムを取るように、つつく。そのたびに、
「ひ……ひゃあッ!」
マサヒコが、甲高い声を漏らす。その様子を、アヤナは悪戯っ子のような表情で見つめていた。
(感じてるんだ………可愛い、小久保君)
“はぷ……”
腋の下にうっすらと生えた毛を、愛おしく思いながら口に含んだ。
鼻腔に、マサヒコの汗の薫りが満ちる。唾液で浸すように、腋の毛を舐める。
「や……ひぃッ!マジで、無理………ぎ、ギブだって、若田部ぇ!」
「うふ〜〜♪可愛い声出すのね、小久保君」
「も、もう勘弁してくれ、マジで、若田部」
「うふふっ♪ね?小久保君ってドMだよね」
「………いきなりそんなこと言われても」
「で、ちなみに私はかなりのSなの。だから、あなたがそんな顔してくれると……」
“ぷつッ”
「は、はひゅうッ!」
腋の窪みに激しく吸いつくようなキスをするアヤナ。マサヒコの反応を、たっぷりと楽しむ。
「すっごく、ゾクゾクしちゃうの。うふ、でも、本当にあなたって女の子みたい♪」
「だ、だから、わ、わかたべ……止めてって」
情けなく懇願するマサヒコだがそんな姿は完全に逆効果で、
“つっ”
アヤナのS魂に油を注いでしまうだけだった。脇腹に、強いキス。
そこから、舌先でちろちろと肋骨の線をなぞるように舐める。
「う………ひ……ひゃ、ええ?」
そしてそのままマサヒコの胸に顔を埋めると、マサヒコの小さな乳首を、吸った。
「男のひとも………ここ、感じるの?」
「?!?だ、だから、若田部、もう、マジでオレ、ギブ」
「うふ。可愛いんだから、小久保君♪それに、ギブって言ってる割には……」
「!!!あひ……」
§
アヤナの指が、マサヒコの股間をまさぐる。少しぎこちなく、ペニスに触れる。
先ほどからの彼女の口撫によってそこは、既にガチガチに固くなってしまっていた。
「こんなになっちゃうんだ……男のひとのって………」
「て言うか、お前だって確かお兄さんがいたから、その、こういうの見たこと」
「?ううん……年が離れてたから、あんまり、えっと……ふうん、でも、本当におっきくなるんだ」
「!ひ?!ば、馬鹿止めろって、若田部」
アヤナは興味のおもむくまま、すりすり、と根元からマサヒコのペニスを撫でた。
それは、アヤナの愛撫に反応してぴくぴくと震えるように動いた。
(ふぅん………男のひとのって………思ったより)
想像ではもっとずっとグロテスクなものだと思っていた。しかし実際に目の前にしてみると――
それは、ちんまりとした肉の塊のように、見えた。
それは、なんとなく情けなく、なんとなく可愛らしいものだった。
(えっと……これならお姉様に習ったとおり、で、できるかな?思ったより、き、汚い感じじゃないし)
「?あのさ、若田部。ブツブツ言ってるんなら、もう止めてくれな……えええ??」
“あむ………”
アヤナが頭をマサヒコの下半身へと移動させると、なんの予告も無しにそれを、口に含んだ。
突然のアヤナの行為と、彼女の口内の温かさに驚愕するマサヒコ。
「んッ………ひもち、いい?こふぼくん」
口に含んでいたペニスをいったん離して、上目遣いで問うアヤナ。
潤んだ瞳と興奮のためか赤く染まった目元が、たまらなく色っぽかった。
「い、いや、その気持良いとか悪いとかそれはどっちかと言えばその、気持ち良いんだけど、
ってそんなことじゃなくて!!!お前、いきなり、なな、何を」
「ん?ごほーしぷれー?って、言うのよね?」
「?はぁ?」
「お姉様に、習ったの。ご奉仕プレーって」
(!!!!!メガネ、アンタはいったいどこまで!)
アヤナと中村の珍妙な師弟関係は、帰国後も全く変わらないようだ。
その事実に改めて激しく脱力するマサヒコだが。
「それで、私なりに猛練習したから……ごほーし」
“ちゅぷぅく”
「@$#お、おお!!」
アヤナが一気に、奥深くまでペニスを飲みこむ。
喉奥のぬるり、とした柔らかな感触に思わず声をあげるマサヒコ。
「ん……っん………ん、ぷきゅう……」
“ぬ……ぬるっ〜〜ぅるぅ〜〜”
ゆっくり、ゆっくり、呑み込みを浅くしていく。
浅くしていきながら、ペニスの裏側を舌先で添わすように舐める。
亀頭だけを口の中に残して、包皮の周辺をなぞるようにちゅぷちゅぷと吸う。
「あ……わ、わかたべ……」
抵抗することも忘れ、マサヒコは目を閉じて快楽に身を任せていた。
(あ……ああ……すげえ………これ……わかたべの口の中で……オレ)
ペニスの先から、自分自身がとろり、と熔けるような錯覚。
アヤナが舐め、くわえ、吸うたびに、マサヒコの爪先がぴくッ、と小さく反応する。
「ん……ひもちいい?小久保君」
「あ……ああ。き、気持いいよ。凄く……」
「えへ、良かった。お姉様に教えてもらって、バナナのオモチャで一生懸命練習したから」
(それは………どうかと思うけど)
ツッコミどころ満載のアヤナの発言に心中そう呟くマサヒコだが、
無邪気なアヤナの笑顔になにも言えなくなってしまうのだった。
“ちゅ………ちゅる〜〜〜はむッ”
「わ!ぉおおお!ちょ、若田部、すす、ストップ!」
脱力しかけたマサヒコだが、肝心のそこは全く脱力していなかった。
練習の成果か中村の指導の賜か、ビギナーと思えぬほどの見事な口技を繰り出すアヤナに、
今にもノックダウン寸前になってしまい、慌てて彼女の頭に手をのせる。
「んにゅ?あ、ごめんなさい。今の痛かった?」
§
「いや、痛くはないけど……その、ムチャクチャ気持ち良かったけど……
あの若田部、その、オレもうそろそろ限界で」
「?別に口の中でしても良かったのに」
「だ、だからそんなの、汚いだろ?」
「?だって、飲むんでしょう?こういうとき」
「………そうと決まったわけじゃ」
(はぁぁぁ………これもどーせメガネの仕込みなんだろうが)
今日何度目かの脱力感にぐったりとなってしまうマサヒコだが――
(………天野さんは、飲んでくれないのかな?)
アヤナはそんな彼のことをじっと見つめ、勘違い気味のジェラシーを抱いてしまうのだった。
“かぷッ”
「!`〜Φ!いい?若田部?」
勢いよく、アヤナが再びペニスをくわえた。ちょっと怒ったような、上目遣いでマサヒコを見る。
「んぐ……らして、ろくぼくん」
「はひ?」
「出して。私、飲むから」
「だ、だからな、きたな……」
「嫌。小久保君のだから、汚くない。私……飲みたい」
“ぢゅぷッ!ぷじゅッ!!ぷぅちゅう!!!”
一気に、アヤナは勢いを早めた。強く、吸う。舌先で、ペニスを掬い上げる。
白く滑らかな指先で、フクロを揉んで、刺激する。
「@$!ど、あ……や、やめ、わかた……あ、あああ!!!」
“びゅぐッ………どぷ、ずびゅうッ”
抵抗も虚しく、あっさりとマサヒコはアヤナの口内で射精してしまっていた。
小さく腰を震わせ、快感に酔うように、何度も、何度も、ペニスから精を吐き出す。
(ああ……やっちゃった。若田部に……飲ませちゃったよ、オレ)
ミサキには、まだ一度も飲ませたことがなかった。これが、初めての体験だった。
「んっ!んくッ!!………んうう……」
“こくッ、こくッ”
喉を鳴らして、アヤナはマサヒコのペニスから迸る精液を飲んでいた。
(あ……すごい、生ぐさい。でも、これが……小久保君の……精液)
美味、という類のものでは当然無かった。
生まれて初めて味わうそれからは、少しの苦みと、しょっぱさと、何とも言えない生臭さを感じた。
“こくっ………く、ずぅ、ちゅうううううぅ……こくん、ごく”
吐き出さないよう、必死にアヤナは飲み続ける。ペニスから、搾り取るように、吸い出す。
“ぴゅ………ぷ”
何度も続いたマサヒコの射精は、やがて、ようやく終わろうとしていた。
“ちゅぷ………”
勢いを失い、だらりと柔らかくなったペニスから、やっと口を離すアヤナ。
「は………はぁッ……こくぼ……くん」
真っ赤に興奮したアヤナが、譫言のように呟く。つるッ、と口の端から精液が、漏れる。
それに気付いたアヤナは、慌てて舌先でちゅるり、とそれを舐め取る。
「わ、若田部……だから、そんな……お前、無理して飲まなくても……初めてなのに」
「熱い……小久保君。熱いよ……すごく……」
こくり、と口の中に残った精液を飲みほす。普段のキリリ、としたアヤナではなく、
どこかとろん、と焦点のぼやけた瞳がたまらなく色っぽかった。
「ゴメン……不味かったろ?」
「ううん。美味しい……小久保君の、せいえき。ねえ……気持ち良かった?、私のごホーシ」
「あ、ああ」
「私……したい。もっと」
「若田部……でも、あの……そんな、すぐには、その、男の事情ってもんが」
「?」
射精し終わったばかりであり、すぐに回復するわけには、と言ったつもりなのだが。
そのへんはアヤナも初めての体験であり、マサヒコが含んでいるところが理解できず――
きょとん、と不思議そうに彼を見つめるしかなかった。
§
「えっと……じゃあね」
「?え?きゃあ」
マサヒコがアヤナを抱き寄せ、乳房に顔を埋めた。
柔らかく、大きな乳房から、ほのかな汗の匂いと、甘く青い薫りがした。
「可愛い……若田部」
「やだ……いきなり、恥ずかしいよ、小久保君」
「キレイだよ。やわらかくて、おっきくて、いいにおいで」
「あの……小久保君、ヘンなこと、聞いてもいい?」
「なに?」
「………大きくない?私の」
「?若田部の胸は、確かに大きい方だと思うけど」
「ううん。違うの。その……わ、私の、ち、乳首、大きくない?」
「?あ、もしかして気にしてんの?」
恥ずかしそうに、アヤナがこくん、と頷く。
「ふぅん……そうなんだ?」
改めて見ると、確かにアヤナ本人が気にしているとおり、少し大きめの乳首だった。
乳首だけでなく乳輪も大きめなのだが、なにせ乳房そのものがあまりに豊かなので、
バランス的に乳首だけが大きすぎるとは感じなかった。
「やん。ダメえ……そんなにジロジロ見ないで」
思わず両手で胸を隠してしまうアヤナだが、
高校生になって更にサイズを増した彼女の乳房は思いっきり手のひらに余るわけで。
「いや、見ないと分かんないし。それにあんま隠れてないし。でも、そんな大きくは無いと思うよ」
「……ホント?」
「うん。だから……」
“ちゅッ”
「あン!」
アヤナの手をどかせると、マサヒコが乳首を口に含んだ。
ぽってりと熱を帯びた小さな果実を、軽く吸い出す。
「気にすること無いよ、若田部。ココもすごく美人だし」
「やん。乳首に美人なんて、ないでしょ?」
「いや、でも、なんて言うか、若田部の乳首は、大丈夫だよ。可愛くて、美人だって。ホラ」
“ちゅッ、ちゅう〜〜……かに、ぴにっ”
「あ……やン……」
先ほどのフェラチオのお返しとばかりに、マサヒコがアヤナの乳首を吸う。
指先で、摘んでみる。ぴちぴちと、指の腹で弾く。唾液をたっぷりと含ませて、舐める。
ふにふに、と張りがあって大きな乳房を揉む。舌先で、ちろちろと突く。
「あ………ふぁぁ……」
「どう?若田部」
「く……ん……ンンッ、ど、どうって……く、くすぐったい」
「くすぐったい……だけ?気持ち良くない?」
「わ、わかんないよぉ……」
恥ずかしくなってしまったアヤナは手で顔を隠していやいや、と左右に振った。
(可愛い……若田部)
大きな胸がアヤナのコンプレックスなのは、中学生の頃から本人から聞いていた。
心優しいマサヒコは彼女の気持ちを思って、なるべくそこを責めないように我慢していたのだが。
いったん愛撫し始めると、ブレーキが効かずに止められなくなっていた。
“くつ……かにぃ、れろ、くりゅうぅ〜〜〜”
丹念に舐められ、転がされ、吸われた乳首は赤っぽく腫れ、ぷっくりと勃ちはじめた。
夢中になったマサヒコは、かにかにと甘く、そこを、噛んだ。
「ふやぁ……きゃあン……噛んじゃ、ダメえ………」
言葉では抵抗するものの、それはひどく弱々しいだけで―――
逆に、マサヒコの加虐心を刺激してしまうのだった。
“ちゅッ……かむ、かむ、ふみゅ、むにゅ”
しつこいくらいに、アヤナの乳首を責め続けるマサヒコ。そのたびに面白いように彼女は反応し、
背をのけ反らせ、震え、おおきな乳房には玉の汗が浮かび始めた。
§
(胸の大きい女の子は感度が悪いって………嘘なのかな?)
某思春期漫画の兄とは真逆の感想を抱きながら、マサヒコはアヤナの中心に左手を伸ばす。
“すッ”
「あ………」
見せつけるようにしていたオナニーのときから、既にそこが湿っていたのは分っていた。
直接触れると、薄く生い茂った恥毛がしっとりと指先に絡みついてきた。
“くちゅ………”
「あ………はぁ」
確認するように。緩く閉じられた裂け目の筋を沿うように。指を、這わす。
小さな声が口から漏れて、アヤナのからだがぶるぶるっ、と震えた。お尻にきゅっ、と力が入る。
口の中に、左の乳首を含んで転がしながら。指先で、右の乳首を弄りながら。
彼女の繊細なそこを傷つけないよう、優しく、なぞるように。何度か左の人差し指を往復させた。
「ン………い……ふぁ……」
「痛くない?若田部」
「だ………大丈夫。気持ち……いいよ」
恥ずかしさと快感に耐えるアヤナの表情を見つめたマサヒコは、
“くちゅう………じゅッ”
「あ!」
一気に、人差し指を裂け目の中に、挿れた。
(あ………若田部の、中、あったかい………)
そこは、明らかに、体の温度よりも、ぬるくて、ねっとりとしていた。
“くにゅ”
「ふいぁん………あ……」
中指も、挿れた。二本の指先を折り曲げるようにして、少しだけそこを広げてみる。
アヤナのからだが、一瞬だけ硬くなった。脚の爪先が伸びて、また弛緩する。
“くちゅッ………くちゅ、ちゅじゅ、ぢゅ”
なでるように――ひろげるように――ほぐすように――ただ、マサヒコはアヤナの中心を、愛した。
「あ………あンぅ……あはぁ……うン……」
初めはぎこちなかった反応も、繰り返しマサヒコに責められるたび、
少しずつ艶やかなものに変化していった。そして中心から、染み出るように、愛液が滲む。
“くちゅッ、ちゅ、ぢゅっ”
柔らかく濡れていたそこは、マサヒコの指先に優しく嬲られて、歓ぶように、小さく、蠢く。
「あぁ……こ……くぼ……ひゃん!……くぅん……」
言葉も切れ切れに、アヤナが喘ぐ。きゅッ、とマサヒコの肩を掴んで、ふわあ、と息を吐く。
(若田部……濡れてる。なら、もう……いいかな?)
流石に若さというものか、彼女の艶姿を見て、マサヒコのペニスはしっかり回復していた。
いったん愛撫を止めて指を引き抜くと、マサヒコは――
“ちょこん”
「!!!」
ペニスの先を、アヤナの裂け目に、触れるように押しつけてみせた。
突然の感触に、驚いて目を見開くアヤナ。
「あの………若田部?もう、大丈夫?」
「う……ウン」
不安そうに、嬉しそうに、愛おしそうに、アヤナが頷く。
「あの……でも、小久保君、その前に……もう一回」
目を閉じて、ねだるように唇を突きだすアヤナ。マサヒコはにっこりと彼女に微笑んで―――
“ちゅッ”
唇を、重ねた。そして、ふたりは、もつれるように、絡み合う螺旋のように、抱き合った。
アヤナは、マサヒコのからだに齧り付いた。マサヒコのからだから伝わる、体温。
喜びを感じた。ゆるやかな、恐怖も。しかし、それはどちらも―――
自分自身が、ずっと、ずっと待ち焦がれてきたものだということを、彼女は知っていた。
「私は………ずっと、ずっと、待っていたの。アメリカに行ってからも。帰ってきてからも。
ううん。違う。あなたと……出会ってから、ずっと。待ってた。あなたの……ことを」
「………若田部」
ふたりはもう一回、強く抱き合ってから、少しだけ、離れた。

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