「ただいま〜〜〜」
"シ―――――――ン"
(?……カナミの奴、いないのか?でも玄関開けっ放し……?トイレ?)
「おかえりなさい、シンジさん……」
「?あれ?マナカちゃん、カナミは?」
「カナミちゃんはお部屋ですが……なるべく静かにしてあげて下さいね?」
「?部屋って………そっち行って良い?」
「ええ、どうぞ……でも静かに、ですよ?」
「???ああ……」
"くぅ〜〜〜、すぅ〜〜〜"
階段を上ってカナミの部屋をのぞくと、カナミがベッドの中で気持ち良さそうに寝息をたてていた。
「???カナミの奴、どうしたの?」
「今日カナミちゃん体調悪かったみたいで……どうも風邪をひいたみたいなんです。
結局早退することになって、今ちょうど薬を飲んで寝たところだったんですよ」
「そうだったんだ……悪いね、マナカちゃん一緒についてきてくれたんだ?」
「ええ、心配でしたから。でもシンジさんが帰られたんなら、私はもうお暇しますけど……」
「いや、せめてお茶くらい飲んでいってよ、マナカちゃん?」
「そんな……お気遣いされなくても」
「いいから……お礼にもならないけど、さあ……」
「では……遠慮無く」
キッチンに行ってお茶を淹れる。――しばらくふたりでお茶を飲みながら世間話をした。
「………にしてもカナミ、具合が悪いんなら俺を呼んでくれれば良かったのに」
「いえ、カナミちゃんシンジさんには迷惑かけたくなかったみたいで……」
「そうだったんだ……本当に変なとこで遠慮するんだよな、アイツ。
マナカちゃんに頼るのもいいけど、兄妹なんだから遠慮せずに言えば良いのに……」
「………優しいんですね、シンジさん」
くすり、とマナカちゃんが微笑んだ。無表情な印象の強い彼女だけど、
笑顔はやっぱり年相応に幼い感じがして可愛いらしい。
「イヤ……そんなことないよ。まあさ、普段家事とかカナミに任せっきりだから、
ちょっと俺も引け目があるわけでね。こんなときぐらい頼って欲しいってのはあるんだよ」
「ふふ、でもやっぱり優しいですよ。ウチの兄なんて絶対そんなコト言ってくれないです」
「そう言えば、マナカちゃんのところもおにいさんがいるんだよね?」
「ええ。シンジさんとカナミちゃんを見てると仲が良くて羨ましいです。
ウチの兄なんて最近話しかけても全然答えてくれませんし」
「はは、そんなこともないよ。ホラ、俺とカナミはふたり暮らしだし、
いろいろと話し合わなきゃいけないことが多いから自然とこうなるんだろうね」
「そうですか?小さい頃もカナミちゃんっておにいさんっ子でシンジさんにべったりでしたよ」
「?なんで知ってるの?……あ、そっか。
マナカちゃんは幼稚園の頃、ウチに遊びに来てたんだもんね。知ってるわけだ……」
「ええ……でも少し悲しいですね」
「?なんで?」
「その頃のこと……シンジさん、もう覚えてないんですね……」
「あ!ゴメン、その……マナカちゃんが印象薄かったとかじゃないよ?
俺、記憶力なくてさ。カナミと仲の良かった可愛い子がいたなあ、
ってのは何となく覚えてるんだけど、それが上手く今のマナカちゃんに結びつかないっていうか……」
「もう……そんなお世辞言っても、許してあげませんよ?」
「ゴメンゴメン、マナカちゃん……」
普段あまり冗談なんて言わないマナカちゃんにしては珍しく、
ちょっとふざけて頬を膨らませるんで、こっちも冗談めかして謝った。
なんとなく、良い雰囲気だ。
「………でも………いえ、良いんです」
「?どうしたの、マナカちゃん?」
「いえ……覚えていませんよね、昔の事ですし」
「?ゴメン、いつくらいのこと?」
「………夏の終わり頃です。恥ずかしかったけど……私は覚えてます。シンジさんとの、約束」
§


「?約束…………?あ………?」

その日は確か夏休みがもうすぐ終わる八月の終わりごろで―――ひどく暑い日だった。
マナカちゃんが遊びに来ていたのだけれど、
俺はたまりにたまっていた夏休みの宿題を朝から必死でやっていたところだった。
「ふう………あとは算数のドリルだけか……」
たっぷりと残っていた宿題もようやく一段落して、麦茶でも飲もうと階段を下りた。
「くすッ、ぐすッ………」
「………?」
階段のすぐ側にあるトイレから、なにか忍ぶような泣き声が聞こえてきた。
(カナミ………?でもさっき、今日は幼稚園でプールの授業があって疲れたから、
ふたりでおひるねするって言ってたよな?母さんは買い物に行くって言ってたし……?)
とりあえずキッチンに向かうと、隣のリビングでスヤスヤとカナミが寝ていた。
(やっぱりそうだよな……アレ、そう言えばマナカちゃんは?)
そんなことを考えながら麦茶を飲んでいたら、カナミの枕のあたりになにか光る物を見つけた。
「…………鍵?」
近寄って拾うと、それはなにかの鍵みたいだった。
(…………?とりあえず、トイレか?)
「ぐすッ、うう……くすん………」
心配になってトイレに向かうと、やっぱりそこからは泣き声がしていた。
「………マナカちゃん?」
「ぐすっ………………おにいさんですか?」
なんとなく見当をつけて声をかけると、やっぱりマナカちゃんだった。
「どうしたの?マナカちゃん?」
「…………………………」
でも、それから返事がない。
「?………俺でダメなら、カナミを起こしてこようか?マナカちゃん……」
「!それは、ダメです!おねがいです、やめてください、おにいさん!」
マナカちゃんが慌てて答える。拒絶されたことより、その勢いに少し驚いた。
「ならマナカちゃん、なにがあったのか教えてくれない?なんで泣いているの?」
「……………………ぜったいカナミちゃんにはいわないでくださいよ?」
「……?うん、わかったよ」
"ガチャ"
しばらくして、ゆっくりとドアが開いた。ちょっとためらったけど、中に入る。
「…………あ……………」
真っ赤な顔をした泣き顔のマナカちゃんが、立っていた。
なぜかスカートをたくしあげていて………黒いパンツが、ぐっしょり濡れていた。
「…………かぎが、なかったんです」
「………?」
「私のパンツ、『ていそうたい』っていう、とくしゅなものなんです。
かぎがないとあかないのに、どこかになくしてしまって……
おしっこしたかったのに、みつからなくて……ううッ、こんなことに……」
そう言いながら、また泣き出すマナカちゃん。目のやり場に困っていた俺だけど、
話を聞いて思い出した物があった。あれだ。あの鍵だ。
「マナカちゃん……その鍵ってこれ?」
「!!!そうです、それです!どこに……」
「カナミの枕のあたりに落ちてたんだけど……」
「ああ………そんなところにあったんですね……ありがとうございます」
マナカちゃんは急いで俺から鍵を受け取ると、
その『テイソウタイ』の脇あたりにある鍵穴に鍵をつっこんでカチャカチャと回した。
"カチッ"
小さな音がして、鍵が外れた。そそくさと『テイソウタイ』を脱ぐマナカちゃん。
慌てて俺は後ろを向いた。
「ああ……でも、どうしましょう……こんなところをカナミちゃんにみられたら、
ようちえんでいいふらされてしまいます……うう……」
§

どうやらカナミは幼稚園では相当なおしゃべりで通っているらしい。
困り果てて涙ぐんでいるらしいマナカちゃんが気の毒になった俺は、声をかけた。
「大丈夫だよ、マナカちゃん。カナミなんてさ、去年までずっとおねしょしてたんだぜ?」
「え?そ、そうなんですか?」
「うん。なかなか直らないもんだから、母さん怒っちゃって。
カナミのやつ、毎日おしりをペンペン叩かれて真っ赤に腫れちゃったくらいだからね」
「ぷっ……ほんとうなんですか?カナミちゃん、
このまえヨシオ君がおひるねのじかんにおねしょしたのをすごくばかにしていたのに」
「本当だよ。ははは、アイツひとのこと言えねーのに……」
くすくすと、マナカちゃんの笑い声が聞こえる。ちょっと元気になってくれたみたいだ。
「でも……ほんとうに、どうしましょう。私、かえのパンツなんてもってきてないのに……」
「ねえマナカちゃん、ちょっと待っててくれる?
俺、カナミの部屋に行ってアイツのパンツ持ってくるから」
「え!で、でも……」
「一枚くらいなくなったって、わかんないよ。じゃあ、待っててね?」
「………はい、おねがいします、おにいさん」
トイレから出ると、急いでカナミの部屋に行った。幸い、まだカナミは起きてないみたいだ。
タンスの中を開けて探すと、すぐに下着の棚は見つかった。
……………見つかった、んだけど。
「???黒いのに、なんだこりゃ?へんなひもつき?」
当時八歳の俺には分るはずもなかったけど、カナミは母さんの下着をパクっていたらしく、
ガーター付きの勝負下着(それもパープルとか黒とかどぎつい色の)らしきものが、
いくつも入っていた。………と言うか、今思えば俺の母親の趣味も相当なものがある。
まあ、そんなことはさておき―――カナミの下着の中から適当なものを一枚物色した俺は
(しかしこの表現も相当不穏ではある)、マナカちゃんの待つトイレに戻った。
「マナカちゃん、パンツあったよ。ホラ……」
さすがにまた中に入るのも気まずかったので、ドア越しにパンツを手渡した。
「ありがとうございます、おにいさん……でも……」
「?でも?」
「あの…………『ていそうたい』がおしっこでびしょびしょになってるし、
私もすごくよごれてしまったんです。いくらかりものでも、もうしわけないです……」
「そんなのべつにいいよ、マナカちゃん」
「でも………」
「じゃあさ、マナカちゃん。出てきて、俺についてきてくれる?」
「……?」
「今なら大丈夫だから。それに早くしないと、カナミが起きちゃうよ」
「はい……」
おずおずと、マナカちゃんがトイレから出てきた。
泣きだしそうな顔のまま、持っているのは『テイソウタイ』とかいう変なパンツだ。
「こっち………マナカちゃん」
彼女の左手をとって、連れて行く。
「………おにいさん?ここは?」
「お風呂場だよ。シャワーで体を洗い流せばいいだろ?」
「!!でも、おにいさん……きたないし、わるいです……」
「だいじょうぶだよ。カナミがおねしょしたときにはね、
母さんにナイショであいつも体を洗ってたから平気さ。
『テイソウタイ』は後で洗ってあげるから、そこに置いておいて。じゃあ、元栓開けるから」
「はい………すいません。それで………」
「?どうしたの、マナカちゃん」
「あの……おにいさん、わるいんですけど私のからだを、あらってくれませんか?」
「!!?え!」
「私……いつもおにいちゃんやおとうさんといっしょにおふろにはいるんで、
じぶんであらったことがないんです。どうしたらいいかわからない……」
「で、でも……いいの?マナカちゃん」
「はい……私、おしっこでよごれてきたないですけど、おねがいします、おにいさん」
§


「う、うん……俺でいいなら……」
「ありがとうございます……じゃあ……」
ぺこり、と頭を下げるとマナカちゃんが服を脱ぎ始めた。
いつもお風呂はカナミと一緒に入ってるけど、
妹以外の女の子の裸を見るのはさすがにちょっと恥ずかしかった。
見ないふりをして、シャワーをひねって温度を調節したりしてごまかした。
「あの……いいですか、おにいさん」
「う、うん……」
カナミも色白だけど、マナカちゃんの肌はもっと―――透き通るみたいに、白かった。
今日のプールに行ったので日焼けしたのか、肩や足だけ少し赤くなっていた。
"ジャアアアアア………"
「冷たくない?マナカちゃん……」
「あ……だいじょうぶです、おにいさん」
ひとまずシャワーの温水を彼女のからだにかけた。軽く流すと、
スポンジに石けんをつけて泡立る。マナカちゃんのからだをそれで洗っていく。
マナカちゃんも恥ずかしそうにしているけど、俺もやっぱり恥ずかしい。
足の裏、ふとももの周り、足のつけね、それにちいさなおしり………
丁寧に、洗っていった。カナミと洗いっこしたことはあるけど、
マナカちゃんの肌はつるつるですごくきれいだった。
「あの……すいません、おにいさん……すこしくすぐったいです……」
「あ……ごめん、マナカちゃん」
ぴくん、とマナカちゃんがからだを震わせた。慌てて手を離す俺。
性についての知識なんてまだ全然無かったけど、ガキなりに興奮していたのかも知れない。
最初は遠慮がちにしていたはずなのに、いつの間にか至近距離にきていた。
「あと……おにいさん、おしっこしたところも……」
「う、うん……」
マナカちゃんが少し、両脚を開いた。すじみたいなあそこに、スポンジをつけて洗う。
「んッ………」
「あ、ゴメン。くすぐったい?マナカちゃん」
「い、いえ……だいじょうぶです……」
顔を真っ赤にしてそう言うマナカちゃん―――可愛かった。
「ほんとうに……ほんとうに、すいません、おにいさん……」
「もういいよ、マナカちゃん……ホラ、もうおわった。じゃあ、流すよ?」
「はい……」
泡だらけになったマナカちゃんの下半身をシャワーで流す。
「きれいになったよ、マナカちゃん。もうだいじょうぶ……あとは、その『テイソウタイ』を洗って……」
「あ、あの……おにいさん?スーパーのビニールぶくろをもらえませんか?」
「?う、うん、別にいいけどなんで?」
「この『ていそうたい』はそざいがとくしゅなので、あらうのはたいへんみたいなんです。
なので、ここであらうよりはもってかえったほうがいいとおもうんです」
「??まあ、マナカちゃんがそう言うなら……いいけど」
彼女の体をきれいに流して、タオルを渡した。
「おにいさん……わるいですけど、ふいてくれます?」
「ああ……いいよ」
いつもカナミのからだを拭いてやってるから抵抗は無かった。
しかし今思うとマナカちゃんって結構お嬢様だったんだろうか?
なにからなにまでお兄さんやお父さんにやってもらってる感じだ。
「ごめんなさい、おにいさん……こんなおしっこたれのきたないからだを……」
「そんなこといわないで……マナカちゃんはきれいだよ」
「でも……ほんとうは、おにいさんも私のこと、おしっこたれだとおもってるんでしょう?」
「思ってないったら………そうだ、しょうこをみせてあげるよ」
「え?……きゃ……」
俺はかがんで……
"ちゅ"
マナカちゃんの、小さなあそこにキスをした。
§


「お、おにいさん?」
「大丈夫……キレイだよ、マナカちゃん……においもしないし」
「や……はずかしいですよぉ……やめてください、おにいさん」
後退ろうとするマナカちゃんだったけど、俺はそのまま彼女の腰をつかまえて離そうとしなかった。
「マナカちゃんは……汚くなんか、ないよ。石けんのにおいがして……すごくきれいだ」
「おにいさん……ダメです……はずかしい……」
ぴっちりと閉じた小さなたてすじ。カナミのを見たことはあったけど……すごく、キレイだった。
ひどく興奮した俺は、舌をその隙間に入れた。
"くちゅ………"
閉じていたたてすじが、わずかに開いて生々しいピンク色の肉がほんの少し見えた。
舌先にしょっぱさを感じた。少し、おしっこのにおいがした。
「あ…………」
諦めたように小さな溜息を漏らすマナカちゃん。彼女の体から力が抜けるのが分った。
マナカちゃんも、そんなことをしている俺にも―――
まだそれが、性の営みだなんて意識は当然無かったはずだ。
ただ自分たちが、なにかすごくエッチなことをしているってのは本能的に感じていた。
「あ……ぁ……やぁ……」
"ぷちゅ……ちゅ"
透き通るようなピンク色のくぼみに、俺の唾液がまとわりついて光っていた。
「や……おにいさん……私……ほんとうに……いや。おねがいです……う、ううッ」
「あ………ゴメン、マナカちゃん」
夢中になってマナカちゃんのあそこを舐め続けていた俺だったけど、
泣き出すような彼女の声を聞いてやっと正気に戻った。慌てて口をそこから離す。
「あ………本当にゴメン、マナカちゃん、俺……」
「ひどいです……ぐすっ、私、いやだっていったのに……はずかしかったのに……くすん」
泣きべそをかくマナカちゃんだったけど、それが……すごく可愛かった。
「ゴメン……マナカちゃん……泣かないで……」
立ち上がって、マナカちゃんを抱きしめた。
「?お、おにいさん?」
「俺……マナカちゃんが可愛すぎて、すごく……それで……だから、泣かないで」
「………ぐす、くすん」
しばらく、弱々しい声で泣いていたマナカちゃんだけど……やっと、嗚咽が止まった。
「もう……大丈夫?マナカちゃん」
「………」
こくり、とマナカちゃんが無言でうなずいた。
そして―――キッ、と俺をにらむと、怒ったような表情になった。
(うわ〜〜〜マナカちゃん、怒ってるよ。こりゃ殴られるかな?)
泣きやんでくれたのはいいが、正直俺も調子に乗りすぎた。
殴られる覚悟を決めていたけど―――
「……やくそくですよ?おにいさん」
「……は?」
「せきにんを……とってください」
「……ひ?」
表情は怒ったようなままだったけど……どこか照れているような口調で、マナカちゃんが言った。
「私、おとうさんやおにいちゃんいがいのおとこのひとにはだかをみられたのは、
おにいさんがはじめてなんです。しかも………それだけじゃなく、あんなエッチなことまで……」
「あ、あれは………その」
「いいんです、もう。それに………おにいさんは、わたしをたすけてくれましたし」
「………」
「でも……それだけじゃ、ゆるしてあげません。おにいさんは、わたしのことがすきですか?」
「………………」
「きらいなのに……あんなことをしたんですか?さいていです!」
「……好き、だけど」
「………なら、いいですね?」
「?なにが?」
§


「せきにんをとって、わたしをおよめさんにしてください」
「!!!!えええええ!」
「わたしのこと、すきだっていったじゃないですか?」
「で、でも……」
「おにいさんにもう、わたしの『じゅんけつ』はなかばうばわれたようなものですし。
………あそこを、なめられてしまったのですから」
「………ゴメン、マナカちゃん」
「けっこんしてくれますね?おにいさん」
「…………わ、わかったよ。そのかわり、誰にも言わないでね?」
「わかりました。やくそくですよ?ゆびきりしてください」
「う、うん」
俺とマナカちゃんは指を絡め合い、例のやつを歌った。

「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本、飲〜〜〜ます、指切った!!」」

「いいですね?おにいさん、ぜったいですよ?それと……」
「ま、まだなにかあるの?」
「わたしが16さいになったら……おにいさんに、わたしのじゅんけつをあげます」
「??あのさ、さっきも言ってたけど、『じゅんけつ』ってなに?」
「ふふ……それはナイショです。16さいは"ハカ"ともいいますしね」
「墓?お墓参りのコト?」
「はかまいり……たしかに、おんなにとっていのちのつぎにたいせつなものをうしなうことですからね」
(???難しいことを知ってるな、マナカちゃんは)
呑気に感心する俺だったけど……
「おにいちゃ〜〜〜ん、マナカちゃ〜〜〜ん?どこいったのお〜〜〜?」
カナミの声が聞こえてきて、飛び上がった。そうだ、そんな場合じゃない!
「マズイ……カナミの奴、起きたな……マナカちゃんは、ここに隠れていて?
先に俺が出て行ってアイツを引きつけておくから、後から出てくればバレないし」
「は、はい……それと、『ていそうたい』を入れるビニールぶくろをよろしくおねがいします」
「ああ……それじゃ後で」

「思い出されましたか?シンジさん………」
「※@¢∇わッ!!いや、あ、あのッ!!」
物思いにふけっていた俺は、マナカちゃんに声を掛けられて慌ててしまった。
て言うか、いつの間にか彼女、俺のすぐ隣に移動してるんですけど?
おまけに、頬をちょっぴり赤く染めて俺を見上げてくる、その仕草……
上目遣いフェチとしては、その、実に、非常に、誠に、アレなわけで。
「その様子だと……やっぱり思い出されたんですね?」
「いや、ああ、あのだね、アレはガキの頃のことだし、それに、そんな良く覚えてないよッ!!」
「大丈夫ですよ、シンジさん。私、怒ってなんていませんから」
「いや……その、でも……」
「あの後すぐにお父さんの転勤が決まって……
でも私、シンジさんのことを忘れたことはありませんでした」
「ま、マナカちゃん?」
うっとりと、夢見るように話し続けるマナカちゃん。
「だってあんな恥ずかしいコトをされたうえ、将来の約束までしたんですから……」
「………」
それについては、弁明の余地がない。黙って彼女の言葉を聞くしかなかった。
「この町に戻ってくるって決まったときも、カナミちゃんに再会したときも、
もちろん嬉しかった。でもそれより……私、シンジさんに会えたときが、一番嬉しかった」
そう言われれば、俺だって悪い気はしない。
いつもはカナミと一緒のエロボケ担当なんで気付かないけど、
マナカちゃんだってこうして見れば……結構……いや、かなり可愛いコだし。、
「約束……しましたよね?私と、シンジさんは………」
「……結婚する、んだよね?」
§


「はい。それと……」
「純潔を、くれるって……で、でもマナカちゃん?
そんな昔の約束で初めての相手を選んじゃっていいの?それもよりによって俺に……」
「いいんです。この町に戻ってきてシンジさんといて……私、いつも楽しかった。
今まで、男の人で友達とか仲良くしてくれる人って全然いなかったけど、
シンジさんは昔と変わらなかった。優しくて………ふふ、でも、ちょっとエッチで」
「それは………その」
「約束でしたね、シンジさん……純潔を捧げます、って。私……16歳になりましたよ?」
「あ、あの……マナカちゃん?」
「さあ……約束を、守って下さい」
「!!!!」
マナカちゃんが、そのまま俺に抱き付いてきた。
(…………柔らかい)
女の子のからだの感触に、思わず言葉を失う俺。すぐ目の下に彼女のつむじが見えて……
リンスか?シャンプーか?ともかく……その、すげえ良い匂いが俺の鼻をくすぐってきた。
「シンジさん……ずっと、ずっと待ってました……十年、私、待ちました……」
おいおい、いつもの無表情ぶりはどこに行ったんだ?
どこに君はそんな扇情的でドエロな表情を隠し持っていたんだ?
ぷっくりと濡れた唇と、ねっとりと潤んだ目が俺を誘う。
(………マズイ……マズすぎる……!!あ!!そう言えば!!!!!!!!!!!!!)
「あ、ああああの!ホラ、カナミが起きちゃうよ!ままま、マズイだろ、ソレ」
崩壊寸前の理性を最後にフル回転させて、思い出した。そうだ、
二階にまだカナミが寝てるんだ!よし、ここでストッパー、小林雅英登場!頼むぜ、セーブ王!
「ね?アイツに見られたら色々言いふらされたり大変だよ?
マナカちゃんの気持ちは分ったから、その、純潔ってのは後日ありがたくいただくことに……」
「大丈夫です……カナミちゃん、どんな物音がしても起きてくることはないです」
「??な、なんで言い切れるんだよ?」
「カナミちゃん、ここのところ不眠症だって言ってました。
シンジさんの夜の監視をまた再開したとかで……」
「ななななな、なにいいいい!でも、それとなんの関係が……」
「今日カナミちゃんの飲んだ風邪薬、睡眠効果の強い薬なんです。
寝不足のカナミちゃん、一発で安眠でしたから。しばらく起きてきませんよ」
………コバマサ劇場、終了。ツーアウトまでいったのに………
いつもどおり劇場で炎上でした。本当にありがとうございました。
しかし、もしやこれは、マナカちゃんの計画的な……
「ふふ……さあ、邪魔するものはなにもありませんよ?シンジさん」
「………で、でも……」
「いいですね……約束、ですから……」
そう言うと、マナカちゃんは……セーラー服を脱ぎはじめ……!!!!!!
「あの頃より……ほんの少しですけど、胸も大きくなりました。
アキさんには敵いませんけど、でも、シンジさんに揉まれれば大きくなるんじゃないかと思って、
私、ずっと待ってた……シンジさんに、触られる日をずっと……」
"ごくり"
確かに矢野ちゃんみたいな、グラビアアイドル並の巨乳には全然敵わないけど……
純白のブラに負けない、マナカちゃんの真っ白な肌が、蛍光灯に照らされていた。
そしてごくごく控えめに盛り上がったふたつのそこは、
逆に清純さを強調しているみたいで、眩しいくらいだった。
「シンジさん………」
「だ、ダメだよ……マナカちゃん……そんな……初めてのときってのは、
もっと……きちんとした、ふさわしい時と場所ってものが……こんなリビングでなんて……」
「良いんです……私が、して欲しいときが……その、ふさわしい時と場所じゃないですか?
それは……今なんですよ、シンジさん?」
そう言いながら、スカートも脱ぐマナカちゃん。折れそうなくらい、細いウエスト。
そしてこれまた純白のショーツ。胸や脚に比べると、いくらか豊かな腰回りが、どこかエッチだ。
「………守って下さい、約束を……この場所で、今……」
§

約束 後編

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