最終更新:ID:Pp1tQmDH2g 2008年06月07日(土) 22:33:51履歴
『アイ先生いらっしゃい』
今日はアイの授業の日。
家に帰ってきたマサヒコはアイが来るまでの間、学校での宿題に取り組んでおり、アイが来た際先に返事だけしてからアイの方に振り向いた。
が、振り向いた瞬間固まってしまう。
『…………!!』
マサヒコの目に飛び込んできたのは2人のアイの姿だった。
………………………………
『というわけでね、今日は田舎から遊びに来てる妹も一緒なのよ。』
『アイ先生って双子だったんですね…』
未だに緊張の解けないマサヒコ。
アイに双子の妹として紹介されたもう一人のアイ先生はまさしくうりふたつで、その顔には眼鏡がかかっている。
いつのまにかアイがしなくなった髪留めをちょこんと前髪につけておりはた目には、
(妹というより昔のアイ先生が一緒に来た感じかも…)
といった感想のほうが的を得ている感があった。
そのうちに今まで無言で通していた妹の方が口を開く。
『はじめまして、いつも姉がお世話になっています。妹の濱中マイです。』
凛とした雰囲気さえ醸し出しながらマイは挨拶をした。
………………………………
さて、以外や以外イレギュラーな要素があってもその日の授業は脱線する事なく終了。
この日差し入れのおやつを持ってきたマサヒコ母に薦められ濱中姉妹は晩御飯をマサヒコ家でたべていく事になった。
『いやー、今日はマイの前だから緊張しちゃったよー。』
(もう緊張は解けたみたいですね。)
アイの普段通りの食欲を目の当たりにし、心の中でひとりごちるマサヒコ。
(それにもまして…)
マサヒコは目の前で繰り広げられるマイの食欲にも呆気に取られる。
アイだけでも結構な物なのだが、それが本日は2倍なのである瞬く間に食器上のおかずは無くなっていく。
『…っておい!』
目の前の食欲に圧倒されているうちにおかずはほぼ無くなってしまっていた。
マサヒコも男の子しかも食べ盛りのである。
瞬く間に目減りしていく晩御飯にさすがに危機感を抱いた。
『はぁ…母さんご飯のおかわり頂戴。』
もはや目の前のおかずは諦め、ご飯だけでもお腹いっぱい満たそう。
と決めたマサヒコ。
『ごめんねー。さっきのマイちゃんのおかわり分でちょうどご飯終わっちゃったのよ。』
おいおい、そりゃ無いぜ。とマサヒコは心のなかで呟いた。
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『おら〜マサヒコ起きんか〜い』
母親の声で目を醒ます。
気がつくとベッドの上で、見慣れた自分の部屋にはマイはおろか、アイもいはしなかった。
『夢か…』
その状況を認識し、やっとマサヒコは夢の中の出来事であったことに気づいた。
『それにしても…』
夢の中の状況を思い出す。
夢の中では双子という設定だったが、明らかに二人のアイがいた。
『アイ先生の食欲見てるだけでも胸やけ起こしそうなほどお腹いっぱいになるけど、二人だと迫力が違うな。』
思わず一人呟いてしまう。
夢の中でも、夢から醒めてもツッコミ役のマサヒコの立場は変わら無いようである。
『ま、別に嫌な訳じゃ無いけどさ。』
そうもう一言呟いてからマサヒコは朝の準備を始めた。
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