きっかけは、同じ委員会になってからか?
気にしだしたのは、多分それから。
でも本当に気になりだしたのは…。
たまたまクラスの皆でカラオケに行ったとき、タンバリンをすごく楽しそうに叩いていた笑顔が可愛かったから。
―――あの娘のことが好きなのは
―――赤いタンバリンを上手に撃つから

夏に天体観測、なんてしたことないけど。
彼女となら一度してみたい気もする。
―――流れ星一個盗んで
―――目の前に差し出した時の顔が見たい

好きとか、恋とか。
そういう感情を持ってから、なぜか毎日が楽しくなった。
同じクラスの彼女に会って話すという、なんでもない毎日という未来が、楽しみで。
―――Oh 愛という言葉に火をつけて燃えあがらす
―――いくらか未来が好きになる

今度は、2人でカラオケ行って、俺のために叩いてもらいたい。
―――赤いタンバリン 赤いタンバリン

今まで恋愛なんてしたことないけど、彼女とならしてみたいと思った俺がいた。
あの悪友を叩きのめすアクションでさえ、なぜか魅力的に見えるようになった俺は壊れてきたのか?
―――欠落した俺の感性に響くぜ
―――そんなに美人なわけじゃないが
―――腰と肘とハートでかろやかに撃ちふるう

もはや学校で彼女と話すのが楽しみで。
なんでもない毎日という未来が、待ち遠しい。
―――Oh 愛という言葉に火をつけて燃えあがらす
―――いくらか未来が好きになる
―――Oh I want you, baby 人は愛しあうために
―――生きてるっていう噂 本当かもしれないぜ

そして思い浮かぶのは、あのときの笑顔。
―――赤いタンバリン 赤いタンバリン 赤いタンバリン

彼女の笑顔があれば、苦しい時も救われる、そんな気がした。
―――Oh I love you, baby 赤いタンバリンに火をつける
―――そいつで世界を救うために

「なんか、切ないな」
帰り道、見慣れているはずの紅い夕暮れが、なぜか目に染みた。
帰り途中で買ったジュースも、なぜか苦々しい。
それはまるで、言えない自分を代弁しているような。
―――夕暮れ時って悲しいな
―――オレンジジュースとミルクまぜながらつぶやいた
―――彼女のことが好きなのは
―――赤いタンバリンを上手に撃つから

何気ない毎日という未来も、たしかにそれだけで幸せだ。
だけど、そろそろ言ってみようとも思う。
愛とかそんな大層なものじゃないけど、もう少し進んだ、良い未来のために。
―――Oh 愛という言葉に火をつけて燃えあがらす
―――いくらか未来が好きになる
―――Oh I want you, baby 人は愛しあうために
―――生きてるっていう噂 本当かもしれないぜ

「なぁ、ナツミ。今週末、よかったらカラオケ行かないか?」
―――赤いタンバリン 赤いタンバリン 赤いタンバリン

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