最終更新:ID:bzWTGGiCmQ 2008年05月23日(金) 22:44:12履歴
「ねえ、ちょっとアレ見て」
「何ですカ?」
小宮山が指差した方を、マリアは見た。
グラウンドの先、校門の陰に隠れてコソコソとしている明るい栗色の髪の少女が一人。
小宮山とマリアの居る場所からは離れているが、後ろ姿が小さくともすぐわかる。
何せ、生徒の中でも個人的に彼女らがよく知っている人物だ。
「まーた視姦してんのかしらね、あのコ」
「やっぱり私たちの教育は間違ってませんでしたネー」
その少女、叶ミホが何をしているか、二人には容易に想像がついた。
想い人である城島シンジの後を着け、妄想に耽っているのはほぼ間違いないところだろう。
「しかし、いったいどんな想像してんのかしら」
「そうですネ……」
マリアはペロリと唇を舐めた。
「私と濃厚なプレイをしている最中に彼が乱入、それを許せなく思った彼女が、
ペニバン装着して彼のアナルをズコバコ犯すというのはどうでショウ」
「いやー、私は違うと思うわ」
小宮山は顎に手を当てると、斜め45度上に目をやった。
「裸エプロンで城島君を出迎えたら、興奮した彼がそのまま台所の流しの上に押し倒し、
ろくに愛撫もせずに無理矢理挿入、その痛さとキツさにM体質が反応して―――」
「イエイエ、溶かしたチョコレートを浣腸して、それを眼前で出して食べさせるというのは―――」
「いやいや、仲良くテニスを楽しんでたら不意にムラムラときちゃって、ラケットでスパンキング―――」
「エロ本を目の前につきつけて、互いにオナニーを見せ合うというのハ―――」
「あのう」
「彼のアナルに双頭バイブを突っ込んで、チンコとバイブで二穴繋がりとか―――」
「春だし、桜の木の下で舞い散る花びらを浴びつつアオカン―――」
「公園でブランコに乗りながらゆらゆら交合―――」
「ビルの屋上で地上を見下ろしながら神視点プレイ―――」
「ちょっと?」
「アダルトゲームを一緒にプレイしながらマウスをクリック、互いの敏感な部分もクリック―――」
「スタンダードにお風呂場で風俗ゴッコ―――」
「もしもし?」
「スタンダードと言うなラ三角木馬にムチに蝋燭、荒縄で―――」
「おい、コラ」
「それこそメイドにナースにチャイナ服にとコスプレ―――」
「いい加減にしろぉおおおっ!」
背後からの声に、小宮山とマリアはゆっくりと振り向いた。
「なあに加藤先生?今イイトコなんだから邪魔しないで欲しいんだけど」
「そうですヨ、別に教室や廊下で会話してるわけじゃナシ、誰にも迷惑はかけてまセン」
「ほう、ほうほうほう、誰にも迷惑かけてない、ですか」
額に怒筋を浮かべつつ、加藤は二人に近づいた。
「……ここをどこだと思ってるんですか」
「……どこって、放送室よ」
「ここナラ防音壁のおかげでどんなことを喋っても外に聞こえまセンし」
「こっからだと、グラウンド全体が見渡せてクラブ活動がよーく観察できるのよ」
「たっぷりブルマも拝めますシ」
「練習せずにテニス部の方ばっか見ている野球部員の面も見れるし」
小宮山とマリアはケラケラと笑った。
そんな二人の間に、加藤は歩を進めて押し入ると、手を操作板に伸ばしてパチンとひとつのスイッチを切った。
「聞こえてたんです」
「……え?」
「ハイ?」
「……全館放送のスイッチが、入ってました」
加藤の声が震えている。
悲しさからではない。当然虚しさからでもない。紛れもなく、怒りによるものだった。
「……」
「……」
小宮山とマリアは目を合わせた。パチクリと瞬きをひとつする。
「あらあら」
「それはヘンタイ、イエ大変」
「大変、じゃなーいっ!」
加藤は放送室の隅にあった、たたまれたパイプ椅子を掴み、大きく振り上げた。
「あなたたちって人はぁあ、絶対ワザとでしょう!」
ザザザ、と全力でドアの方へと飛び退る二人。
「いやいやいや、偶然偶然」
「ノーノーノー、チェアは反則デス。カウントファイブ以内ならオーケーですが、それ以上だと反則負けデス」
「小宮山先生とマリア先生の存在自体が反則ですっ!」
加藤の体からユラリと白いオーラのようなものが立ち上った。
「こりゃヤバイ、退散!」
「エスケープさせてもらいマス!」
加藤の怒りが尋常じゃないと気づいた小宮山とマリアは、回れ右をすると脱兎のごとく駆け出した。
「待ちなさい、今日という今日は、本気で説教させてもらいます!」
その後を憤怒の形相で加藤は追いかける。
全館にあの卑猥な会話が流れたのだ、これは二人の恥ではない。学校全体の恥と言っていい。
「待ちなさい!待てコラァ!」
「待たない!」
「待ちまセン!」
「待てって言ってるでしょうが!」
「だから、待たない!」
「四十八手夜にオカズ、デス!」
「そりゃあ三十六計逃げるにしかず、だぁあああ!」
三人の追いかけっこは、たっぷり一時間は続いた。
最終的に、小宮山とマリアは校門を突破して加藤の追撃から逃げのびることに成功した。
当然その時には、校門にミホの姿も、ミホが追いかけている少年の姿もすでに無かった。
なお、余談ではあるが。
この日、視聴覚室では保護者相手に進路説明会が行われていた。
全館放送ということは、当然、視聴覚室にも流れたわけで。
後日、校長室に呼び出された小宮山とマリアは、さすがに逃げることも出来ず、こってり絞られることになる。
「何ですカ?」
小宮山が指差した方を、マリアは見た。
グラウンドの先、校門の陰に隠れてコソコソとしている明るい栗色の髪の少女が一人。
小宮山とマリアの居る場所からは離れているが、後ろ姿が小さくともすぐわかる。
何せ、生徒の中でも個人的に彼女らがよく知っている人物だ。
「まーた視姦してんのかしらね、あのコ」
「やっぱり私たちの教育は間違ってませんでしたネー」
その少女、叶ミホが何をしているか、二人には容易に想像がついた。
想い人である城島シンジの後を着け、妄想に耽っているのはほぼ間違いないところだろう。
「しかし、いったいどんな想像してんのかしら」
「そうですネ……」
マリアはペロリと唇を舐めた。
「私と濃厚なプレイをしている最中に彼が乱入、それを許せなく思った彼女が、
ペニバン装着して彼のアナルをズコバコ犯すというのはどうでショウ」
「いやー、私は違うと思うわ」
小宮山は顎に手を当てると、斜め45度上に目をやった。
「裸エプロンで城島君を出迎えたら、興奮した彼がそのまま台所の流しの上に押し倒し、
ろくに愛撫もせずに無理矢理挿入、その痛さとキツさにM体質が反応して―――」
「イエイエ、溶かしたチョコレートを浣腸して、それを眼前で出して食べさせるというのは―――」
「いやいや、仲良くテニスを楽しんでたら不意にムラムラときちゃって、ラケットでスパンキング―――」
「エロ本を目の前につきつけて、互いにオナニーを見せ合うというのハ―――」
「あのう」
「彼のアナルに双頭バイブを突っ込んで、チンコとバイブで二穴繋がりとか―――」
「春だし、桜の木の下で舞い散る花びらを浴びつつアオカン―――」
「公園でブランコに乗りながらゆらゆら交合―――」
「ビルの屋上で地上を見下ろしながら神視点プレイ―――」
「ちょっと?」
「アダルトゲームを一緒にプレイしながらマウスをクリック、互いの敏感な部分もクリック―――」
「スタンダードにお風呂場で風俗ゴッコ―――」
「もしもし?」
「スタンダードと言うなラ三角木馬にムチに蝋燭、荒縄で―――」
「おい、コラ」
「それこそメイドにナースにチャイナ服にとコスプレ―――」
「いい加減にしろぉおおおっ!」
背後からの声に、小宮山とマリアはゆっくりと振り向いた。
「なあに加藤先生?今イイトコなんだから邪魔しないで欲しいんだけど」
「そうですヨ、別に教室や廊下で会話してるわけじゃナシ、誰にも迷惑はかけてまセン」
「ほう、ほうほうほう、誰にも迷惑かけてない、ですか」
額に怒筋を浮かべつつ、加藤は二人に近づいた。
「……ここをどこだと思ってるんですか」
「……どこって、放送室よ」
「ここナラ防音壁のおかげでどんなことを喋っても外に聞こえまセンし」
「こっからだと、グラウンド全体が見渡せてクラブ活動がよーく観察できるのよ」
「たっぷりブルマも拝めますシ」
「練習せずにテニス部の方ばっか見ている野球部員の面も見れるし」
小宮山とマリアはケラケラと笑った。
そんな二人の間に、加藤は歩を進めて押し入ると、手を操作板に伸ばしてパチンとひとつのスイッチを切った。
「聞こえてたんです」
「……え?」
「ハイ?」
「……全館放送のスイッチが、入ってました」
加藤の声が震えている。
悲しさからではない。当然虚しさからでもない。紛れもなく、怒りによるものだった。
「……」
「……」
小宮山とマリアは目を合わせた。パチクリと瞬きをひとつする。
「あらあら」
「それはヘンタイ、イエ大変」
「大変、じゃなーいっ!」
加藤は放送室の隅にあった、たたまれたパイプ椅子を掴み、大きく振り上げた。
「あなたたちって人はぁあ、絶対ワザとでしょう!」
ザザザ、と全力でドアの方へと飛び退る二人。
「いやいやいや、偶然偶然」
「ノーノーノー、チェアは反則デス。カウントファイブ以内ならオーケーですが、それ以上だと反則負けデス」
「小宮山先生とマリア先生の存在自体が反則ですっ!」
加藤の体からユラリと白いオーラのようなものが立ち上った。
「こりゃヤバイ、退散!」
「エスケープさせてもらいマス!」
加藤の怒りが尋常じゃないと気づいた小宮山とマリアは、回れ右をすると脱兎のごとく駆け出した。
「待ちなさい、今日という今日は、本気で説教させてもらいます!」
その後を憤怒の形相で加藤は追いかける。
全館にあの卑猥な会話が流れたのだ、これは二人の恥ではない。学校全体の恥と言っていい。
「待ちなさい!待てコラァ!」
「待たない!」
「待ちまセン!」
「待てって言ってるでしょうが!」
「だから、待たない!」
「四十八手夜にオカズ、デス!」
「そりゃあ三十六計逃げるにしかず、だぁあああ!」
三人の追いかけっこは、たっぷり一時間は続いた。
最終的に、小宮山とマリアは校門を突破して加藤の追撃から逃げのびることに成功した。
当然その時には、校門にミホの姿も、ミホが追いかけている少年の姿もすでに無かった。
なお、余談ではあるが。
この日、視聴覚室では保護者相手に進路説明会が行われていた。
全館放送ということは、当然、視聴覚室にも流れたわけで。
後日、校長室に呼び出された小宮山とマリアは、さすがに逃げることも出来ず、こってり絞られることになる。
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