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今日はオフだから、美希の家に泊まらせてもらった。美希の両親は仕事のためとっくに家を出ている。
一宿一飯の恩、というわけでもないけど、せめて自分たちの分の朝ご飯は用意しなくては。
「美希ーっ!朝ご飯できたよー!」
大声を出すものの、やはり返事はない。美希の睡眠欲は底なしだし、昨夜は…その…寝不足だから、ね?
「美希、早くしないと…ん?」
枕元になにやら紙が置いてある。なんだろう、可愛らしい丸っこい文字で殴り書きされている。
『王子様のキスがないと起きられないの☆』
…なんだ。とっくに起きてたんじゃないか。
「まったく…ちゃんと起きてよ?」
念を押しながら、唇を触れ合わせるだけのキス。ちゅっとわざと音を立てたら、眠り姫はようやく目覚めた。
「…真くん、もっと本気のキスしてくれてもいいの」
「それはまた今度ね。早くしないとご飯が冷めちゃう」
「真くんのケチー」
頬を膨らませて抗議する美希。でも…
「おかかと昆布、で良かったかな」
この言葉を掛けるとすぐに美希の表情が緩む。
「さあさあ真くん、早く行きましょ。おにぎりが待ってるの」
現金なヤツだなぁ…まあ、おにぎりでよければいくらでも作ってやるけど。

嬉しそうにおにぎりを頬張る君を見て、僕は考える。
『王子様』を演じる以外に、君を愛す術はないものか。
「どうしたの?真くんも食べるの」
「ん…ああ」
あ、忘れてた。一番手前のを…甘じょっぱい。昆布か。

王子様じゃなくて『お姫様』として、美希と一緒にいたい。美希は嫌がるかもしれないけど。
「真くん、何か考え事?」
「へ?…いやいや、そんな重要なことじゃ…」
いけない、図星をつかれてつい白状してしまった。
「やっぱり?真くんは正直でよろしいの」
ふふん、と得意げな美希。へんなところで鋭いんだよな。
「真くん顔真っ赤だよ〜かわいいなぁーホントに」
カッコ悪い状況だけど、かわいいって言ってもらえる方が嬉しかった。
単純だな、ボクは。じゃあ、さっきの悩みも、単純に解決してしまおう。
「へへっ、かわいいボクもたまにはいいでしょ?」

美希、今日は君をショッピングに連れて行こう。かわいいボクを精一杯見せてあげよう。
その後は、アイスクリームでも食べながら女の子らしい話をしよう。
美希、いつか君が、『お姫様』のボクをもっと愛してくれるように。

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