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 千早、もじもじしながらあずさに問うて曰く。

「人が手を二本も持っているのは何のためか、わかりますか?」
「手? えっと〜、その理由は色々あると思うのだけど〜」

 千早、首を振り、あずさの手に触れ赤面して曰く。

「大切な人の存在を、この手で抱きしめるためです」
「まあ、千早ちゃん」

 あずさ、感激して曰く。

「それなら私も、千早ちゃんのことを腕の中で感じてもいいかしら?」
「は、はい。もちろんです、あずささん」
「ちょっと待ったー!」
「まっ真!?」

 真、割り込んであずさに問うて曰く。

「へへっ。あずささん! 腰は何のためにあると思います?」
「腰?」

 真、すかさずあずさの腰に手を回して曰く。

「こうやってあずささんのすぐ隣に、ずっといてあげるためですよ」
「あらぁ♪」
「あ…あのっ、待って! 真ちゃん!」
「雪歩!?」

 雪歩、おずおずと意を決してあずさに曰く。

「あ、あのっ、あずささん。肘は何のためにあると思いますか?」
「肘?」

 雪歩、あずさの腕に手をからめて曰く。

「あずささんと腕を組んで、どこまでも一緒に歩いて行くためなんですよ」
「まぁ♪」
「そうはさせないの!」
「みっ、美希ちゃん!?」

 美希、あずさにウィンクして問うて曰く。

「ねえねえ、あずさ。背中って何のためにあると思う?」
「背中?」

 美希、うんっと元気よく返事してあずさの背に抱きついて曰く。

「こうしてね、あずさにおんぶしてもらうためなの。あずさの背中はミキのベットだよ」
「あらあら♪」
「うっうー! そんなのダメですっ! 絶対ダメです!」
「むー、やよいまでいたの」

 やよい、あずさのそばまで椅子を運んで問うて曰く。

「あずささんに問題ですっ! ほっぺは何のためにあると思いますか?」
「ほっぺ?」

 やよい、爪先立ちで背伸びして曰く。

「こうするためですよ。ちゅっ」
「あらあら、まあまあ♪」
「えへへ〜♪ あずささんにチュッてしちゃいました」
「や、やるなぁ、やよい……!」
「あずささんにキス…あずささんにキス…あずささんにキス…あずささんにキス…」
「ひっ!? ちっ千早ちゃん? 大丈夫!? しっかりして千早ちゃん!」
「やよいばっかりズルイの! ミキもあずさにチューするの!」
「あらあら〜」
「シャァラーーーーーーーーーーーーップ!!」

 伊織、怒声を張り上げあずさに問うて曰く。

「あずさ。あんた、耳は何のためにあると思う?」
「え、耳? 耳は…えっとぉ、何のためかしら〜?」

 伊織、あずさの耳たぶをつかんで曰く。

「お馬鹿な人間に説教をしてやるためよ! あずさ、あんたちょっとこっち来なさい!」
「あっ、あ痛たたたたたた。伊織ちゃん耳が痛いわ。ウサギさんの耳になっちゃう、放して〜」
「フンッ。知ったこっちゃないわよ。今日という今日は許さないんだから!」
「やーんっ」

 伊織に連行されるあずさを見送り、残された五人が曰く。

「なんだか、おいしいとこ伊織に持ってかれちゃったね」
「ミキもそう思うの。デコの利なの」
「あれ…? 千早さんがいません。どこ行っちゃったんですか?」
「やよいちゃん。千早ちゃんなら、あそこだよ」
「ブツブツ……ブツブツ……ブツブツ……ブツブツ……ブツブツ……ブツブツ……」

 雪歩、床に開いた穴を指差して曰く。

「ショックが大きかったみたいで、私が掘った穴に埋まっちゃいました」

           
                                ちゃんちゃん

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