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月明かりの下。
いつの間にか寝ていた様で目を覚ますと隣に寝ていたあの子がいない。
体を少し起こして辺りを見回すとベットがぎしり、と小さな音を立てた。
すぐにその姿を見つけたけれど、カーテンを少し開けて空を見てる姿は少し寂しそうな悲しそうなそんな表情で。
薄暗い室内に浮かび上がるのはタオルケットで身を包んでる、淡く白く光るあの子のはだけた肩。

「雪歩……?」

名前を呼ばれると思っていなかったのか驚いて振り向くけれど、
すぐに優しい笑顔に変わった。だけど、嬉しい訳じゃない。
あれは気を使ってる、顔。だからあまりスキじゃない。

「起こしちゃった、かな…?ゴメンね?美希ちゃん」
「ううん、別に雪歩に起こされたわけじゃないから」

かかっていた布団の中から出て雪歩の所に行こうとすると、
ミキの姿を見て慌てたように右手を振って目を伏せる。

「どうしたの?」
「…だ、だってっ!…美希ちゃん、何も着てないぃ……」
「…何言ってるの?今更なの。雪歩だってそれをはいだら裸でしょ?」
「…そ、そうだけど」
「んー。じゃぁ一緒に入れて?」

タオルケットを掴んでる雪歩の左手をはずして包まるようにミキもその中に入る。
雪歩の肌に触れるとまるで熱があるんじゃないかと思うくらい熱かった。
顔を覗き込むと思った通り真っ赤で。
さっきまでお互い全てを見せ合ったのに何をそんなに照れているのかな?

「雪歩、何見てたの?」
「ん…?ほら、あそこ。今日は満月だったんだよ?私さっき起きて気がついたから見てたの」
「じゃあさ」

空を見ていた雪歩の顔をこちらに向けてまっすぐ、目をそらさずに聞く。
こんな事聞くミキは多分性格がよくないかもしれない。

「月を見て何を考えてたの?真くんの事?」
「…っ!」

これもミキの予想通り、言葉を無くしてタオルケットの端を掴んでる右手を震わせてうつむいた。


そもそも今、こうなってしまってるのには理由がある。
美希は真くんの事が好きだった。
雪歩も真くんの事が好きだった。
ミキ達はお互いそれに気がついていて、真くんを取り合うライバルだった。
ライバルだったけど、ミキはもし雪歩と真くんがそういう仲になっても良いかな、と少し思ってた。
雪歩にそう言ったら同じ事を考えてた、と言われた。
ミキなら、雪歩なら、って認め合ってたライバルだったんだけど。

今日、真くんがミキと雪歩の前で照れくさそうに頭をかきながら言った。

『実は、あずささんと付き合う事になったんだ』
『ずっと好きだったから、凄く嬉しいんだ』

あまりにも鈍感な真くんに呆れたけど、ミキはなんとなくわかってたからそんなにショックでもなかったんだけど。
それとは別な気持ちに気がついた所だったから。
だけど隣に立っていた雪歩の目は色を無くしていた。
それを見て胸がぎゅっと痛くなって、放っておけなかった。
真くんが部屋から出て行った後も雪歩は立ったまま動かなかった。動けなかった、のか。

「雪歩?」

声をかけてだらんと下がっている腕を握るとびくっと体を震わせて、ミキと目が合った。
目が合って、すぐにその目からは涙がこぼれて、そしてその場に座り込んだ。
肩を震わせて、声を出さないように泣く雪歩を見てある感情がミキの中で沸いていく。

可愛い。抱きしめたい。ミキが笑顔にしてあげたい。一緒にいたい。

泣き続ける雪歩を何とか立たせて、事務所から出てタクシーに乗った。
そして連れてきたのはミキの、家。
タクシーの中で雪歩を落ち着かせて、家で失恋パーティでもしようと持ちかけた。
雪歩は乗り気じゃなかったけど、家に着いた時には少し笑みもこぼれてた。
ミキとしてはありえない気の使いようだったと今は思う。

部屋について、失恋パーティと言ってもヤケ酒が飲めるわけでもないので、オレンジジュースで乾杯。
真くんのばかー!とか真ちゃんのどんかんー!とか叫べる範囲で叫んで。
笑顔になったり泣いたりころころ変わる雪歩は見ていて凄くわかるくらい不安定な状態。
だから、…って訳じゃないけど、名前を呼んで振り向いた瞬間雪歩にキスをした。
目を大きく開けて後ろに引こうとしたけど腕を掴んで逃げられないようにして。
何度も、何度も、角度を変えては唇を重ねて。
数え切れないくらいした後、唇を離して雪歩を見ると荒く呼吸をしていた。
涙も、流してた。

なんで?どうして?

そんな事を雪歩の目が言っていた。
だけど、声には出して言わなかった。
さすがにミキもやりすぎたと思って何も言えなくて、何も出来ないでいた、けど。
雪歩はうつむいたミキの顔を覗き込んでから、ミキに抱きついた。

それからの事は、なんか、夢中であまり覚えてなくて、多分その後寝ちゃったんだな。


ぼうっと考えてると、雪歩がその場に座ったので、タオルケットに引っ張られるようにミキも座る。
そして空いてるミキの右手を雪歩の左手がそっと握った。

「…美希ちゃんは…、どうして、こんな事を?」
「雪歩の事が好きだから」

雪歩が言い切る前にそう言うと呆れたようにくすくす笑った。
おかしいことじゃないよ?本当に好きなんだもん。
真くんの事好きだったけどいつの間にか、取り合ってる事が楽しくて、真くんの事どうでもよくなったんだよ?
真くんがいれば雪歩とたくさん喋れる、っていつの間にか思う様になったんだよ?
こんなミキ、やっぱり変なのかな?

「…そっか」

笑ってた顔が急にまた寂しそうな顔に変わった。
どうしたら、笑ってくれるんだろう?ミキ頭悪いからわかんない。
元気付けようと思っても今だって何も出来ないし、さっきだって一方的に求めただけ。
自分が子供なのが悔しくて、もどかしくて。
包まっているタオルケットの中に潜り込んで雪歩の胸にキスをする。
強めに吸って、赤く残るしるし。
何をやってるんだろう、こんな事がしたい訳じゃないのに、どうしたらいいのかわからないよ。

「み、美希ちゃ…っ、だ、め…だよ…」
「いいの。きっと真くんとあずさだって隠れた所につけてるんだよ」

言ってしまってからはっとする。
いくらミキだって今の言葉は言ってはいけない言葉だった。
恐る恐る顔を出して雪歩の顔を覗き込むと困ったように笑ってた。
あれ、でも、作り笑顔じゃない、みたい。

「美希ちゃんも、真ちゃんの事ショックだったんだよね?だから、私と…」

違うよ、って言いたかったけど喉がきゅうっとして何も言えなかった。
違うよ、ミキは雪歩の事が好きなんだよ。
好きになったんだよ。だから自分のものにしたいって思ったんだよ。
今がチャンスかも、って最低なこと考えて家に連れてきたんだよ。
雪歩の気持ちなんて、ちっとも考えてなかったよ。
こんな事言ったら嫌われてしまう。
もしかしたらもう嫌われてるかも。
このまま朝がきたらどうなるんだろう。
バイバイ、ってなって、それから、次会う時はどんな顔してどんな感じで?

ぐるぐるぐるぐる回る。
ミキは実は大変なことしたのかもしれない。

「…美希ちゃん、泣いてるの…?」
「え…」

頬をつたう涙を拭かれて気がついた。
泣いてた。真くんに失恋しても泣かなかったのに。
雪歩に嫌われること考えたら涙が出た。
もう完全に引き返せないところまで、来ちゃってたみたい。

「…っぅ、ゆ、…きほ…」
「……うん…?」
「…ミキ、雪歩のこと、が…好きなの。前から…」
「……うん」

泣いてるミキを抱きしめて、雪歩が返事をする。
……うん?
雪歩の胸に顔を埋めてたけど今の雪歩の言葉がひっかかって顔をあげる。
雪歩の顔は穏やかで優しい笑顔。

「…うん、って…、気がついてたの…?」
「うん…。あのね、…私も、もう結構前から真ちゃんよりも美希ちゃんの事が好きだったんだ…」
「………へ?…で、でも泣いてたじゃん!呆然として、立って」
「あれは…、思ったよりショックじゃなくて、あんなに好きだったのにショックじゃなかったのがショックで…」
「……ワケわかんないの。…じゃあ、なんで、あの時、泣いたの…?」
「あの時って…、…あぁー」

雪歩は少し考えて、ミキの言った事がわかったみたいで顔をまた赤くする。
「あの時」と言うのは、その…ミキが雪歩にキスした時のことなんだけど。
そう照れられると何とも思ってなかったのにミキも恥ずかしくなるって言うか…。

「あのね?美希ちゃんがもしかして私を真ちゃんの代わりにしてるのかな、って思ったら悲しくて。
 でも、代わりでも美希ちゃんと触れ合えるのなら…って途中で思って…」
「代わりだなんて思ってないの!」
「そうだよね、代わりなんかじゃないって気がついて、今すごく嬉しい…」

そう言って雪歩はぎゅうっとミキを抱きしめてくれた。
なんだ、前から同じ気持ちだったんだね。
嬉しさがこみ上げてきて目を閉じる。
雪歩の体温を感じる。
これからずっとこれはミキだけのものなんだよね?

………さわ。
………さわさわ。

「…あの、雪歩?」
「えへへ…、美希ちゃんの胸ずっと触ってみたいなぁって思ってたんだぁ。
 やっぱり…大きいね…?」
「あ…っ、あふぅ…」

両手でミキの胸を揉んでいたかと思ったら…、次はぱくり、とその先を口に含む。
はぁ…っ、って口から吐息が出ちゃって…それを聞いた雪歩はくわえたままうっとりとこちらを見る。
ナニコレナニコレ、なんかおかしくない?
雪歩の舌がすごく優しく動くもんだからおかしくなっちゃいそう…。

「はぁ…、はぅっ…あぁ…っ!」
「うふふ…、かわいい、美希ちゃん…」

雪歩の手がミキの内腿に伸びていく。
待って、待って。さっきはわけわかんなくなっちゃって無我夢中で雪歩としたけど、
これはっ、完全に意識があるし、ミキ…実は初めてだし…!

「あっ!…はぁっ…あぅ…」

雪歩の手がそこに触れてぴちゃり、と音を立てた。
その音が聞こえた瞬間急に恥ずかしくなっちゃって雪歩の肩を少し押した。
やめて、ほしいわけじゃないんだけど…。
そんなミキを見て雪歩はいつもの笑顔じゃなくてにやり、と言った感じで笑った。
いつもの雪歩じゃないよ…?

「大丈夫…美希ちゃん…楽にしてね…」


その後の事はやっぱりよく覚えてないんだけど、
気がついたら雪歩が隣で寝息を立てていたので安心して手を握って眠りについた。


起きたらお互い腰が痛くて苦笑いしあったのは誰にも言えないヒミツなの!

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