最終更新:ID:II5CaWyu3Q 2009年12月04日(金) 21:39:43履歴
星井美希。私とユニットを組んでいる相手でもあり、私の恋人でもある。
そのたぐいまれなる才能と容姿の美しさは、まさに生まれながらにしてのアイドルだが、
「ね、千早さん。ちゅーしよ、ちゅー」
何を考えているのか、私でも、たまによくわからなくなる。
「え?……今?」
「うん。今。時間は大丈夫だと思うの」
確かに今日はレッスン場が臨時休業だったから、予定がなくなって暇になった。
今だってソファに座って、春香が大量に作ってきたクッキーを2人で減らしているところだ。
「……でも、なんで?」
「千早さんのこと好きだし、ちゅーしたいから。時間あるし」
気持ちは嬉しいけど、それは理由になってるのかしら。
「でも、」
「もー、いいからしよっ!」
「きゃっ」
それでも、渋る私に業を煮やしたのか、美希にソファに押し倒される。
「……千早さん、口隠してたらミキとちゅーできないの」
「だって……」
「千早さん、そんなに美希とちゅーするの、ヤ?」
「嫌じゃないけど……」
嫌ではないが、唐突すぎるとは思う。
真の持っている少女マンガの主人公ではないが、もう少しムードというものを考えてほしい。
それに、そもそも恥ずかしい。
「じゃあ、別にいいと思うの」
どこがいいのだろうか。いや、そのしたくないわけではないけど。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「もー、なんなの?」
「心の準備が、まだ……」
「じゃあ、急いで準備して」
即答される。そう手早く準備できるものではないのだけど。
「それにここ、事務所だし、恥ずかしいわ。人もいるし」
「気にしないでほしいの」
気にしないでと言われても無理よ。恥ずかしいものは恥ずかしいし。
そう言っても、美希の顔が近づいてくる。
「やっ、やっぱりちょっと待って……!!!」
「……もういいの。……無理言ってごめんね、千早さん」
そう言うと、美希はさっさと私の上からどいてしまった。
「美希……?」
「気にしないでほしいの。久し振りにキスできるかもって、ミキが勝手に盛り上がっちゃっただけなの」
そういえば、美希と最後にキスしたのはいつだったか。
覚えてないほど前だったのか。
アイドルとはいっても、美希だって女の子だ。好きな人とキスしたいに決まってる。
よく鈍感と言われるけど、そんな美希の気持ちに気付けないほど、自分が鈍感だったとは。
いや、気づいていたのかもしれないが、それでも自分からキスをしようと言い出すのは恥ずかしかった。
まるで自分がはしたない人間のように思えたから。
「美希、寂しい思いをさせてごめんなさい。……その、こっち向いて?」
「何?」
振り返った美希の額にキスをした。やっぱり口には恥ずかしくてできなかった。
「えっと、これからは、キスしたくなったらすぐに言うようにしましょう?……お互いに。
その、今回みたいにどっちかが寂しい思いをしないためにも」
自分で言ってて、何を言ってるのかよくわからない。
「わ、わたしもできるだけ言うようにするから。恥ずかしがって、美希みたいにできないかもしれないけど……ね?」
恥ずかしくて、まともに美希の顔が見ることができない。
春香に「話すときは相手の目を見て話しなさい」と言ってるのに、言ってる本人が実践できてないなんて。
美希がずっと黙っているので落ち着かない。
やっぱり変なこと言っちゃったのかしら、と思ってチラリと美希の方をみると、美希が手を挙げていた。
はやくあててくれと言わんばかりの目でこちらを見ている。
「えっと、何?美希」
「はーい!ミキは、千早さんとキスしたいでーすっ!」
そう言うやいなや、思いっきり抱きついてきて、そのままソファにダイビングした。
「美希、危ないから勢いを付けて抱きつくのはやめなさい。」
「えへへ、ごめんね。千早さん」
反省していないわね、これは。
「お詫びに、さっき言ったとおりにキスしてあげるの!」
「それは、お詫びになってないんじゃない?」
「気にしちゃダメなの」
「ふふっ……。んっ――」
「あの二人はここが事務所で、私たちがそばにいるってこと、忘れてるのかしら?」
「忘れてるんじゃないかなぁ、あの様子だと。さっきまでは覚えてたみたいだけどね。
……それにしても、なんだか少女マンガの主人公みたいに初々しいなぁ、千早」
「なに、憧れてるの?」
「そういうわけじゃないけど……僕もああいう甘々で、キュンキュンする恋がしたいなぁ」
(あれを見習ってはいけない気がするんだけど……。どう考えてもよそでやれって感じが……)
以下蛇足
美希曰く、「ミキだってキスするときは恥ずかしい」らしいが、
「それでもキスしたかったら、恥ずかしさはなくなるの」ということらしい。
そうならないところが私と美希の決定的な差かもしれない。
そのたぐいまれなる才能と容姿の美しさは、まさに生まれながらにしてのアイドルだが、
「ね、千早さん。ちゅーしよ、ちゅー」
何を考えているのか、私でも、たまによくわからなくなる。
「え?……今?」
「うん。今。時間は大丈夫だと思うの」
確かに今日はレッスン場が臨時休業だったから、予定がなくなって暇になった。
今だってソファに座って、春香が大量に作ってきたクッキーを2人で減らしているところだ。
「……でも、なんで?」
「千早さんのこと好きだし、ちゅーしたいから。時間あるし」
気持ちは嬉しいけど、それは理由になってるのかしら。
「でも、」
「もー、いいからしよっ!」
「きゃっ」
それでも、渋る私に業を煮やしたのか、美希にソファに押し倒される。
「……千早さん、口隠してたらミキとちゅーできないの」
「だって……」
「千早さん、そんなに美希とちゅーするの、ヤ?」
「嫌じゃないけど……」
嫌ではないが、唐突すぎるとは思う。
真の持っている少女マンガの主人公ではないが、もう少しムードというものを考えてほしい。
それに、そもそも恥ずかしい。
「じゃあ、別にいいと思うの」
どこがいいのだろうか。いや、そのしたくないわけではないけど。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「もー、なんなの?」
「心の準備が、まだ……」
「じゃあ、急いで準備して」
即答される。そう手早く準備できるものではないのだけど。
「それにここ、事務所だし、恥ずかしいわ。人もいるし」
「気にしないでほしいの」
気にしないでと言われても無理よ。恥ずかしいものは恥ずかしいし。
そう言っても、美希の顔が近づいてくる。
「やっ、やっぱりちょっと待って……!!!」
「……もういいの。……無理言ってごめんね、千早さん」
そう言うと、美希はさっさと私の上からどいてしまった。
「美希……?」
「気にしないでほしいの。久し振りにキスできるかもって、ミキが勝手に盛り上がっちゃっただけなの」
そういえば、美希と最後にキスしたのはいつだったか。
覚えてないほど前だったのか。
アイドルとはいっても、美希だって女の子だ。好きな人とキスしたいに決まってる。
よく鈍感と言われるけど、そんな美希の気持ちに気付けないほど、自分が鈍感だったとは。
いや、気づいていたのかもしれないが、それでも自分からキスをしようと言い出すのは恥ずかしかった。
まるで自分がはしたない人間のように思えたから。
「美希、寂しい思いをさせてごめんなさい。……その、こっち向いて?」
「何?」
振り返った美希の額にキスをした。やっぱり口には恥ずかしくてできなかった。
「えっと、これからは、キスしたくなったらすぐに言うようにしましょう?……お互いに。
その、今回みたいにどっちかが寂しい思いをしないためにも」
自分で言ってて、何を言ってるのかよくわからない。
「わ、わたしもできるだけ言うようにするから。恥ずかしがって、美希みたいにできないかもしれないけど……ね?」
恥ずかしくて、まともに美希の顔が見ることができない。
春香に「話すときは相手の目を見て話しなさい」と言ってるのに、言ってる本人が実践できてないなんて。
美希がずっと黙っているので落ち着かない。
やっぱり変なこと言っちゃったのかしら、と思ってチラリと美希の方をみると、美希が手を挙げていた。
はやくあててくれと言わんばかりの目でこちらを見ている。
「えっと、何?美希」
「はーい!ミキは、千早さんとキスしたいでーすっ!」
そう言うやいなや、思いっきり抱きついてきて、そのままソファにダイビングした。
「美希、危ないから勢いを付けて抱きつくのはやめなさい。」
「えへへ、ごめんね。千早さん」
反省していないわね、これは。
「お詫びに、さっき言ったとおりにキスしてあげるの!」
「それは、お詫びになってないんじゃない?」
「気にしちゃダメなの」
「ふふっ……。んっ――」
「あの二人はここが事務所で、私たちがそばにいるってこと、忘れてるのかしら?」
「忘れてるんじゃないかなぁ、あの様子だと。さっきまでは覚えてたみたいだけどね。
……それにしても、なんだか少女マンガの主人公みたいに初々しいなぁ、千早」
「なに、憧れてるの?」
「そういうわけじゃないけど……僕もああいう甘々で、キュンキュンする恋がしたいなぁ」
(あれを見習ってはいけない気がするんだけど……。どう考えてもよそでやれって感じが……)
以下蛇足
美希曰く、「ミキだってキスするときは恥ずかしい」らしいが、
「それでもキスしたかったら、恥ずかしさはなくなるの」ということらしい。
そうならないところが私と美希の決定的な差かもしれない。
タグ
コメントをかく