あ な た と 融 合 し た い ・ ・ ・


 西日の差し込む放課後の静かな教室に、彼女の姿はあった。
 両サイドでまとめられた、いわゆるツインテール。
 くりっとした瞳は、美しさより可愛さを印象付ける。
 同じ年頃の女の子に比べて、やや発育が遅れた体。
 彼女──壱尾あやめは、藍色のブレザーとプリーツスカートという、つまりこの学校の制服姿で、何かを決意したような表情で、自身の手に握られていたものを見つめていた。
 
 「今日も、頑張らなきゃ…」

 己を奮い立たせるようにこわばったその手には、お面。
 あの有名なホラー映画の殺人鬼が被っていたものを髣髴とさせる、ホッケーマスク。
 色こそ可愛らしいピンク色だが、形はそのものだ。

 「悪い人達をやっつけちゃう!クリスタルレイクパワー!ビルドアップ!」

 謎の呪文を叫びながら、あやめはそのマスクを顔に近づけていく。

 「きゃっ」

 すると、ある程度その童顔に近づいたところで、仮面は彼女の手を離れ、吸い寄せられた磁石の如く、顔にぴたりとくっついた。

 「はあっ」

 その瞬間、どくりと心臓が跳ねた。

 「はあ、はあ、はああ…っ」

 自身でも分かるくらい、顔が火照っている。それは顔だけでなく、瞬時に全身へ広がっていく。

 「は、くはあっ!」

 乱れた息の合間から、艶かしい色を帯びた少女の喘ぎが漏れる。全身を作り変えていく未知の力。
 苦痛とそれを上回る快楽に、あやめは頭を抱えて全身を震わせた。

 「ひぃ、ふああっ!」

 変化が始まる。
 頭を抱える両手の指先が、太く醜くなっていく。その指が押さえつける栗色の髪が、はらりと抜け落ちていった。

 「きひぃ、むうぅぅっ!」
 
 肥大化は指だけに留まらず、手全体を侵食していく。同時に、細い腕を包むブレザーの内側が、ぼこぼこ蠢きながら膨らんでいく。同時に足も大きくなり始め、ローファーがはちきれそうになった。
髪の毛は抜け落ちると同時に、栗色を濃くした色のものが新たに生えるも、その長さは足りず、ツインテールをまとめていた髪留めのゴムバンドが床に落ちた。
 やがて耐え切れず、履いていた革靴はソックスごとはじけた。

 「ひやあっ」

 外気に晒された足も足首も、少女のものとは思えないほど大きく、太く、逞しい。白い素肌は肥大化したことろから色を濃くし、黒ずんでいた。

 「う、うあああああっ……」

 足首までの変化がついに脹脛にまで広がったところで、あやめは呻きに似た嬌声を上げながら、不釣合いなほどに大きくなった両腕で、ブレザーとブラウスを掴み、びりびりと引き裂いた。
同時に耐え切れなくなったブレザーとブラウスの腕部分も、引きちぎられた生地が足元へはらはらと広がった。

 その姿は、いびつだった。
 
 肥大化、筋肉質になった足の変化はすでに太腿の付け根にまで及び、それに押し上げられた身長はすでに170センチを越え、同じように二周りかそれ以上に大きくなった両腕が、袖が破けてノースリーブの格好となった肩口から伸びている。
しかし体はか細い少女のままで、破かれたブラウスの合間から見えるお腹や、水色のスポーツブラに包まれた慎ましい膨らみも、素肌の色もあやめのままだ。
 だが、すこしづつ腰周りが成長し、悲鳴を上げ始めたスカートの下、ブラと同色のショーツのさらにその下では、この中学2年生の少女を完膚なきまでに変質させる大きな変貌が始まっていた。

 「ああ、あんっ!」
 ボディビルダー真っ青なムキムキの太腿をもじもじとすり合わせながら、来たるべき性感に喘ぐあやめ。

 「はえ、ちゃうっ!はえ、ちゃう、よおぉぉ…」
それは幼い、薄い茂りの秘裂を割って、大量の愛液に塗れながらその顔を覗かせ、次の瞬間、その身を一気に露出させた。

 「あああああああああああああっ」

 視界が白く塗りつぶされるほどの快楽が甘い痺れを伴って全身を駆け巡り、絶叫をあげる彼女。ぐしょぐしょのショーツからはみ出し、スカートを盛り上げるそれは、平均サイズを軽く上回る男根だった。
子宮の中で肉付き、変質させ、膣や周囲の細胞を取り込んでその身をさらした起立は、赤黒くあやめ自身の分泌でぬめっていた。

 「うああ、うはあ、ひぎいっ」
 少女から、男へ転換を遂げた際の絶頂で、手放してしまった意識や思考が急速に、体に適した形へ組みかえられていく。その変化は肉体にも返され、残ったあやめとしての体が飲み込まれ、作り変えられていく。

 「あう、ああ、あお、おう、うおっ…」
 声が太く、低くなっていく。腰周りも大きくなり、尻肉は筋肉質に引き締まる。腹筋が割れながら広がって、彼女、いや、彼の体が膨らんでいく。

 「ぬおお、おおおっ」
 熊のような唸りを上げて、変化の気持ちよさに酔いしれる元・少女。控えめな双丘は瞬く間に固くなって広がり、大胸筋と化した。ブラジャーも耐え切れず千切れる。
 肉棒を吐き出した恥丘が急速に膨らんで、睾丸に成り代わる。首周りも急速に肉付いて、変身が完了した。

 「おおおおおおおおっ!魔法少女ジェイさん、爆☆誕っっ!」

 小柄な少女あやめの面影は完膚なきまでに無かった。どこを見ても筋肉、筋肉、筋肉!小さな女子中学生は、制服の残滓を素肌に纏った大男に生まれ変わった。
その顔はホッケーマスクに隠されたままで、うかがい知ることはできない。パッと見変態である。
 しかし男──魔法少女☆ジェイさんは気にした様子も無く、汗を撒き散らしながらタックルの構えを取った。

 「街に蔓延る悪を!己のそそり立つ鉈で突きまくる!ジェイさん、行っきまあああああああすううううううう!!」
 鉈は突くものではなく叩き切るものだが、本人は一向に気にしていなかった。そのまま窓ガラスをやぶり、彼は夜の街へ駆けて行った。


 〜面倒になったので以下戦闘をダイジェストでお送りします〜

 「き、貴様、何者だ!」
 「キノコ堀りの男、ジェイさんっ!」
 「布団敷こう、な!?」
 「オンドォルルラギッタンディスカァ!」
 「小早川大尉殿……愛しておりました……」
 「そこまで情けないなんて、男として自殺するべきじゃない?さっさとこれ脱いで、目の前で死になさいよ、ほら」
 「こいつをどう思う?」
 「すごく……大きいです」
 「へ ヴ ン 状 態 !」
 「ひぎいぃぃっ!にんっ!しんっ!しちゃうぅっ!らめええええええええっ!!!」


 こうして、街の悪はまた一つ潰えた。
 しかし、この世に、呪いと憎悪がある限り、世にも不思議な出来事は途絶えることは無い。
 ジェイさんは一人静かに、幸せが来る日の事を、思っていた──。

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