いわゆる慰安婦(日本軍性奴隷)について知り、考えるためのFAQです。

否定派の主張

戦場という人間が極限にまで追い込まれる状況にあって強姦はつきものだ。日本だけがが責められるのはおかしい。

反論

「責められている」のは日本だけではない

別の項でも触れた橋下徹氏の「私の認識と見解」には次のような記述があります(太字による強調は引用者)。

かつて日本兵が女性の人権を蹂躙したことについては痛切に反省し、慰安婦の方々には謝罪しなければなりません。同様に、日本以外の少なからぬ国々の兵士も女性の人権を蹂躙した事実について、各国もまた真摯に向き合わなければならないと訴えたかったのです。あたかも日本だけに特有の問題であったかのように日本だけを非難し、日本以外の国々の兵士による女性の尊厳の蹂躙について口を閉ざすのはフェアな態度ではありませんし、女性の人権を尊重する世界をめざすために世界が直視しなければならない過去の過ちを葬り去ることになります。戦場の性の問題は、旧日本軍だけが抱えた問題ではありません。

橋下氏は「誤解しないで頂きたいのは、旧日本兵の慰安婦問題を相対化しようとか、ましてや正当化しようという意図は毛頭ありません」とも弁明していますが、これはちょうど万引き犯が「確かに自分は悪いことをしたから反省するけど、自分だけが万引きしたわけじゃない。なのに俺だけ責められるのはおかしいじゃないか」と開き直るのと同じで、反論にすらなっていないのですが、こうした「日本だけが非難されている」という一種の被害者意識に囚われている人は少なくないようです。これは積極的な慰安婦問題否定論者に限ったことではなく、比較的中道・リベラルと思われているメディアでもともすれば慰安婦問題を「日本批判の一材料」と見なしているようなフシがあります。

しかし、そもそも「日本だけが責められている(他国の性暴力や女性に対する人権侵害が看過されている)」というのは国際的な潮流を見誤ったガラパゴス的な認識です。戦時下の性犯罪・性暴力については、たとえば旧ユーゴスラビアやルワンダにおける民族浄化や集団的な強姦の問題が取り上げられ、責任追及がなされています。また、ナチスドイツによる強制売春の問題は長らくタブーとされていましたが、近年になって被害者が声を上げ、実態が解明されつつあります。こうした流れは、元慰安婦が勇気をもって名乗りをあげ、慰安婦問題、ひいては戦時下の性暴力の問題が世界的な注目を集めたたことが重要な一因です。

したがって、もし「女性の人権を尊重する世界をめざす」という言葉が口先だけのものでないならば(あるいは口先だけのものでないと主張したいのならば)、「隗より始めよ」という言葉にあるように、日本が率先して責任を認め、積極的に実態解明に取り組まなければなりません。言い方を変えると、そうした態度を取って初めて、日本は世界的な性暴力の撲滅に寄与することができるのです。

橋下氏の言うように、全ての戦時下の性暴力・性犯罪が国際的な注目を集めているわけではなく、たとえば対日参戦後のソ連軍兵士による日本女性の強姦などはあまり取り上げられません。こうした問題ももちろん実態解明と被害者救済がなされるべきです。しかし、単に慰安婦問題を相殺することだけのためにこうした問題が取り上げられるならば、結局の所問題の解決には繋がらないし、先に挙げた「万引き犯の弁明」以上の説得力は持ち得ないでしょう。

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