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『互いの想いと罪』後編

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
17『互いの想いと罪』後編男ハンター×擬人化ミラルーツL擬人化(祖龍)20〜30

『互いの想いと罪』後編


『減龍士』―――その肩書きはいつしか、俺には重過ぎるモノとなった。『龍を滅する』―――それは龍を殺すこと。
殺す感覚に精神が磨耗し、殺す後に科せられる罪と、少なからず覚える後悔。
それらは崩れることなく積み上がり、俺を押し潰すまでの大きさとなった。だから、軽く――いや、無くす為に死を望んだ―――

殺せ―――俺を殺せ―――そう願った。今まで俺が殺してきた同族―――龍に。
                                                     
しかし彼女は、俺を殺さなかった。むしろ救われた気がした、何故なら―――いつの間にか俺が望むものは『死』では無く彼女――彼女を望んだ。
そしていつからだっただろうか?互いの名を呼び合い、共に過ごし、肌を重ね始めたのは―――

そして思ってしまった。ずっと―――ずっと、彼女の側に居続けたいと―――
絶対に変わることの無い、互いに置かれた立場を無視して、俺は強く願った―――その未来(さき)に起こる事など、想像もせずに。

人に未来など視る事は出来ず、可能性を考えることが出来ても、それは『絶対』では無く、故に―――知る事は叶わず。
だが彼女は?彼女はどうだったのだろうか?解っていたから、俺から―――


それは彼女と初めて出会ってから、もう二年も経つ頃だった・・・。









俺は正直呆れていた。眼前には所々崩れた石柱やら石壁、そして―――悠々と佇む彼女。
それは美しく絹のような白い髪と、見た者を縛るような金の瞳を持ち、外見だけでなく内から神々しい雰囲気を放つ女性―――
「おい、ルティア」
「ん?呼んだ?リアン」
俺の声に反応し振り返った彼女こそ、二年前に初めて出会った少女だ。今ではすっかり姿が変わり、少女から大人の女性となっていた。
ルティア―――ミラボレアスの種族は人間と似たように成長していくと姿が変わっていくらしい。
それは幼年期、成年期、老年期の三つに分かれているらしく、去年彼女―――ルティアは幼年期を終えて成年期となったそうだ。
龍の姿ではそう変わらないみたいだが、人の姿になる時がいきなり変わるんじゃ、俺もかなり驚いたものだ。
そんな彼女も、そこらの女と違って綺麗になったのだから俺としては嬉しい限りなのだが―――
「幾らなんでもやり過ぎだ。見ろよ、彼方此方ボロボロじゃねぇか」
「むぅー、ここはリアンと私の秘密の場所なんだから、居座られると困るじゃない」
「だからって、その秘密の場所まで壊すことも無いだろ」
ついさっきの事だ、俺とルティア―――二人で目の前にある『秘密の場所』に行こうとしたら、ババコンガが寝ていたのだ。
それを見たルティアはいきなり雷撃を放ち、ババコンガを追い出したのだが―――気が立ってうまく命中させられなかったのだろうか。
数発が建物に命中し、ご覧の有様である。所々に雷撃を受けた場所は、巨大なハンマーなどで叩き割ったように削れたり崩れたりしていた。
―――容赦ないのは相変わらずみたいだ、この建物が崩壊しなきゃいいが・・・。
「追い出すのはもっともだろうが、もう少し落ち着いてやれよ。建物が壊れたら、元も子も―――」
「フンとかしてないでしょうね?あの下品獣」
―――聞いちゃいねぇ
―――もう結構前に、ルティアが見つけたこの建物。塔から少し離れた樹海の中だが、人が出入りした痕跡は無い。まぁ、さっきの
ババコンガの様にモンスターは出入りするらしいが。
周囲が樹で埋め尽くされたこの建物を今は俺とルティアの秘密の場所にしているが、最初に見た時俺は遺跡か何かかと思ったが、
村にある家屋程度の大きさしか無いので単なる廃墟みたいな物だと割り切った。
しかも周りは樹だらけでとても人が来るような場所では無い―――というか不可能であろう。
「うん、おかしなニオイはしないし大丈夫みたいね。それじゃあ―――」
あまり詮索しなかったルティアはここを俺と過ごす場所に決めた。つまり、ここは俺とルティアしか知らない場所なので『秘密の場所』                                                           
なのである。うん?何故人間である俺がここに居るのかだって?確かに普通に歩いてここに来る事は不可能だろう。
     ・・・
俺は彼女に乗って来たのである。気球でも来るのは困難だろうな。
さて、今度は何故俺とルティアがここに来るのかだが―――人に気づかれず、ゆっくりと過ごせる場所と言う事なので―――
「リアン、持って来た?」
「ん?ああ―――」
背負ったリュックから数枚毛布を出し、ルティアに渡す。受け取った彼女はそれらを床に重ねて敷き詰めると振り向き、微笑みながら
着ていた衣服を脱ぎ始めた。
「ふふ―――始めましょうか」
察しの良い者ならもう解る筈、ここに来る度俺はルティアを抱いているのである。




ルティアの腕が俺の首に絡まり、お互いの顔が近づく。目を閉じ、唇を少し尖らせたルティアに俺はキスをした。
「ん・・・はぁ・・・」
浅いキス―――一旦顔を離して顔を見ると、ルティアは微笑んだ。
「なんだよ?」
「ううん、ただ・・・嬉しいの♪」
「・・・っ」
毎度、このルティアの顔に俺は思わず息を飲んでしまう。どうしても―――すごくルティアが綺麗に見えてしまうからだ。
「・・・続けるぞ。」
気を取り直し、手をルティアの乳房に当てる。
「ん・・・っ」
優しく撫で、肌の感触を楽しんだら今度は軽く揉み始める。
「はぁ・・・っんぅっ、あっ、はぁっ」
次第に色のある声を出し始めたルティアに対し、今度は少し強めに揉む。豊満な乳房は、どんな形に揉まれても元の形状に戻る。
強く揉み、手を離すとプルンと揺れた。今度は鷲掴みし、乳房の先端を人差し指で弾く。
「んぁっ・・・はぁっ、ん・・・んぅっ」
次は指の腹で撫でる、ぐるっと円を描くように動かすと、段々と乳首が硬くなってきた。
「あっ、あ、んぅっ・・・やぁっ・・・気持ち・・・いぃっ」
「分かるか?乳首硬くなってきてるぜ。」
「あ、あ、んぁ・・・あっ」
充血して紅くなった乳首を親指と人差し指で摘む。摘んだまま軽く左右に捻る。途端、ビクっとルティアが跳ね、乳房が揺れた。
「はあっ・・んぁぁ、それだめぇっ・・・ち、ちくびぃっ・・・取れちゃうよぉっ」
「取れやしないって、じゃ次は・・・」
「ん、ふ、あっ、ああんっ・・・」
ルティアの乳房に舌を這わせる。両胸を揉みながら舌をなぞらせ、乳首を口に含んだ。
「ふあ、はぁっ、あ・・・」
コリコリになった乳首を舌の上で転がす。しばらく感触を楽しんだ後、軽く噛んでやった。
「ん、はぁっ、ああっ!か、噛んじゃ、やぁっ・・・」
「ん?じゃあこっちか?」
乳房を揉んでいた手を、今度は股間の方に回す。触れたルティアのココは愛液でビショビショに濡れていた。
「あ、あっ、そっちはぁ・・・・」
「おー、すごいな。もうこんなに濡れてる。やらしいな」
「――――っ!」
途端にルティアの顔が赤くなる。目は少し怒っているように感じた。
「はは、悪い悪い。それじゃあこんなに濡れてるし、綺麗にしないとな。足、開くぞ」
「う、うん・・・・」
ルティアの太ももを掴んで開かせる。露になったルティアの秘所は、綺麗な桃色をしていながら愛液で濡れているせいで、より
いやらしく見える。
何度でも言おう、綺麗だ。
「そ、そんなにじっと見ないでよぉ・・・、恥ずかしいじゃない・・・」
「??」
違和感を覚えた。いつも見られても平然としている(偶に自分から見せたりもする)のに、何故か今だけは本当に恥ずかしそうな
顔をしていたのだ。が、グショグショになっている秘所に眼をやれば、そんなこと些末に過ぎず。
「うあ、んぁぁっ!」
ルティアの大事な場所をやさしく撫でるように指で弄る。喘ぎ、少しばかり腰を浮かせた彼女は素直な反応だけした。
やがて、俺の指は彼女の愛液で濡れ、彼女の柔肉もまた、自身の愛液でグショグショに濡れていた。
その―――淫らで男の性欲を誘うかのように、彼女の膣内が少し見えるほど開いてきた。それを見た俺は、喉が渇くような感覚がした。
「あ・・・・リアン・・・」
股間に顔を近づけた俺を見て、ルティアは少し不安と期待を混ぜたように、声を上げた。耳の奥まで届いたその声は、俺の興奮を更に高めた。
生唾を飲み込み、息を荒げながら熱く、唾液でデロデロに濡れた舌を出して―――舐め上げた。
「あぁあんっ!」
拭うように濡れた花弁とクリトリスの場所に舌を這わせる。舌が触れ、動く度にルティアの腰が跳ね上がる。喘ぎ声は指なんか比べ物にならないとでも
言っているかのように、今まで以上に大きく、淫らに声を上げている。
俺は更に快感を与えようと、花弁の上、包皮を舌で剥いで、ひょっこりと出てきたクリに軽くキスをしてやった。
「はあぁんっ!ああ、んぅっ、そ、それ・・・だめぇっ・・・!クリぃ・・・びん・・・か、んあはぁっ!」
無視して今度はパクパクと口を開けた所に舌を差し込む、ニュルリっと入った舌が膣内で蠢くと同時に、締められる感覚が伝わる。
「ひはあああぁっ!舌、入って・・・・るぅっ!」
貪るように、遠慮なく容赦なく舌を動かして、彼女を味わう。
口の周りも、彼女の膣も、唾液と愛液で更に濡れていた。
「いいっ!ん、あ・・・ああ、もっと、もっとぉっ・・・舐め、てぇっ!」
気が付くと頭に手が添えられていた。快感に酔いしれ、もっと更なる快感を求めようと、俺の頭を押さえ付けようとしているのだろう。
しかし手に力はあまり篭っていない。気持ち良さで力が加わらないのだろう。
「あ、あ、ああっ!すごぉっ・・・いっ!ああっ!」
と、舌がキュッキュっと締められた。絶頂が近いのかもしれない。そう思った俺は止めた。
「あ・・・え・・・?リア・・・ン?」
突然愛撫を中断され、もの足りなさそうな眼で俺を見るルティア。だが、別に意地悪で止めたのではない。
「・・・すまん、もう、限界だっ」
俺は我慢出来なくなって自分のモノを晒し出した。
「え?ちょ、ちょっと・・・!」
「・・・入れるぞ」
「ま、待ってっ!なんか・・・、いつもより大きくなってない・・・?」
「ん?そうか?」
自分のモノの大きさなんて記憶などしていない―――いないが、今日は少し高く興奮している。そのせいだからだろうか。
もうどうでもいい、早く挿れたい・・・っ!
ルティアの腰を掴んで、自分のモノを宛がう。
「あっ」
ピクッと反応するルティアだったが、抵抗はしていない。そのまま俺は腰を前に突き出した。
ズブブっと先端が入っていくと、忽ちヌメヌメとしたものに吸われる感覚がした。
「あ、ん、んぅっ、や、やっぱり、いつもより・・・はぁっ、あ、んっ・・・大きい・・・よぉっ」
「ううっ!」
徐々に入ってはいるものの、ルティアの中はきつく締まって中々進まない。それでも吸い付く感覚で気持ちはいいが、
そんなので俺は満足しない。もっと、全部突き入れて―――全部感じたい。そう思って一旦、少し戻した。
「あっ・・・、え?」
そこから一気に―――全部突き入れるっ!
「ひぃやああああああっ!」
一際大きく声を上げ、ビクンっと跳ねるルティア。それに習って全部入った俺のモノがあらゆる箇所から締めつけられた。
「うぁっ、くっ!」
急な快感で射精してしまいそうになったが、耐えた。そのまましばらくは動かずにルティアの反応を見ていた。
軽くイッたのか、声を上げた後はビクビクっとしていたが、今は少しぐったりとしている。と、ルティアと目線がぶつかる。
「もぉ〜、ひどいじゃなぃ。いきなりだなんてぇ・・・」
唇を尖らせながら抗議してきたが、気にしない。顔を近づけてキスをし、耳元で呟いた。
「・・・動くよ」
「・・・うん、お願い・・・」
俺は一気に腰を動かし始めた。




 その頃・・・




「それで、依頼とは?」
薄暗い部屋の中で、二人―――男たちが会話をしている。
「ある場所で、最近ミラボレアスがよく目撃される様になっている。被害届は出ていないが、事が起きてからでは困るので
早々に調査し、討伐してもらいたい」
椅子に座っている男がゼニーの入った袋を机に置く。同時に、懐から地図を取り出し、机に広げた。
「主な目撃場所はここだ」
「樹海・・・しかもハンター達の狩場だな」
「そうだ、だがハンターから見たミラボレアスは狩場とは全く別の場所に飛んで行ったと言うのだ。木々が多くて危険な奥地の方にだ」
「ふーん、そんな誰も近寄らない所に何故ミラボレアスが・・・」
「それを調べるのも今回の仕事の内だ」
「へいへい、それでその―――ミラボレアスは黒か?赤か?」
「白だ、だから今回ハンターには依頼せず、お前に任せようと言うのだ」
「白、ルーツの方ねぇ・・・・」
依頼を受ける方の男はニヤリと笑った。
                      ・・
「そうなると、討伐と言っても、角と眼、そして心臓も持ち帰らないといけないな」
「ああ、任せられるか?」
「ああ、いいぜ。引き受けよう」
男はそう言うとゼニー袋を懐にしまい、踵を返した。部屋の中で光源となっているランプの光が、男の背中にあるモノを照らす。
剣―――それも二つ。暗黒と鮮血を混ぜたように禍々しい色を放つ大剣と、もう一方は布に巻かれていて柄しか見えない、大剣よりも少し小さめ、
しかし普通の剣よりもやや大きめな剣。
背を向け、歩き出した男に一言放った―――

「頼んだぞ、『竜殺士"ドラゴンキラー"』ジートス」




「あ、ああっ!だめぇっ、リアン!わ、わたし、もぉっ・・・!」
「イキそうか?俺も出そうだけど、どっちに出す?外か?」
「ば、かぁっ!外なんかに、んぁぁっ、出し・・・ちゃ、やだぁっ」
「分かった、じゃあタップリ奥で出してやるからな」
「うん、うんっ、中にぃっ、奥に、だし・・・ってぇっ!」
激しいピストン運動を繰り返す、加減などもう気にせずに、俺は尿道で抑えられてる精液を排出するきっかけを待つように、
ガンガンとルティアの中を突きまくる。
「くぅ、ルティア・・・!」
「ふぁぁっ!り、リアァンっ、好き・・・!大好きぃっ!」
「ああっ、俺も・・・っ、愛してるっ!」
その瞬間、ぎゅうっとルティアが締め上げて来た。射精のきっかけを得た俺は一気にルティアの膣にブチ撒ける。
「んあぁぁぁぁぁぁぁっ!イクイクっ!イクぅぅぅぅっ!」
「うう!出る――――!」
「イクっ!うはああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」
ルティアの痙攣と同時に締め上げが一層強くなるも、俺のペニスはそれ以上に強く精液をルティアの中に注ぎ込んだ。
ドプゥっと、収まりきらなくなった精液がルティアの膣から溢れる。
「ふあ、あ、はぁっ、はあっ・・・・」
「ふぅ・・・・・」
ペニスを引き抜くと、またドプっと音がしてルティアの膣から精液が溢れた。綺麗に桃色だった膣も、今では俺の
精液で白くドロドロに染まっていた。
一気に開放感と疲労感が出てきた俺は、そのままルティアの横に寝転がった。
「ふぅー、なんか今日は自分でもビックリするほど出たなー」
「そう・・・だね。本当に凄い量・・・」
自分の股関を見ながらルティアは言った。その後、俺の首に腕を回し、キスをしてきた。
「その・・・、今更言うのもなんだが、大丈夫か?ルティア」
「ん?平気だよ、あんなに激しいのすごかったからちょっとビックリしたけどね」
微笑みながら、ルティアは言った。
「それより・・・、ねぇリアン」
「ん?」
「さっきの、もう一回言って・・・」
さっきのと言われ、さあ何だろうと考えたが。ルティアの眼を見てすぐに分かった。
「愛してるよ、ルティア・・・」
「・・・えへへ」


そう、照れくさそうに笑いながら、もう一度キスをした。瞑ったルティアの瞳からは、涙がこぼれていた―――




―――今思えば、どこかおかしかったんだ
―――「愛している」と、自分の気持ちを告白し、俺はこれからもずっと―――ルティアと一緒だと思っていたんだ
―――だって、あいつも言ってくれたんだ、「好き」―――と


しかし、ルティアは――――――――



一年後・・・





「はあ!はあ!はあ!」
あの日から、ルティアとは逢えなくなっていた。
「はあ!はあ!はあ!はあ!」
理由なんて分からない、あの日以降、ルティアは俺の前に現れなくなったのだ。
最初は、単に都合が良くなくて来れないのだろうなどと、そんな風に思っていた。だが、二週間も経った頃には、俺は本格的に不安になった。

色々、自分なりに捜し求めたはずだった。だが何せ、彼女は「人間の姿になれる龍」なのだ。人前にほとんど現れないのは勿論、
家だってある訳でも無い。だから見つけるのは極めて困難だった。
ほとんどが、塔の最上で待つだけだった。二人の場所―――樹海の奥地にあるあの廃墟、そこにも命懸けで行こうとしたのだが、廃墟は跡形も無く崩れていた。
不安と焦りが強くなる一方で、ずっと―――彼女の角の欠片を握り締めながら、塔で待った。
気がつけば一年が過ぎようとしていた。
そんなある日―――今朝だ、また塔に行こうと家を出た時だ、ドアを出てすぐ下に、手紙があったのだ。内容は―――

「今すぐ  塔に  」
                  ・・・・・・ 
急いで俺は塔に向かった。全力で、塔で待っている人が居る――――
「はあ!はあ!はあ!」
現(いま)―――駆けるは塔の中、最上部へと続く道。強走薬を飲んで、常に全力で走る―――!
「・・・ルティア・・・、ルティアっ!」
上る事が終わる、目の前には最上部へと続く通路だ―――!
「ルティア!」



「・・・・・・」




塔の最上部、そこに居たのは―――
「バル・・・トリア?」
数年前、初めてルティアと出会った時、一緒に居た紅髪の女の子――――いや、ルティアと同じく幼年期を過ぎたのだろう。
彼女は成人の女性の姿で何も身に纏わず立っていた。
「減龍士―――リアン・アーク・・・・」
裸であることを気にせず、バルトリアは何故か、俺を強く睨んでいた。減龍士の俺だから分かる、彼女からは龍である独特の
殺気が発せられていた。
「お、おい、バルトリア・・・・よく分からないけど、ルティアが何処に居るか知らな―――」
「死ねぇ―――!!」
「え・・・?」
―――速かった
本来の、龍の姿で無いにも関わらず、彼女は瞬速で俺の目の前に移ると、同時にありったけの殺意を込めた右手を広げながら、
俺の喉元に―――
「!?」
穿たれる寸前で、手は俺の首から数ミリの所で止まっていた。バルトリアの右手は、もう一つ誰かの手が掴んでいた。
「ミティ・・・・貴様!」
制止された事に強く憤っているのか、バルトリアは手を掴んでいる黒髪の女性を睨んだ。
「何のつもりだ・・・!」
「それはこっちのセリフ!いきなり何してるのよ!」
「知れた事を・・・!コイツを、殺す!」
「落ち着いてバルトリア!そんな事をしても意味無いよ!」
「意味など――――意味など――――っ!」
「・・・・・。」
どうしてこんな事になっているのか分からなかった俺は、ただ無言で突っ立っているしかなかった。
「くっ!」
そうして、手を払い除けたバルトリアはまた俺を睨み付けて、そのまま背を向けて離れた。
「リアン、大丈夫?」
「あ、ああ・・・・」
心配そうに俺を見る黒髪の女性、いつの間に現れたのだろうか。だが、見覚えがあった。
「えーと、ミティ・・・だよな?」
「うん、そうだよ。久しぶりだね、リアン」
バルトリアと同じく、ルティアと一緒に居た黒髪の女の子。やはり成人の姿で、全裸だ。しかし、少し性格が変わってる気がした。
「久しぶり・・・・は、いいとして。それよりもこれは一体どういうことなんだ?いや、ミティ、ルティアが何処に居るか分か―――」
「あ、あのね、リアン・・・。落ち着いて聞いてほしい事があるんだけど・・・」
「え?」
「手紙、見たからここに来たんでしょ?」
「あ、ああ・・・」
「うん、じゃあ待ってて・・・・。いいわ、来て」
誰も居ない場所にミティが話しかけると、突然霧が出始め、あっという間に塔の最上部は白霧に包まれた。
「な、なんだこれ?」
「リアン・・・まず、あなたに会ってほしい人がいるの・・・」
「え?」
と、何処からか足音が聞こえ始めた。次第に奥から人影が見え始める。白いローブを来た、何やら怪しそうなヤツが、手には飛竜程でもない大きさの卵と、
それから――
「――――赤ん坊?」
俺の目の前まで来たそいつは、一礼して口を開いた。
「初めまして、名は明かせませんが、あなたがリアンさんですね?」
「あ、ああ・・・」
声からして男だと言うことは分かったが、顔はフードで見えない。
「ミティさん、卵の方を―――」
「―――はい」
男は卵をミティに渡すと、今度は赤ん坊の方を俺に出した。
「さあ、どうぞ」
「いや、どうぞ・・・って言われてもな―――」
受け取るのを躊躇した俺に対してか、赤ん坊を持ちながら男は言った―――

 ・・・・・
「あなたの子ですよ?受け取るのが当たり前じゃないですか?」
「――――は?」


全然予想もしていなかった返答に、俺は間抜けな声を出して固まってしまった。それを見かねたミティが卵を持ちながら言った。
                                      ・・・・・・  
「リアン、驚くかもしれないけど・・・その人が言ってること、本当なんだよ。この卵と赤ちゃんは―――」
間を置いて、少し深呼吸したミティは、告白するかの様に言った。
「リアンと―――ルティアの子なんだよ!」
「―――――――っ」
今、なんと言った?この、ミティと見知らぬ男が手に持っている存在。それが、俺とルティアの――――子?
「ちょ、ちょっと待てよ、一体何の冗談を―――」
「冗談ですって!?ただの冗談ならこんなことまでしないわよ!けど―――全部本当なのよ!」
そう、強く言ったミティは次第に泣き始めた。何故、泣くのだろう?そしてもし、ミティの言っていることが本当なら―――
「――待て。じゃあ、ルティアは――――ルティアはどうしたんだ!?」
「ルティアは・・・ルティアは・・・っ!」
「ミティさん、落ち着いてください。その事は私がお話します。」
ローブの男が空いた手でミティを慰めるように言った。そして、その男は話し始めた。


「――まず私の事からです。私はミティさん、バルトリアさん、そしてルティアさんの一族とは少し馴染みがありましてね。去年の事です、
ルティアさんからある頼みごとをされたのです。『自分の中から自分とは違う生命を感じるので診てほしい』と。もしやと思って診たのですが、
私の読み通り、彼女は妊娠していたのです。その事を聞いて彼女は、喜びと決心と、そしてもう一つ私に頼み事をしたのです。
『この子は私と大切な人の子、だから誰にも知らない場所で、この子を産みたい。だから誰にも話さないでほしい』とね。すぐに察しましたよ。
『龍』と『人』、決して相容れない存在が結ばれ、更には子供を授かるのですから。同族に知られてはまずいし、リアンさんの事が知られたら
リアンさんにまで危険が及びますからね。だから、彼女は樹海のある場所で出産の準備を始めたのです。しかし、事件は起こりました―――。


ルティアさんが樹海に閉じ篭ってから数ヶ月程経った頃です。突然、彼女が私を呼んだのです。何事かと大急ぎで向かうと、
樹海の奥地がメチャクチャに荒らされており、更に崩れた建物らしき物の前でルティアさんが倒れていたのです。どうやら何者かに
襲われたらしく、その襲った者に角を斬られたのです。彼女いわく、角はまた生えてくるから問題無いと言っていました。

                      ・・・・・・・・・・・・
確かに、問題はありません。しかし、重要なのは斬られた場所に残ったモノなんです。切り傷からはかなり濃度のある毒と、重度の呪いが出ていました。
毒自体は何とかなりました、しかし呪いの方まではそうも行きませんでした。傷口から進行していく呪いは、どんなに解呪しても染み込んだのです。
私の読みが間違い無ければ、『魔剣』と呼ばれる剣に斬られたのです。呪いを消す手段が無かった私は、彼女をある場所に移しました。
その地はある理由で呪いなどの類を寄せぬ土地だったのですが、呪いは消されませんでした。それでも、進行はかなり遅らせることが出来たのです。


それから彼女はずっとそこで出産の時を待ちました。お腹が大きくなった頃には、彼女は親友であるミティさんとバルトリアさんを呼んだのです。
そして、数週間前です。陣痛と共に、ルティアさんは無事出産しました。最初は驚きましたよ、本当に人の姿をした赤ん坊が産まれたので。
もう一つ驚いたのが赤ん坊が産まれた後に今度は卵が1個産まれたのですから。そして、ルティアさんは相手方の名前を私に教えてくれました。

                                                      ・・・・・・・・・
そうして、また一つ頼み事を私にしたルティアさんは、数日前に、ミティさんとバルトリアさんに見守られながら―――息を引き取りました」


「なん――――だと?」
この男は今なんと言った?
「ちょっと・・・待て、ルティアが―――死んだ?」
「ええ」
「な、何故―――」
「・・・赤ちゃんが起きてしまいますから声は控えめに。そうですね、なぜ亡くなったのかも話しましょう」
「私から言うわ・・・」
泣き止むも、グシャグシャになった顔を上げてミティは話した。
「私たち―――バルやルティアは、人の姿になれるけど、その分魔力を消耗するのよ」
ローブの男は頷いて、ミティに続くように話した
「魔力は彼女たちにとっては本来、自然エネルギーとなります。回復もしますが、消耗し続けると著しく生命力が弱くなるのです」
「もちろん、この姿でいれば魔力は消耗し続ける、だからずっと人の姿でいる訳にはいかないの」
「ですが、ルティアさんはここ一年、龍の姿に戻ってはいません。お腹の子供に、影響が出るのを恐れたからです」
男の方はあくまでも冷静に、ミティの方は眼に涙を溜めながら、二人は交互に話した。
「お腹が大きくなるまで私やバルを呼ばなかったのは―――きっと反対すると思ったからでしょうね。自分の命を落としかねない行為だから」
「ええ、私も反対しようとは思いました、けど出来ませんでしたよ。仕方が無いので、出産した後に彼女の治療に専念しようと思っていました」
「一年間なら、力尽きるか、衰弱するか、まだどちらか選択肢が―――『生存する確率』が残っていたものね」
「はい、しかし選択肢は突如として無くなってしまったのです。魔剣による呪いのせいで」
「最後にルティアが居た所は、本当に呪いを抑えてくれる土地だった。けど、それでも呪いはルティアの体を蝕んでいたのよ」
「出産は無事成功しました。しかし、ルティアさんの体は既に限界を迎えていたのです。出産後、元の姿に戻ろうとしても、体は呪いのせいで
回復出来ない状態になってしまったのです」
「うっ・・・・ぐっ―――」
二人の話を聞き続けた俺は、次第に泣き始めていた。
「それから、人の姿のままで、ルティアは・・・ぐすっ、ついに眠ったのよ―――私たちの・・・うぅっ・・・前で・・・」
「う、嘘だろ・・・ぐぅっ、ルティア・・・ルティア―――!」
膝を付き、力強く地面を殴った。手に痛みなど無い、痛いのは―――心だ。俺と、ミティも泣き出して、霧の中を哀しむ声が二つ響く。
「頼み事は―――」
泣き崩れている俺に構わず、ローブの男は言った
「ルティアさんの頼み事は、ミティさんとバルトリアさんを立会人とし、二人の前でこの子をあなたに渡してほしい―――と」
俺と同じ目線になるよう、ローブの男もまた、片膝を付いて赤ん坊を俺の前に出した。
白い布に包まれ、よく眠っている赤ん坊には角は生えておらず、だが肌や、白い髪はルティアと同じだった。
「バルぅ・・・ぐすっ、こっちに・・・来なさいよぉ・・・」
泣きながら少し強めにミティは霧の中、紅髪の女性を呼んだ。ずっと離れていたバルは、奥から現れた。瞳からは、ミティと同じく哀しみ―――
いや、憎しみも混じった涙を流していた。
「リアン・・・・貴様さえ、貴様さえ居なければ―――!」
「バルトリアさん、落ち着いて。たとえ今ここでリアンさんの命を奪っても、残されたこの子達や、ルティアさんの想いも、無駄になってしまうのですよ」
「ぐっ!」
ローブの男に言われ、バルトリアは耐えるようにその場に立ち尽くす。俺を強く睨み、こう言った。
「ルティアの最後の願いだ・・・っ!見届けてはやるが、二度と―――二度と私の前に現れるな!」
「・・・・」
何も言えない。彼女の言いたい事も分かるし、たとえそれを口にしていたとしても、もっともな事だからだ。
「では、揃いましたので、この子をあなたに――」
ローブの男はゆっくりと赤ん坊を差し出した。本当に―――ルティアとそっくりだった。俺は、震えながらも赤ん坊を受け取った。
「その子の名前、ちゃんとルティアが付けたの」
受け取ると同時に、ミティが言った。
「その子、―――って言うの。この、卵の子は私とバルトリアで決めてって―――」
「だが・・・名はお前には告げぬ。この子は私達が育てる事になっている。それがルティアの願いだからだ!」
そう言うとバルは、踵を返して霧の中を歩き始めた。姿がどんどん見えなくなっていく、霧によって―――
「リアン、その子・・・あなたに任せたわよ。ルティアの分まで、大切にしてあげてね―――」
続くように、ミティも卵を抱き抱え―――霧の中に消えた。
「一つ―――あなたに言っておきます」
まだそこに居たローブの男は背を向けながら言った。
「ルティアさんに呪いを齎した魔剣、私は恐らく、その剣は『ドラゴンキラー』と称される剣だと思うのです」
「・・・・ドラゴン・・・・キラー・・・」
「ええ、そしてあの呪いの質、真名は私の知る魔剣『バルムンク』そのものか、或いは近いものです」
魔剣の名を口にした男もまた、歩き始めていた。
「この名を知ったあなたがどうするかは私は知りませんが、役に立つのであれば、記憶に留め、お好きなように」
「お前は―――何者だ?」
姿はもう見えず、恐らく聞こえないとは思ったが、男は霧の奥から返答した。
「さて、私は何者と言うほどでもありませんよ。唯の―――――――白い霧です」
そうして気配が完全に消えた。霧も徐々に晴れ、最初に来たときと同じように、目の前はまさしく塔の最上部だった。
そしてその最上部で、残ったのは俺と、俺の手の中で眠っている赤ん坊だけ――――
「う・・・ううっ、ぐうぅっ!」
しかし、まだ彼女―――ルティアの死を受け入れられなかった俺は
「うわああああああああああああああああああああああああああああっ!」
塔の上で、泣き叫んだ――――



哀しみの声は、空と、地に、どこまでも響いた ルティアは―――もういない それが悲しく、哀しくて泣いた

そうして、俺は―――俺と、ルティアの子を、全力で幸せにする決意をした

それが、きっとルティアの願いでもあるからだと、俺は思う。



………

…………

……………



その――――記憶に――――『私』は―――――



………

…………

……………



「ん・・・・」
目を覚ますと、辺りは暗かった。今の時間は夜らしい――私はベッドで横になっていた。寝返ると、隣でナナが寝ていた。ここは――――どこだっけ?
「あれ・・・・?」
気が付くと、目が熱く何かがどんどん頬を伝って零れる。
涙だった。気づくと、何故かとても悲しい感じがして、どんどん止まらなくなった。
「な、なんで・・・だろ?」
「よう、目が覚めたか?」
「え?」
突然の声、反対の方を見ると、ベッドの側で座っている人が居た。
「お、お父さん!?」
本当にびっくりした。隣には私の唯一の肉親である父さんが、そこに居たのだから。
「おいおい、静かにしな。ここは病院だし、ナナちゃんが起きちまうぜ」
「あ・・・・・」
病院―――と聞いて思い出した。確か私とナナは、ババコンガを討伐して―――
「全く、『四龍陵舞』なんざ、むやみに使うなって言っただろ?」
「だ、だってぇ・・・あの時は使わないとこっちがやられると思ったから・・・」
「まあ、確かにババコンガ四頭じゃ、てこずるだろうな」
「そ、そうでしょ?しかもそのババコンガ達、普通じゃなかったし――」
「だが、使わないといけないなんて事はないだろ?別の対処法を考えれば、こうして三日も寝ていることはなかっただろ?」
「う〜、でも、あの時は急ぎだったから・・・考えてる暇なんてなかったよ・・・」
「ん、そうか」
大して、怒ることもなく、父さんはポンっと、私の頭に手を置いて撫でてくれた。
「大丈夫か?」
「え?何が?」
「まあ、今もそうだが・・・お前、寝ている間も泣いてたんだぞ?」
「え・・・・?」
そう言われると、確かに涙が伝っていない場所のあちこち、何か乾いてパリパリしたものが付いてる感じがした。乾いた涙が、顔に付いたままで―――
「怖い夢でも見たのか?」
「ううん、違うの」
「お?」
私は、そのまま父さんの胸元に抱き付いて、また涙を流した。
「悲しい夢・・・だけど、お母さんに会った気がするの・・・」
「――――そうか」
そう言って、父さんはまた、私の頭を撫でてくれた。



私には母さんがいない。けど、私には父さんが居る。私の師で―――私が「減龍士」になる前の、「元減龍士」が―――




リアンお父さんが――――





to be continue
2010年08月31日(火) 11:57:40 Modified by gubaguba




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