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『互いの想いと罪』前編

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
16『互いの想いと罪』前編男ハンター×ミラボレアス×3?L 89〜101

『互いの想いと罪』前編


 ――病院内、イリスとナナが寝てる部屋

「大体リレア姉さんおっぱい大きすぎですよぉっ!私なんてまだまだなのにぃ・・・・うらやましいでありますっ!」
「あのね・・・全然関係ないでしょ・・・。それにあんたはまだ発展途上なんだから・・・って、そう言うことが言いたいんじゃ無くって。
あんたは余計なこと言いすぎよ。私たちの正体がバレる所だったじゃない!」
「だってかっこいいから言いたくなるに決まってるじゃないですかぁ!」
「決まってないっ!少しは自覚しなさいっ!」
「リレア姉さんこそ!声もおっぱいも大きいでありますっ!」
「だからっ!関係ないと言って―――――」
「病院内では静かにぃっ!」
「あ、はい―――。」
「ご、ごめんなさいであります・・・・。」

 
………

…………

……………


 夢を見た――――夢を見たんだと思う。
 私はいない、私はいないのに私は私の夢を見ていると思っている。
 その夢に私は存在しない。
 その夢は誰かの記憶かもしれない。
 その夢に私の声は届かない。
 その夢は、今まで見たことも無く―――どうしてこんな夢を見ているのかも分からない。
 その夢に私の思いは通じない。
 その夢は知らない誰かを映し出す。
 その夢に私はイナイ―――誰かの記憶を読み返すように映る―――
 その夢を覚えていてはならない。
 その夢は、「ハンター」と「モンスター」の領域を侵すほどの過ち。

 ――――けれどとても綺麗だった―――――
 




 ―――Present place uncertainty!


………

…………

……………



「・・・・・・。」
 塔の中を黙々と歩く。ここはとても静か―――それは今ここには俺しかいないからであろう。
「・・・・・・・・・。」
 上に上がれば上がるほど、空気が薄くなる。肌寒くなる。なに、これくらい気にするほどのものでもない。むしろ好都合だ。
「よっ・・・と。」
 段差のある場所をよじ登る。これから真っ直ぐ歩けば、終点だ。
「・・・・・・。」
 ゆっくりと、ゆっくりと歩く。徐々に終点が近づく。そう、俺の――――ハンターとしての―――
「・・・・はは、会いたかったぜ。」
 塔の最上部に出る。より天空へと近い高さのあるこの塔の上空は、暗雲立ち込め、到る所で稲妻が走っている。そして俺の眼の前には――――
「さあ、俺を殺せっ!ミラボレアスっ!」
 自らの体を発光させ、凶悪―――されど美しい存在、黒龍ミラボレアスの白、祖なる龍・ミラルーツが眼の前に佇んでおり、自分の領域に侵入した俺を
見下ろす。俺は両手を広げながら―――ミラルーツに近づきながらもう一度叫んだ。
「殺せっ!俺を殺すんだっ!」
 だが、何故かルーツは何もしない。ただ、俺を見下ろすだけ―――
「どうした―――っ!俺はお前ら――――ドラゴンを狩りまくった天敵だぞっ!なぜすぐに殺そうと掛かって来ないっ!」
 いつしか俺の叫びは―――
「頼むっ!殺せっ!俺を――――殺してくれぇっ!」
 願う形になっていた。死にたいのなら別に自分でどうにか出来るだろう。だが、俺は―――『ミラボレアスに命を奪われたかった』
 俺の手にも、背にも、腰にも、武器は無い。『持ってきていない』のだ。だから警戒なんて必要ない――――。
「・・・・・・。」
 と、気が付くとゆっくりとルーツの手が俺の頭上に来ていた。
「・・・・そうだっ!そのまま――――」
 そして、その手から小さな雷撃が迸ったかと思うと―――
「ぐあぁっ――――!」
 何故か痛くは無かった。しかし眼の前は真っ暗になった。ああ、これで俺は解放される―――などと、分かるはずも無いがせめて心の中では―――と、
ルーツに感謝していた。
「・・・・・・。」
 違和感を感じた。おかしい、俺は――――死んだんだよな?死ぬのって、ずっと真っ暗な状態が続くものなのか?
「・・・・さぁ、死んだことないから。」
 誰かが俺の疑問に答えているようだ―――え、誰だ?天使か?
「天使?なぁにそれ?」
 何だ――――知らないのか、頭には輪っかが浮いていて、背中には羽が生えていて、そしてとても綺麗な存在なんだよ。
「ふぅーん、私は頭の上には輪っかは無いけど、背中に一応翼はあるよ。」
 ほー、そりゃあ驚いた。そんな天使が居るとはな。
「だから、天使じゃないってば。貴方こそいい加減に目を覚ましたら?」
 覚ます?何でだ?俺は死んだんじゃ―――
「死んでないわよ。」
 え――――?
「死んでないのっ、起きろぉ〜!」
「おごぉあっ!」
 頭に何かをぶつけられ、痛みと共に意識が回復した。
「イッテテテテテ・・・・なにしやが――――」
 背後からする気配に振り向いて文句の1つをぶつけてやろうとして――――止まった。
「なっ・・・・・。」
 白い――――とにかく白い女の子が居た。透き通りそうなほどの白さを持つ髪は体に不釣合いでとても長い。そして肌―――まるで幽霊のように儚なさ
を漂わせるほどの色白―――だが眼は力強く輝き、見ているこちらは金縛りにでもなったかのように―――いや、金縛りよりもひどい。息が出来ないほど
――――見ていて胸が苦しくなる。
「って、いうか――――」
 どうも肌の露出が多いなぁっと思ったら――――少女は全裸のまま俺を見下ろしていた。

「何で何も着ていないんだー!」
 取り乱した俺はすぐさま眼を伏せて後ろを向いた。女の子が背後からこう答えた。
「着る必要なんか無いし、着るものも無いわ。この姿は一時的になっているだけよ。あなたと話す為にね。」
「な、何を言っているんだ・・・?」
「貴方こそ、何で私に『殺してくれ』なんて言ったの?」
 はぁ?何でこの子がそんなことを知って――――
「むぅ?まだ気が付かないの?貴方、私に言ったじゃない、殺してくれって。」
「い、いや、あれはミラボレアスに・・・・。」
「だーかーらー、それが私だってば。」
「・・・・すまん、ちゃんと説明してくれないか?」
 言ってみた後で聞きたいことが山ほどあるのに気が付く。まず場所。さっき居た塔とは違ってここは―――なんだ?あたり一面が靄で―――
「場所の説明からしてもらいたいの?この場所は『私達』がいつも遊ぶ場所だよ。」
 遊ぶ場所―――っつっても分からん。さっき俺がいた場所からどれくらい離れているんだ?大体『私達』って?
「ああ、そう言えば分かりやすいのか。えーと、さっき貴方と私が居た場所から普通に上がっただけだよ。」
「上がった?あそこが塔の最上部な筈だが?」
 もうあそこから上に上がるなど不可能なはず。もっと上―――というなら確かにルーツが全体落雷を仕掛ける際に降り立つ場所があるが・・・。
「ちーがーうー。もっと上なの〜。」
「単純に『雲の上』だって言えば分かるって、ルティア。」
 何処からか第3者の声が聞こえた。いや、それよか何?ここが雲の―――上?
「あ、バルだー。」
 ルティアと呼ばれる子は俺の背後を見ながら言った。それに習って俺も振り返る。
「うおっ!?またかよっ!」
 姿を視認してすぐに顔を伏せる。今度は紅く長い髪をなびかせている子が居たが、どうなっていやがる・・・なんでまた現れた子が全裸なんだよっ!
「なにがまたなのかは知らないが・・・」
「ねぇ?何で人間がここにいるのよぉ?」
 第4者―――しかも今度は距離が近い、耳元から聞こえた。
「・・・・・。」
 おそるおそる隣からした声の方を見ると、今度は黒髪・・・しかしやはり全裸。
「―――ッ!」
 訳分からん、誰かどうにかしてくれ―――。
「実はね、さっき下に居た時に現れてさ、いきなり「殺してくれー」なーんて言い出すんだもの。」
「なーんだぁ、そういうことか。なら今すぐにでも―――」
「まーまー。待ってよミティ。私はこいつと遊ぼうと思ってさ。」
 え?俺が?この子達と?―――――遊ぶの?
「私は賛成しかねる、こんな得体の知れぬ人間と戯れるなど・・・・。」
「本来ココに人間なんか来れる訳無いもんね。ルティアも甘いわね〜。死ぬことを望んでいるんだからさっさと殺しちゃえばいいのに。」
 幼い外見的ながらも言動がやけに残酷だな。そもそもこの子達は何者なんだ?
「紹介が遅れた・・・」
 紅の髪の子は俺に見られることもお構い無しに佇んで
「私の名は「ミラボレアス・バルトリア」位名は『ティアトリウス』だ。」
 紅の髪が血の様に更に濃くなった気がした。なんだ位名って?というか、眼のやり場に困るからあまり見せないでもらいたいのだが・・・。
「位名とは私たちの中で使われるそのモノの階級みたいなものを表すものよ。私は「ミラボレアス・ミティ」位名は『ミッド・ラスティア』。」
 「位名」自体の意味は分かったがそれぞれ違うからには――――何か階級が違ったりするのか?
「そーだよ。『ティアトリウス』は「暗灼の王女」、『ミッド・ラスティア』は「黒曜冥の華」っていう階級なんだ。」
 何だか聞くだけならかなり偉い階級じゃないか。
「まあね、ちなみに私は「ミラボレアス・ルティア」、位名は『ティエナ・アイリー』。「光天の姫君」って言うんだってさ。」
 「だってさ」っておいおい。何だかもの凄いことを聞いたような・・・。
「ちなみに貴方は?」
「あ?ああ、俺の名は「リアン・アーク」。ハンターだった時は「減龍士」とも呼ばれていた。」
「減龍・・・士だと?」
 紅い眼を濃くしてバルが俺を睨んだ。やはり、言ってしまえばそうなるよなぁ。

「ねぇねぇ?『ハンターだった』って、今はハンターじゃないの?」
 対照的に純粋なる赤の眼をしたルティアは興味深そうに俺の側に寄ってきた。その、位置的にどうしても見えてしまう小振りな胸と小さな乳首に目が行ってしまうが、
すぐに見ないように眼を背け
「ついさっきやめたんだよ・・・・。ハンターなんてもう、やってられなくてな。」
 と答えた。するとこちらを見もしないミラスは興味なさそうに
「ふーん、ハンターやめて死のうなんて思ったんだ?そんなによわっちぃんだアンタ。」
「いや、それは違うよミティ。」
 俺自身も否定しようとしたが、先にバルが言った。
「『減龍士』というのは母上から聞いたことがある・・・。我々の様な存在を徹底的に葬る非情なる者だとか・・・」
 が、どうも間違って知っているみたいなので一応補足しておく。
「そちらの価値観はさておき、俺は人に危害を加える危険な龍を狩っただけさ。別に、感情も無しに龍を殺している訳でも無い。現にそれが理由でハンターも
「減龍士」も捨てたしな。」
「なぁにそれ?」
 ルティアは今度は俺の腕に自身の腕を絡ませて顔の距離を縮めてきた。俺はそれを拒むように顔を離そうとするが、腕に当たる胸の感触でどうも調子が狂う。
「ねぇねぇ、何で何で?教えてよ〜。教えてくれないと教えてくれるまでバルちゃんに焼いてもらうんだから〜」
 さりげなく恐ろしいことを言うな。
「分かったからとりあえず腕を離してくれ、落ち着いて話せん。」
「分かった〜。」
 素直に腕が離れると、ルティアはチョコンと俺の横に座り込み―――まるで寝るときに御伽噺をせがむ子供の様な顔で俺を見上げた。
「確かに、俺は沢山龍を殺してきた。勿論人の為―――だ。けれどな、段々分からなくなってきたんだよ。」
「ふんふん。」
 俺の語りを真剣に聞いているようなルティアは今だ俺をジッと見続けている。
「分からなくなってきたとはどういうことか?」
 後ろでバルが聞いてくる。一応この子も興味はあるみたいだな。
「龍を・・・殺すことが出来なくなった。」
「ふーん。」
 曖昧な声を出すミティ。構わず俺は続けた。
「己の手にした武器で龍を斬る。しかし、その内自分がとんでもない事をしているのではないかと思ったのさ。力尽きる龍、それに群がる人々。
原型を留めず、骨までも貪られる龍の亡骸を見て、俺は途方も無い自己嫌悪と利用されている自覚を持ち始めたんだ。」
 今度は誰も口を開こうとはしなかった、その方がいい。独り言のように続けられる。
「・・・・・。」
 ずっと立っていたバルが座り込む気配がした。ミティもうつ伏せに寝ていたのを変え、胡坐をかくように座った。
「それに―――気が付いたら俺は、龍が尊い存在だとも思い始めた。何でだろうな、龍を滅ぼす者が、龍を大事に思うなんて―――ある依頼では「子育てを始めようと
しているリオレイアを討伐してほしい、もし卵が孵っていたのなら、雛も始末してほしい」と―――けど現場に行って、生まれたばかりの子とレイアを見ていたら、
なんだか気が引けてな。そのまま俺は放って置いたんだよ。」
 その後、その依頼を俺が断ったせいで、別のハンターが派遣されたが、子育てで気性が激しいレイアに返り討ちにされ、命を落とした者も居たそうだ。そしてその
原因が、討伐しなかった俺に飛び、その街のハンターやら住民から「人殺し」だの「臆病者」など散々言われた。

「けどな、俺はやっぱり孵化した雛も、母親となった飛竜は狩れない。恥ずかしいけど、そんなことをしたら「可哀想」だと思った。それにハンターは本来、
自然とそして自分の目標である「モンスター」に感謝しなければならないんだ。そうでなきゃハンターは存在しない。だから「命を奪う」という業を常に意識して
狩らなければならない、それが今じゃ――――ただ単に自分達の安全や、金儲け、そして地位を得る為に狩る者が多すぎるっ。いや、中にはちゃんと意識している者も
居るだろう、けどそれもほんの一握りだ。そう思うとな、周りが醜く見えてしょうがないんだよ。」
 そう俺は―――こんな現実の為に「減龍士」と謳われたんじゃない。ずっと、人の為だと思い続けて危害を加える龍を狩ってきた―――
それに対象を龍に絞っていたのは、龍を狩る技術を教えられたのと―――龍と対峙した時の興奮―――そして初めて感じるその龍の命と
自分の命の価値を認識したなんとも言えない感情だ。俺が力尽きれば龍は俺を食らい、自身のエネルギーとして蓄え、龍が力尽きれば肉体は自然へと帰り、育む。
 しかし周りは―――否定する者ばかりだった。
「ある所では「飛竜保護団体」なんていうのもあった。「飛竜は守るべき存在」と言っているが、それは間違っている。俺たちが飛竜を守る権利など何処にも無いのだから。
だから――――」
「そこまでにしておいてもらえない?アンタの話ってさぁ、結構むちゃくちゃなところがあるのよねぇ。」
 話の途中でまたうつ伏せに寝ているミティが口を挟む。それに同意してバルも
「人間とは業を持って生きているのだろう?それは我々龍とて同じ」
 俺の予想も出来ない発言をした。
「なんだと?」
 驚いて振り向き、バルを見据える俺を特に本人は気にせずに続けた。
「お前たち人間には私達龍にはそこまでの知能が無いと思われているようだが・・・実際にはそうではない。龍もまた業を持って生きているのだよ。」
 龍が―――業を持っているだと?
「そうだ、お前の言った「人間に危害を加える龍」というのも―――その龍も業を持ってこそ人間に危害を加えているのだ。自分の領域を増やすか―――
将又自らの領域を侵されんと、自衛の為にな。それは人間とて同じではないか?」
「うっ―――」
 ゲリョスのムチのような尻尾を食らったかのようだった。確かに言われれば、行動自体人とあまり変わらない。
「それにさぁ」
 うつ伏せのままミティが今度は言い始めた
「アンタは深いところまで考えすぎ。人間も、私達龍も、皆今日生きるか死ぬかの瀬戸際を毎日――無意識ながらも感じてその日を過ごしているんだからさぁ、
気にしすぎだよ。」
「ううっ―――」
 またしても何か―――誰かのランスでの突進を食らったかのように俺の体が吹っ飛ぶ感じがした。 
「じゃ、じゃあ―――俺の今までの考えは―――」
「間違ってもいますし、間違ってもいないと思います。」
 と、それまで静かに聴いていたルティアが―――先程とは違って優しげに答えた。
「そこまで自身の行いを悔やみ、私達龍を尊重し、自然の理を深く感じている人を、私は笑ったりしませんよ。―――行き過ぎた考えは改めた方がいいと思いますけどね。」
「・・・・・・なあ、今まで聞かなかったが、君達はあの黒龍「ミラボレアス」なんだよな?」
「はい、そうですよ。それが何か?」
 事も無げに言うが、俺は気にせず、知っておきたいことを問う。
「じゃあ、何で人の姿をしているんだ?」
「ああ―――」
 と、軽く笑って答えた
「この姿はここに居る時だけですよ。さっき言ったとおり、ここは私達が遊ぶ場所。遊ぶのに必要だからこうして人型になっているだけです。」
「ミラボレアスにそんな・・・変化出来る能力があったなんて・・・・。」
「いや、これは極少数。」
 と、今度はバルが説明する。

「私達は「ミラボレアス」の名を冠する中でも特に高貴な存在。時にこの様に姿を変える能力も備わるということだ。」
「し、知らなかった・・・・。」
「当然よ。」
 順に答えるように、今度はミティがしゃべる。
「下とか行って人間を相手にする時は元の姿に戻らなきゃならないけど、ここなら人間に見られないしねぇ。人間に知られてはなりませんよって
お母さんからも言われているし。」
 何だか一気にミラボレアスの生態に近づいた―――はずなのだが、ミティの話では絶対に人間が知ってはならない事情じゃないか。
 じゃあ今ここに居る―――人間である俺はどうなる?
「貴方は特別。私が気に入ったから許すわ。」
 ルティアが―――ルティアは笑っていた。
「私のモノになれば命までは奪われないわよ?」
「いや、しかしそれは―――」
 どうすればいいのか分からん。ハンターもやめ、後戻り出来ない状況だが―――かと言ってこの先自分の未来が分からぬ未知の領域に
踏み入れるのもどうかと―――
「ふふ、まあいいわ。それよりも―――ねぇ、ついでだから私達とあそぼー。」
 っと、また腕にしがみついてくるルティア。先程の儚い少女の印象が消え、最初に見た無邪気な子に戻っている。
「あ、遊ぶってなにして――――」
 そういえばこの子たちはここで一体何をして遊ぶと言うのか?
「ねぇー、いいよね?この人間も一緒にさ。」
「ま、いいでしょう。」
「私は別に構わないわぁ。」
 バルとミティは「仕方なく」と言った感じで了承しているが・・・
「おい、遊ぶって―――何をするんだ?」
「今日誰からいくー?」
 聞いちゃいねえ。
「・・・私だ。」
 っと、何故か頬を赤く染めながらモジモジとバルが言った。風は吹いていないのに、足まで伸びた紅髪がサラリと靡いた。
「そっか、バルが受け身なら気合いれてやらないとねぇ。」
 受身?気合?組み手でも行うのか?―――と、思っていると
「そいじゃ早速―――はむぅっ」
「―――あっ!」
 と、バルに近づいたミティは姿勢を頭1つ分低くし、バルの―――幼い外見に反して少し膨よかな乳房を口に収めた。
 ちょっと待て――――なにやっているんだこの子達は?
「むちゅっ―――ぴちゃっ・・・むぐむぐっ・・・」
「あぁっ―――っつぅ!ミ・・・ティっ!噛む・・・な―――っ!はぁっ!」
 言葉とは裏腹にどう聞いても感じているようにしか思えない。片方の乳房の先端を口に含みながらミティは片方の手でバルの股間をまさぐった。
「あっ―――はぁっ!い・・・い、んんぅっ!あぁんっ!」
 今までの堅苦しい声は消え、今ではすっかり―――ミティに成すがままに弄られ、少女らしく可愛らしい喘ぎ声を出している。
 いや、見とれている場合じゃない。何でか自分でも分からないが止めないと――――
「お、おい・・・ちょっとま―――びゃっ!?」

 自分でも間抜けと思うほど、変な声が出た。だが仕方ないのだ、何せ突然全身にビリビリと感電したように痺れた―――その理由は
「邪魔しちゃだ〜めぇ。そこで見てて〜。」
 無邪気に笑いながら指先をパリパリと―――小さな火花を散らせているルティアだ。くそぅ、最初に下で俺に食らわせたのもコレか。
 だが今度のは視覚がしっかりとしている。ただ体の自由を奪うために加減したらしい。おかげで無様にもうつ伏せの状態になった俺は、身体が痺れて動かないせいで
バルとミティの様子を嫌でも見てしまう形になった。
「ヴォ、ヴぉぃ・・・・・」
 舌までもが痺れているせいでロクな口が聞けなかった。構わず俺は言った。
「ヴぁにじでびぃるんばぁお?」
 「何しているんだよ?」っと言ったつもりなのだがやはり言えていない。
「何って・・・遊んでいるんだよ?」
 驚いたことにルティアは俺の言っていることが分かっているらしい――――ので、このまま続けて俺は言った。
「あべがあぼぉびばぼぉ?(あれが遊びだと?)」
「うん。知っているわよ、この姿であんなことをすると不思議な感覚が身体から起こるんでしょ?人間って―――」
 人間の姿をしている―――ルティアはバルの身体を弄り回しているミティ、2人を見ながら言った。
「あ、あぼぉびっべおばべぇ・・・(あ、遊びってお前・・・)」
「最初は何で人間がこんなことやっているのか分からなくってね、すごく苦しそうな顔しているのにずっとやめないんだよ?」
 普通、そうやって人が性交するなら自分の部屋か相手の部屋だ。それはつまり街や村で行われるから、この子がヤッている所を見ていたとしたらパニックになっている
筈だ。下に行く時は本来の―――「ミラボレアス」の姿にならなければならないとミラスが言っていた。
「それでね、気になってこの姿になってから―――」
 では目撃したのは屋外ということになる。だがそれでも街や村の周辺では見つかる、つまりどこぞのハンターが狩場で密かにヤッているのをこの子が見たってことか。
 ―――ていうか、なに自分で弄り始めてるんだよっ!
「人間が良く触っていたココとか触るとね、急に身体の奥から知らないピリピリとした感じがしたんだ〜」
 「ココ」っと自ら弄っている乳首や未熟な恥丘を撫でながら――――俺に見せるように色のある声を出しながらルティアは続けた。
「私の電撃とは―――んぅっ、違って、痛くも無いし―――はぁっ、嫌でも無いんだ。すごく、すご―――くぅっ、良くって―――あっ」
 薄く桃の様な乳首は既に突起しており、より丹念に指の腹で撫で回していたワレメからは光に反射してテカテカとする水のようなものが太腿に伝っていた。
「バルと・・・ミティも試してみたら・・・・ぁんっ、私と同じだって―――はあぁっ!」
 次第にルティアは手の動きを早めている。すでに自身のでビショビショになった股間を気にすることなく―――むしろ潤滑油の様に手を濡らしながら今度は擦り始めた。
「だか・・・らぁ、秘密のこの場所・・・で―――んうぅっ、私達だけ・・・の、秘密の遊びを、はぁっ―――ここでよくしているの―――んあぁっ・・・!」
 バルとミティの様子を見る。ミティは胸を弄るのをやめており、今度は立ったままのバルのワレメを口に含んで弄んでいた。
「んじゅるっ・・・ぴちゅっ、くちゅくちゅっ、ちゅぱっ」
「はあぁっ!イイっ!ミティ―――もっとぉっ!」
 それはどう見ても人の性交の前戯として行われるクンニリングスだった。声が上がる度、バルの足がガクガクと震えている。立たずに座れば良いものを―――。
「でびぃぅが、ばんばごぼぉばべぇ、びべぇびぃびゅぼぉが(ていうか、あんな事まで、しているのか)」
「ああ〜、あれも知らなかったんだけど。ずっと変な感じが続くと、ここからおいしい蜜が出るんだね〜。」
 愛液を「おいしい蜜」などと言うのに俺は無意識にも少し興奮した。表現としては中々だと思うが、味は確か無いはず―――と、考えていたら。
「ぶぅおっ!?(うおっ!?)」
 突然仰向けにされたかと思うと、眼の前が真っ暗に―――いや、間近にルーツの股間が―――濡れ濡れになったワレメが迫ったからだ。ちょっと待て、まさか・・・・
「特別に貴方にも私の蜜をあげるね〜。」
 やはりか、しかしどうしたものか。おいしい状況ではあるのに違いないが、こんなこと人としてどうかと・・・
「ねぇ〜、舐めて・・・?」
 まさしく蜜の如く―――甘い誘惑が俺の脳に伝わる。どうする俺――――どうする?

「むぅ〜、舐めてくれないとまたビリビリさせるよ〜?」
 っと、可愛らしくまた指の先をパリパリと火花を散らして俺を見下ろすルティア。拷問みたいなもんだ―――まだやさしい方だが、それでもまた痺れるのは冗談じゃない。
「ヴぁ、ヴぁがっば、ヴぁがっばっ!(わ、わかった、わかったっ!)」
「んふぅ・・・、ねぇ、はやくぅ♪」
 まだ痺れの残る舌をゆっくりと伸ばす。ルーツの秘部に触れた瞬間、「ピチャッ」と言ういやらしい音と共に、ウソの様に痺れが消えてきた。
「あんっ♪もっと舐めてよぉ〜♪」
 理由は分からない、しかし現にこうして身体が動くようになってきた。それでも起き上がることは許さないかの様に俺の身体を手で押さえて顔面騎乗位を維持するつもり
らしい。仕方なく俺はそのままの状態で―――自由に動かせる舌を這わせた。
「ピチャッ・・・・ヌチュッ、ビチュッビチュッ」
「はぁぁっ!凄い・・・上手ぅっ―――んぅあぁっ!」
「ジュルジュルジュルジュルジュルッ、グチュッ――――ジュルルゥゥッ」
「ひゃはぁっ!―――あぁぁイぃっ!もっと吸ってぇっ!」 
 気が付けば俺は、知らぬ間に眼の前の女性器に夢中になっていた。別に童貞な訳ではない。回数は少ないにせよ、前戯のテクニックは人並み持っている。が、今は違う。
眼の前から止め処なく、永遠とも勘違いしてしまうほどに溢れ続ける蜜が―――俺の口の中に広がる度、力の漲りと快感が駆け巡る。
 気が付けば俺は、知らぬ間に彼女にむしゃぶりついていた。幻覚かもしれないが、彼女のココは本当の蜜の様にいい匂いがして―――
堪らなくなるほどもっと感じたかった。
 貪りたかった――――
 舐めたかった――――
 奪いたかった――――
 その、穢れなき存在を、俺の手で、汚したかった――――
「ジュルルルルルルルルルゥッ!ジュジュッ!ズチュウウウウウウウウウッ!」
「あああああああああっ!すごひぃっ!出ちゃううぅぅぅぅぅっ!」
 弓なりに反る彼女の腰が僅かに浮く。逃がさない――――っと、俺はガシッと腰を掴んで自分の口へと寄せる。降りてくる入り口を待ち侘びていた舌がニュルンッと
侵入し――――
「んああああああああああああああああああああああっ!」
 侵入させた舌を締め付けながら、嬌声が上がった。プシャアアアァァッと、胸元にまで何かが飛び散っている。
「うあぁぁっ!はあぁぁぁぁああああっ!」
 別の方からも嬌声が上がった。どうやらミティに弄られ続けたバルがイったらしい。
「あっ・・・・・はぁっ、はぁぁ・・・・すごぉいっ・・・。」
 ウットリとした声を漏らすルティアは力が抜け、全体重を俺の顔に預けている。―――重い。トントンっと太腿を軽く叩くと―――
「あ、ごめんなさい。」
 と、本当にすまなさそうに言って、腰を上げた。同時に舌も引っ込める。俺の顔はルティアの潮吹きでビショビショに濡れていた
「はぁ〜、あんなに激しいの初めてぇ〜。気持ちよかったぁ〜♪」
 隣に座り込んだルティアは余韻を感じつつ、空を見上げながら言った。
「へぇ、そんなにイイんだ?こいつ。」
 と、俺の顔をミティが覗きこむ。「間抜け顔」とでも言いたげに俺を見下ろす。バルはどうしたのだろうか?
「すっごぉ〜く気持ちよかったよぉ〜♪ミティも体験してみればぁ〜?」
「ふ〜ん、あなたが言うなら試して・・・・あれ?なんだこいつ?」
 と、ミティの視線の先が俺の顔から下半身の方へと移る。
「足の間が膨らんでる。なんなんだこれ?」
 ミティが手を伸ばして何か触る動作をする。俺は手の先を追ってはいないのでミティの目の先にあるものが何かは――――俺の獲物に触れる感触が伝わったので分かる、
痛くなるほどギチギチにズボンを膨らませているのは俺のペニスだ――――。

「うっはぁ、硬いなぁ。あれ?でもこんなものさっき見たときはなかったぞ?」
 それまで自制していた俺の本能を―――最初に彼女達の裸体を見ても抑えていた自分の理性には自分でも褒めてやりたかった。だが眼の前に神秘なる領域と、
それを穢す感覚で理性はぶっ飛んでしまったらしい。今まで本性を見せていなかった俺の下半身で眠れるエスピナスが目を覚ましたのだ(ちょっと過剰表現だったか?)
「なぁ、ルティア。これなんだか分かるか?」
「うぅ〜ん、分かんない。私が人間を見ていたときにはどっちともこんな場所膨らませてなかったけど・・・・。」
 おいおい、今の言い分だとルティアが屋外で見たヤッてる最中のハンターって女同士ってことか?なんつーこった。
「ねぇ、これなぁに?どうなってるのか見せてよ。」
「あ、ああ。」
 逆らえばまた電撃を食らう、仕方ないのでズボンのチャックを下ろし、彼女達に見せた。ブルンっと天上に伸びるソレを見た彼女達はしばらく声を失っていた。
「・・・・・・。」
 なんだろう、この微妙な空気。出しているこっちがものすごく恥ずかしくなって来るんだが・・・。
「・・・なにこれ?人間にこんなもの生えて―――でも私たちにはないけどなぁ・・・。」
 当然さ、これは俺みたいな「男」が生まれたときからずっと一緒にいる「相棒」だからな(「棒」の部分を強調しておく)。
「何でこんなのアンタは生やしているの?」
「いや、別に俺は・・・男だし。」
「ああー、男かぁ。人間にもそんな風に居るのかぁ」
 どーも知らないことばかりのようだな。いや、無理もないか。彼女達は今は人の姿をしていると言えど、モンスターだ。知らなくて当然。ならばここで正しい知識を
教えてあげるのが先人の務めであろう。といっても、彼女達の幼い姿で単に俺の方が年上だと勝手に思い込んでいるだけだがな。 
「俺達人間―――男にはこう言ったペニスと呼ばれる肉棒が生えている。これは主に気持ちよくなる為に使われる部位なんだよ。」
「ふ〜ん。」
 興味深そうに俺の話を聞くルティアと
「・・・・・・はぁ・・・」
 さっきから俺のをジーッと見ていて聞いているんだかどうか分からないミティ。俺は状態を起こして胡坐をかき、二人に話す体勢をとった。
 ちなみにミティの後ろにはバルが横たわっていた。イった反動で気絶してしまったのだろうか?
「ちなみに、これの使い所は君達「女の子」に備わっている―――さっき俺がルティアのを、ミティはバルのを舐めてただろ?あの場所に用いるんだ。」
「どーやって?」
 っと、自分の股間を見ながらルティアが聞いてきた。その表情は想像も付かないと言いたげだ。ミティはまだ俺のを見ている。
「何、簡単さ。二人とも股間のどこかに指が入りそうな穴があるの知ってる?」
「穴?んーと、ここのこと?」
 そういいながらルティアは自分のワレメを拡げながら俺に見せた。ヒクヒクと小さな入り口が見えるが、先程俺の舌が侵入したとは思えないほど収縮してしまっている。
 しかし正解には間違いない。俺は「そう、そこだ。」と言って
「その穴にこの棒を入れるんだ。」
「えーっ!?凄くソレ大きいじゃんっ!入るわけないよぉっ!」
 一番に驚くミティは「むりむりむりぃっ!」っと、ホントの子供の様に何度も同じことを言った。
「まあ確かに、このままじゃ無理だな。ミティ、さっきからジーっと見ていたよな?興味があるんだったら触ってみるか?」
「えっ?触るって・・・それをぉっ!?」
 そんなに驚くことでもないが・・・風呂にはちゃんと入っているし。
「別に無理してとは言わないさ、聞いてみただけだよ。」
「ミティが触らないなら私が触ってみる〜♪」


 っと、ルティアが乗り出してくる。途中、ミティから「あっ・・・」と言う声が聞こえたが、やわらかい手の感触が亀頭から感じるので流した。
「うわぁ、かったぁい・・・。それにビクビクして熱いねぇ・・・・。」
 軽く竿を握りこむルティアは本当に物珍しそうに言った。と、横から別の手が伸び
「や、やっぱり私も触るっ!」
 ミティだった。ルティアが触り始めたのに乗ったからか、あるいは無害なのを安堵したからか、とにかくやわらかい感触が1つ増える。
「ほ、ほんとだ・・・直で触っても固いまま・・・。」
「この状態じゃあまだ気持ちよくならない。二人どちらかでもいいから・・・舐めてみないか?」
「えぇっ!?舐めるって・・・・これをっ!?」
 触る前と同じ反応をミティはするが
「はーい♪じゃあ私舐めてみる〜♪」
 っと、何の警戒心もなく、無邪気な顔で答えるルティア―――と、顔が近づき、髪が亀頭をくすぐったが、すぐさま熱くビリビリと―――
痛くはない、快感が俺を駆け巡った。
「う・・・っ」
 一回、ペロっと舐められただけでもの凄い快感だった。それを見ていたミティはゴクリと生唾を飲み込んで―――
「ねぇ、やっぱり私も・・・いい?」
 今度は自分からではなく一旦聞いてきた。多分俺ではないだろうなと思っていたら、やっぱりルティアが返事した。
「うん、いいよ。なんか不思議・・・おいしい様な味と何だかアソコがムズムズする・・・。」
 モジモジと腰を揺するルティアはそのまままた竿に―――今度はミラスも加わって、2つ熱くヌレヌレとしたモノが亀頭から伝わった。
「んっ・・・ぴちゃ・・・」
「うぉ・・・」
 2つ―――熱い快感が下半身から脊髄を通ってビリビリと伝ってくる。腰が抜ける程もの凄い感覚だった。
「う・・・ぐぅっ!」
 いや、明らかにおかしい。軽い電撃だが、こんなの人とやっても起こるだろうか――――って
「んふぅ・・・・んちゅっ、ちゅちゅ〜っ」
「ふはぁ―――ホントだ、よく分からないね。」
 まさかこの子達がやってるからか?何だ何だ?龍にやられるとこんな感覚が起きるのか?
「んふぅ〜んっ!んんぅっ、ちゅっちゅ、ちゅうぅぅぅっ!」
「うおぉっ!」
 亀頭だけを口に含んだルティアが急激に吸い上げてきた。やばい、本当に腰が砕けるくらい気持ち良すぎる。
「ん〜?コレもどんな味するんだろ?」
 こ、今度は玉に刺激が・・・・イカン、我慢出来ん。
「ぐぅっ!出る!!」
 腰が跳ね、竿から射出する感覚が伝わる。
「きゃぁっ!?」
「わっ!?何っ!?」
 予想していなかったのだろう、突然飛び散る白濁液に驚く二人。見ると、髪の毛や顔、胸や足などにベットリ付いてしまってる。俺はと言うと
「ぜぇ、ぜぇっ・・・・ふぅ〜」
 溜まっていたモノが一気に解放されて悦になっていた。

「・・・・・何、これぇ?」
「うわぁ、ベトベトしてる・・・。こんなの聞いてないよ・・・。」
 すぐに状態を起こして二人を確認する。ルティアは些か放心状態、ミティは初めて目の当たりにする精液にやや険悪気味みたいだ。
「す、すまん。大丈夫か?」
「あ、うん。別になんとも無いけど・・・・。」
「大アリだよぉ!なんなのさコレっ!なんかベトベトしてすごく嫌な感じ!!」
 まあ、確かに髪に付いたら大変だもんな。
「説明してよ!何なのこのベトベトしたもの!!まさか毒とかじゃないよね!?」
「お、落ち着け、毒じゃねえって。」
 毒ねえ、人間の精液はモンスターにとって毒に成りえるのだろうか?知らないから解らんが。
「その白い液は男・・・オスが性器から排出する「精液」というヤツだ。生命の材料の一つだ。」
 少々言い方を変えてみた。多分こういう風に言ったほうが解りやすいと思ったからだが・・・、我ながら「人としてどうよ?」と言いたくなる内容だ。
「生命の材料ですか・・・ん〜、なんか匂いますね。」
 すっかり大人しくなったルティアは胸に付いた精液を人差し指で掬って匂いを嗅ぐ。最後にヤったのは何時だったかな?よく見ると微妙に黄色身が出てて、改めて
彼女たちに申し訳ないことをしたという気分になった。
 が、何だ?ルティアはジーっと精液の付いた自身の指を見ていたかと思うと―――
「はむ、ちゅるっ」
「「なっ!」」
 俺とミティは驚いた声を上げた。ミティはどう思って声を上げたのかは知らんが、とりあえず俺の心中を言わせてもらうと
「何考えてんだ!?行為としては正しくないとは決して言えんが、初めて見ていきなり口に含むもんじゃないだろ!」
「ちょっと!そんなもの飲んで大丈夫なの!?」
 仮にも自分が出した精液を「そんなもの」と言われると落ち込みもするが、いやそれよりもルティアは――――
「ん、ちょっと苦いかなぁ・・・・あ、あれ?」
「ほらぁっ!やっぱりまずかったんだよ、大丈夫!?」
 「まずかった」に2つ意味が混じってるな、平仮名にしているのはその為か?
「ううん、大丈夫。それどころか・・・なんだろ、あ・・・・ねぇ!すごいよこれ!!」
「「は?」」
 またしてもハモった。が、ルティアはいきなり飛び跳ねて言った。
「なんかさぁ!凄い力が湧いてくるの!体も軽いし!ねぇねぇ!ミティも飲んでみなよっ!」
「ええーっ?嘘だ〜、こんなの・・・・・・・・・ううー・・・」
 あまりルティアの言うことを信用していないようだ。それもそうだろう、得体の知れない液体を口に含むって・・・・結果が今のルティアにせよ、躊躇うのも無理は無い。
「・・・・・・。」
 いかんな、今頃興奮して来た。
「ねぇねぇ、今のもっと出せないの?もっとほしいよ〜♪」 
 強請られて断る理由も無い。が、ここはもう――――
「あー・・・・なあ、直に注いだ方がもっと良いと思わないか?」
「直に?どういうこと?」
 そりゃあ勿論
「ナカに出すと言うことだ。」
「ナカって?」
「あー・・・・さっき言った、口じゃなくて下の――――」
「ルティア、ミティ、時間だ。」

と、今までどうしていたのか、復活したバルが2人に言った。もしかして、見てたのか?
「えー?もう〜?」
「なんだ?時間って。」
「もうここには居られないってこと。私たち帰らなきゃ。」
 なるほど、惜しいけどここまでか。まぁ、これ以上関わるとこっちの立場も危うくなるだろうし(理性も危なかったし)、潮時か。
「んじゃ、お先に〜。とりあえずあんたは二度とここに近寄らないことね。」
 間違ってはいないし否定する必要も無いが、なんか微妙にグサっと来るなぁ・・・。
「私もこれで失礼する。」
 って、待て。俺はどうやって帰ればいいんだよ?
「なんだ?元より死ぬつもりであったのだろう?何故帰る必要がある?」
「あ・・・・。」
 そういえば俺はここで死ぬつもりだったんだと、今思い出した。
「まぁ、死のうが死ぬまいがどちらでもいいが、帰りたければルティアに頼むのだな。」
 そう言って霞の中へ消えたミティとバル。と同時に、黒と赤の龍が飛んでいくのが見えた。
 この場には俺とルティアしかいない。
「ねぇ、またここに来てくれる?」
 突然切なそうな声がした。
「また・・・・って、え?」
「約束してくれないと帰さないよ。」
 そんな無茶な、第一どうして?
「・・・・・・・。」
 ダメだ、泣きそうな目をしてる。どうしてかは分からんが。
「分かった分かった、また来るって約束してやるよ。」
「本当!?」
 断ってたら一生ここから出られんからな、自然と餓え死にだが、俺が望む死とは違う。
「じゃあ、約束の証として、なんか頂戴♪」
 またしても何なんだ。だがこれも嫌だとは言えない。
「じゃあ、これでいいか?」
 仕方なく俺は首から提げていたものを外す。昔、減龍士だった親父が付けていた首飾りだ。何かの龍の鱗で作られたと思うが、詳しい素材は分からない。
俺はそれをルティアに渡した。
「じゃあ私からはコレ。」
 代わりに何処から出したのかは分からんが今度はルティアが俺に何か渡した。渡されたそれは白く発光する欠片だった。爪かと思ったが、やけに小さい。
「それ私の角なの、前に物にぶつけて一本折れちゃってね、それは角の欠片。」
 おいおい、なんかもの凄く痛そうな事を聞いたが大丈夫なのか?
「平気だよ、ちゃんと再生したから♪」
 なるほど、と納得する俺。

「じゃあ下に送ってあげる。約束、守ってよ?」
「ああ、気が向いたらまたここに来るよ。」
「あんまり長い間来なかったら唯じゃおかないからね〜♪」
 たぶん、ダイレクトに落雷するんだろうな。イカン、本当に唯じゃない。
「じゃ、また遊ぼうね、バイバ〜イ♪」
 その瞬間、最初にルティアから受けた電撃の感覚が襲い、俺の目の前は真っ暗になった。


 そして気がつけば、塔の最上部だった。「ミラボレアス・ルーツの電撃で気を失い、今まで見ていたのは夢だった。」と思いたかったが。生憎と、
手の中で白く発光する欠片を見て全て現実だと認識せざるを得なかった。
「はぁ・・・・、まいったなぁ。」
 今更ながら後悔した。俺はとんでもない所に踏み込んだと思ったからだ。
「うぉ、眩しっ」
 突然、雲の隙間から日差しが現れた。
「ん?」
 その背後で、白い龍が空を飛んでいる・・・かと思うと、雲の中へ隠れてしまった。
「はぁ・・・・。」
 おかしな話だ、自分が狩っていた龍に死を阻止されるなんて。
「しょーがねぇなぁ。しばらくは付き合ってやるよ。」
 
 空に呟き、ルティアの角の欠片を握りしめ、俺は塔を後にした。


to be continue

 
2010年08月31日(火) 10:40:42 Modified by gubaguba




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