ロリババアな岩山龍―その2なのじゃ!
スレ番号 | タイトル | カップリング | 作者名 | 備考 | レス |
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1 | ロリババアな岩山龍―その2なのじゃ! | 男ハンター×擬幼女化ラオシャンロン亜種 | 664 | 擬人化(岩山龍)・否エロ | 712〜717 |
ロリババアな岩山龍―その2なのじゃ!
さて、唐突だがここいらで、一寸ばかり自己紹介をさせて頂きたい。
俺はハンターである。名前は未だ無い。
いや、別に格好つけているわけじゃないんだ。俺には本当に名前が無い。
誰かが俺を呼ぶときは、唯ハンターと称したり、俺の愛刀の銘から【神楽】と称したり。
相棒はナナシのカグラ、と俺を呼んでいる。
意味は読んで字の如く、名無し、なのだがこの呼び名が一番気に入っている。
まあ、とにかく俺のことは好きに呼んでくれ、ということだ。
俺が名前を得られなかった理由はというと、別に両親が鬼畜だったとかそういうのじゃない。
母は体が弱かったらしく、俺を産んですぐに他界。
父は凄腕のハンターだったと村長に聞いたが、母の後を追うように"狩られて"しまったらしい。
まあ、この世界じゃよくある話だね。
そうして俺一人、名を与えられる前に残されてしまったわけだが特に捻くれることもなく、すくすくと成長していった。
たぶん相棒と村長のおかげだと思う。本当の意味で一人ぼっちだったら耐えられなかっただろうから。
そのまま何事もなく日常を過ごしていたのだが、ある日突然村長に、俺の両親のことを伝えられた。
父がハンターであったこと。そして母の"幸運のお守り"についての遺言。
語り終えた後、村長が俺に問いを投げかけた。これからどう生きるのだ?と。
とりあえず幼馴染に相談を持ちかけたんだが、その当時、村は深刻な経済状態に陥っていた。
理由は簡単で、ランポスの群れに村へと定期的に訪れる商隊が襲われ続けていたためだ。
俺たちは、あまり物事を深く考えない子供だったらしく『金も稼げて村も潤う、一石二鳥じゃね?』との安易な考えから、
俺たちは富でも名声でもなく、村を守るためにハンターを目指すことになる。
こうしてこの日、俺たちは幼馴染から相棒に成ったわけだ。
村長はその昔、凄腕のハンターだったらしく俺達の"ハンターになる"との言葉を聞いて自分に師事することを申し出てくれた。
あの村長が凄腕ハンターだったなど眉唾ものだったが、どうやら本当だったようで、俺の借家の裏庭に
その"名残"である錆びた剣が突き刺さっている。力の限り引いてみたものの、終ぞ抜けることはなかったが。
また運よく、両親の遺産であるハンター道具が倉庫にみっしりと残されていた。
子供の時には何に使うのかさっぱりの品だったため、いままで触る機会もなく、保存状態は良好のまま。選びたい放題だった。
俺達は出だしから、師匠と道具に恵まれていたわけだが、話はそう簡単にはいかない。
ハンターにとって最も重要なものは、道具でも何でもない。ハントスキル、つまりは狩りの技術だ。
駆け出しの俺達にそんなものは備わっているはずもなく、初めは酷い目に会わされた。
火炎息吹(ブレス)で尻を焼かれたり、まあいろいろと。
目的であった、商隊を襲ったランポスの群れの、一回り体の大きなボスを狩ったときは、感動で少し涙が滲んだ。
そうやって腕を磨きつつ、一人前と呼べるくらいの力量になったかと思う。
今では俺が太刀を軽々と振るう姿をみて、"気刃斬りのナナシ"だとか"鉄刀カグラ"だとかの通り名を付けられるくらいだ。
やたら物々しい通り名である理由は、俺が怪鳥を蹴り飛ばしてるところを目撃され「恐ろしい男だ」と勘違いされたかららしい。
いや、大量発生したイャンクックを村に近づかないよう追い払ってただけなんだけど……
確かに二・三匹蹴り殺しちゃったような……
時がたち、大人になってくると視野が広がり、子供の頃では理解できなかったことがだんだんと解るようになってきた。
例えば両親のこと。俺の両親は遠い東方の国から旅をしてきたらしく、そしてこの村に落ち着いたんだと知った。
そういえば俺が愛用している、父の形見である鎧と太刀はこの国ではまったく見たことも無い意匠をしていた。
何やら、本で得た知識だが、東方の国の騎士『サムライ』の伝統的装備であるらしい。
【暁丸】と銘が打たれたその鎧は、驚いたことに、老山龍の鱗によって創られているようだった。
さすが千の時を越える老山龍だ。その鱗で作られた鎧は十年以上使っても消耗がみられない。
修理の必要もなく、年に数回、サイズ調整を行うだけだ。
ただ兜は、父が命を落とした折に損失してしまったらしい。
黒き龍の呪いが云々―――そのことだけは村長は頑として口を割らなかったが、まあいいさ。
"狩られる"のもハンターの宿命。別に復讐に奔ろうという気持ちもない。
鎧が錆色に鈍く輝いている―――東方にもハンターがいるならば、父は老山龍を狩り、この鎧を創ったという事だろうか?
まったく……親子そろって老山龍に縁があるものだ。
いや、俺に縁があったのは岩山龍―――かな?
「あーん、なのじゃ」
「……」
「あーーん」
「……」
「あーーーーん」
俺に向かって精一杯、小さな口を開ける少女―――『シャロ』。
彼女の弁を信用するならば、"元"岩山龍であり、"自称"俺の"嫁"さんだ。
さらっと過去を振り返ってみたが、心当たりがあった。やっぱりあれだろうか?幸運のお守り。
生れ変われ―――とは願ったけど、嫁さんになってくれとは願ってないんだよなぁ。
そりゃあ、まあ、幼いけれど"将来有望"であるのが確実な容姿の女の子が、慕ってくれてるってのはありがたいけど……
……急に答えなんて出せませんよ?
相棒的にいうと、どうせ俺は「ヘタレ」なんだろうし……
「あーーーーーーーーん」
「……はい」
「あむっ。んふ〜♪」
このままでは埒が明かないので、彼女の口に納まるよう切り分けた肉を差し出す。
ぱくり、とすぐさま食いつく。
小動物に餌付けをしてしまう気分になるのはなぜだろう?
「んぅ〜〜、格別なのじゃ〜〜〜♪」
「はは、そりゃよかっ―――」
「あーーーーーーーーん」
「……」
……本当、いろいろと驚かされることばかりだ。
でも、二人で囲む食卓が以前より楽しく思えるんだから不思議だ。
うーん。自覚はなかったんだけど、寂しかったんだろうなぁ、俺。
食事が終わり、まったりとした時間を二人で過ごす。
シャロは特等席である俺の膝の上で、また何が嬉しいのかゴキゲンのようだ。
幼さないながらも十分に"女性"なのだと、固さと柔らかさの両方を併せた肉の感触を、膝に感じながら思う。
だからといって欲情はしていない。俺の性対象はいたってノーマルだからだ。
「そういえばシャロ、さっきから何を作ってるんだ?」
「これこれ、手を出す出ない。婿殿の『はんたぁ』稼業に役立つ『ぷれぜんと』じゃよ」
あの時、形見のお守りを譲ってもらったので、お返しに代わりのお守りを作っているのだそうだ。
『古の秘術なのじゃ』と言っていたが、何をしているのかよく解らなかった。
俺の膝の上で、たぶん恐ろしく高度な調合知識と技術によって、爪状のお守りが完成しつつあった。
何かはわからないが、其処に強い力が込められていることは理解できる。
さすがは千以上の時を生きた"元"龍だ、と感心させられる。
「ふわ……んみゅ……」
「ああ、もうおねむかい?ほらベッドに行こう」
「むー……だっこなのじゃー……」
「はいはい」
うとうと、と今にも眠たそうにしている。
まだ少しばかり早い時間だが、早くに眠るのが幼子の仕事みたいなもんだ。
不満そうにしているが、仕方が無い。
「……んぅー……婿殿に、伽を…する……のじゃー……」
「はいはい、また今度ね」
「むぅ……くぅ……すぅ……」
ベッドに横たわらせるや、すぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。
伽をする、だなんて言っていたが、意味を理解して言っているのだろうか?
"龍"時代の時は、ツガイなぞいなかったし、関係を持つような相手は"生涯"なかったらしいが。
まあ正直、迫られても困ってしまう。俺にとってシャロは、保護対象であれ性欲の対象ではないからだ
「……むにゃ……むこ……どのぉ……」
「……おやすみ、シャロ」
袖をぎゅっと握って、離してくれそうにもないので一緒に布団に包まる。
そういや、シャロが来てからずっと一緒に眠てるよな―――そんなことを思いながら睡魔に身を委ねた。
これが、俺の。
俺とシャロの新しい日常――――――。
「このロリコンめ!!!!」
どばーん!と扉が開け放たれる。
ずかずかと家に上がりこんできたのは俺の相棒、名前はベアード。
「いや、お前がそのセリフ言うとシャレにならないから……」
「んなことはどうでもいいんだよボケ。それより、準備できたか?」
「ああ、もちろん」
今日は、これから相棒と狩りに出かけることになっている。
砂漠地帯で、また龍に商隊が襲われていたため、ソイツを討伐しに向かうわけだが今回は少し様相が違っていた。
「また"色違い"なんだったか?最近多いな」
「黒い角竜らしいね」
相棒の言う通り、近年の龍の特殊固体発生率は高すぎる。
後天的に体色が変化する龍は稀なので、絶対数が増えている訳ではないのだが、
その"色違い"達の遭遇率、人を襲う回数が爆発的に増加している。
蒼い火竜であったり、黒い鎧竜であったり。これまでに数種の色違いを討伐してきた。
だが、その龍達は皆、まるで何かに急かされているようだ。何だったのだろうか?
俺の気のせいだといいが……嫌な予感がする。
「婿殿……」
「ん?シャロどうし―――」
「―――っ!!」
シャロが胸元に飛びついてくる。
細い腕を懸命に、俺の首に回して抱きつく。
「おっ、ととと。シャロ?どうしたんだ?」
「―――あ奴が、あ奴がくるのじゃ……婿殿が、このまま帰ってこなくなってしまいそうで
……怖い、のじゃ……もう独りは嫌なのじゃ―――っ!」
「だ、大丈夫。大丈夫だよ、シャロ。直ぐに帰ってくるから」
しがみ付いたまま震えている。泣いて、いるんだろうか?
やさしく抱きしめ、ゆっくりと頭を撫でてやる。幾分か落ち着いたようだ。
「落ち着いた?シャ――――――!?」
「ん!……はむ……ちゅむ……ぷは。……落ち着いたのじゃ」
開きかけた俺の口を、小さく柔らかな唇が塞ぐ。
そのまま暖かな舌が口内に潜りこみ、ゆるりと内側を撫でられた。
甘い―――不思議とそう感じた。
「ふふっ……ワシの『ふぁーすと、きす』なのじゃ」
「あ、ああ……さいですか……」
最後にもう一度、強く抱きしめられ、名残惜しそうに離れていく。
離れ際に、何か鎖のようなものを首にかけられた。
「これは?」
「昨晩に作ってお守りの爪じゃ。きっと婿殿の身を守ってくれようぞ?……どうか、無事で……」
「……いってきます。シャロ」
最後にもう一度だけ、頭を撫で家を出る。
気を利かせたのか、外で待っていた相棒が、ニヤつきながら近寄ってくる。
「このロリコンめ」
「はぁ……もういいよ。ロリコンでさ」
今まで、下らないプライドだかで意固地になっていたんだろうか?そろそろ認めなければならない。
俺が彼女を、『シャロ』を心から愛しているということを。
今回の狩りから無事帰ってこれたなら、"ケジメ"をつけようかなと思う。
彼女に想いを伝えよう―――決意を新たに、鉄刀を握り締める。
さあ狩の時間だ――――――
2010年08月19日(木) 11:55:12 Modified by sayuri2219