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駆け出しハンターと仲間達5

スレ番号タイトルカップリング作者名備考レス
駆け出しハンターと仲間達5 ハート否エロ226〜228

駆け出しハンターと仲間達5


「お、おい。フレイア・・・?ちょっと待って・・・」
「何だ?もう疲れたのか?情けない・・・」
情けない声を上げたルイスは、なぜか汗だくで、息を荒くしている。
それとは対照的に涼しい顔をしているフレイアが居て、また妙な具合だった。
「もうって・・・5時間は経ってるぞ?」
「街道を使った回り道では馬を借りても1日じゃ着かん。それに、私だけならもう着いてる時間だ」
『どんな体してんだよ・・・』
そもそも事の発端は先日、フレイアの思い出の場所に行こうということになったのが原因だった。
そこから、人が通れる様な道ではないジャングルや、イーオスなどに出くわしたりと、一つの狩場を通ったようなものだ。
『ヘルムはまだしも武器を持って来いってのはそういうことか・・・』
そんなこんなでもう5〜6時間は経過していた。まぁ、体力的にはまっすぐな道なら30時間は歩けるだろう。
「もう密林は終わる。ここを越えれば到着だ。・・・ほら頑張れ」
フレイアに手を借り、太く、外に露出した木の根を登る。すると、急に密林が消え、とても高い岩壁が見える。
それは見上げると首が痛くなるような高さで、とても登れるような崖ではなかった。
「何だよ・・・これ・・・まさか登る、のか?」
「はは、まさか。いくら私でもこれは無理だ。そこの洞窟になっている所が向こう側まで通じているんだ」
フレイアが無理なら当然ルイスも無理だ。フレイアについていくと確かに、人が通れるくらいの穴があった。
「やっとか〜・・・。でも、この穴、なんかおかしくないか?」
そう。ものすごい急だ。登れないわけではないが、滑ったらノンストップだろう。
「贅沢をいうな。そこまで長くない。出口も見えるだろう?」
言われ、上を見ると小さな光が見える。上っていくうちにその光は大きくなり、やがて洞窟は終わった。
「うわ・・・すげぇ・・・」
洞窟の出口はさっきの崖の反対側で、高さは半分といったところに人が三人並べる程度の穴だった。
見えた景色は、全て海で、島一つ無い。水平線から夕日が覗き、空と海を紅く染めている。やわらか風は汗ばんだ体を冷まし、
空はもう夜が近づいていて、空を見上げれば紅い空と青い空の境目が見える。
『これって・・・』
「私の瞳の色に、似ていると思わないか?」
そう、フレイアの瞳にそっくりだった。気付いて、横を見ると同じようにフレイアが空を見上げている。その瞳は、どこか悲しげだった。
「なんだ?それがお気に入りの理由か?単純だな〜」
ルイスが茶化すと、フレイアは崖の外に足をなげて座り、首を横に振った。
「この崖はな、もっと横幅が広くて、密林の途中ほどまであった。そして、この崖の上には私の村があった」
「えっ・・・てことは・・・」
ここはフレイアの故郷であり、ラオシャンロンが通過した場所。老山龍はこの崖を破壊しながら進んだと言うことだ。
「私はお前に最後の隠し事を話す。殺されてもいいようにここを選んだ」
太陽を見つめ、零れるギリギリまで涙をためてフレイアは言った。言った、というより独り言かもしれない。
「殺されて?どういうことだよ!?」
フレイアは間違ってもこんな冗談を言う様なことはしない。本気で言っている。驚きについ声を荒げてしまう。
「私は・・・私は5年前お前の両親をこの槍で殺した・・・」


「えっ・・・いや、父さんと母さんはリオレウスに焼かれて戻ってきた・・・戻ってきた・・・?」
そう、ルイスの両親は五年前、リオレウス討伐に行って黒焦げになり帰ってきた。狩場で死んだら普通は地に帰る。
「お前の両親は・・・レクサ、ネリー・ハーベントはリオレウスの狩猟中に組んだんだ。そして、火球の直撃を喰らった。助からないと判断した私は心臓を貫き、近くの村まで運んだ」
気付くと、フレイアは真直ぐルイスを見つめていた。その瞳には覚悟の光が宿っている。
「お前の名前を聞いたときは驚いたよ。二人への謝罪の変わりとしてお前に狩りの基本を叩き込んだ。だから、もう悔いは無い」
腰から剥ぎ取り用のナイフを取り出し柄の方をルイスに向ける。優しい微笑を浮かべながら。
「さぁ。お前が決めてくれ・・・私は抗う気は無い」
「・・・・・」
ルイスはフレイアの瞳を見つめ、考えを巡らせていた。両親を殺した奴が目の前にいる、大好きな人が目の前にいる。二つの思いは渦巻き、鬩ぎ合う。

「決めたよ。フレイア・・・」
そう言って、ルイスはナイフを握り、フレイアの喉に当てる。
「そうか・・・そうしてもらえると嬉しい・・・・」
このまま、前に一歩でも踏み出せばナイフはフレイアを貫くだろう。ただ、一歩。
「本当に、ごめん・・・」
そういって、ナイフを海に放り投げる。そして、フレイアの手を握る。
「なんのつもりだ?両親の敵なんだぞ?」
「いいんだ・・・死んだ人より生きてる人のほうが大事だって気付いたから・・・」
フレイアは目を大きく見開いた。ルイスは本当に嬉しそうに笑っている。
「それに、フレイアの判断なら、本当に助からなかったと思うし・・・」
「お前は、本当にバカな奴だ・・・」
もうフレイアは泣いていいか笑っていかわからないといった様子で涙と微笑を同時に浮かべていた。
「帰ろうか?寒くなってきたし」
「あぁ・・・そうだな・・・」
「帰りは、時間あるから街道で行こうか」
フレイアは無言で頷き、頬を伝う涙を気にすることなく歩き出した。


街に辿り着き、煙草と酒の臭いが充満する酒場へと二人は入った。すると、体格のいい筋肉質の男としなやかな長身の男が後ろから声をかけてきた。
「あれぇ〜?ルイスちゃんじゃないの?」
最初に口を開いたのは長身のほう。筋肉質な奴はカウンターへと向かっていた。
「知り合いか?」
「前に話した俺を馬鹿にしてた連中。けっこう凄腕の・・・」
「ほぅ・・・」
そんなことを小声で話していると筋肉質のほうも戻ってきた。
「なぁ、ヨヒ?こいつルイスちゃんだよなぁ?」
「ん?・・・ああそうだ!あのひよっこルイスだなぁ!ソリッド」
二人でそんな会話をしているので、行こうとしたらヨヒと呼ばれた筋肉質なほうがフレイアの存在に気付いた。
「ん?おいソリッド。あのルイスが女を連れてるぜ?」
「へぇ、偉くなったもんだな、おちびちゃ〜ん・・・?」
会話を聞いているフレイアのコートの下から出てくる嫌なオーラが感じられる。
チビ、と言われればルイスの身長は確かに低い。フレイアと比べて拳ひとつ分くらい違うだろうか?
「なあ、姉ちゃん。そんな雑魚より俺らとくまねえか?」
ヨヒが言うと、フレイアは二人に向き直った。
「そうだな・・・確かにこいつは雑魚だが・・・私にはお前等の方がよっぽど雑魚に見えるぞ?」
「んだと・・・このクソ野郎!!」
フレイアが言った言葉が癇に障ったのか、ヨヒが右手を上げ、フレイアの顔を殴ろうとした。
が、その拳はフレイアの左手につかまれ顔まで届いていない。すると、
「うぎゃあああぁぁああ!?!!」
ヨヒが叫び声を上げる。その理由は、フレイアが拳の骨を握りつぶしているから。しかも、フレイアは腕相撲から見て右利きだ。
「どうした?降参か?」
フレイアは涼しい顔をしたまま聞くと、男は叫びながら顔を激しく立てに振った。
「そうか・・・なら、眠っておけ・・・」
そういって、フレイアは両手でヨヒの頭を掴み、膝蹴りを顔面にぶち込む。男はそのまま床に崩れてしまった。
「こ、この化けモンが!!」
ソリッドが足を地面と平行に振り、フレイアの脇腹にヒットさせた。
「どうだ!?悶絶モンだろ!!それとも声も出ないか?」
フレイアはそのまま口を開いて、聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「軽いな・・・」
「は?なんだって?」
ソリッドは聞こえなかったようで、耳に手を当て聞き取ろうがするが、その瞬間体はひっくり返っていた。フレイアが足を持って逆さにしているだけだが・・・
「軽いと言ったんだ!!」
そのまま腹にボディーブロウを入れる。ソリッドの体は「く」の字に曲がり、口からは唾液か黄水かが出ていた。
「それと・・・蹴りってのはこうやって打つんだ・・・」
フレイアはソリッドを真上に放り投げて、腰を低くし、力をためる。
「や・・・やめ・・・ぶぐっええぇ!!」
ソリッドは言葉の途中で腹への追い討ちを喰らい、数メートル後ろの空き樽の中へ飛んでいった。痙攣しているのが見える。

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」
「ちょっと!フレイアさん!本気でやらないでくださいってあれほど言ったのに」
酒場中ボーゼンとしていると、フレイアに声をかけたのはベッキーだった。止めるつもりだったのか胸にはオヤスミベアを抱いている。
「いや、半分くらいなのだが・・・」
「それでも普通の人には十分です!気をつけてくださいね?」
「すまないな。仕事を増やしてしまって」
フレイアは素直に頭を下げ、ルイスに振り向いた。
「さぁ、飲もうか!」
「あ・・・あぁ・・・そうだな・・・」
「どうした?顔が青いが・・・」
「なんでもないって・・・」
『あんなのを見せられたら誰だって青くなるだろ・・・』
現に、いつも騒がしい酒場がまだ静まり返っている。
『絶対に喧嘩はしないようにしよう・・・死ぬは、これは・・・』

そして、あの話のことを忘れるようにルイスとフレイアは朝まで酒場ですごした。
2010年07月19日(月) 11:03:04 Modified by sayuri2219




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