降りてこないリオレイア前編
スレ番号 | タイトル | カップリング | 作者名 | 備考 | レス |
---|---|---|---|---|---|
1 | 降りてこないリオレイア前編 | アイルー×リオレイア | 非擬人化・微エロ・獣姦? | 400〜403 |
降りてこないリオレイア前編
ここは広大な森と小高い丘のある大地。いつもは草食竜が暮らしのどかな土地なのだが、今日はいつもと違って日中だというのに、森と丘は異常なまでの静寂に包まれていた。
「くっ・・・人間どもめ・・・。」
私は人間達に追い詰められ、森の奥にある泉で傷を癒していた。
いつものように巣で眠っていた所を、複数の人間に襲撃されたのだ、多分相手の人数は3人ぐらいだろう。
命辛々巣から逃げ出したため、正確な人数は把握できなかった。巣に残した卵も気になるが、今はそれどころではない。
爪は折れ、手にも酷い火傷を負っている。自慢の緑色の鱗も、あちこち焼け爛れ剥げて落ちている。
あのまま戦い続けていれば自慢の尻尾も切断され、・・・いや、命すら危うかったかもしれない。
だが、それよりも深刻なのは右胸に撃ち込まれた弾だ。痛みはほとんどないのだが、これが刺さってからというもの
異様な眠気が襲ってきて、どうにも耐えれそうにない。
「ランポス達が足止めはしてくれてはいると思うけど・・・、見つかるのは時間の問題ね・・・。せめて最後くらいは、華々しく散りたいものだけど目が重いわ・・・。」
薬が回ってきたせいか、どんどん身体から力が抜けていくのが分かる。
今は動けなくても、少し眠りにつけばきっとまだ戦える・・・。
翼をたたみ草の生い茂った地面に横になろうとした瞬間、何者かが巣に侵入してくるのを感じ取った。
「くっ・・・、人間かっ!」
侵入者に対して最後の力を振り絞り、私は翼を広げ侵入者に対して咆哮をあげる。
これで僅かな時間ではあるが、相手をひるませることが出来る。だが、目の前に居たのは人間の狩人ではなく小さな黒い猫だった。拍子抜けした私は、翼をたたむと地面に腰を下ろした。
睡魔に襲われているのもあるが、傷だらけで今は見栄を張れるほどの姿もしていないし、なによりも睡魔に勝てるほど余力も残っていない。
「なんだ、メラルーね。早く逃げなさい、時期にここに人間がやってくるわ。此処に
居たらあなたも・・・狩られちゃうわよ・・・?」
小さな猫は不思議そうな目でこちらを見つめている。・・・当然ね。普段ならメラルーなんて
卵を盗もうとしない限り、気にも留めることはない。
だがしかし、メラルーは逃げるどころかもなく、こちらに近づいてくるとジロジロと私の身体を見回し始めたではないか。
「手負いの竜を見るのは初めてなのかしら・・・?でも早く逃げないと危ないわよ。」
メラルーが居ては弱気な姿を見せるわけにはいかない。
歯を食いしばり、眠気に負けないように身に力を入れるが、腕に力が入らずそのまま
地面に倒れこんでしまった。
「情けない姿を晒しちゃってるわね・・・。んっ?!」
倒れた私の顔の傍にメラルーが近づいてくると腰に下げてあるポーチから草のような物
を取り出した。食べられる草なのだろうか?どちらにせよ竜の私には無縁の代物だ。
「私は肉食よ?草なんか食べないわよ。」
折角の好意だが、草はどうも食べる気にならないが、メラルーは草をかかえたまま顔の傍から離れようとしない。
草食竜だったら肉食竜の姿を見ただけで怯えて逃げ出してるのだが、メラルーはそうはいかない。
彼らメラルー、アイルーは私達肉食竜が人間と争おうが、草食竜を襲ってようがお構いなしに普段の生活を続ける。
自分に危害が加わらない限り、彼らは戦っているという事象には一切興味がないのだ。
「メラルーなんかに言っても無駄ね、あなたさっきから喋らないけど喋れっ・・・にゃふっ?!」
メラルーが喋っている私の口めがけて、草を投げ込んできた。見事に草は喉の奥へと滑り込み、飲み込んでしまった。
喉の奥から今まで口にしたことのない苦味がこみ上げてくる。
「なんてことするのよ、全く・・・。」
なんていたずらっ子のメラルーなんだろう。だが今の草の苦味が気付けになったのか少しさっきよりは意識がはっきりしてきた気がする。
メラルーはまだ何かしでかすつもりなのか、私の周りをぐるぐる周回すると、何かを見つけたのか胸のあたりで動きを止めじっと見上げている。
「今度は何をやらかすつもりかしら・・・?きゃっ?!」
メラルーは胸に飛びつくとしっかりとしがみつき、乳房に口を当て強く吸い付いてきた。
「ちょっとそんなとこ・・・だめっ・・・!」
乳房がむず痒い感覚に襲われ、思わず身を揺すってメラルーを振り落とそうとする。
だが、メラルーはしっかりとしがみついて離そうとはしない。
翼の先に付いた折れた爪で引き剥がそうとすると制止の声があがる。
「じっとしてるニャ、麻酔薬を吸い出すニャ!」
なんだ、この子喋れるんじゃない。でも、メラルーごときが竜の私に命令するなんて・・・。心ではそう思ったが、
麻酔薬を吸い出してくれているのもあって、私はその声に抵抗できずおとなしく従うことにした。
この時ようやくこのメラルーは私を助けようとしていることに私は気が付いた。
「ふぁ・・・っ・・・」
麻酔薬を吸い出し始めて少したつと、心臓がチリチリと燃えているような感覚が身体の奥からこみ上げてくるせいで思わず声が出てしまう。
メラルーはそんなのは気にも留めることはなく、お構い無しに麻酔弾が刺さっていたであろう場所をひたすら吸い続けている。
「一緒に逃げるニャ。ずっと飛び回れば人間はそのうち帰るニャ。」
メラルーは一旦吸うのをやめ、乳房にしがみ付いたまま私の顔を見つめ微笑みかけてきた。
だが、私の身体はそれどころではなかった。チリチリと燃えるような感覚は身体の疼きに変わり、疼きはどんどん大きくなってきていた。
・・・なんだか情けない。メラルーは私を必死で助けようとしてくれているのに私はその行為で欲情している。
その事実が私の胸をさらに胸を大きく高鳴らせる。
「ねぇ、もう大丈夫よ・・・。」
流石にこれ以上続けられては正気を保てない。メラルーがしがみ付いているはずの乳房を見ると、そこにはメラルーはいなかった。
メラルーは地面に倒れぐったりとしている。
まさか、竜用の麻酔弾は彼らにはキツすぎたのか・・・。脳裏に嫌な予感が走りメラルーに顔を近づけ様子を探る。
しかし、耳を澄ますとメラルーはぐったりしているのではなく心地よい寝息を立てていた。
「ぁぅ・・・、麻酔薬のせいで寝ちゃったのね。」
私はメラルーをそっと抱き抱えると、翼を大きく広げ、その巨体を起こし立ち上がった。
「全く仕方ないわね、龍が人間相手に逃げるなんて癪だけど、あんたの言うとおり飛んで時間をかせいであげるわ。」
その日、森の泉から飛び去ったリオレイアは日が暮れるまで飛び続け、人間が村に戻るまで降りてこなかったという。
<つづく>
2010年07月18日(日) 00:52:29 Modified by sayuri2219